中国経済を「良」とみるものもいるし、「不良」と判断するものもいる。
果たしてどちらだろうか。
「良」とみるものは「乗り遅れるな」と叱咤する。
「不良」とみるものは「足抜きを」と警告する。
日本と中国の関係は経済問題だけでなく、政治問題を抱える関係である。
中国は経済を人質にとるという行為をいとも簡単に行う国である。
それを考えると、なかなか他国のうように安易には動けない。
過度に足を突っ込むな!
ということでもある。
他の国とはまったく実情が異なる、ということを考慮に入れる必要がある。
「君子危うきに近寄らず」でいくか「虎穴に入らずんば虎子を得ず」でいくか、である。
慎重にゆくか、ギャンブルするかでもある。
中国を世界工場とみなすことはもうまったくありえないが、
販売市場としては絶対的な魅力がある。
中国全体をみるか、それともある地域だけみるかで判断は分かれる。
中国経済が下降線をたどっていることは動かしがたい事実だろう。
そこに力点をおくか、それとも活況に向かう一部の地域に力点を置くか?
『
Bloomberg 8月29日(月)16時1分配信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160829-24540634-bloom_st-bus_all
中国の民間投資急減は誇張の恐れ
-昨年の株式への介入が影響と専門家
中国の民間投資急減と公的支出急増に不安を感じているだろうか。
まずは冷静になる必要があると呼び掛ける専門家がいる。
統計の問題でトレンドが誇張されているというのだ。
米ピーターソン国際経済研究所のニコラス・ラーディ上級研究員は、民間から公的部門に経営権が移った企業が含まれているため、今年の投資データは昨年と全く比較不可能だと指摘する。
オックスフォード・エコノミクスのアジア担当チーフエコノミスト、ルイス・クイジス氏(香港在勤)と米調査会社ローディアム・グループも同じ点を問題視している。
クイジス氏は先週のリポートで、
「誤解を招く統計によって民間投資と非民間投資の恐ろしい突然の乖離(かいり)が2016年に入り示されているが、
政策担当者と市場はいたずらに心配すべきではない」
と指摘した。
民間投資の伸びが記録的ペースに鈍化する状況が懸念を招く中で、国家発展改革委員会(発改委)は、民間企業に開放するセクターを増やす計画を先週発表。
国務院も約3年以内に企業コストを引き下げ、収益性を押し上げる詳細な計画を公表した。
30年余りにわたり中国を研究しているラーディ氏は、民間投資は鈍化しているが「公式統計が示すほどではない」との見方を示し、今年1-6月(上期)の公的投資の急増は、1年前に政府が株式市場に大規模介入を行ったことも影響しているようだと分析。
それまで公的部門に経営権がなかった企業について政府が支配力を持つか、経営権を握る株主になったが、国家統計局は今年1月まで月次統計でそうした株主の変更を反映させていなかったと主張した。
原題:China Private Investment Crash Not as Bad as You Think: Analysts(抜粋)
Kevin Hamlin
』
『
JB Press 2016.8.18(木) 瀬口 清之
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/47629
中国市場で再燃、
日本企業のガラパゴス化現象
対中投資積極化に動く世界の潮流から取り残される日本企業
■1.対中投資積極化に動く欧米・韓国企業
昨年11月、アジア太平洋政策に詳しい米国の政府元高官が来日しした際に朝食を共にした。
開口一番、
「日本の大企業や政府関係者と面談したが、彼らの中国経済に対する見方が極端な悲観論に傾いているのに驚かされた。
日本はこれで大丈夫なのか?」
彼の言葉通り、その懸念が現実のデータとして現れ始めている。
今年上半期の主要国の対中直接投資額の前年比の伸び率は、
米国+50%、
ドイツ+90%、
英国+169%、
韓国+18%、
台湾+34%、
フランス-41%、
