2016年7月9日土曜日

中国経済(1):中国イノーベーションの暗い未来、人というソフトがない!、ハードのハコモノだけの供給過剰

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ロイター 2016年 07月 8日 08:57 JST
http://jp.reuters.com/article/china-economy-innovation-idJPKCN0ZN0PJ?sp=true

焦点:中国イノベーションセンター乱立、
隠れ不動産バブルか

[沙城(中国) 7日 ロイター] -
 中国政府が経済活性化に向けてイノベーション推進を呼びかける中、創造性支援を名目に地方政府によるハコモノの新設が相次いでいる。
 もっとも問題なのは肝心の起業家が入居しないことだ。

 「大衆創業」、「インターネットプラス」といったスローガンを掲げ、中国政府はイノベーションセンターの設立を呼びかけており、次の馬雲(ジャック・マー)氏(電子商取引大手アリババ・グループ・ホールディング創業者)が出てくることを期待している。

 インターネット調査会社iiMediaによると、
★.中国全土で「イノベーションセンター」が出来上がっており、向こう5年で2倍強の約5000カ所
に達する見通し。
 ただ、大半のセンターは入居率が40%にすぎないという。

 多くのセンターは小規模な都市や町にあり、新興企業を引き付けるのに理想的なロケーションとは言えない。
 地元に製品を販売できるような市場も、サプライチェーンもないためだ。
 センター自体も単に机や電話といった基本的な設備を提供するのが主で、多くの新興企業が必要とする金融およびマーケティング面での支援は見当たらない。

 結果として、製鋼所と同様、イノベーションセンターも供給過剰となっている。

 天津市のセンターで日々の業務を営むレイライ・マネジメントのパートナー、シー・ジーチアン氏は
 「バブルのリスクは極めて大きい」
と指摘。
 「政府やセンターの管理者の双方にとって試練だ。
 満足いくほどの起業家がいない
と述べた。

 工業情報省はコメントを拒否。
 国家発展改革委員会にコメントを求めたが、回答を得られなかった。
 iiMediaによると、イノベーションセンター向けの資金の約8割は政府もしくは大学などから集められているという。
 中国の大学は政府の支援を受けている。
 ベンチャーキャピタルファンドSOSVの投資パートナー、ウィリアム・バオ・ビーン氏は
 「政府主導のプロセスで誕生した企業が成功する事例をあまり見たことがない」
と話す。

■<金食い虫のイノベーションセンター>

 河北省懐来県の小さな町である沙城は中国政府の呼びかけに応え、25階建てのタワービルを2棟建設。
 1棟をオフィスビルとし、もう1棟をイノベーションセンターに充てた。
 しかし、新興企業に机の提供や一定期間の賃料免除といった優遇策を設けるイノベーションセンターはガラガラ。
 床にはごみやほこりが散らかっている。
 イノベーションセンターに隣接する場所で浴室用器具販売店を経営するリウ・ハイヤンさん(30)は
 「起業家になろうとは思わない。
 お金が必要だし、私のような人間に選択肢は多くない」
と語った。
 イノベーションセンターについては、鉄道で約4時間の距離にある北京の学生や起業家を呼び込もうとしているのだろうとの考えを示した。
 沙城当局はコメントを拒否した。

 住民らは北京との高速鉄道が2019年に完成すれば、経済状況が改善すると期待。
 所要時間は30分に短縮される見通しだ。
 地元政府と強い結び付きを持つある実業家は匿名を条件に
 「イノベーションセンターは金食い虫だが、長い目で見れば、地域に税を納め、雇用をもたらす企業を生み出すと期待している」
と述べた。

■<起業文化を妨げる要素>

 ベンチャーキャピタリストによると、新興企業は、既に成功しているイノベーションセンターがあり、有望な市場を持ち人材が見つけやすい場所に引き寄せられる。
 新興企業が集まる5大都市は珠海、北京、広州、上海、深センとなっている。
 地方にいきなりイノベーションセンターをつくっても有力な新興企業が生まれたり、集まったりすることはない
とみられている。

