● NNNニュース
中国は ハーグ仲裁裁判所の決定を受け入れることはない。
それにより、中国は国際ルール、世界通念といったものを受け入れない国だと、世界の国々から認識されてしまう。
いわば、世界からは「無法」の国家とみなされてしまう。
自分の利益になることだけを力で押し通す、常識を知らない我儘っ子とみなされる。
自分の利益が侵されるときは「ドロボウはやめろ」というが、自分が他国の権利を侵すときは歴史的固有のモノであるという論理で「自らドロボウ」となる。
中国には国際法的なルールは無効であり、ルールとは自分の力であると信じている。
そんな国が東シナ海にいる。
今回の裁判所の決定にみられるような中国の行動は日本国民にそれなりの覚悟を要求する。
国際ルールは通じない国にどう対応すべきか
である。
日本にとってこの中国の行動は、ちょうど黒船がやってきた幕末のような風景になる。
何をやらかすかわからない、どうすべきか、ということになる。
日本政府にとっては、それは願ったりかなったりである。
政府が何もしなくても、中国という国が日本の進むべき道をどんどん決めてくれる。
中国という追い風に身を任せていれば、政府の思った通りにことが運ばれていくということになる。
つまり日本は自らの手で自らを変えようという努力の必要がない。
中国が日本を変えてくれるように動いてくれている。
日本政府はそれにどううまく乗ってどちらの方向に舵をとっていくかである。
自ら漕ぐ必要はない、吹いているのである。
カジをうまく握っていれば望む方向に舟は向かっていく、そんな状況になっている。
『
朝日新聞デジタル 7月13日(水)15時40分配信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160713-00000063-asahi-int
中国各紙、南シナ海判決に一斉反発
比大使館周辺は厳戒
南シナ海での中国の権利を否定する常設仲裁裁判所の判決から一夜明けた13日、中国各紙は一斉に判決を強く批判した。
判決の具体的な内容にはほとんど言及せず、提訴したフィリピンの前アキノ政権や仲裁裁判手続きへの非難を強調することで、国内の不満の矛先をかわす狙いもあるようだ。
中国共産党機関紙・人民日報は1面から3面にかけて「中国は南シナ海の主権と海洋権益を断固守る」と題した記事や「ただの政治の茶番だ」などと判決を批判する社説を掲載。
記事では「中国は将来、領土主権を守り、海洋権益の侵犯を受けないために必要なあらゆる措置を取る」と主張した。
中国軍機関紙・解放軍報も1面から4ページにわたり判決に関する政府の立場を説明する記事を掲載。
1面には「違法な判決を使い、中国の主権を奪おうなどと考えるな」と題する論評を載せ、
「判決に断固反対する。中国軍はいかなる威嚇や挑発にも対応する能力がある」
などと強調した。
一方、北京のフィリピン大使館周辺では12日夜から多くの警察官やパトカーが待機し、厳戒態勢が敷かれたほか、13日朝も周辺の道路が一部封鎖され、近づけない状態が続いた。
日本大使館周辺も通常より警官やパトカーが多く配備されるなどピリピリした空気に包まれ、当局がデモ行為などが起きないよう警戒している様子がうかがえた。
』
朝日新聞デジタル 7月13日(水)15時40分配信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160713-00000063-asahi-int
中国各紙、南シナ海判決に一斉反発
比大使館周辺は厳戒
南シナ海での中国の権利を否定する常設仲裁裁判所の判決から一夜明けた13日、中国各紙は一斉に判決を強く批判した。
判決の具体的な内容にはほとんど言及せず、提訴したフィリピンの前アキノ政権や仲裁裁判手続きへの非難を強調することで、国内の不満の矛先をかわす狙いもあるようだ。
中国共産党機関紙・人民日報は1面から3面にかけて「中国は南シナ海の主権と海洋権益を断固守る」と題した記事や「ただの政治の茶番だ」などと判決を批判する社説を掲載。
記事では「中国は将来、領土主権を守り、海洋権益の侵犯を受けないために必要なあらゆる措置を取る」と主張した。
中国軍機関紙・解放軍報も1面から4ページにわたり判決に関する政府の立場を説明する記事を掲載。
1面には「違法な判決を使い、中国の主権を奪おうなどと考えるな」と題する論評を載せ、