日本-14%。
日本とフランス以外の主要国の対中投資額が大幅な伸びを示している。
ただし、フランスは昨年が前年に比べて72%も急拡大したため、今年はその反動が出ただけで、一昨年に比べれば若干増加している。
2014年以降減少し続けているのは日本だけであり、その下落幅も大きい(図表1参照)。
●図表1 主要国の対中直接投資額の推移(単位 億ドル)(注)2016年のデータは上半期の前年比を基に年率換算して算出。(資料 CEIC)
この統計データは実際の投資動向に比べて1年ほど遅れで動くことが知られている。
したがって、欧米主要国等の対中投資姿勢が積極化し始めたのも今年からではなく、2、3年前からである。
この点について日本および外資企業の投資動向を詳しく把握している専門家に確認したところ、それは中国現地で感じられる実感どおりであるとの答えが返ってきた。
欧米企業の姿勢の変化はリーマンショック後の世界経済不況から欧米諸国が徐々に回復に向かい始めた時期とも符合している。
これに対して、日本の対中投資は統計上2014年から急落しているが、
実際に急落したのは尖閣諸島領有権問題発生直後の2013年以降である。
昨年4月の日中首脳会談以降、日中関係は徐々に改善には向かっているものの、南シナ海問題や尖閣諸島周辺海域での中国公船の航行増加など新たな摩擦の火種もあり、その改善テンポは遅く、日中関係の先行きに対する不透明感が払拭できていない。
このため、日本人全体の対中感情の改善も鈍い。
そうした状況が日本企業の対中投資姿勢にも影響しており、依然として日本からの直接投資のほとんどが既存進出企業の再投資の拡大であり、新規投資は殆ど見られていない。
再投資についても日本企業は総じて慎重姿勢を崩していないため力強さを欠いており、2、3年前から積極姿勢に転じている欧米企業との違いが明確になってきている。
前出の対中投資動向に詳しい専門家によれば、最近中国で開催された子供服や食品の大規模な展示会の会場には中国全土から1日数万人が来場した。
欧米企業や韓国企業はこぞって巨大ブースを出展し、中国の顧客向けの広告・宣伝活動に注力していた。
その中にあって、主要国の中で唯一日本だけ主力企業が出展せず、大きな展示ブースもなく、ごく一部の地方の無名企業が出展するだけで、日本の存在の希薄さが際立っていた様子を見て強い不安を覚えたと言う。
この状況について、その専門家は、
「主要国の世界トップクラスの競技者が中国市場で開催されるオリンピックで熾烈な戦いを繰り広げている中にあって、日本だけがオリンピックへの参加をボイコットしているような印象を受けた」
と語った。
■2.ガラパゴス化現象の再燃
かつて日本の携帯電話、パソコン、デジタルテレビ放送などは世界トップクラスの技術力を持っていた。
それにもかかわらず、海外市場での展開に消極的だったため、日本国内市場だけでしか普及せず、グローバルスタンダードからかけ離れた存在となってしまった。
これが「ガラパゴス化現象」である。
技術力は世界トップクラスであるにもかかわらず、経営者の内向き志向が原因で世界市場から取り残されたことは明らかな失敗だったと認識されている。
いま世界の主要なグローバル企業が巨大な資本と優秀な人材を投入して戦っている中国市場を見ようとしない日本企業経営層の内向き志向は、ガラパゴス化現象の再燃のように見える。
海外市場のニーズに合わせた製品・サービスの開発・販売に消極的な内向き志向が原因でグローバル市場から取り残されて巨大なチャンスを失ったことは周知の事実となっているにもかかわらず、多くの企業において学習効果が見られないのは不思議である。
もちろん、自動車関連、小売り、生活用品など一部の日本企業は中国市場で積極的にビジネスを展開し、大きな収益を上げている。
しかし、それは日本企業全体の1~2割に過ぎず、大半の日本企業は中国リスクを過度に懸念し、中国市場のチャンスを真剣に見ようとしていない。
■3.背景にある中国市場に対する認識不足
多くの日本企業経営者が中国市場の変化や欧米企業の投資姿勢の積極化に気づいていないのはなぜか?