 また、専門家によると、中国の起業文化を妨げる要因も存在する。
 中国の若者は安定した職に就くことを求める親からのプレッシャーにさらされており、起業はリスクが高すぎるとみられている。
北京で入居率85%の民間コワーキングスペースを運営しているボー・イーチュン氏は、
★.暗記中心で創造的思考の発達を妨げる中国の教育システムにも問題がある
と指摘。
 「教育水準が高まらなければ、イノベーションも高まらない」
と話す。

 前出のバオ氏は、たとえこれら全ての要素が原因だとしても、政府が元起業家やベンチャーキャピタリストと協力すれば成功する可能性は高まると指摘。
 「政府自身が投資決定を行ってはうまくいかない」
と語った。

(Sue-Lin Wong記者 翻訳:川上健一 編集:加藤京子)



BRIDGE 配信日時:2016年7月23日(土) 6時0分
http://www.recordchina.co.jp/a145522.html

海外人材獲得で経済成長を促進、
中国が「移民弁公室」設立か―中国紙

 中国が海外からの人材誘致に向け、新組織の設立を目指して動いているもようだ。
 シンガポール英字紙ザ・ストレーツ・タイムズの報道として環球時報が20日付で伝えたもので、消息筋によると、中国公安部は今年開いた会議で「移民弁公室」設立についてすでに討論を行っているという。

 「過去数十年間、中国にこのような組織は必要なかった」
と指摘する中国グローバル化研究センター(CCG)の王輝耀氏はその理由として
 「これまでは国内の人口の伸びだけで経済の2桁成長を維持できていた」
と説明、その上で
 「現在は経済成長を支えるために海外人材を増やすことが必要になった」
と語る。

 13億人以上の人口を抱える中国だが、今世紀末には6億人にまで減少する恐れがあるとも指摘されている。
 現在、中国で暮らす外国人は約60万人。
 ビザ上の制限や環境汚染、法整備の問題などが海外人材を獲得する上でのネックとなっている。
 ただ、国家行政学院の汪玉凱氏は
 「移民弁公室を設けて新たな移民政策を導入したとしても、政府は慎重に人材を選ぶだろう」
と述べ、
 「われわれが獲得を目指すのは優れた人材であり、適格でないと判断された人材が大量に流れ込むことは認められないはずだ」
との考えを示している。

(提供/Bridge・編集/Yamaguchi)



Record china 配信日時:2016年7月18日(月) 4時30分
http://www.recordchina.co.jp/a126445.html

中国の「ソフトパワー」向上戦略に立ちはだかる壁は「中国人観光客」!―英メディア

 2016年7月13日、英紙フィナンシャル・タイムズは「ソフトパワー」を向上させたい中国政府にとって、一部の中国人観光客によるマナーの悪さが悩みの種になっている、と報じた。
 15日付で参考消息網が伝えた。

 報道によると、米国の経営コンサルティング会社マッキンゼー・アンド・カンパニーのデータでは、
★.2015年に「7000万人余り」の中国人が海外旅行に出かけた。
 ほとんどの中国人観光客のマナーには問題がなかったが、一部の人々によるルール無視や粗暴な振る舞いがインターネットにアップされて拡散した。
 そのため中国政府は海外旅行する中国人観光客向けのマナーガイドを作成し、最も悪質な観光客は海外旅行者のブラックリストに入れた。
 その中には飛行機の客室乗務員にコップの水を浴びせかけた男女、
 「新鮮な空気が吸いたい」として離陸途中の飛行機の非常口を勝手に開けた男、
 さらには日本で妻が会計前にアイスを店内で食べたのを注意されたことに立腹して店員を殴打した夫
などが含まれている。

 中国政府は今、全世界で「ソフトパワー」を向上させようと目論んでいるが、こうしたマナーの悪い中国人観光客がその大きな障害となっている。
 日本でもこのほど北海道観光振興機構が昨年国内を訪れた500万人の中国人観光客向けに漫画のマナーガイドを作成した。
 このマナーガイドには
 「ホテルの食器を取っていかない」
 「公共の場所でおならをしない」
 「買い物でツアー客を待たせない」
といったマナーが記されている。
 特に最後の「買い物」に関わるマナー条項が最も重大である、と報道は主張した。