「判決に断固反対する。中国軍はいかなる威嚇や挑発にも対応する能力がある」
などと強調した。
一方、北京のフィリピン大使館周辺では12日夜から多くの警察官やパトカーが待機し、厳戒態勢が敷かれたほか、13日朝も周辺の道路が一部封鎖され、近づけない状態が続いた。
日本大使館周辺も通常より警官やパトカーが多く配備されるなどピリピリした空気に包まれ、当局がデモ行為などが起きないよう警戒している様子がうかがえた。
』
Record china 配信日時:2016年7月13日(水) 12時40分
http://www.recordchina.co.jp/a144681.html
<南シナ海問題>反日デモの二の舞を防ぐため、
北京市は判決による混乱を想定し「戦時状態」の対応を指示―香港メディア
2016年7月12日、オランダ・ハーグの仲裁裁判所はフィリピンが申し立てた南シナ海問題について、中国が主張する「九段線」は国際法上の根拠はないとした。
仲裁裁判所の判決を受け中国では民衆の反発が予想され、北京市は管理体制を強化した。
米華字ニュースサイト・多維新聞が伝えた。
12日の判決による混乱を防ぐため、北京市政府は11日に関連部門に通知を出し、「戦時状態」の対応を求めた。
通知では、民衆の過激な行為を監視し、情報収集や報告をこまめに行い突発性の事件が起きた際には秩序の維持と混乱の抑制を第一に考え動くよう指示した。
この状態は17日まで継続するとしている。
北京市の対応について香港のメディアでは、
「4年前に日本が尖閣を国有化した際、中国本土では数多くの反日デモが発生した。
中国に不利な判決を受け民衆が過激な行動に出ることを北京市は恐れ、混乱の再発防止のための措置と考えられる」
との見方が強い。
』
『
Yahoo ニュース 2016年7月13日 14時21分配信 遠藤誉
http://bylines.news.yahoo.co.jp/endohomare/20160713-00059941/
どう動くのか中国、南シナ海の判決受け
フィリピンが提訴していた南シナ海領有権に関して、仲裁裁判所が中国の主張を全面否定した。
中国は無効としているが、国連海洋法条約加盟国なので拘束力を持つ。
米国を真似て脱退も視野に入れる中国を読み解く。
◆中国に大きな打撃――仲裁裁判所の判決
7月12日、オランダのハーグにある常設仲裁裁判所が、中国の南シナ海進出に初めての国際司法判断を出した。
中国が主張し拡大を続けてきた南シナ海領有権に関して、仲裁裁判所は「法的根拠がない」として、中国の正当性を完全に否定した。
一つは中国が1992年に定めた領海法により中国のものとする「九段線(きゅうだんせん)」(いわゆる中国の紅い舌)内の中国の管轄権を「法的根拠がない」とバッサリ否定し、
また中国が最近増設を繰り返してきた7つの人工島に関しても、低潮高地(岩礁)あるいは岩であるために、領海とみなすことができず、排他的経済圏を主張できないとした。
ここまで明確に、しかも断定的に言い切る判決が出たことは、世界にとっても「爽快な驚き」をもたらすものだが、南シナ海の領有権を軸の一つとして世界への覇権を主張することによって国内における求心力を高めようとしてきた習近平政権にとっては、計り知れない打撃だ。
一党支配体制を揺るがしかねない。
◆「仲裁裁判所は国連の管轄下でない」がゆえに中国に拘束力を持つという皮肉
常設仲裁裁判所は、国際司法裁判所と違って、国連の管轄下ではない。
そのため、異議があった時に国連安保理理事会に申し立てることはできないし、また国連加盟国であるが故の拘束力は持ちえない。
さらに国際司法裁判所なら提訴されたときに「受けない」と拒否できるが、
常設仲裁裁判所の場合は、裁判所に判断が委ねられるために拒否できないのだ。
今般のフィリピンの提訴は、二つの点において実に賢明であった。
★.一つは国連の管轄下にある国際司法裁判所に提訴せずに、仲裁裁判所に提訴したことだ。
★.二つ目は「国連海洋法条約に違反する」という訴状で提訴している。
これは実によく計算し尽くされた提訴で、
中国もフィリピンも「国連海洋法条約加盟国」である以上、判決は両国に対して拘束力を持つ
のである。
おまけに、国連安保理理事会などで異議申し立てなどをすることができず、
仲裁裁判所の判決が最終判断となる。
覆すことができない。
いや、覆す方法がない。