その答は2012年の尖閣諸島領有権問題を巡る反日デモの激化を機に多くの経営者が中国出張の回数を減らした結果、中国市場を自分の目で見る機会が少なくなり、極端な悲観バイアスのかかったメディア情報を鵜呑みにするようになっているからである。
日本のメディア報道を担う現地の記者の中にも本社の対中悲観バイアスに対して批判的な見方は多いが、本社編集責任者の見出しのつけ方や記事の取り扱いの大きさに対しては不満があっても口出しできないのが実情である。
メディア内部でそうした葛藤があるにもかかわらず、多くの経営者はその事情を知る由もなく、悲観的な中国観を修正することなく経営を続けている。
例えば、主に重工業の動向を反映する経済指標である李克強総理指数では最近のサービス産業がリードする中国経済の動向を分析できないこと、中国国内で得た利益を配当金として日本に送金することについての制約はなくなっていることなどは、中国経済に精通した記者に聞けば、言うまでもない常識であると教えてくれる。
しかし、それを分かりやすく繰り返し報道するメディアはないため、いまでもそうした基本的な事実を理解している経営者は少ない。
ただし、中国に年数回程度出張する経営者であれば誰でも知っている事実であるため、それを知らないのはメディア報道のせいだけではない。
日本の多くの経営者が中国市場に対する関心を失うか、あるいは過度に慎重になっている間に、中国市場では大きな構造変化が生じた。
2010年以降の中国市場は、次の3つの変化が生じたため、以前の常識では理解できなくなっている。
★.第1に、投資主導から消費主導へのシフトである。
中国のGDP(国内総生産)成長率は、2010年頃まで、輸出・投資主導の時代が続いていた。
しかし、2011年以降は2013年を除き、一貫して消費の寄与度が投資を上回っている。
特に今年の上半期はGDP成長率に対する消費の寄与率が73.4%に達した。
★.第2に、2010年以降、中間層が急増し、高付加価値の製品・サービス需要が急拡大している。
1人当たりGDPが1万ドルに達した都市の人口の合計は、2010年に1億人だったが、2013年には3億人を超えた。
足許は4億~5億人と見られており、2020年には8億~9億人にまで達する見通しである。
この人口が日本企業の潜在的顧客層である。
★.第3に、沿海部主導から内陸部主導の経済成長へと変化した。
北京、上海、広州などの沿海部主要都市はすでに先進国並みの所得水準に達しており、徐々に安定成長期に入りつつある。
これに対して、内陸部の武漢、重慶、成都、西安等の主要都市は高度成長を続けている。
欧米・韓国企業が特に注力しているのはこの内陸部市場の開拓である。
多くの日本企業の経営者は以上の3つの構造変化を認識していないため、約10年前の中国経済観を前提に中国ビジネスを判断しているのである。
■4.武漢で見られる日本企業の積極姿勢
すべての日本企業がガラパゴス化しているわけではない。
経営者が中国市場をよく理解している一部の勝ち組企業は中国市場の新たなチャンスを的確に捉えて、大きな収益を確保している。
7月下旬に武漢市に出張したが、当地では日本企業の活力がみなぎっている。
武漢市には武漢鋼鉄という巨大国有企業があり、6000人規模のリストラが進行中である。
それにもかかわらず、武漢経済は今年上半期のGDPが7.6%と引き続き好調を持続している。
実際に武漢市内の高層マンション、オフィスビル建築や地下鉄工事の状況を見ると、8~10%の成長率を維持しているように見えるほど街中が大規模工事現場である。
武漢在住の日本企業幹部は、武漢市民の旺盛な消費意欲を目の当たりにしているため、生活実感としてスローダウンを感じていないと語る。
特に、昨年12月にイオンの武漢2号店が開業した後、日本企業にとっての追い風が一段と強まっている。
同店はイオンモールの中でもアジア最大の規模で、530メートル四方の3階建てで駐車場の収容台数は4500台である。
このモールが完成した後、家族揃ってイオンモールで食事と遊園地とショッピングを同時に楽しむことが武漢市民にとって最もトレンディな週末の過ごし方になったと聞く。
