2016年7月19日火曜日

中国経済(4):製造業の岐路 中国大陸そのものに吸引力がない、中国企業の支払いサイトが長期化

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サーチナニュース 2016-07-19 07:09
http://news.searchina.net/id/1614416?page=1

工場が各地で次々と倒産する中国、
製造業が抱える問題とは=中国メディア

 製造大国から製造強国への脱却を目指して、「中国製造2025」計画を打ち出した中国だが、製造業はいま苦境に立たされているという。
 中国メディアの捜狐はこのほど、「中国製品に存在する病根」について考察し、中国の製造業が抱える問題に関する記事を掲載した。

 記事はまず、中国政府が「中国製造2025」を打ち出したことは、中国の製造業従事者に明るい希望をもたらしたとしながらも、中国製造業を取り巻く現状は「厳しさが増している」と指摘。
 工場が中国各地で次々と倒産するなか、中国政府が「中国製造2025」を実現できたとしても、就業者に利益が還元されることも、彼らが能力を発揮することもできないはずだと主張し、その理由は中国の製造業界にはびこる「病根」にあると論じた。

 記事によれば、その病根とは「消費者に対する態度」と「従業員に対する態度」だという。
 「消費者に対する態度」とは、口先では「お客様は神様」と言いながらも、実際には消費者を見下しており、ミルクにメラミンを入れる、携帯電話を作っても雑音がするなど品質に問題があることを認識していても構わず販売してしまう状況で、「この種の品質理念」に問題があるとした。

 また、「従業員に対する態度」では、過去に経済が急成長していた時代には、顧客のニーズを満たすことが先決で、コスト削減のため従業員の給与を抑え、従業員を機械の部品や尊厳のない奴隷のように扱っていたと指摘。
 こうした態度は今なお続いており、中国製造業の水準向上を阻んできたと分析した。

 記事は結論として「何をするにも基本は人であることを認識すべき」と主張。
 従業員と消費者を大切にするように勧め、日本を成功例として挙げた。
 日本の製造業は消費者の立場に立った商品開発で多くの中国人の心をつかんだため、「中国人がわざわざ日本に温水洗浄便座を買いに行く」のも理解できることだと主張した。



Record china 配信日時:2016年7月19日(火) 8時20分
http://www.recordchina.co.jp/a145146.html

中国、賃金上昇に減速の兆し―仏メディア

 2016年7月17日、仏RFIは、中国で賃金上昇に減速の兆しが現れたと指摘した。

 中国国家統計局は、2016年上半期(1月-6月)における全国平均可処分所得について、物価上昇などを算入した実質上昇率は6.5%増となり、同期間の国内総生産(GDP)成長率6.7%とほぼ同期していると発表した。

 ロイター通信によると、国家統計局の関係者は「中国は今年上半期、世帯収入の伸びと経済成長率が同じペースを保ってきた。
 だが世帯収入が今後もこの勢いを保つことは難しい。
 経済成長が伸び悩み、下降する可能性もある」とした上で、
 「世帯収入が上昇を続けるには、経済の支えが必要だ。
 だが石炭・鉄鋼の過剰生産や農産品価格の下落がそれを難しくしている」
と指摘する。

 中国の労働人事当局は先ごろ、中国企業の競争力を維持するため、賃金上昇を減速させることを明らかにしている。



サーチナニュース 2016-07-19 10:45
http://news.searchina.net/id/1614448?page=1

中国はなぜ品質の良いデジタル一眼レフカメラを製造できないのか

 最近、中国のチャットツール微信で
 「中国はなぜ品質の良いデジタル一眼レフカメラを製造できないのか」
というテーマに関する議論が盛り上がりを見せたが、中国メディアの突襲新聞はこのほど、同テーマに関する独自の見解を紹介している。

 記事は中国が持つ技術力について、
 「中国がもし技術力を向上させるために10数億元を投じ、電子システム技術の欠点を改善する等の努力を払うなら、2-3年後にはコストパフォーマンスに優れたミドルクラスのデジタル一眼レフカメラを市場に出すことができるだろう」
と主張。

 しかし、「誰もそんなことはしない」
と説明、
 その理由として「日本からコストパフォーマンスに優れた製品を買える」という点を指摘した。
 結論として記事は、
★.デジタル一眼レフカメラを製造するというのはあくまでも「ビジネスの一種」であり、
 「利潤を得る」ことがビジネスの目的という観点で考えるなら「難しいビジネスにあえて手を出す必要はない」
という見方を示した。

 記事の主張を簡単に言い換えるなら、中国が本気になれば製造する能力はあるが、苦労して取り組む価値のあるビジネスではないゆえに中国には品質の良いデジタル一眼レフカメラがないということになる。
 あくまで中国の能力に欠陥があるからではないという点が強調されている。

 記事の主張の背後には、
 「良いデジタルカメラを製造できないから、
 中国はダメな国だ
という考え方を止めるよう」呼びかける狙いがある
とみられる。
 中国と他国の長所を比較してやみくもに自国を卑下する考え方をやめるよう、同胞である中国人に訴えかけている。
 個人レベルでも組織レベルでも自身を根拠なく卑下することは進歩や前進の意欲を奪ってしまう。従ってこうしたメッセージはさらに発展を望む中国にとって確かに大切だと言える。



サーチナニュース 2016-07-19 11:26
http://biz.searchina.net/id/1614460?page=1

中国産レアアースに対する依存が
・・・ホンダの成果が中国で注目される理由

 ホンダは12日、大同特殊鋼とともに
 「ハイブリッド車用駆動モーターに適用可能な高耐熱性と高磁力を兼ね備えた、
 重希土類完全フリー(不使用)熱間加工ネオジム磁石を世界で初めて実用化した」
と発表した。