中国は早くから「いかなる判決が出ても無効であり、中国に対して拘束力は持ちえない」として激しく抗議してきたが、しかし、そうはいかない。
そのことを知っている中国政府内部では
「なんなら、国連海洋法条約加盟国から脱退してもいいんだよ」
という意見がチラホラ出ている。
実はアメリカは国連海洋法条約加盟国ではない(国連海洋法条約を批准していない)ので、中国では、アメリカの真似をして中国も脱退すれば、判決の拘束力は及ばないと考えている政府関係者もいる。
アメリカと中国が参加していない国連海洋法条約など、完璧に骨抜きになるので、中国に対して実際的な拘束力を及ぼしてこないだろうという計算もないではない。
◆アメリカはかつて国際司法裁判所の判決を無視した
――1986年のニカラグア事件
実は1984年4月に、ニカラグアがアメリカの同国に対する軍事行動などの違法性を主張し損害賠償などを求めて国際司法裁判所にアメリカを提訴した。
1986年6月に国際司法裁判所が判決を出して、アメリカの違法性を全面的に認定した。
しかしアメリカは、国際司法裁判所には管轄権はないとして判決の有効性を認めず、賠償金の支払いも拒否した。
結果、ニカラグアが安保理理事会にアメリカの判決不履行を提訴したが、アメリカは安保理常任理事国として拒否権を発動し、結局、そのままになった。
1990年にニカラグアで選挙があり、新政権(アメリカの支援を受けていたチャモロ政権)が誕生すると、アメリカに判決履行を求める立場を転換し、ニカラグア新政権はアメリカに対する請求を取り下げたのである。
その結果、国際司法裁判所は、1991年9月26日に「裁判終了」を宣言したのであった。
中国が注目しているのは、かつてのアメリカのこの動き方である。
特にアメリカはレーガン大統領当時、国連海洋法条約に反対だった。
アメリカの安全保障と商業的な利益に損害を与えるというのが理由だった。
だから最初は加盟していたのに脱退している。
オバマ大統領は加盟(批准)に積極的だが、上院下院の保守派の抵抗勢力の賛同を得られないまま、こんにちに至っている。
その意味でアメリカは、実は中国を責められる立場にはなく、中国はその弱点をしっかりつかんで、アメリカの真似をしようと虎視眈々と「なし崩し」を狙っているのである。
◆フィリピンのドゥテルテ新大統領は親中?
フィリピンが中国を提訴したのはアキノ大統領時代だ。
しかし今年6月30日、新しく選ばれたドゥテルテ大統領は、マラカニアン宮殿における就任式のあとの閣議で、
「戦争を望まない。われわれに有利な判決が出ても中国と話し合う」
という趣旨のことを語っている(ロイター報道)。
中国の政府系報道では、まるで鬼の首でも取ったかのように、繰り返しドゥテルテ大統領のこの言葉を音声と映像で流し、「二国間の話し合い」という従来の主張を繰り返している。
おそらくドゥテルテ大統領は、ニカラグアのチャモロ政権のように経済的支援や有利な条件でのインフラ建設交渉などを中国から勝ち取り、自国の経済発展につなげていくつもりだろう。
ただし、仲裁裁判所が、「前代未聞の素晴らしい」判決を出した以上、ニカラグアのように中国に対する履行要求を自ら取り下げることはせず、どこまでも「カード」として中国の弱みを握り続け、うまく立ち回る
のではないかと推測される。
なお、実は中国が1992年に制定した領海法では、「日本の領土」である尖閣諸島も赤い舌の中に入っていた。
この中国の主張が違法だとされたということは、日本が1895年の閣議決定で「日本固有の領土」と決議した領土に対して「後出しジャンケン」で中国のものにしたということも「違法である」と判定されたことになる。
ただし、国際法的にはなお、1931年のクリッパートン島事件の判例に対する扱いの問題が残り、複雑な紐解きをしなければならない。
その分析は後日の宿題に回したい。
遠藤誉: | 東京福祉大学国際交流センター長、筑波大学名誉教授、理学博士
』
『
Record china 配信日時:2016年7月13日(水) 14時0分
http://www.recordchina.co.jp/a144695.html
南シナ海領有権判決、
韓国は竹島問題への飛び火を懸念
=韓国ネット「韓国には歴史的証拠がある」
「こんなにも不安になるのは…」
2016年7月12日、韓国・世界日報は、南シナ海をめぐる国際仲裁裁判所の判決により、日韓が領有権を争う竹島についても、