ちょうどその頃から武漢市内の日本料理店も急増するなど、武漢市全体が日本に傾斜している。
しかも、最近の日本車の販売好調を背景に、当地の自動車関連企業は休日出勤をしなければ受注をこなせない状態になっており、毎月1、2社ずつ日本企業の進出増加が続いている。
本年4月から成田へのANA直行便(1日1便)が就航し、日本との往来も各段に利便性が高まった。
現地ではいま、日本人学校と総領事館設立待望論が高まっており、関係者はその実現に向けて各方面に働きかけているなど、現地の日本企業関係者の積極的な姿勢が目立っている。
■5.日本企業がガラパゴス化現象から抜け出す方法
企業経営者が中国経済に対する過度な悲観論を払拭するには現地に足を運んで、自分の目で実情を見るのが一番である。昨年もある経済団体から訪中ミッションの訪問先について相談を受けた際に、迷わず武漢を推薦した。
訪中団が12月に武漢を訪問した後、経済団体内部で出張報告を行ったところ、その後団体の会員企業の間では以前のような過度な悲観論を述べる人は見られなくなったと聞いた。
急速な構造変化が進行中の巨大な中国市場でビジネスを本格的に展開するには、経営トップの社長自身が経営組織体制の変革を含めて重要な決断を下すことが必要である。
ボトムアップ型のコンセンサスが形成されるのを待っていると、その間に中国市場が大きく変化してしまい、ビジネスチャンスを失うからである。
このため、社長自身が中国市場を十分理解し、自ら最終的な経営判断を下さなければ中国ビジネスでの成功は難しい。
それには社長自身が年に5~6回は中国に出張する必要がある。
しかし、それを実践するにも最初のきっかけが必要である。
北京と上海にだけ年1~2回しか訪問しない経営者の方々には、是非一度、武漢、重慶、成都、西安のどれかを訪問し、いまの中国経済の変化の大きさを肌で感じることを勧めたい。
それに加えて、中国から日本へのインバウンド旅行客の急増が持続している原因を考えてみてほしい。
昨年の中国株暴落、最近の円高・元安、南シナ海を巡る摩擦、中国経済の減速など、頭で考えればマイナス材料ばかりである。
しかし、中国から日本を訪問するインバウンド旅行客はそうしたことには関係なく、昨年の499万人、前年比2.1倍の激増に続き、今年も上半期だけで307.6万人、前年比+41.2%と猛烈な勢いで増加している。
その背景は中国国内での中間層の急増である。
その中間層こそ中国市場における日本企業の顧客層である。
新聞を読む際にも国際面の中国経済報道だけでなく、決算発表など企業情報面の記事の中に含まれる中国情報にも注目してみてほしい。
最近は中国ビジネスにおける日本企業の二極分化が顕著となっているため、中国事業の業績好調企業の情報に注目することが大切である。
以上のような視点から中国ビジネスを再検討することにより、1社でも多くの日本企業が中国市場でガラパゴス化現象に陥らないようになることを期待したい。
』
『
Record china配信日時:2016年8月24日(水) 6時10分
http://www.recordchina.co.jp/a135796.html
<どうなる中国経済>
世界一の消費大国・中国の「3大変化」とは?
=米欧・韓国企業、対中投資を積極化
―日本企業、乗り遅れる!
中国の今年上半期の実質国内総生産(GDP)は前年同期比6.7%増。
かつての2ケタ成長の勢いはないが、中間層の急拡大に伴い個人消費が大きく伸び、力強さも見える。
グローバル化時代に、世界最大の消費市場を取り込むしたたかな戦略を、日本企業は求められている。
中国は約14億人の巨大人口を背景に世界最大の消費市場に成長、小売総額は実質9.7%増とケタ成長に迫る勢い。
世界トップの自動車、パソコン・スマホ、家電、産業機械市場で、1〜7月の新車販売台数は前年同期比9.8%増えた。
こうした中、日本の産業界全体として、中国市場を新たに開拓しようという意欲が弱まっている。
2015年の日本から中国への新規直接投資はピークだった12年の半分以下に落ち込んでいる。