 レアアースを使用しない技術の開発は世界のレアアース生産の大半を占める中国のレアアース業界にとって死活問題に発展しかねないため、ホンダの発表は中国でも大きな注目を集め、各メディアが報じた。

 中国メディアの捜狐はこのほど、ホンダの新技術開発について
 「中国産レアアースに対する依存を大きく減らすことにつながるだろう」
と主張した。

 記事は、従来の自動車用モーターが高耐熱性を実現するためには重希土類の存在が必要不可欠だったと指摘し、事実、ホンダのモーターにはこれまで重希土類が使われていたと指摘。ネオジム磁石のように強い磁力を持つ永久磁石にはレアアースの存在が必要不可欠であり、
 「ほかの資源では代替できなかったからこそ、レアアースは貴重な資源だった」
と論じた。

 続けて、尖閣諸島(中国名:釣魚島)近海での漁船衝突事故を受け、中国がレアアースの事実上の輸出制限を行ったことに触れたうえで、
 「日本企業はレアアース調達における脱中国に向けて新技術の開発に乗り出した」
と指摘し、こうした経緯によってホンダの新技術開発につながったと紹介。
 ホンダにとっては「中国産レアアースに対する依存を大きく減らすことにつながるだろう」
と主張した。

 また記事は、中国は世界最大のレアアース輸出国であり、レアアースを「独占的に供給する立場にある」としながらも、実際にはレアアースを使用した付加価値の高い製品を生産する技術がなく、レアアース資源の価格を決める決定権もないのが現実だと主張。
 さらに悪いことに、ホンダが新しい技術を開発したことで、中国のレアアース産業における立場が危うくなる可能性を示唆したうえで、悔しさをにじませた。


Record china配信日時:2016年7月20日(水) 8時0分
http://www.recordchina.co.jp/a135800.html

中国は経済大国になったが、誤った道を進んでいる―スイス紙

2016年7月18日、スイスのドイツ語紙ノイエ・チュルヒャー・ツァイトゥングは「中国は経済大国になったが、誤った道を進んでいる」とする記事を掲載した。
 仏国際放送ラジオ・フランス・アンテルナショナル(中国語電子版)が伝えた。

 中国経済は強大になったが、スイスのドイツ語メディアは経済指標、数値の正確さに疑問を呈している。
 同時に中国経済が抱える問題、真の実力に注目している。

 中国国家統計局は15日、16年4〜6月期の国内総生産(GDP)が物価変動を除く実質で前年同期比6.7%増えたと発表した。
 数値がどうあれ、中国はなお世界経済をけん引していることは疑いがない。
 しかし、中国経済は誤った道を進んでいる。

★.まずは国営企業を始めとする企業負債の蓄積だ。
★.さらに向上すべき生産力は足踏みが続いている。
★.最後に中国企業の海外投資の増加だ。
 中国大陸そのものに吸引力がない。 

 独メディアは
★.「中国は強力なカンフル剤を打ち、経済を落ち着かせようとしている」
とみる。
 しかし、代償は大きい物になるだろう。
 輸出と消費の減少、
 生産能力と
 貸付額の増加が不安要因
となっている。



NNA 7月20日(水)8時30分配信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160720-00000001-nna_kyodo-cn

【中国】「企業に流動性のわな」、人民銀幹部が言及

 中国人民銀行(中央銀行)の盛松成・調査統計局長はこのほど、通貨供給量(マネーサプライ)のうち、狭義のマネーサプライであるM1(現金+当座預金)の伸び率が広義のマネーサプライであるM2(現金+預金)を大きく上回っていることについて、
 「中国企業には既に流動性のわなの現象が生じている」
と指摘した。
 19日付経済参考報などが伝えた。

盛局長は
 「大量の通貨が企業に流れているが、
 企業は適当な投資先を見つけられず、
 資金を当座預金の口座に預けたままにしている」
と述べた。
 「流動性のわな」とは、金利水準が限界まで低下した場合に金融政策の効果がなくなることを指す。
 中国金融当局の関係者が流動性のわなに言及するのは異例。
 人民銀の統計によると、6月末時点の通貨供給量はM1が前年同期比24.6%増、M2が11.8%増となり、M1の伸びは前年同月を20.3ポイント上回った。


サーチナニュース 2016-07-21 07:41
http://news.searchina.net/id/1614623?page=1

中国企業の支払いサイトが長期化、
経済の減速が影響か=中国報道

 中国経済の減速が続くなか、中国企業の支払いサイトが長期化しているという。
 買掛金の支払い延滞の発生や、平均延滞日数の増加といった問題も顕著になっている。

 中国メディアの参考消息網はこのほど、ドイツメディアの報道を引用し、中国企業の買掛金の支払いサイトが伸びてきていると伝えた。
 記事は、ユーラーヘルメス信用保険会社が公表した調査結果を紹介。
 同調査によると、中国企業の支払いサイトは調査対象となった36カ国で最も長い92日だったと紹介。
 世界平均が64日だったことを考えれば、1.5倍も長いことになる。

 続けて、中国企業の支払いサイトが伸びている理由の1つとして「中国の景気悪化」にあると分析。
 実際、前年度の調査の平均88日からさらに長くなっていることは、中国企業の経営状況が悪化していることをを示していると言えよう。

 別の理由は
 「上場企業が現金を大量に保有しているため、返済延期に耐えられること」
にあるという。
 中国では銀行による融資の条件は非常に厳しく、大量の現金を保有している上場企業は、顧客の支払い期限の延長に関する要望を受け入れることで、顧客を獲得している面もあるようだ。

 中国はもともと不払いや踏み倒しの多い国とされている。
 中国に進出する日本企業にとっても、中国企業による踏み倒しはリスクの1つと認識されているが、ただでさえ不払いが多いなかで返済期限の遅延が生じているのはリスク以外の何ものでもない。