日本が環境汚染などを理由に訴訟を提起した場合は国際紛争の対象になり得る
ことが明らかになったと伝えた。
仲裁裁判所は12日、フィリピンが提起した中国による南シナ海の環境汚染問題について、
「中国の人工島造成計画は、
南シナ海の七つの岩礁の海洋環境に破壊的で永久的な損傷を与えた」
と判断した。
2013年1月に訴訟を提起したフィリピンは、15の提訴項目に
「中国がスカボロー礁とセカンド・トーマ礁で、海洋環境保全の条約に違反した」
という環境汚染の内容を含めた。
仲裁裁判所は昨年10月に
「フィリピンの提訴内容は仲裁裁判所が判断できる管轄の範囲内に入っている」
との判断を下した後、今月12日にフィリピン勝訴の判決を下した。
今回の判決により、日本政府が竹島の領有権問題を取り上げなくても、
条約に規定された海洋汚染、海洋科学調査、水産資源の乱獲などを理由に、竹島を国際紛争化する可能性がある
ことが確認された。
これを受け、韓国政府は今回の仲裁裁判が独島(竹島の韓国名)問題に及ぼす影響について、綿密な分析作業に乗り出した。
韓国の専門家は
「韓国政府が独島に海洋科学基地のような大きな施設を建設する場合、
日本はフィリピンのように国連海洋法条約の紛争解決手続きに同問題を付託することができる」
と指摘。
別の専門家も
「独島の領有権と直接関係していなくても、独島近隣海洋の使用に関する紛争は、条約に基づいて一方的な裁判が可能だという点を懸念している」
と述べた。
この報道に、韓国のネットユーザーは以下のようなコメントを寄せた。
「独島問題を放ったらかしにしていないで、もしもの時に備えて準備を徹底しなければならない」
「韓国の外交部を信用できないことが問題。
外交部は本当に韓国の味方?」
「中国の人工島問題と韓国の独島問題は全く次元が異なる。
日本の福島原発の汚染水が流れてきたと言って国際海洋法に訴えたら、福島が韓国の領土になるの?」
「こんなにも不安になるのは韓国政府が無能だから。
独島は明らかに韓国の領土なのに!。
韓国政府は理性的に対応してほしい」
「独島を裁判にかけてはいけない。
日本がなぜ裁判を望んでいるか考えてみろ。
韓国は最大限、今の状態を維持しなければならない」
「韓国には歴史的証拠がたくさんある。
心配する必要はない」
「独島は韓国国民が生活する“島”だ。
中国の岩礁問題とは全く関係がない」
』
『
ハンギョレ新聞 7月14日(木)6時56分配信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160714-00024630-hankyoreh-kr
韓国政府、「南シナ海判決」16時間後に短く曖昧な声明
●南シナ海の領有権問題
判決「支持」「尊重」ではなく「留意」
…米中と距離をおく 独島問題に火の粉が飛ぶ余地
…「法的含意を綿密に検討する予定」
2013年1月22日、フィリピン政府の提訴で始まった南シナ海紛争に関連する国際常設仲裁裁判所(ハーグ所在)の判決に対して、韓国政府が13日、「外交部報道官声明」形式の公式反応を出した。
判決は12日午後6時(韓国時間)、外交部報道官声明の発表は13日午前10時30分に行われた。
公式反応が出るまでに16時間30分を要した。
米国、中国、フィリピン、ベトナム、台湾など各国の利害関係が尖鋭に絡んだ南シナ海紛争という高次関数を前にした政府の悩みの深さを裏付ける。
誰も口にはしないものの、南シナ海紛争と関連した国際司法機関の初の判決であるこの裁判結果が、
独島を巡る韓日の軋轢にも飛び火する余地が排除できず、政府の苦悩は一層深い。
外交部報道官声明は僅か二つの文章からなっている。
表現も極めて抽象的だ。
最初の文章はこうだ。
「(韓国)政府は主要国際海上交通路である南シナ海での平和と安定、航行と上空飛行の自由は絶対に保障されなければならず、
南シナ海紛争が関連合意と非軍事化公約、国際的に確立された行動規範に則り解決されるべきという立場を一貫して堅持してきた」。
既存の公式見解の繰返しだ。
注目すべきは二番目の文章だ。
「政府は7月12日に発表された仲裁裁判判決に留意し、
これを契機に南シナ海紛争が平和的で創意的な外交努力を通じて解決されることを期待する」。
この文章の「平和的解決期待」も政府がこれまで繰り返してきた公式見解だ。
だが、判決結果に「留意」(take note)するという表現は注目に値する。
