2016年7月4日月曜日

香港の抵抗運動に手を焼く中国(1):終焉を’迎える都市国家香港

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 1999年に香港が中国に返還されたとき、
 香港がこれまでどおりの繁栄を維持できるのは
 中国が香港の金融資産を収奪し終わるまでである、
というのがもっぱらの噂であった。
 先の見える人たちはさっさと見切りをつけて移住してしまった。
 それだけの資金のない貧しい人と、中国との関係で一儲けできると欲に目がくらんだ人たちが残った。
 実際、今の香港をみると金融資産は徐々に上海に移行しつつある。
 繁栄を失った香港には観光資源がなくなり、それによって静かに歴史舞台から消えていくだろうと思える。
 おそらくそれが使命を終えた都市国家の終焉ということだろう。
 富を収奪されつつもののあわれが今の香港である。

 台湾はどうか。
 イギリスの国民投票によるEU離脱という歴史的前例が発生した時点で、台湾独立という動きは大きく加速している。
 ただし、実行は今ではない。
 そういうチャンスがあったとき、いつでも動けるというスタンスをもつことである。
 中国で共産党政権が倒れ、内戦状態になるようなことがあったら、台湾は大きく舵を切るように思われる。
 いまは静かに歴史が持ってきてくれる時を待っている、
ということになる。 

【資料】
台湾:人口=2,300万人(オーストラリアと同じ)、九州と同じ広さ
香港:人口=720万人(埼玉県と同じ) 面積は佐渡ヶ島の1.3倍


2016年07月04日(Mon)  岡崎研究所
https://www.blogger.com/blogger.g?blogID=4595222439536306779#allposts/src=dashboard

台湾、香港の抵抗運動に手を焼く中国

 香港も台湾も中国の考える路線に乗ろうとはしないが、内外に多くの問題を抱える中国は、新たな中台危機を招くような余裕はないようだと、5月28日ー6月3日号の英エコノミスト誌が述べています。
 要旨は、以下の通りです。

■叶わぬ“中国の夢”

 かつての中華帝国のように、中国がアジアで尊敬と忠誠を享受するようになる、というのが習近平の「中国の夢」だが、周囲は反抗的な北朝鮮から恩知らずなベトナムまで、中国に従わない無礼な国ばかりである。
 中でも気がかりなのは、中国から奪われた「不可分の一部」、香港と台湾が中国の懐に戻ることに全く熱意を示さないことだろう。
 それどころか、香港を訪れた中国共産党の高官、張徳江は抗議デモを避けようと厳戒態勢の中を走り回る羽目になり、蔡英文も総統就任演説で「一つの中国」への支持表明を拒むなど、最近の出来事は中国が香港でも台湾でも苦戦していることを示している。

 香港でも台湾でも 中国の戦術はほぼ同じで、
★.高圧的な力の誇示と経済的アメとムチを使い、
 意に染まらない考え方は無視もしくは弾圧、
 そして汎中国の愛国主義に訴えようとする。
 しかし、こうしたやり方は効果がないことに今や中国も気付くべきで、香港では大勢の中国人観光客が住民の新たな不満の種になり、台湾でも、馬政権が進めた中国との貿易、観光の大幅な拡大は、2014年の大規模な反中デモにつながった。
 ところが、張は経済重視を説くのみで、行政長官選出についてまともな選挙が認められないなど、香港人を怒らせている問題には対処しようとしなかった。

■危険を冒せなくなりつつある中国

 蔡へのアプローチも、中国には新たな発想がないことを示唆している。
 習は蔡が「92年コンセンサス」の受け入れを拒めば、「大地は動き、山々は揺れる」と威嚇した。
 ただ、その一方で、習はシンガポールまで出向いて馬総統と会っており、中国にとって台湾統合がいかに重要であるかを改めて示している。

 中国は、今年1月以来、お決まりの経済的、外交的強圧手段をとり始め、台湾との外交的承認争いを再開し、ケニアに圧力をかけて詐欺容疑の台湾人を中国に送還させ、蔡の総統就任直前には台湾の対岸で軍事演習を行った。
 中国人観光客の数も大幅に減った。