サーチナニュース 2016-07-23 07:39
http://news.searchina.net/id/1614823?page=1

中国製造業は衰退の一途?
米国に追い越されるのを「座して待っていてはならない」

 世界四大会計事務所のデロイトと米国のNPOである競争力審議会は4月、
  「2016世界製造業競争力指数」(英語版)を発表した。
 世界各国の製造業企業のCEO等による回答に基づいて作成された同報告書によれば、16年の報告では中国の競争力は首位だったが、今後5年以内に中国は米国に首位の座を明け渡すことになると予想した。

 そして7月初め、中国信息化百人会とデロイト・トーマツは「2016世界製造業競争力指数」の中国語版を発表したが、中国メディアの同花順財経は18日、中国は米国に追い越されるのを「ただ座して待っていてはならない」と提言する記事を掲載した。

 記事は
 「2016世界製造業競争力指数」が今後5年以内に中国が米国に首位の座を奪われると予測する理由を紹介。
 中国は老齢化や経済成長率の減速、人件費の高騰などの多くの課題を抱えているが、米国はIoT時代の接続機能を持つスマート製品や最先端製造技術であるスマート工場を開発していることに加え、予測分析や最先端素材の分野でも世界をリードしているため、これらの要素が米国の競争力になるというのが記事が紹介した順位逆転の理由だ。

 続けて、「2016世界製造業競争力指数」のこの報告に基づき、「中国は米国に追い越されるのを何もしないでじっと待っていてはならない」と提言。
 「中国の人件費の高騰は避けられない傾向であり、低コストを推進力にして発展するモデルはすでに継続不可」と指摘、それゆえ
 「中国製造業が競争力向上のために取るべき最も重要な策は、
 やはりできるだけ早く製造業を高度化することだ」
と説明した。
 
 「2016世界製造業競争力指数」は、製造業の推進力になる12の要因のうち
★.最も重要なのは「人材」であり、
★.二番目に重要なのは「コスト競争力」
であると説明している。
 コスト競争力
 米国が39.3ポイント、
 ドイツが37.2、
 日本が38.1ポイント
であるのに対して
 中国は96.3ポイントとずば抜けて高い。

 しかし人材について
 米国が89.5、
 ドイツが97.4、
 日本が88.7ポイント
であるのに対して
 中国は55.5ポイントとかなり低い。
 報告によれば
 中国の平均修業年限は7.5年と日本の11.5年に対してかなり短く
 また中国の理工科の卒業生の数は非常に増えているが
 「即戦力として雇用されるための実際的な技能訓練を十分に受けていない」
ということも人材のポイントが低い理由となっている。
 中国のコスト競争力が今後衰えるのは必至であり、従って中国には人材を育てる面でも大きな努力が求められる。


サーチナニュース 2016-07-31 07:09
http://news.searchina.net/id/1615402?page=1

ゾンビ企業は中国経済にとっての「悪貨」だ!
今こそ駆逐せよ=中国報道

 中国経済が抱える問題の1つに「ゾンビ企業」をめぐる問題がある。
 ゾンビ企業とは、経営がほぼ破綻しているにもかかわらず、政府や銀行の支援を受けて存続している企業を指す。

 中国ではゾンビ企業といえば、一般的に石炭や鉄鋼など赤字続きの国有企業を指すことが多く、中国メディアの金羊網は26日、中国が製造業の高度化を実現するためには「良貨」で「悪貨」を駆逐する必要があると論じた。

 経済学におけるグレシャムの法則では、本来は「悪貨」が「良貨」を駆逐するという趣旨だが、記事は中国のゾンビ企業は中国経済にとっての「悪貨」であると見方を示し、ゾンビ企業が中国経済を蝕んでいると主張。
 例えばゾンビ企業の一例とされる中国の一部の鉄鋼メーカーは生産能力の過剰に苦しんでいるが、質の高い製品は生産できず、生産量ばかり増えるものの作れば作るだけ赤字が膨らむ悪循環に陥っている。

 続けて記事は、中国のゾンビ企業は大した努力もせずに政府の支援のもとで生き残っているに過ぎず、中国製造業は必要な基幹技術の大半を国外の企業に頼っているのが現状だと指摘。
 中国の製造業の高度化を実現するためには、高い技術と管理能力を持つ健全な経営体質の「良貨」の企業を増やすことで、「悪貨」のゾンビ企業を淘汰させるべきだと論じた。

 現在、中国政府は多くのゾンビ企業を合併や再編などを通じて整理しようとしているが、その過程で多くの中国人が失業するとも言われており、今後数年はゾンビ企業が中国政府を悩ませ続けることになりそうだ。


J-CASTニュース 8月1日(月)11時49分配信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160801-00000000-jct-bus_all

中国は「市場経済の国」なのか 
欧米が認めたくない大きな理由

 中国を「市場経済国」と認めるか、否かをめぐり、日米欧と中国のせめぎ合いが続いている。
  世界貿易機関(WTO)協定上の認定の問題で、根底には中国による鉄鋼製品などのダンピング(不当廉売)輸出がある。
 2016年末の「期限」をにらみ、さや当ては佳境に差し掛かろうとしている。

 新興国などでは、政府が企業の生産や輸出に実質的な補助金を出すなど、適正な製品価格が分かりにくい場合がある。
 WTO協定は、こうした国を「非市場経済国」として、ダンピングへの対抗措置をとりやすくしている。
 例えば、別の国の製品価格などを基準に対抗措置をとることが可能といった具合だ。

■「認定」の期限は2016年12月

 中国は2001年のWTO加盟に際し、15年間はこの非市場経済国扱いを受け入れると誓約した。
 その期限が2016年12月11日。
 中国は、その時点で自動的に市場経済国に移行すると主張するが、日米欧はすんなり認めない構えを示し、対立している。