 中国人観光客の旅行先での出費額は今、世界の観光客中で最も多くなっており、英国では中国人観光客の平均出費額が米国人観光客の2倍以上になっている。
 中国経済は今年発展のスピードが減速したが、それでも「爆買い」現象は消える気配がない。
 世界旅行ツーリズム協議会によると、
★.昨年中国人観光客は国外の旅行先で「2150億ドル(約23兆円)」を使い、これは2014年より53%も増加した。
★.2020年にはこの金額はさらに4200億ドル(約44兆円)まで増えると予測
されている。

 この「爆買い力」は世界各地の観光地の風景をも変化させており、多くの国では空港に中国語の案内表記が見られるようになっている。
 さらに甚だしい例になると、ヒンドゥー教徒が多数を占めるインドネシアのバリ島では中国人観光客が大量に増えたため、その神像の顔まで変わったという。

 報道は最後に、海外旅行に多く出かけ、見識を広げた中国人観光客たちの中にはマナーの悪い同胞を面倒臭がらずに教育し、その振る舞いを改めさせようとする者も徐々に出始めている、と指摘した。



サーチナニュース 2016-07-21 14:31
http://news.searchina.net/id/1614686?page=1

日本の成功にはまったく興味がない!
興味・関心があるのは失策だ=中国

 経済成長に陰りが見えてきた中国。日本と同じ轍を踏むまいと、中国は日本の過去を強く意識しているという。
 中国メディアの龍訊財経網はこのほど、
  「日本経済の衰退は中国にとって大きな助け」
と題する記事を掲載した。

 記事によると、中国の金融監督機構は、20年にわたる衰退とデフレを経験した日本を強く意識し、「反面教師にしている」という。
 中国側のある関係者は、
 「日本の成功にはまったく興味がない。もっとも関心があるのは日本の失策だ」
とし、日中の経済には多くの類似点があるため、日本政府が過去に行った細かな政策にまで関心を寄せているという。

 中国が現在行っている金融改革も、日本が過去に行ってきたことだと指摘。
 こうした改革は経済発展に寄与するものの、失敗すれば深刻な結果になるものだ。
 例えば、
★.中国の政策決定者たちは1985年のプラザ合意を
 「実質的に円高と資本の自由化を批准したようなもの」で、
 これが日本の失われた20年の原因だと考えている
のだという。

 記事は、日本銀行の関係者が
 「中国はたとえ減速したとしても、金融不均衡を加速しかねない政策措置は採用しないだろう。
 そしてこれは賢明なことだ」
と語ったことを紹介。
 日本はバブル時に最大のパートナーである米国に影響を与えかねない金融引き締め政策を実行できなかったが、パートナーのためではなく国内の経済安定こそが国の政策決定者にとって最も重要な責任だと主張した。

 中国経済の成長鈍化と不動産バブルが指摘されるなか、世界第2位の経済大国として中国は何が何でもバブル崩壊を避けたいと考えているはずで、日本の経験は何よりもありがたい研究材料のようだ。


サーチナニュース 2016-07-24 13:13
http://news.searchina.net/id/1614836?page=1

中国製造業が日本に追いつけないのは、
リーダーシップの差かもしれない=中国メディア

 日本の家電業界の不振がしばしば報じられるが、その都度中国国内のメディアやネット言論は「日本の製造業は衰退した」との論調を展開する。
  しかし一方で「中国の製造業はまだまだ日本に大きく後れを取っている」という主張もあるのだ。
 経済モデルの転換が進められている中国の製造業が現在抱える問題や課題は、どこにあるのだろうか。

 中国メディア・世界経理人は21日、
 「中国の製造業は日本と30-50年の差がある 
 中国企業最大の問題はリーダーシップの欠如か」
と題した記事を掲載した。
 記事はまず、中国企業が現在直面している問題として、
 「情報時代における新たな技術革命」、
 「インターネット」、
 「社会における種々の衝突など、経済発展の新たな状況」
の3点を挙げた。

 また、中国企業は
 基礎部分の充実、細かく効果的・合理的な管理
といった点をあまり重視していないと指摘。
 その背景には「農業文明ゆえに随意性が大きい」点があるとし、戦略的思考や想像力には問題がないものの、具体的な細かい部分で問題があると解説した。