 一方、蔡は現状維持の公約を守るべく、就任演説では、いわゆるコンセンサスに関する会合が1992年にあったという「歴史的事実」は認めたものの、「一つの中国」というフィクションは認めなかった。
 自分を支持してくれる台湾の独立派と中国の両方を宥めようとして、どちらが望むものも与えなかったことになる。

 結局、現状では、香港が台湾から学んでいるようで、香港でも小規模ながら独立運動が生まれている。
 しかし、中国は香港、台湾双方について方針を変えようとせず、蔡の演説に対しては、関係断絶で脅し、彼女自身をけなす対応に出た。
 ただ、具体的なことは言っていない。
 これが、中国は香港や台湾の人々の心をつかむ最善の道は自らが魅力的な国になることだと中国が気付いたことを意味するのなら心強いが、実情は、中国は国内外であまりにも多くの問題を抱えているため、今は台湾海峡で新たな危機を招くような危険は冒せないということだろう。

出 典:Economist ‘Rocking boats, shaking mountains’ (May 28-June 3, 2016):
http://www.economist.com/news/china/21699480-bewilderment-china-neither-hong-kong-nor-taiwan-seems-want-follow-its-script-rocking

*   *   *

 中国の台湾および香港に対する政策は行き詰まっており、中国は、これら地域の人心を掴むことに苦慮している、とエコノミスト誌が述べています。
 実体は、この論説の言うとおりであると思われます。

 中国は、目下、内外に多くの問題を抱えていますが、中でも、中国の言う「核心的利益」の筆頭である台湾ならびに香港については、決め手となる対策を打ち出すことが出来ません。
 台湾では、蔡英文新政権は「一つの中国の原則(92年コンセンサス)」を受け入れませんし、香港では、最近、香港を訪れた張徳江は抗議デモに取り囲まれました。

 本論説の指摘するように、中国の戦術は
①:力の誇示、
②:経済力を使ったアメとムチ、
③:ともに「偉大な中華民族」に属するという愛国主義への訴え、
などです。
 しかし、台湾、香港に対する中国の方策は、いまひとつ決め手を欠くという状況が続いています。

■台湾への直接的な武力行使はない?

 蔡英文は就任演説において、
 台湾は、米国、日本、EUと「価値の同盟」を結びたい、として「民主、自由、法治」の重要性を強調しました。
 そのような台湾にとっては、
★.祖先の多くが同じ漢民族であるかどうかより、
 民主・自由の価値を大事にするかどうかがより重要
です。
 また、香港については「一国二制度」の枠内で、自由が維持されることが喫緊の重要事です。

 台湾や香港の人々にとって、
 今日の中国は「魅力的な国ではない」と受け取られている
ことを、中国共産党幹部は気づいていないか、あるいは、そのふりをしているのでしょう。

 台湾と香港を同時に取り上げる際には、両者の法的地位が異なることに注意する必要があります。
 つまり、香港については、英国から中国に返還され、その主権は中国のものです。
 台湾については、日本、米国、EUも中国側の主張(「台湾は中国の一部」)に一定の理解を示しつつも、これに対し、法的に同意を与えたり、承認したりしていません。

 なお、香港への「一国二制度」の方式を台湾にも適用するという考え方は、鄧小平時代のものであり、今日の台湾にはもはや意味をなさないものと言わなければなりません。

 本論説では、結論として、
 「中国は国内外であまりにも多くの問題を抱えているため、
 今は、台湾海峡で新たな危機を招くような危険は冒せないだろう」
と述べています。
 この見方は多分に、希望的観測と呼んでよいものではないでしょうか。

 台湾海峡において直接的に武力を行使することはないとしても、
 中国が外交戦により、台湾承認国を中国承認に切り換えさせること、
 国際場裏から台湾を締め出すこと、
 経済関係を利用して台湾人ビジネスマンを締め付けること、
 台湾への中国からの観光客を減らすこと、
などは決して弱まることなくこれからも続行されると想定するほうが、より現実に近いのではないかと思われます。