 中国問題の構図は、こうだ。
 中国では経済に大きなウェートを占める国有企業が、非効率なまま存続している。
 政府も構造改革の必要は認めるが、大ナタを振るえば失業の増加など社会不安をあおりかねず、生産設備の廃棄など思い切った手がなかなか打てない。
 このため、特に鉄鋼や石炭などの生産過剰が解消されず、これらの製品が安値で輸出されている。
 これがいま、世界経済の大問題になっている。

 欧州では、2015年末時点で発動している反ダンピング課税67件のうち、中国製品が約8割にあたる52件を占める。
 市場経済国に認定されれば、反ダンピング税などで対抗しにくくなり、欧州で最大350万人、米国でも鉄鋼業界だけで40万~60万人の雇用が失われるとの試算もある。
 そこで欧州連合(EU)がまず活発に動いている。
 欧州議会が5月に
★.中国を市場経済国と認定すべきでないとする決議を圧倒的多数で可決した
のをうけ、
★.執行機関の欧州委員会は7月20日、市場経済国と認定しない基本方針を決めた。
 ただし、欧州が強硬一点張りというわけではない。
 中国との経済的なつながりが強まっているため、必要以上の対立は回避したいところ。
 そこで、EUの反ダンピング制度を見直す方針で、具体的には、ダンピングが疑われる場合、市場経済国か否かの認定に関係なく、国際価格を考慮して判定し、反ダンピング措置を採れるようにする方針だ。

 他方、米国ではもっと政治的な問題になっている。
 ルー米財務長官は6月16日、米国として中国を市場経済国として認定するか、しないかは、「米国の商務省が決めることだ」と述べた。
 これは、中国政府による国有企業改革などの進展を見て判断する、つまり、現状では認めないという意味と解釈できる。
 実際、オバマ政権は、中国が鉄鋼を不当に安く輸出しているとして反ダンピング課税をかけるなどの対抗策を強化してきている。
 大統領選では「米国第一」のトランプ氏(共和党)だけでなく、民主党の候補に決まったクリントン前国務長官も選挙キャンペーンの中で「中国を市場経済国と認定すべきではない」と言明している。

 日本は5月の主要7カ国(G7)首脳会議(伊勢志摩サミット)で、中国の市場経済国としての認定問題で、緊密な連携を確認したことから、欧米に歩調を合わせていく考えだ。

■中国指導部も意見が割れている?

 中国は協定通りの市場経済国認定を求めてWTOに提訴する構えを見せるとともに、「鉄鋼などの貿易問題は2国間・地域の対話で適切に解決したい」(李克強首相)というのが基本的な立場だ。

 また、7月22日には、北京の釣魚台国賓館で李首相が主宰し、WTOのほか国際通貨基金(IMF)、世界銀行、経済協力開発機構(OECD)などのトップとの異例の座談会を開催。中国政府が過剰生産能力の削減などの「供給側(サプライサイド)改革」に取り組み、過去3年間で計1億5000万トン近い鉄鋼生産能力を削減したと語り、経済の体質強化への取り組みをPRした。さらに24日には日韓や欧州から輸入された一部特殊鋼板に報復の反ダンピング関税を課すと発表して揺さぶりをかけるなど、巻き返しに必死だ。

 同じ24日、中国・成都で開かれていた主要20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議の声明は「過剰生産を含む構造問題が世界経済に負の影響を与えている」と、この間の国際会議と同じ表現を盛り込んだ。
 中国も問題解決の必要は認めたということだが、具体的な道筋が示されたわけではない。

 「中国指導部内で、抜本的な構造改革と、目先の景気のどちらを優先するか、意見が割れている」(国際関係筋)
との分析もあり、方向性がはっきり見通せない中、市場経済国認定問題も、12月に向け、まだまだ曲折がありそうだ。



現代ビジネス 2016年08月09日(火) 近藤 大介
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/49405

中国人民大学「ゾンビ企業レポート」が示す習近平政権の致命的な過ち
だから中国経済の失速する!

■国有企業会長が首吊り自殺

 最近、日本であまり話題にならなくなったが、中国経済の失速が止まらない。
 習近平政権が今年公約した処方箋が、「供給側構造改革」だった。
 これは、計5つの改革(3つの除去と1つの下降と1つの補填)によってV字回復を目指そうというものだったが、中でも「改革の1丁目1番地」に掲げたのが、「生産過剰の除去」だった。

 生産過剰問題が最も深刻なのは鉄鋼業で、2015年末時点での負債規模は、当局が公表しただけで4兆3,700億元(1元≓15.2円)。
 負債率は66.7%に達している。
 国有の大型鉄鋼会社が集中しているのが、遼寧省・吉林省・黒竜江省のいわゆる東北三省である。
 その象徴とも言える東北特鋼集団(特鋼)が、いよいよ倒産へ向かってカウントダウンとなってきた。
 自動車用鋼材などで、中国最大規模の国有企業である。
 いまから4ヵ月以上前の3月24日木曜日の午後1時20分、大連市公安局は、通報を受けて、市内屈指の高級マンションに駆けつけた。
 部屋で首を吊って息絶えていたのは、特鋼の楊華・董事長(会長)兼党委書記(享年53)だった。
 1962年遼寧省生まれの楊会長は、1990年に北京大学哲学科で修士号を取得後、東北地方きっての有力国有企業の鞍山鋼鉄集団に就職。
 グループ子会社の社長や会長を歴任した後、昨年4月に特鋼の会長に就任したばかりだった。
 この鉄鋼業界のインテリ経営者は、特鋼の将来を悲観して、自ら命を絶ったのだった。