「支持」や「尊重」という表現とは大きく異なる。
「留意」には価値判断が含まれない外交用語だ。
裁判の結果が「無効で拘束力がない」という中国政府はもちろん、
「最終的かつ法的拘束力があると見なければならない」という米国政府の反応ともニュアンスが違う。
「留意」という表現を「創意的な外交努力を通じて解決されることを期待する」という字句と重ねてみれば、外交政策的な脈絡がやや明らかになる。
今回の判決が、紛争の激化に飛び火する導火線となる恐れがあるので、司法的手続きのみに依存することなく「外交交渉を通じて創意的に共存共生の出口を用意して欲しい」という願いが含まれている。
南シナ海を巡る米中の激しい対立と軋轢の渦中に身動きできる余地を確保しなければならない韓国政府の苦しい境遇が垣間見える。
韓国政府のこうした反応は、南シナ海紛争と関連して米国政府が韓国政府に期待し圧迫してきた脈絡とは距離が相当ある。
米国のバラク・オバマ大統領は昨年10月、ワシントンで朴槿恵(パククネ)大統領との首脳会談後の記者会見で
「我々の要求は中国が国際規範と(国際)法を遵守することを望むということだ。
朴大統領に要請した唯一のことは、
中国がそのような面で失敗するならば、韓国が声を上げなければならない。
米国がそうするように」
とし、公開的に「同調」を圧迫したことがある。
米国が今後どのような態度を取るか、見守る必要がある。
政府のこうした慎重で曖昧な反応には、米中軋轢の間でバランスを取るだけでなく、今回の裁判結果が日本の独島挑発を刺激しかねないという憂慮も作用したものと見られる。
「竹島(独島)を韓国が不法に占拠している」
と主張してきた日本政府が、独島問題を仲裁裁判所に提訴する可能性を排除できないためだ。
ただし、法理だけでなく、北東アジア情勢などをあまねく考慮しなければならないため、日本政府が少なくとも現時点では仲裁裁判所に提訴する可能性は高くない。
これと関連して韓国政府は「(南シナ海紛争)判決の内容と(独島問題との関連性有無についての)法的含意などに対し、政府次元で綿密に検討する予定」(12日外国部チョ・ジュンヒョク報道官)とし、慎重な態度を取っている。
独島に関連した政府の公式見解は
「独島は歴史的、地理的、国際法的に明白な韓国固有の領土であり、
外交交渉や司法的解決の対象にはなりえない」
ということだ。
』
ダイヤモンドオンライン 田岡俊次 [軍事ジャーナリスト] 2016年7月14日
http://diamond.jp/articles/-/95522
中国、南シナ海領有権否定判決で日米がとるべき姿勢
■中国の主張
「地中海はイタリアの主権下にある」
というのと同然
中国が南シナ海の大部分の領有権を主張しているのに対し、フィリピンは「それは国連海洋法条約に違反する」とオランダ・ハーグの常設仲裁裁判所に提訴していたが、同仲裁裁判所は7月12日フィリピンの主張を認める判断を示した。
訴えの要点の1つは中国が南沙、西沙諸島がある南シナ海を囲うようにU字型に引いた「9段線」の当否だった。
これは1947年、当時中国を支配していた蒋介石の中華民国政府が「11段線」を引いて、それに囲まれる南シナ海が主権下にあると宣言したものだ。
1953年に中華人民共和国政府がトンキン湾の一部の島をベトナム領と認めて「9段線」になった。
中国では特に宋の時代(10世紀~13世紀)に南海貿易が盛んになり、南シナ海を多数の大型の中国帆船が往来していたことは事実だが、南シナ海の無人島群である南沙諸島を管理・支配していた証拠はなく「南シナ海の大部分が歴史的主権下にある」との中国の主張は「かつてローマ帝国は地中海を支配していたから、いまも地中海はイタリアの主権下にある」と言うのと同然だ。
仲裁裁判所が「中国の主張には法的根拠がない」と裁定したのは当然だろう。
もう1つの要点は中国が満潮時に水面下に没する「低潮高地」(干出岩)を埋め立てて人工島を築き、その周囲を領海や排他的経済水域にしようとしていることだった。
中国は「9段線」を宣言はしたものの、現実には南沙諸島では出遅れ、一応「島」と言えそうな12島のうち、ベトナムとフィリピンが5島ずつ、台湾とマレーシアが1島ずつを支配し、それぞれが1つの島に飛行場を造っている。
後から来た中国は低潮高地の周辺を埋め立てるしかなかったのだ。
だが海洋法条約13条には