ニューズウイーク 2016年7月8日(金)06時12分 高口康太(ジャーナリスト、翻訳家)
http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2016/07/post-5444.php

「民主主義ってこれだ!」を香港で叫ぶ――「七一游行」体験記

 <香港返還記念日の7月1日、香港最大の抗議活動「七一游行」が開催された。
 行政長官批判が主たるスローガンだが、それだけでなく、さまざまな団体がさまざまな主張を掲げてデモ行進をしていた。
 一緒に4キロの道のりを歩きながら、ふと思った。
 これこそ民主主義じゃないか?> 
 (デモに参加していた私立大学・珠海学院の女子学生のTシャツには中華民国国歌の一節が記されていた)


inRead invented by Teads

 ともかく楽しい、美しき"香港式民主主義"の現場を取材した。

 2016年7月1日午後、香港で「七一游行」(7月1日デモ)が開催された。
 毎年の香港返還記念日に開催される香港最大の抗議活動だ。
 民主化や普通選挙の導入、生活改善などテーマは毎年異なるが、今年は「決戦689、一致団結、香港を守れ」がスローガンとなった。

 「689」とは梁振英(りょう・しんえい、CY Leung)香港特区行政長官を指す隠語。
 香港市民の一般投票で選ばれたのではなく、選挙委員の689 票だけで選ばれた存在という批判が込められている。
 主催者発表で11万人、警察発表で1万9300人が参加したデモでは「689 やめろ!」の横断幕が掲げられた......。

 とまあ教科書的に書けばこんな話になるのだが、この説明では「七一游行」の楽しさを取り逃してしまう。
 マジメな説明は他のメディアに任せて、ここでは"香港式民主主義"のカオスと楽しさについて解説したい。


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■ペットから尖閣諸島まで、社会運動のショーウィンドウ

 「人はパンのみで生きるにあらず」というが、七一游行を表現するには「市民運動はビッグイシューのみにあらず」だろうか。
 メインテーマは「決戦689」だが、それとはまったく関係ない団体が山のように参加しているのだ。

 デモは、香港島のヴィクトリアパークから中区政府合署まで繁華街を約4キロにわたり練り歩く。
 さまざまな参加団体がプラカードを持って歩きながらアピールするとともに、経路には団体がブースをかまえ、参加者に支持と活動経費の支援を訴えるという内容だ。

 詳しくは後述するが、香港に普通選挙はないものの、親中派から民主派までさまざまな政党が存在し、9月4日には次の選挙が控えている。
 そのためデモに参加して歩いているだけで民主派の各政党の主張や候補者を一覧できるのが便利だが、それだけでなく、まったく知らなかった社会問題についても触れることができる。
 さまざまなブースをのぞいて話を聞きつつ、途中でデモを抜け出してマンゴープリンを食べて一休み。
 4キロの道のりをたっぷり3時間かけて歩いた。

 途中で見かけた政党以外の団体について紹介したい。

 まず話を聞いたのはGDAH(Give Dogs A Home、犬に家を与えよう)という団体。
 香港の公共マンションでは犬を飼うことが禁止されているが、この規制を廃止して欲しいとの要求を掲げている。
 関係者は「ペットを飼う権利は保障されるべき」と熱く語っていた。

 無数の小団体が参加する七一游行だが、GDAH の参加人数は大規模な部類に属する。
 数十人がビッグフラッグを持って行進していた。

 次に話を聞いたのは私立大学・珠海学院の学生会だ。
 日本アニメ、とりわけ『ハイキュー!!』(高校バレーボールが題材)が大好きで日本語が話せるようになってしまったという女子学生に話を聞いた。
 学生会の要求は、大学管理条例を改定し学校理事会に教員または学生の代表を入れろ、というもの。
 現在の理事会には中国本土関係者が多く、教育の「赤化」を恐れたために運動を始めたという。
 中国への警戒感を持っていることは確かだが、要求はあくまで条例改定。「決戦689」などの大きな政治問題にはノータッチだ。