◆昨年9月の負債率は84.3%

 特鋼の歴史は古い。
 1905年、日本は日露戦争に勝利して占領した遼寧省の大連に、大連鋼鉄集団を創立。
 同様に、日中戦争が起こった1937年、遼寧省撫順に撫順特鋼が、共産党政権後の1952年、黒竜江省チチハルに北満特鋼が設立された。
 3社とも大型国有企業として、毛沢東時代と鄧小平時代に、中国の社会主義経済の屋台骨を担った。

 ところが2002年、撫順特鋼が経営危機に陥り、翌2003年には北満特鋼も、経営危機に陥った。
 そのため2004年9月に、大連鋼鉄集団が撫順特鋼と北満特鋼を合併する形で、東北特鋼集団を創立した。
 寧省の国有資産監督管理委員会が統括し、本社は大連に置いた。

 2007年、李克強首相が遼寧省党委書記(省トップ)を務めていた時期に、特鋼は、大連の市街地から70㎞離れた金州区に、300万㎡(東京ドーム64個分!)の巨大な新工場を建設した。
 投資総額は、156億元。
 これによって、巨大な鉄鋼生産が可能になり、2015年の特殊鋼生産量は800万トン、鋼材生産量は690万トンにも上った。
 同年の日本全体の特殊鋼生産量が1768万トンなので、
 特鋼1社で日本の全生産量の約半分を叩き出したことになる。

 ところが世界的な生産過剰と、それに伴う価格下落によって、特鋼の負債率は悪化の一途を辿った。
 昨年9月には、資産518.1億元、負債436.9億元で、負債率は危険水域の84.3%まで上昇したのである。
 今年に入ると、1月26日に瀋陽で開かれた遼寧省第12期人民代表大会第6回会議で、陳求発省長が疲れきった表情で、「2015年の遼寧省のGDP成長率は3.0%だった」と報告した。
 これは過去23年なかった低成長で、全国31地方中、最下位である。
 省内のPPI(生産者物価指数)も、43ヵ月連続で下降したという。

 陳省長はここまで省内の経済が落ち込んだ理由として、こう述べた。
 「企業の生産コストが上がり、
 一部業界と企業が経営困難に陥り、
 技術革新は追いつかず、
 新興産業は育たず、
 サービス業の発展は停滞し、
 地域の発展は不均衡で、
 財政収入は悪化し、
 財政支出は増え、
 国有企業は経営が回復せず、
 民営企業は発展せず……」

 陳省長が言及した「経営困難に陥った企業」の筆頭が、特鋼だった。
 同じ東北三省の吉林省と黒竜江省も、経済成長率がそれぞれ全国31地方中、28位の6.5%と29位の5.7%だった。

■4ヵ月で7回の債務返済不履行

 年に一度の全国人民代表大会(国会)開幕前日の3月4日、国営新華社通信は、王珉前遼寧省党委書記(省トップ)を、「重大な紀律違反により調査中」と発表した。
 王珉前書記は、2006年11月から2009年11月まで、吉林省党委書記を務めた。
 その後、2015年5月まで遼寧省党委書記を務めた「東北地方のボス」だった。

 3月6日には、遼寧省に隣接した吉林省遼源市の経済開発区トップだった孫慶安同市政協副主席が、エレベータに乗ったところを襲われ、メッタ刺しにされて殺害されるという事件が起きた。
 そのニュースが報道されると、インターネット上には、

〈 死ね、死ね! 〉
〈 ついに奴隷たちが起ち上がったぞ! 〉

といった書き込みが相次いだのだった。
 幹部の失政と汚職の犠牲になって失業した人々の怒りが炸裂したのだ。

 この頃、遼寧省の省都・瀋陽に住む日本人駐在員に聞くと、次のように語った。
 「瀋陽の街には失業者が溢れ、消費がまったく振るわず、次々に工場が閉鎖されています。
 最盛期には約3000社来ていた韓国企業も、いまは撤退ラッシュで、すっかり影をひそめています。
 瀋陽の企業の納税番付で、2位に3倍以上の差をつけてダントツのBMWの工場が撤退する時が、790万瀋陽市民が路頭に迷う日と言われています。
 日系企業も昨年、日野自動車の大型バス工場が撤退し、いまや200社を切ろうとしている。
 日本人駐在員同士で会っても、撤退と縮小の暗い話ばかりです」

 同時期に、同じ遼寧省の大連駐在の日本人経営コンサルタントに聞いたところ、やはりため息交じりに答えた。
 「2月8日から始まった春節(旧正月)の大型連休が明けると、700万都市の大連は、倒産ラッシュに見舞われていました。
 従業員たちが工場やオフィスに戻ってきても、会社がなくなっているのです。
 それで失業者たちが、市の中心街でデモを起こしたり、浮浪者になってたむろしたりして、不穏な雰囲気が漂っています」

 そして前述のように、全国人民代表大会が閉幕した後の3月24日、特鋼の楊華会長が自殺した。
 その5日後からは、特鋼の債務返済の遅滞が始まった。
 特鋼はそこからわずか4ヵ月で7回、計47.7億元もの債務返済不履行を行ったのである。
 そのため特鋼には、「違約王」というニックネームがついた。
 特鋼側は、緊急の転換社債を発行して、急場を凌ごうとした。
 だが、国有企業の借金を国民に負わせるということには、異論も多い。
 そもそも高リスクの社債を買う投資家がいるのかという問題もある。

■遼寧省の破綻までが視野に

 5月9日には、中国共産党中央機関紙の『人民日報』が、「権威人士」の話として、次のような見解を掲載した。
 「従業員は保護するが、企業は保護しない。
 勇気をもって『ゾンビ企業』の処置にあたるのだ。
 救いようのない企業、閉鎖すべき企業は、閉鎖を決断すべきだ。
 破産すべきは、法に基づいて破産させるべきだ。
 やれ転換社債だ、合併だなどと言うべきではない。
 そんなことをすれば、さらに高いコストがかかり、早晩、大荷物となってしまう」