 さらに、「中国と日本の差は30-50年開いている」とし、その差が
 「インフラから
 ソフトウェア、
 従業員の技能、
 さらにはエンジニアリングに至るまで、
 システムの問題にあるのだ」
と説明。
 結局のところは企業トップのリーダーシップに問題があり、
 「価値観に問題がなければリーダーシップは出てくる。
 価値観に問題があれば、リーダーシップは出てこないのだ」
と論じた。

 技術力の強化も、健全な経営体制も、周到にかつ厳格に設けられた管理体制が大きく貢献していることは間違いない。
 「まあこんなものでいいだろう」という精神が時として成長や発展を阻む。
 今後企業のトップが
 「お金儲け」の他にどんな理念やビジョンを持っていて、どう実現させようとしているのかを明確にできるかが、日本の製造業との差を縮めるための大きな要素をなりそうだ。



サーチナニュース 2016-07-28 07:09
http://news.searchina.net/id/1615159?page=1

日本と中国の製造業の差「30年から50年ほどもある」=中国報道

 中国の製造業がこれまで強みとしてきたコスト競争力は人件費の上昇などによって失われつつある。
 中国政府は製造業の高度化を実現するための計画を打ち出しているものの、企業の淘汰はすでに始まっており、残された時間は多くはない状況だ。

 中国メディアの東方頭条はこのほど、日本と中国の製造業の差は「30年から50年ほどもある」と指摘したうえで、中国企業が直面している問題について考察している。

 記事はまず、中国の製造業の前に立ちはだかる問題は複数あるとし、
 「新しい技術革命が世界規模で始まっている」
ことを挙げた。
 製造業と情報通信技術を結びつけた新しい試みが世界中で始まっていることを指摘し、
 「中国の製造業は世界の流れになんとか着いていくことができている」
としながらも、世界の潮流から外れれば大きな問題に直面することになると論じた。

 続けて、企業は外部環境に応じて変化することが求められると指摘する一方、
 中国企業はこれまで事業の基礎固めを重視してこなかったほか、
 経営や管理といったマネジメントも疎かしてきた
と指摘。

 そのため、外部環境の大きな変化が生じている今になって中国企業は苦しんでいるとの見方を示し、
 「中国企業は日本企業の管理方法に学んでいるが、思ったような成果を挙げられていない」
と主張した。
 さらに、製造業は「基礎」が重要な産業であり、設備やソフトウェア、人材など経営や生産活動に必要な要素すべてにおいて日本企業に劣っているのが現実
と指摘している。


サーチナニュース 2016-08-01 10:27
http://news.searchina.net/id/1615443?page=1

日本は今なお世界の強国!
むしろ中国のほうが先進国になれるか微妙?

 人口の減少やデフレ、低迷する経済成長率などを理由に、中国国内では日本経済を嘲るような論調があるのは事実だ。
  だが、中国メディアの外匯通はこのほど、「日本は今なお世界の強国だ」と指摘したうえで、むしろ中国のほうが先進国になるためのチャンスを掴めるかどうか微妙なところであることを伝えている。

 記事は、
★.世界各国は日本経済に対し、「もはや救いようがなく、死に体だと考えている」
と主張し、日本経済は約30年にもわたって低迷を続けていると主張。
 だが、日本が高度に発達した国であることや、日本国民の豊かさについては誰も否定できない事実であると論じた。

 続けて、日本は中東諸国のようにエネルギー資源によって豊かさを手にした国ではなく、
 「第2次産業や第3次産業によって莫大な国内総生産(GDP)を生み出している」
と主張。
 世界第3位のGDPを誇り、日本国外にも莫大な資産を有している
と論じた。

 さらに、日本が本当に豊かな国かどうかは、日本人の平均寿命を見ればわかるとし、世界有数の長寿国であるには真の豊かさが必要であると主張。
 経済成長率の低迷から日本経済を見下すのは間違っていると指摘したうえで、
 「日本は今なお世界の強国であり、中国は日本を見くびってはならない」
と論じた。