 こうした団体は無数にある。
 気になった団体をさらにいくつか紹介しよう。

 ランタウ島水牛愛護協会。
 空港やディズニーランドがあるランタウ島では開発が進み、生息地域である湿地帯が減少している。
 「湿地の天使」と呼ばれる水牛を守れという主張だ。

 馬宝宝コミュニティ農場。
 農地を住宅用地に転換しようとする政府に反対している。
 メンバーは現地農民ではなく、都市住民が多いという。
 日帰りで遊びに行けるオープンな農場なのだとか。
 スローガンは「農地は農業に使おう」。
 ブースではキュウリなど農作物を配っていた。

 同性愛者の権利擁護を訴える大愛同盟。
 人気歌手のデニス・ホーさん(写真中央)が登壇し注目を集めていた。
 デニス・ホーさんは2014年の民主化運動「雨傘運動」を支持したため、中国政府に圧力をかけられ、大手化粧品ブランド「ランコム」がスポンサードしたコンサートが中止に追い込まれる事件があったばかりだが、現場では言論問題よりも同性愛者の権利問題に中心をおいて発言していた。

 香港中心部の公共住宅が、立て替えによって一般市民が住めない高級住宅に変わっている。
 一般住民が住めるお値段の公共住宅を作れ、という運動。
 不動産価格高騰は香港市民にとって最大の関心事だ。

 香港婦女労働者協会。
 女性パートタイム労働者の権利擁護や主婦による家事労働の評価などを主張していた。

 日本でもおなじみ、尖閣諸島奪還を目指す保釣行動委員会のブース。
 活動費のカンパを募っている。

■ショッピングも楽しい!(デモですが...)

 ヴィクトリアパークから色とりどりのブースを眺めながら約4キロの散歩はそれだけでも楽しいが、私にはもう一つお目当てがあった。
 それはショッピングだ。

 七一游行は参加団体にとっては資金集めのチャンスだ。
 たんにカンパを募るだけではなく、「**香港ドル以上寄付してくれた方にはグッズをプレゼント」という方式で、実質的なグッズ販売を行っている団体が多い。
 私は雨傘運動を取材したが、その時から香港政治グッズのデザイン性の高さにドはまりし、コレクターの道を邁進している。

 今回の戦利品の一部を自慢させていただきたい。


 雨傘運動のリーダー、ジョシュア・ウォン(黄之鋒)が参加する新政党「デモシスト」のトートバッグ。
 「ABCD」というスローガンは「梁振英長官下ろしだけではダメ。
 民主主義と自決を求めよう」の意。


 各国語で「資源配分に関する正義」と書かれているTシャツ。
 どの団体ブースで入手したかを忘れてしまった。


 パソコン用インナーケース。
 民主派政党の一つ、
 公民党のグッズだが、党名は書かれていない。
 公民党に限らず、ほとんどのグッズは組織名を書かずスローガンだけを書いているため、デザイン性が損なわれていない(ような気がする)。


 民主派の中でも急進的で、中国からの自立、独立を主張する「本土派」団体の一つ、本土力量のTシャツ。
 象棋(中国の将棋)をモチーフにした図案で、中国と香港の間には深い川があり、英語で「私を中国人と呼ぶな」、中国語で「私たちは香港人だ」とのメッセージが。
 象棋の中国サイド(左側)には「蝗」(イナゴ)の文字。
 とても外では着られないが、去年の売れ残りらしく激安だったために資料として購入した。

【参考記事】香港で起こった「革命」はなぜ市民の支持を失ったか


■得票よりも世論の"香港式民主主義"

 そぞろ歩きしているだけで社会問題について知識を得られる。
 ついでに気になるグッズの買い物もできる。
 デモのルートは繁華街なので、疲れたら喫茶店やら甘味処に駆け込める。
 七一游行は政治空間であると同時にエンターテインメントの場としても高いクオリティを誇っている。