 この「5・9人民日報インタビュー」は、中国で大きな反響を巻き起こした。
 「権威人士」とは、習近平主席が最も信頼をおく経済ブレーンの劉鶴・中央財経指導小グループ弁公室主任だというのが定説になっている。
 ゾンビ企業については後述する。

 特鋼は、遼寧省国有資産監督管理委員会が統括する国有企業(全株式の68.81%を保有)なので、この雪だるま式の負債増加に、遼寧省が蒼くなった。
 特鋼の倒産と、遼寧省の破綻が、視野に入ってきたからである。
 そんな中、7月に入って、特鋼に融資している国家開発銀行、渤海銀行、中国農業銀行の三行が極秘の会議を開いて、今後は遼寧省政府と遼寧省の企業には融資をしないと決めたという噂が広まった。
 これに対して、国家開発銀行は7月18日、次のような声明を発表して、火消しに躍起となった。

★.〈 最近、一部メディアは、「国家開発銀行が三行会議を開いて遼寧省政府と遼寧省の企業への融資を一時ストップしようと提案した」と報道したが、これは事実ではない。
 特鋼が何度も債務返済不履行を行った後、国家開発銀行は、主要融資銀行として、他の融資銀行とともに、監督部門の要求に厳格に基づいて、債券保有者会議などの方法を通じて、債券保有者たちの提案を収集・整理し、主管部門に報告するよう求めてきた。
 国家開発銀行は仲介役であり、そのような提案を行う職能も権限も有していない。

 長年にわたり、国家開発銀行は国家の東北振興戦略の方針を、積極的に貫徹してきた。
 多くの方法で遼寧省の企業にも融資やサービスを提供してきたし、遼寧省の経済発展の後押しをしてきた。
 今後も国家開発銀行は、これまでと同様に、開発のための融資を行い、遼寧省及び東北地方の経済発展を支持していく。

 同時に国家開発銀行は、特鋼の主要債権主の一角として、特鋼に債務履行を求めていく。
 そして債権の投資者の合法的利益を、最大限に保障できるよう努力し、地域の金融安定化の維持に努めていく 〉

こうして国家開発銀行が声明を出した後も、ネット上には、様々な真偽不明の意見が飛び交った。

〈 国家開発銀行は、7月18日の声明の後、再び裏の声明を作って、関係銀行に配ったようだ。
 そこにはやはり、遼寧省への融資停止提案が書かれているというぞ 〉

〈 遼寧省の経済は、完全に破綻したんだから、それを素直に認めたらどうだ。
 遼寧省の老人に聞いたら、張作霖の軍閥時代は、毎日牛肉と水餃子を大皿で食べていたという。
 また日本の支配時代には、中国全土の工業生産の9割を占めていたという。
 ところがいまや、こんな様になってしまった。
 一体誰のせいだ? 〉

 8月1日には、特鋼側と債権者側の話し合いが持たれた。
債権者: 
 「特鋼は、転換社債などで債務から逃げないと書面で約束せよ」
特鋼: 
 「何度も申し上げているが、わが社は大型国有企業であり、全身全霊、社会的責任を果たしていく。
 債務から逃げたりもしない」

 だが、特鋼の倒産という激震が遼寧省に走る時は、もうそこまで迫っている。

■中国人民大学の「ゾンビ企業レポート」

 特鋼のような企業を、中国では「ゾンビ企業」(僵屍企業)と呼んでいる。
 7月28日に、中国人民大学国家発展・戦略研究院が中国で初めて、
 『中国のゾンビ企業研究報告――現状、原因と対策』
と題した52ページからなるレポートを発表し、中国国内で大きな話題を呼んでいる。

 まず、ゾンビ企業の定義としては、
 「連続3年赤字企業」または「市場の最低金利以下の金利で銀行から融資を受けている企業」
だという。
★.ゾンビ企業の比率が高い業種は、
 鉄鋼業51.43%、
 不動産業44.53%、
 建築装飾業31.76%、
 商業貿易業28.89%、
 公用事業20.49%。

★.逆に低い業種は、
 銀行業0.00%、メ
 ディア4.12%、
 非銀行系金融業4.65%、
 コンピュータ産業5.23%、
 レジャーサービス業5.88%
となっている。

 また地方別では、ゾンビ企業が多い地域は、
 寧夏回族自治区17.06%、
 山西省15.31%、
 甘粛省15.09%、
 雲南省14.80%、
 北京市13.95%。
逆に少ない地域は、
 チベット自治区3.61%、
 河南省4.23%、
 山東省4.29%、
 湖南省4.44%、
 福建省4.68%
となっている。

 次に、創業5年以内の企業の中でゾンビ企業は、約3%しかない。
 逆に創業30年以上の企業は、約23%がゾンビ企業と認定された。
 中国では民間企業が認められ始めたのは、主に1990年代以降なので、
 創業30年以上の企業とは、すなわち国有企業のことに他ならない。
 つまり、すでに国有企業中、4社に1社はゾンビ企業と化しているということになる。

 この報告書でも、次のように記されている。
 〈 この結果が暗示しているのは、多くのゾンビ企業が老舗企業であり、すなわち国有企業であり、規模が大きい企業だということだ。
 そしてゾンビ企業の処置には、多くの挑戦が伴うということだ 〉

 続いて、ゾンビ企業が生まれる原因については、次のように分析している。
①:地方自治体と企業の謀議
 政治の集権と経済の分権という大きな背景のもとで、GDPが主要な地方政府幹部の出世の旗印となっているため、
 中央政府、地方自治体、企業の三者がつるんで、生産過多に陥ってしまった。