中国経済に詳しい瀬口清之キャノングローバル戦略研究所研究主幹は、最近の論文の中で、中国経済の変化として次の3点を指摘している。
(1):投資主導から消費主導へのシフト
=2011年以降はほぼ一貫して消費の寄与度が投資を上回り、今年の上半期はGDP成長率に対する消費の寄与率が73.4%に達した。
(2):中間層の急拡大
=1人当たりGDPが1万ドルに達した都市の人口の合計は、2010年に1億人だったが、2013年には3億人を超えた。
最近では4億〜5億人に達していると見られ、2020年には8億〜9億人にまで増加する見通し。
この結果、高付加価値の製品・サービス需要が急拡大している。
(3):沿海部主導から内陸部主導の経済成長
=北京、上海、広州などの沿海部主要都市はすでに先進国並みの所得水準に達しており、徐々に安定成長期入り。
これに対して、内陸部の武漢、重慶、成都、西安等の主要都市は高度成長を継続。
欧米・韓国企業はこの内陸部市場の開拓に注力している。
重工業の動向を反映する経済指標である李克強総理指数では最近のサービス産業がリードする中国経済の動向を把握できない
瀬口氏によると、日本企業にはこれら構造変化を認識せず、旧来の中国観から抜け出せない経営者が多く、日本の対中投資が、主要各国に比べ低い水準にとどまっている。
今年上半期の主要国の対中直接投資額の前年比の伸び率は、米国50%、ドイツ90%、英国169%、韓国18%、台湾34%と大幅に増えたが、日本はマイナス14%。2014年以降減少し続けているのは日本だけであり、その下落幅も大きい。
日本企業は総じて慎重姿勢を崩しておらず、欧米・韓国などの主要グローバル企業が巨大資本と優秀な人材を中国市場に投入している中で、日本の企業経営者の内向き志向が顕著。実際、中国大陸では、欧米人や韓国・台湾人が目立つ。
グローバル化時代に世界最大の消費市場での劣後は競争力を失う。
今年の「通商白書」(経済産業省)は、日本企業が中国市場の変化に十分に適応できていないと指摘。
生活を豊かにする製品・サービスや安全な食品などへの需要が急拡大しているにもかかわらず、日本企業はその取り込みに出遅れているという。
日本では「中国経済崩壊」論が盛んに喧伝されるが、実際はだいぶ異なる。
再三浮上するのは、そんな記事や本を読みたいという欲求が、日本人の潜在意識の中にあるのかもしれないが、正確な把握が必要だ。
実際、こうした日本の読者・視聴者の「ニーズ」を受けて、ある新聞社の中国担当記者は、東京のデスクの「中国経済好調の記事は短く、不調の記事は長く書け」との要求に悩まされると明かす。
その結果として、紙面を飾る中国関連記事のほとんどは「中国経済不調」のトーンになりがちという。
確かにGDP6%台の伸びを「中国6%台に減速、外需低迷響く」「力強さ欠く」といった見出しが躍る。
ちなみに日本は0%台に低迷しているにもかかわらず、である。
一昨年春には「シャドーバンキング(影の銀行)崩壊」を理由とした「7月危機説」喧伝され、日本の新聞、雑誌に大見出しが繰り返し躍ったが、結局杞憂に終わった。
日中間では尖閣諸島問題など政治的な摩擦が絶えず、国民間にも感情的なわだかまりも介在する。
しかし経済の世界では、情報の正確な把握と適切な対応が不可欠。
日本企業には成長市場争奪戦に積極果敢に打って出る知恵と機動力が求められる。
』
次は「不良」とみるもの。
『
ダイヤモンドオンライン 2016年8月18日 陳言 [在北京ジャーナリスト]
http://diamond.jp/articles/-/99170
中国経済、実業低迷・バブル肥大の残酷な真相
上海の財政収入が急拡大しているが、
実態は製造業など実業の低迷と
金融・不動産業の活況という歪んだ構図だ
あらためて上海の繁栄ぶりを証明する最新データが公表された。
上海の財政局によると、今年上半期の一般公共予算収入は4196億元(約6兆3000億円)で、前年同期比で30.6%も激増しているという。
この「30.6%」という数値は何を意味しているのか?