 もちろん楽しいだけではない。
 日本の参議院選挙がまさにそうだが、選挙というと論点は改憲や経済対策というビッグイシューに集中してしまうのが常だ。
 民主主義の本義は多数決ではなく少数意見の尊重である。
 香港最大の社会運動イベントである七一游行が少数意見のショーウィンドウとなっていることこそ、民主主義を体現しているのではないか。
 日本とは違う"香港式民主主義"がそこにはあった。

 デモの人混みをかきわけながら、私は独りごちた。
 「民主主義ってなんだ? これだ!」と。

 とはいえ、"香港式民主主義"に感銘を受けたという話では終わらない。
 デモ翌日に取材した香港の政党関係者からは
 「そんなに素晴らしいものではない」
とたしなめられた。

 香港の最高議会にあたる立法会は、70議席中35議席は飲食、旅行、医療などの各種業界から選出される。
 一般投票で選出されるのは35議席だけだ。
 業界団体選出議員は往々にして親中派であり、さらには一般投票で議席を得る親中派もいるので、民主派は常に得票数で多数を占めてきたのに立法会全体では少数に立たされている。

 つまり選挙で勝って自分たちの要求を実現することは難しい。
 残る道は世論を盛り上げて、政権に「なんかこの要求が盛り上がっているから実施してみるか」と思わせるしかない。多数派を形成して選挙の勝利を目指すことよりも、ひたすら目立って声を上げ、世論を作ろうとすること。そこに注力してきたがゆえに生まれたのが、美しき"香港式民主主義"だった。

 人々の注目を集め世論を高めても、要求を受け入れるかどうかは政府の胸一つ。
 運動が成功する保証はどこにもない。
 それゆえに"香港式民主主義"に無力感を感じる人は増えているようだ。

【参考記事】反政府デモの「正しい負け方」とは何か?

 主催者発表では七一游行の参加者は前年の4万8000人から11万人に増えているが、警察発表ではほぼ横ばいの1万9300人。
 香港大学民意研究プロジェクトは前年比2000人減の2万3000~2万9000人と推算している。
 雨傘運動直前、2014年の七一游行は主催者発表51万人、警察発表9万8600人、香港大学民意研究プロジェクト推算9万2000~10万3000人だった。
 参加人数は2年前のわずか2割にまで減ってしまった。

 また無力感は「武力闘争もいとわず」と主張する過激な「港独派」(香港独立派)が台頭する背景ともなっている。
 港独派の一つ、香港民族党の陳浩天代表に話を聞いたが、雨傘運動の失敗を見れば平和的運動は力を持たないのは明らかだと断言。
 香港の自主性と文化を守るという目的を達成するためならば、あらゆる手段を否定しないと語った。
 なお「(独立を主張しない民主派が主導しているため)七一游行には参加しなかった」という。

 香港民族党をはじめとする港独派は、7月1日夜にまったく別の無認可デモを企画した。
 「中国政府の出先機関である中央政府駐香港連絡弁公室前に黒覆面をした上で集合せよ!」
とネットで呼びかけたが、数千人とも言われる警官隊による厳重警備によって未遂に終わった。

 昼間の平和的デモと未遂に終わった夜の抗議活動は、香港の政治が今、岐路に立たされていることを示している。
 今までどおりの"香港式民主主義"が続くのか、それとも実効性を求めて実力行使が横行するのだろうか。



Record china 配信日時:2016年7月29日(金) 14時10分
http://www.recordchina.co.jp/a146091.html

かつての輝きはどこへ、
広州に追い抜かれる香港―米華字メディア

 2016年7月27日、米華字メディア・多維新聞は
 「各分野で広州に追い抜かれる、もはや香港にかつての輝きはない」
と題した記事を掲載した。

 広東省広州市のGDPは2016年に香港を追い抜くと予想されている。
 全体のGDPだけではない。
 金融業をはじめ、さまざまなジャンルで香港は広州に追い抜かれていくことが予想されている。