②:地方自治体同士と国有企業同士の競争の悪循環
 1994年の国税と地方税の税制分離改革によって、地方自治体同士のGDP競争が激しくなった。
 これによって、各地方が経済発展すると同時に、各地方が保護主義に走り、生産過剰に陥った。

③:大規模な刺激策の後遺症
 2008年11月、世界的な金融危機を受けて、中国政府は計4兆元(当時の為替レートで約58兆円)の経済刺激策を実施した。
 この過度の投資によって、企業が生産を、盲目的に拡張していった。

④:外部の需要の調整
 2008年の世界的な金融危機によって、需要が減少し、主要貿易品の価格が下落した。
 それによって中国の輸出に大きな影響が出た。
 商務部の統計によれば、2008年7月の輸出の伸び(前年同月比)が26.9%だったのに対し、2009年6月は-21.4%と、大幅に減少した。

⑤:銀行のギクシャクした貸出
 民営企業は国有企業よりも、生産コストが高い。
 その上、銀行は民営企業に対して、「晴天に傘を貸し、雨天に傘を引き取る」ようなことをする。
 逆に国有企業に対しては、中央政府や地方自治体というバックボーンがあるので、低リスクと見て、どんどん貸し出す。
 こうしたギクシャクした融資が、生産過剰を生んだ。

■ゾンビ企業を減らすために必要なこと

 このレポートはおしまいに、ゾンビ企業を減らすための5つの対策を提言している。

①:政府の企業に対する干渉を減らす。
 特に産業政策は慎重にする
 そもそも正常で完備した市場経済のもとでは、ゾンビ企業など存在しない。
 債務がかさんで損失が長期に及べば、自然に淘汰される(倒産する)からだ。
 だから地方自治体は企業に対する干渉を減らすべきだ。
 そうした企業に干渉して生き残らせれば、一時的に税収は入るかもしれないが、長期的に見ればさらに多くの税金を投入する羽目になる。

②:国有資産監督管理委員会の国有企業に対する評価ポイントを整備し、「強く優れて大きい国有企業」を全面的に理解する
 「強く優れて大きい国有企業」の育成が政府の方針だが、何をもって「強い」「優れている」「大きい」とするのか明確な指標を作るべきだ。

③:銀行の融資に対する監督管理を強化する
 銀行がゾンビ企業に融資し続けるのを断ち切るためにも、政府の銀行融資に対する監督管理を強化する。

④:多くの方法を用いて生産過剰を減らすようにし、社会のセーフティネットを整備する
 現在、深刻な業界では、約2割の生産過剰を抱えていて、約1割のゾンビ企業を抱えている。
 総じて言えば、まだコントロールできる範囲内だ。
 鉄鋼、セメント、ガラスなどの生産過剰は、貧困地区のインフラ整備に使うとか、中央政府や地方自治体が債権を発行して債務を肩代わりするなどして解決を図る。
 時短や失業に備えて、社会保障も充実させないといけない。

⑤:国有企業改革を加速し、国有企業の定位を明確にする
 国有企業の重要性は言うまでもないが、中央政府も国有企業改革を非常に重視していて、多くの国有企業改革に関する重要文件を発布してきた。
 だがそれらの文件は、根本的な問題を回避している。それは、国有企業とはつまるところ、純粋な市場化された企業なのか、それとも政治と社会の役割を背負う特殊な企業なのかという問題だ。
 もしも国有企業の定位が後者だというのなら、その数を減らすべきだ。

 国有企業を、地方の就業を保障したり、安定した税収をもたらすことを優先する存在だとみなすならば、そして経済効率とか生産率などは二の次とするならば、最終的には多くの国有企業がゾンビ企業と化す苦難を、根本的に解決することはできないだろう。

 われわれが建議したいのは、政治的社会的役割を担う国有企業と、市場化していく国有企業に、明確に分類していくことだ。
 前者の国有企業は数を制限し、特殊な企業として扱う。
 後者の国有企業は市場化を加速させ、強く優れた企業を目指すよう促すのである。

 以上が、中国人民大学のゾンビ企業レポートである。

 このコラムで何度も述べていることだが、2013年に李克強首相ら経済改革派が行おうとした国有企業の「三歩走」、すなわち「市場化→多元化→民営化」という改革を進めていれば、多くの国有企業が民営企業に着地し、中国経済はダイナミックで持続可能な経済成長が期待できたのだ。

 それを習近平主席ら中国共産党の保守派は、国有企業を政治的利権の道具にしようとした。
 そのため昨年9月に、国有企業の「二歩走」、すなわち「淘汰→党中央の管理強化」という「改悪」を国有企業改革の骨子に定めてしまった。
 この「誤作動」を改めない限り、ゾンビ企業の退治、ひいては中国経済の復活はおぼつかないように思う。



JB  Press 2016.8.23(火)  姫田 小夏
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/47646

ゾンビ企業の大量失業者、
「一帯一路」が受け皿に?
新興国のインフラ建設プロジェクトに流れる中国人労働者


●中国・遼寧省の鞍山市。
 国内最大の製鉄所があり「鉄の都」の異名を持つ(資料写真、出所:Wikipedia)

 7月末、中国人民大学の研究機関である国家発展与戦略研究院が、中国の「ゾンビ企業」に関する研究報告を発表した。
ゾンビ企業とは、実質的に経営破綻していながらも存続している企業を指す。
 報告によると、中国の工業企業34万社のうちゾンビ企業は約8%(=2万7000社、2013年)を占める。
 国有企業(集団所有企業含む)が3割以上を占める2865社の上場企業においては、14%にあたる412社がゾンビ企業である。
 業種別にみると、鉄鋼業や不動産業、建築内装業などに集中しているという。