今年上半期、全中国の財政収入増加率は前年同期比でわずか7.1%と低調で、中でも遼寧省は同増加率がマイナス18.6%と低迷している。
つまり、今年上半期は中国にある都市の大半が、財政収入の面で伸び悩んでおり、特に東北、北西の各地方ではマイナスが際立っている。
少数ながら大きな増加を維持している主要都市もあるが、せいぜい15%前後で、上海同様に24.4%という顕著な増加を見せているのは深センだけである。
とはいえ、上海の財政収入総額が深センの2倍以上であることを考慮すると、やはり上海市政府の資金吸引力が全国でトップということになる。
■喜べない上海の財政収入の増加
問題は上海がどうやってそれを成し遂げたかということだ。
GDP成長率において、上海はここ数年間ずっと四つの一級都市(北京、天津、上海、重慶)の中で最下位だっただけでなく、全国の大半の都市よりも低かった。
人口増加率においても、珍しいことに上海は昨年マイナスに転じるという現象が見られた。
一定規模以上の工業企業においては、総生産額と総利益がいずれもマイナスで、今年の1月から5月まで、6つの主要な工業分野のうち鋼材製造、設備製造、自動車製造、電子機器製造はいずれも後退し、石油化学とバイオ医薬だけが若干増加した。
第2次産業の業績がこれほど悪いのは、4つの一級都市の中で上海だけであった。
経済を牽引する3つの原動力を見ると、今年の1月から5月まで上海の輸出入増加率はマイナスで、固定資産投資増加率は8.0%(工業投資はマイナス)、そして小売総額の増加率は7.1%だった。
まさに「可もなく不可もなし」という表現がよく似合う状況だ。
上海はどうやって財政収入の激増を達成することができたのか?
その答えは、上海の経済構造から見出すことができる。
すでに定着している印象として、上海は中国で最大の工業都市と見なされているが、今日の上海経済において工業が占める割合は今や3分の1以下で、サービス業が全体の3分の2以上(67.8%)を占めている。
また財政収入の構造から見ると、上海の経済力に対するサービス業の貢献度はすでに80%を上回っている。
では、その上海のサービス業界で納税力が最も高いのはどの業種なのか。
それは、金融業と不動産業である。
上海市の公式サイトに掲載されたデータによると、不動産、卸売・小売、金融、ビジネスサービス、交通・運輸という五つの業種だけで、地方財政収入全体の60%以上を占めている。
それゆえ、一般の人々からすれば今日の上海経済は、鋼鉄や自動車、設備製造などの従来型産業が不振にあえいでいる一方で、金融と不動産が大盛況といういわゆる「氷火両重天(両極端のものが混在する)」の状態にある。
昨年、上海の金融業における付加価値額は4052億2300万元に達し、前年比で22.9%も増加した。
昨年、上海金融市場の取引総額は1463兆元に達し、前年の2倍と激増、証券市場の株式取引額は世界第2位となった。
昨年末から今年上半期までに、上海の住宅価格上昇率は深センを抜いて全国でトップとなった。今年上半期、上海の不動産投資額は工業投資とインフラ投資を足した額の2倍を上回り、固定資産投資総額の62%を占めている。
明らかに、上海の財政収入の激増は深センと同様、金融市場と不動産市場における盛んな取引に依存したものであり、現地の実体経済はいかなる貢献もしていない。
北京、広州、杭州などの主要都市には証券取引所がない上に、
巨額の資金を呼び寄せる投機的な不動産市場もないため、当然ながら財政収入の増加において上海と深センには遠く及ばない。
■元気があるのは金融と不動産だけ
上海とは対照的に、深センにはとにもかくにも安定かつ程よく成長している実体経済があり、特に先端製造業は好調を維持している。
それゆえ、上海経済のバーチャル化はとりわけ顕著だ。
上海はすでに上海人のための上海ではなく、全国ひいては世界中の資本のための上海となっている。
同市で大盛況の金融と不動産は、もはや現地の経済と住民にとってあまり縁のないものとなっているばかりか、全国的なバブル経済の影を感じさせる。
これこそ、中国経済の最も華やかかつ最も非現実的な一面だ。
この点において、上海経済はいわば中国経済の現状をそのまま反映した縮図である。
米国の経済誌『フォーチュン』に掲載されたデータによると、中国の上位企業500社(営業収入で判定)の中で、最も収入の高い上位40社のうち、24社は金融業界の企業となっている。