 例えば外食産業。旅行業の低迷によって香港の外食産業GDPは低迷が続いているなか、広州市が追い抜く可能性は十分ある。
 他にも不動産業など多くの分野で追い抜きの可能性が予測されている。
 そればかりか、香港が優位性を保つイノベーションの分野でも広州は長足の進歩を続けており、香港はいかに地位を保つか、困難な挑戦に直面している。

 ということは、中国政府は香港から資産の収奪をし終えつつある
ということになる。
 遅れても2020年には完了しているだろう。
 1999年に返還されて20年経てば、中国政府は当初の目的は達成し、香港をセミの抜け殻にしてしまうであろうことは、返還時に声高に言われていたことである。
 あたりまえの予想が、当たり前に現実になったということであろう。


Record china配信日時:2016年8月6日(土) 16時30分
http://www.recordchina.co.jp/a132244.html

9月の香港議会選控え中国の締め付け強まる、
「独立派」の立候補資格取り消し、若者は反発

 2016年8月5日、来月4日の香港立法会(議会)選挙を控え、中国による締め付けが強まっている。
 選挙管理委員会はこのほど、中国からの独立を唱える「本土派」の候補者2人の立候補資格取り消しを決定した。
 これに対し、若者を中心に中国政府への反発も増す一方だ。

 香港立法会は定数70人で、議員の任期は4年。
 直接選挙と職能団体選挙に35人ずつ配分される。
 12年9月の直接選挙で「本土派」を含む「民主派」は約55%の票を獲得し、親中派の約40%を大きく上回った。

 しかし、議席配分は民主派18で親中派17。
 民主派は候補者が乱立し、選挙協力も行われなかったが、親中派は中央政府駐香港連絡弁公室(中連弁)のリーダーシップで、組織票をうまく配分したとされる。

 香港メディアなどによると、立候補資格を取り消されたのは、香港民族党代表の陳浩天氏と民主進歩党の楊継昌氏。

 選管は今回の選挙から、候補者に「香港は中国の不可分の一部」などとする香港基本法(憲法に相当)の確認文書への署名を要求。
 陳氏は確認書への署名を拒否する一方、基本法を守るとした立候補申請書類には署名したが、選管は「独立の主張を続けている」と判断した。
 楊氏はいずれも署名しなかったが、署名を拒んでも出馬が認められた候補者もおり、一部だけを狙い撃ちにした今回の措置は、物議を醸す可能性もある。

 「一国二制度」の下、高度な自治が認められているはずの香港では、17年に実施される行政長官(香港のトップ)をめぐり、14年8月、中国政府が自由な立候補を阻む措置を決定。
 民主化を求める学生らが中心部に座り込む「雨傘運動」が繰り広げられた。
 その後も民主化勢力は勢いを増しつつあり、2人の立候補資格取り消しは、これを抑え込もうとする中国政府の意向が強く働いているとみられる。

 米国営放送ボイス・オブ・アメリカ(中国語電子版)によると、1997年の中国返還19周年に合わせて6月に香港で1000人強を対象に実施された世論調査で、「中国の国民であることを誇りに思う」と回答した人の割合は前年同期比7ポイント低下の31%で、返還以来最低となった。
 「誇りに思わない」は、返還以来最高の65%。前年同期に比べて9ポイント上昇した。

 「誇りに思わない」と答えた人の割合は、18歳から29歳で特に高く86%に達した。
 「誇りに思う」は10%にとどまった。
 50代以上でも「誇りに思う」は半分以下の44%だった。

 中国政府の香港政策を「評価する」は27%、「評価しない」は38%。
 「評価しない」は99年以来最高になった。香港メディアは「中国政府による香港への圧力が日増しに強まり、『一国二制度』への疑問が拡大して若い世代ほど中国政府への反発が強い」と伝えている。


【自ら孤立化を選ぶ中国の思惑】


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