「低潮高地は本土又は島から領海の幅(12海里=22km)を超える距離にあるときは、それ自体の領海を有しない」
と定められている。
仲裁裁判所が中国が埋め立てている岩礁は島ではない、と認定したのも当然だ。
ただ、海洋法条約は第298条で「海洋の境界画定に関する紛争」については、いずれの国も拘束力を有する解決手続きを受け入れないことを宣言できる、としている。
中国は以前からこの条文を基に適用除外を宣言している。
だから中国外務省がただちに
「仲裁法廷が出したいわゆる判決は無効で拘束力はなく、中国は受け入れない」
との声明を出したのにも全く根拠がないわけではないし、仲裁裁判所の裁定を中国に強制する手段はない。
■フィリピンは対話重視の姿勢も中国にとって外交上は痛手
フィリピンがこの提訴をしたのは2013年1月、親米的なベニグノ・アキノ大統領政権下だったが、今年6月30日に就任したロドリゴ・ドゥテルテ大統領は国内の華人との関係が強く、中国との経済関係や援助を求め、対話を重視する姿勢を示しており、今回の「勝訴」を振りかざすことは考え難い。
とはいえ、中国にとって今回の仲裁裁判所の裁定は外交上の痛手ではあり、それを無視して南シナ海の支配と要塞化を推進することは得策ではあるまい。
最大の貿易国として、対外友好関係が必要な中国が近隣諸国や米国との関係悪化を冒してまで、
★.南シナ海の確保をはかる第一の理由は、
軍事面から見れば弾道ミサイル原潜の待機水域の確保
ではないか、と思われる。
中国は1980年代初期から米国が「夏型」と呼んだ初歩的な弾道ミサイル原潜1隻(射程2000km台のミサイル12基搭載)を持ち、黄海最奥部の遼東湾に配備していた。
建造した葫芦島造船所の側で整備に便利だし、当時の仮想敵はソ連だったからシベリア東部の目標に近いという利点もあった。
今日、中国は射程約8000kmの弾道ミサイル「巨浪2型」12基を積む「晋型」原潜(8000t)4隻を建造したと見られ、それらは海南島三亜市の基地に配備されている。
遼東湾の水深は25m程の浅さで、「晋型」原潜は全長13mのミサイルを船体内に立てて積むから、船底から司令塔の頂部までの高さは20m以上ありそうだ。
黄海北部も浅いから延々と浮上航走しないと出撃できず、丸見えになってしまう。
その点南シナ海は深いから海南島の基地から出ればすぐに潜航できる。
だが海南島は前面の海が広く開いているから、航空攻撃を受けやすく、外国の潜水艦の接近も容易だ。
このため海南島の南東約300kmの西沙諸島の永興島に3000mの滑走路を造り、戦闘機や対空ミサイルを配備し、海南島の守りを固めてきた。
それには一応の軍事的合理性があるものの、そこから約1000kmも南の南沙諸島に無理をして飛行場を造っても、永興島の戦闘機の戦闘行動半径ぎりぎりで相互支援が難しく、有事の際には孤立しそうだ。
■弾道ミサイル原潜の待機海面として米国にとって南シナ海は極めて重要
米国は経済関係が極めて重要な中国に対し、Containment(封じ込め)を狙わずEngagement(抱き込み)を目指すことを基本戦略にしているが、同時に将来万が一の対決を視野に入れ、米海軍は中国の弾道ミサイル原潜を撃破する能力を保持しようとしている。
沖縄の嘉手納基地から発進する対潜哨戒機P3Cや新型のP8A、電子偵察機EP3Eなどによる南シナ海の監視を行い、海洋調査船による水中の音波伝播状況のデータ収集も行っている。
対潜水艦作戦ではパッシブ・ソナー(聴音機)で潜水艦の出す音を捉えるのが基本だが、水温や水深、潮流、海底地形などで音の伝わり方は変わるから、日頃精密な調査をしておく必要がある。
また潜水艦を識別するため、個々の艦が出す音を収録し「音紋」としてデータ化しておくことも行われる。
それには米国潜水艦が相手の基地近くに潜入し、個々の艦の出港を確認しつつ録音するようだ。
中国側にとってはこれは当然不愉快だから公海上や、その上空でも米側の情報収集活動を妨害しようとし、中国戦闘機が哨戒機に接近して威嚇したり、海洋調査船を中国艦船が取り囲んで進めなくするなどのトラブルが起きている。
2001年4月には海南島の東南約110kmの公海上で、米海軍の電子偵察機EP3Eが中国海軍航空隊のF8II戦闘機と空中衝突し、戦闘機が墜落し操縦士が死亡、偵察機は海南島の中国基地に緊急着陸する事件も起きた。