 上場企業におけるゾンビ企業の数は2001年から増え続け、2013年にピークに達した。
 この間、中国では住宅ブームが起き、住宅建設に必要な鉄鋼、セメント、ガラス、またそれらの生産に必要な石炭の大量生産が行われ、国有企業を中心に業界が拡大していった。
 だが住宅ブームが収束すると、企業は負債と過剰な生産設備を抱えて経営が行き詰る。
 そうした企業には、政府による財政出動、補助金、金融機関による融資がつぎ込まれており、それが今ゾンビ企業として生きながらえているというわけだ。

 中国政府は経済改革の一環として、ゾンビ企業を淘汰する方針を打ち出している。
 それに伴い、2016~2017年にかけて、中国の炭鉱、鉄鋼、セメント、アルミニウム、ガラスなど5つの業界で、3割の労働者が失業すると推測されている。
 その数だけで1000万人をゆうに超える計算だ。
 他の業界を加えればさらに失業者の数は増えるだろう。

■国外に活路を見出す労働者たち

 中国の東北部、遼寧省に鞍山市という都市がある。
 「鉄の都」の異名で知られ、有力国有企業の鞍山鉄鋼集団が一大拠点を置く都市だ。
 この鞍山市もやはり過剰な生産設備を抱え、失業問題が深刻化している。
 今年3月には、鞍山鉄鋼集団が16万人の職工を10万人に削減するという人員削減のニュースが流れた。

仕事を失った労働者はどうするのか。
 鞍山市では興味深い動きが見られる。
 国外に活路を見出す労働者が増えているのだ。
 中国には、国外への赴任や移民などを扱う機関として各地に「対外サービスセンター」が設置されている。
 鞍山市のセンターがまとめた統計によれば、
 2015年に出国した労働者や技術者は前年比18%増加の6360人に上ったという。

 受け入れ先は主に、中国の大型国有企業の国外拠点である。
 現在、中国政府が直接管理する「中央企業」が、続々と国外でインフラ建設プロジェクトを立ち上げている。
 失業者が増える一方の国内とは異なり、中央企業が事業展開する海外では、機械の操作や建築物の設計、建設現場での労働などに従事する中国人労働者の募集が増えているのだ。

 金融系シンクタンクの中国人研究員は、この動きの背景を次のように説明する。
 「習近平政権は、中国と周辺国との国境に道路や鉄道を設け、経済をつなげる『一帯一路』構想を打ち出しています。
 その構想に沿って進められているインフラ建設プロジェクトが、今後リストラされた中国人労働者の受け入れに大きく貢献する可能性があります」
 この研究員によれば
 「一帯一路構想には、国内で過剰となった生産設備や労働者を沿線国に拡散させる狙いもありました」
と言う。
 その狙い通りになりつつあるというわけだ。

■労働者にとっても願ったりかなったり

中国が「一帯一路」構想の対象とする国は71カ国におよぶ。
 だが、民族・部族問題、宗教問題、政治闘争や内乱など、途上国のリスクは高い。
 近年はイスラム過激派組織・イスラム国(IS)によるテロが活動範囲を拡大させている。
 71カ国のうち「30カ国以上は危険な状態にあるとの分析もある。

 だが、リストラされた労働者はそうした国に赴任することを拒まない。
 職工の場合、派遣期間は最低2年。
 この間に20万元(約320万円)の報酬に得られるならば、たとえ危険の多い新興国であっても躊躇しない。
 1人が国外に出稼ぎに出れば、一家はたちまち富裕になれるのだ。

 ただし、一度国を離れた労働者が中国に戻って再就職するのは難しい。
 途上国での仕事は単純作業が多いため、次の仕事につながる技術やスキルが身に着けられないからだ。
 ましてや外資による中国への投資が一段落した今、帰国後に再び働ける工場などを見つけるのは困難だ。
 新興国ののんびりした空気に馴染んでしまい、中国への帰国が億劫になるケースもあるという。
 それでも、中国人労働者が国外流出する流れは加速していきそうだ。

 かつて朱鎔基政権で行われた国有企業改革で、
 1998年に1254万人、
 1999年には1174万人
と、2年で2400万人を超える規模の大量リストラが行われた。
 今回のゾンビ企業の淘汰では「それ以上になるのではないか」と憂慮する声もある。

 今後、国外に活路を見出す中国人労働者は空前の規模になるのではないか。
 「国内のゾンビ企業淘汰と『一帯一路』は連動している」(前出の研究員)のだとすれば、「一帯一路」の沿線国に向けた中国人労働者の大移動はますます本格化するだろう。



産経新聞 9月16日(金)7時55分配信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160916-00000078-san-cn

中国鉄鋼業 「ゾンビ企業」5割超 
人民大が報告書 補助金で延命

 過剰な生産設備が問題視されている中国の鉄鋼業界で、赤字続きの「ゾンビ企業」が半数以上に達しているとの報告書を、中国人民大学が15日までにまとめた。
 地元の雇用を守りたい地方の当局が補助金で“輸血”して延命させているという。

 中国紙、中国青年報などが伝えた報告書の内容によると、
 2013年の段階で鉄鋼業界の上場35社のうち51・4%にあたる18社までが、債務超過など深刻な経営不振にあえいでいた。

 しかし、鉄鋼の生産設備が立地する地方当局は、多数の従業員を抱える工場がなくなると、失業問題で社会不安が起こりかねないと警戒。
 同時に資材納入業者など複雑な地元の利害もからみあい、工場の土地使用料の減免などで便宜を図り続けているのだという。

 中国政府は鉄鋼など生産過剰の業界でゾンビ企業の統廃合を進め、その過程で生じる約180万人の失業対策に1千億元(約1兆5300億円)を拠出する方針を今年3月に打ち出したが実施は難航している。

 報告書によると、上場企業の「ゾンビ比率」で不動産が44・5%。
 自動車、軍需関連も10%以上だった。





【自ら孤立化を選ぶ中国の思惑】




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