 中国のGDPが日本を抜いて世界2位となったのは誰もが知る事実だが、中国には13億人を超える人口と広大な国土がある。
 規模でみれば中国経済が世界2位であるのは間違いないが、質で見れば中国経済はまだ開発途上の段階と言えるだろう。
 中所得国となった後に経済成長が低迷することを「中所得国の罠」と呼ぶが、
 中国は現在、成長モデルの転換を迫られており、一部では中国は「中所得国の罠」に陥る可能性は高い
との見方もある。


サーチナニュース 2016-09-29 13:00
http://biz.searchina.net/id/1619799?page=1

中国インターネットを支える国内の人材育成に限界、
海外組も「海帯派」に=大和総研

 中国のインターネット関連産業の成長は著しいが、その成長を支える人材を輩出し続けるには中国国内の教育環境は一段と整備される必要があるようだ。
 大和総研の金融調査部研究員の矢作大祐氏は9月28日、
 「中国、イノベーションの鍵は『小別離』の解決?」
と題したレポート(全2ページ)を発表し、中国の教育事情を考察した。
 レポートの要旨は以下のとおり。

 先日、中国のインターネット関連企業大手で微信(WeChat)やQQといったチャットツールを提供するテンセントが時価総額でアジア最大となったとの報道があった。
 つい最近まで時価総額の大きい中国企業といえば、4大銀行や石油企業といった巨大国有企業であったことを踏まえれば、テンセントやアリババ・グループといったインターネット関連企業の著しい成長には驚きを隠せない。

 テンセントは、チャットツールだけでなく、モバイル決済や送金(微信支付、WeChat Payment)といった幅広いサービスを提供しており、登録ユーザー数も11億人程度とされることから、中国においてすでに社会インフラの一つになっていると言える。
 インターネット関連企業の躍進は、国を挙げてイノベーションを推し進めようとしている中国にとってポジティブな結果と考えられる。

 中国におけるインターネット関連企業の発展は、近年急激に拡大している研究開発やM&Aといった投資に加えて、技術開発を行う豊富な人材によって支えられている。
 中国は先進国と比べて大学進学率こそ低水準ではあるものの、そもそも人口が多いことから2014年の大学在籍者数は約1,541万人と日本の約6倍となっている。
 そして、中国大学生の専攻分布をみると、インターネット技術の開発等を支える工学部在籍者数が約512万人と最大勢力となっており、2014年の日本の大学在籍者数全体(255万人)を超えている。

 しかし、豊富な人材供給の基礎となっている国内の教育環境に対する不満も高まっている。
 例えば、最近社会現象化した中国ドラマ「小別離」がその代表例だろう。
 「小別離」は子供を海外留学させようとする一般家庭をテーマとしたドラマである。
 このドラマが社会現象となった背景には、中国の学歴第一主義と熾烈な教育競争がある。
 上述のように、豊富な人材を抱える中国において、希望の就職先に就くことができるのはほんの一握りの大学生だけである。

 そして、そのチャンスを掴むために有名な大学に入らなければならず、中学生・高校生の時から毎日16~18時間程度勉強をしなければならない。
 「小別離」では、子供を海外留学させる両親の葛藤や子供が直面する中国の学歴第一主義や熾烈な教育競争といった現実をリアルに描いたことから、親は過去の経験を思い起こしながら、また、子供たちは現在の境遇と重ね合わせながら見ていたものと考えられる。

 実際に、海外に留学する学生数は継続的に増え続けている。
 海外でさらに高度な教育を受けたいという気持ちもあるだろうが、国内での学歴競争を避けたいという気持ちもあるのだろう。
 加えて、以前は海外留学した学生も卒業後に中国へと帰国(「海亀派(留学帰国組)」と呼ばれる)し、国際ビジネスやイノベーション分野で活躍することも多かったが、近年は海外留学経験者も増加しており、希望の職に就くことができない「海帯派(帰国したが、仕事が見つからない)」という現象も出てきている。
 結果的に、海外留学した学生が卒業後も中国に帰国せず、留学先の国で生活を続けるケースも増えているようだ。

 こういった一般家庭の国内の教育環境に対する不満や、海外留学した学生の動向の変化は、技術開発を担う人材供給に対して影響を与えるだろう。
 中国における今後のイノベーションの成否は、「小別離」が映し出す一般家庭の悩みをいかに解決するかにかかっているのかもしれない。




【自ら孤立化を選ぶ中国の思惑】


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