中国の「晋型」原潜に積む「巨浪2型」弾道ミサイルは開発が難航し、まだ搭載されていない様子だし、最大射程は8000kmとされるから南シナ海から発射しても米本土に届かず、米国東岸を狙うにはアリューシアン列島付近まで進出する必要がある。
だが中国は直接米本土に届く「巨浪3型」ミサイルを開発中と見られ、そうなれば弾道ミサイル原潜の待機海面として南シナ海は戦略上極めて重要となる。
米国はアラスカ沖に弾道ミサイル原潜を待機させているが、ロシアは制海権を取れないから、守りやすいオホーツク海と白海(スカンジナビア半島の北)に隠していた。
中国も南シナ海をそれと同様にしたいのだろう。
■日本にとって得策なのは米中に妥協、和解を求める姿勢
米国は中国の南シナ海での行動を「国際法違反」と非難するが、米国は国連海洋法条約に署名すらしていない。
この条約は米国が第2次世界大戦後、当初一方的に行った領海12海里(それまでは3海里)の宣言や、その外側に12海里の接続水域の設定、200海里の排他的経済水域、大陸棚の事実上の領有などを全て公認し、大陸棚の水深も当初は200mまでだったのを、地形によっては2500mまでとするなど、米国の要求をほぼ全て盛り込んだ。
それでも海底油田を狙う石油業界には不満があり、レーガン政権は署名しなかった。
日本では「議会の反対で批准しなかった」との報道(7月6日読売新聞朝刊など)もあるが、これは誤りだ。
米国は南シナ海問題について「航行の自由」を掲げているが、
米国の商船、漁船が南シナ海を通ることは少なく、
米国の言う「航行の自由」は実は「偵察活動の自由」に近い。
米国では「南シナ海のシーレーンを通る米国の貿易額は1兆2000億ドルにのぼる」との論も出るが、その大半は中国との貿易だろう。
中国が自国にとって重要な商船の航行を妨げたことはないし、将来もまずあるまい。
領海や接続水域であっても外国の艦船の通航は基本的には自由で、民間船舶だけでなく軍艦にも領海の「無害通航」が認められている。
他国の領海を通る際には威嚇的行為や、兵器を使っての訓練、情報収集、漁業などをしてはならず、潜水艦は浮上しなければならないが、沿岸国に許可を求める必要はない。
だが中国は軍艦に関しては事前の許可が必要、としている。
米国は南シナ海問題では中国に厳しい姿勢を見せているが、これが全面的対立に発展することは望んでおらず、6月末に始まった環太平洋合同演習(リムパック)に中国海軍を招待し、中国艦5隻が参加している。
昨年10月27日には米駆逐艦ラッセンが南沙諸島のミスチーフ礁から12海里以内を中国に無通告で通り、領海と認めない態度を示したが、その直後の11月3日にはソマリア沖からスエズ運河を通って帰国途中の中国軍艦3隻がフロリダ州のメイポート海軍基地に入港、初の大西洋での米中共同訓練と交歓行事を行った。
両国の海軍の要人同士の往来も頻繁に行われている。
米中双方が関係悪化を望まない以上、何かの落し所はあるはずだ。
中国が米国に届く弾道ミサイルを搭載した原潜を配備するのは、米国にとり潜在的脅威ではあるとしても、米国が主導して成立した核不拡散条約で中国の核保有を公認した以上、中国が英、仏と同様に4隻程度の弾道ミサイル原潜を持ち、うち1隻を常に海中待機させる最小限度の核抑止力を持つことは容認せざるをえないだろう。
南シナ海の北部、海南島沖の待機海面では米軍は情報収集活動を慎み、一方中国は南沙諸島には戦闘機を配備せず、米軍艦の通航を妨げない、という程度の妥協は可能ではあるまいか。
日本にとっては昨年の輸出の23.1%が中国(香港を含む)向けで、米国が20.1%だから、米中の対立が激化し、双方の経済が麻痺するような事態になれば致命的打撃だ。
対立を助長するような行動は百害あって一利もない。
およばずながら、米中に妥協、和解を求める姿勢を示すことが得策と考える。
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夕刊フジ 7月14日(木)16時56分配信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160714-00000004-ykf-int
ハーグ裁定「完敗」に習政権“猛反発”
専門家「東シナ海で行動エスカレートも」
●九段線(写真:夕刊フジ)
国際司法が赤い大国に「ノー」を突き付けた。
南シナ海のほぼ全域で中国が主張する主権や権益についてオランダ・ハーグの仲裁裁判所が「法的根拠はない」と判断したのだ。
この「全面敗訴」を受けて習近平政権は猛反発、今後、同海域はおろか、沖縄県・尖閣諸島を含む東シナ海での軍事的圧力を強めていくとみられる。
日米は対中包囲網を一段と強化し、国際ルールを無視する隣国に鉄槌を下す。
■「中国が歴史上、排他的に支配してきた証拠はない」
仲裁裁判所が12日に下した裁定は、中国が主張する南シナ海での領土主権を完全否定。
覇権拡大の根拠としている南シナ海の大部分を囲む「九段線」についても「国際法上の根拠はない」と断じた。
強引な海洋進出に対して下された初の国際的な司法判断。
習政権にとっては想定外の完敗と言え、習主席は「裁定に基づくいかなる主張や行動も受け入れない」と反発し、王毅外相も
「手続きは終始、法律の衣をかぶった政治的な茶番だった」
と強弁した。
さらに崔天凱駐米大使は仲裁裁判所の判断につい
「緊張を高め、衝突すら招きかねない」
「紙くずに外交努力が邪魔されるべきではない」
と批判。
怒りの矛先は日本にも向けられ、国営中央テレビは同日夜、
「仲裁裁判所は日本の右翼が独断で組織し、公平性に大きな欠陥がある」
と繰り返した。
だが、どれだけ反論、批判を続けても、自国の長年の主張が国際社会に否定された結果は覆せるはずもなく、
習政権は今後、共産党内で責任を追及される可能性がある。
ダメージを最小限に抑えるために南シナ海問題での強気な姿勢を一段と示していくとみられる。
■具体的にはどんな一手を打ってくるのか。
中国事情に精通する評論家の宮崎正弘氏は
「南シナ海での権益がぶつかり合うASEAN(東南アジア諸国連合)の分断工作を活発化させるだろう。
中国寄りの立場を取るラオスやカンボジアばかりか、触手を伸ばしているタイやブルネイも札束攻勢で一気に取り込むはずだ」
とみる。
力で覇権を握ろうとする中国に対し、米軍はこれまで「航行の自由」作戦を実施してきた。
原子力空母ロナルド・レーガンなど第7艦隊の艦船も南シナ海に展開、今回の裁定で同作戦の正当性を得た格好でもあり、日本やオーストラリア、インドなどにも働きかけ、対中包囲網を強化していく方針でいる。
こうしたことを受けて、中国軍は実力行使に出る恐れもあるという。
宮崎氏は
「南シナ海で軍事行動を起こし、ベトナム軍と戦端を開く可能性がある。
ベトナムからパラセル諸島を強奪した1974年の海戦のような局地戦だ。
中国の視線の先には東シナ海も当然入っている。
当面は尖閣諸島周辺での挑発行動を続けて、尖閣への軍事侵攻のタイミングを図るだろう」
と推測する。
折しも米国の研究機関が、中国軍の東シナ海戦略についての報告書を公表した。
報告書は、浙江省の基地から軍事ヘリコプターで尖閣を強襲する中国軍のシナリオを明らかにしている。
軍事ジャーナリストの世良光弘氏は「南シナ海と東シナ海はリンクしている。中国が開き直って、東シナ海での行動をエスカレートさせかねない。今年1月に人民解放軍幹部と面談した際には、年内での尖閣への強行上陸を示唆していた」と指摘する。
「かねて言われているように漁民に偽装した民兵が強行上陸し、南シナ海の中国の艦隊群が東シナ海に移動、輸送用ヘリを搭載した強襲揚陸艦を周辺海域まで送り込む。そこからヘリを尖閣まで飛ばすシナリオもあり得る。昨年から那覇基地からの航空自衛隊機のスクランブル(緊急発進)が2倍近く増えた。空でも軍事衝突一歩手前の攻防が起きている」(世良氏)
尖閣で想定される有事に日本はどう対抗すればいいのか。
「中国軍が物量戦を仕掛けて長期戦に持ち込んでくると戦況は不利になる。そうなる前に決着をつける必要がある。那覇新港にイージス艦を含む新たな護衛隊群を編成して常駐させ、那覇基地にF15だけでなく、地上攻撃が可能なF2戦闘機を配備する。局地戦になった場合の即応体制をとることだ。尖閣諸島の久場島、大正島は米軍の施政管理下にある。ここに手を出せば米軍も黙っていない。第7艦隊が後方支援に回り、米軍の一斉攻撃が始まる」
米ホワイトハウスは12日、バイデン副大統領が14日にハワイで開かれる日米韓の外務次官協議に参加すると発表。仲裁裁判の判断を受けた南シナ海情勢についても協議するとみられる。
日米が連携し無法者国家の横暴を食い止める。
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