これらの金融企業の規模は他者を寄せ付けないばかりか、財務指標においても優位を保っている。
商業銀行の純利益だけで、これら500社中の黒字企業の44.3%を占めている。
そして、最も赤字を計上している企業53社のうち、IT企業3社以外はみな従来型産業の業界に属しており、特に鉄鋼とエネルギー業界の企業が多い。
実体経済の深刻な不振とバーチャル経済の活況は、全国的な状況と上海の現状に見られる驚くべき一致である。
中国経済に関して、『フォーチュン』誌は次のような懸念を示している。
「金融業の大盛況は、中国経済のモデルチェンジおよびグレードアップによる必然的な現象である一方で、もし金融業の発展と実体経済との乖離があまりに大きくなれば、資金の空回りが引き起こす経済バブルが国家の持続的な発展を脅かす恐れがある。
バブルを引き起こした1980年代の日本を教訓とするべきだ」。
上海と深センの財政収入の激増、そして不動産市場の大盛況は、政府や金融・不動産投資家に手厚い利益をもたらしたとはいえ、その代償として全国的な金融バブルとその崩壊を招くかもしれない。
しかし、その代償を負うのはバブルから利益を手にする者たちではなく、バブルに苦しめられる一般中国市民たちなのだ。
■注目される東北特殊鋼のデフォルト
最近、東北特殊鋼グループ(本社・大連)のデフォルト(債務不履行)問題が、債券市場および金融市場全体の一大事になっている。
今回のデフォルトは、地方の国有企業のデフォルトの先駆けというだけではなく、空前の規模だということだ。
2016年3月28日から4ヵ月の間に東北特鋼関連のデフォルトは7件あり、金額は47.7億元(約700億円)に及ぶ。
東北特鋼が債権者に対して債務を株式に転換する「債務株式化」をしないと約束して、まだ1ヵ月余しかたっていないが、同特鋼は再び、一方的に「債務株式化」を通じて苦境脱出を計画し始め、市場に恐慌を引き起こしている。
東北特鋼のデフォルトは、債券市場の持続的なデフォルト発生という大きな背景の下で発生した。
これまで、中国における債券デフォルトの発生率は概ね低かった。
しかし、生産能力過剰企業の製品需要が急速に低下し、加えて国有企業の改革を強化するために、政府当局は多数の「ゾンビ企業」の閉鎖に力を入れ、デフォルトはますます当たり前の行為になってきた。
統計によると、今年上半期、国内非金融系企業のデフォルトは30件発生し、昨年の全件数を上回った。
地方の国有企業のデフォルトが極めて危険なのは、それが工業部門の債務問題を金融システムに伝染させるからだ。
すでに中国の金融システムにおける不良債権問題は、非常に深刻化している。
工業企業、金融企業と投資家の間でいかにリスク分担をするかが、かなり緊迫した問題になっている。
こうした背景の下で、いかにして東北特鋼問題を処理するかは、他の債券デフォルト処理に対するモデルとなろう。
東北特鋼のデフォルト問題をどのような状況下で処理できるのかということが、問題解決の鍵である。
まず、破産による清算は論外だろう。
遼寧省の数少ない中核企業として、破産に踏み切ると、東北地区に国有企業破産の潮流と職工失業の潮流を作りだしてしまい、さらに社会不安を引き起こすことにもなり、中央政府、遼寧省政府ともにこの手法を採るのは明らかに不可能である。
東北特鋼について言えば、最も現実的で、最も頼りになる解決策は、やはり債務の株式化である。
しかし、債務株式化は東北特鋼の債券所有者の猛反対にあっている。
債券所有者は地方政府の介入を求め、東北特鋼の代わりに債務の大部分を返済するよう求めているが、実際には全く現実的ではなく、地方政府がこの要求をのむわけがない。
表面上、中国の金融、不動産業は、収益がたいへん高いが、実業経済の衰退が続く中で、果たしてこの金融、不動産の景気は維持されるだろうか。
国の投資以外に、民間の投資がめっきりと衰退していき、国営企業の改革はほとんど進まず、また道路、教育、病院、介護などの成長分野では、国営企業の独占を少しも緩和しないままでは、金融、不動産業の収益の減退も、目前に迫っているように思われる。
』
『
ダイヤモンドオンライン 2016年8月18日 莫 邦富 [作家・ジャーナリスト]
http://diamond.jp/articles/-/99173
中国でゴーストタウン続出、
無謀な開発が止まらない実態
いまから5年前のことになる。2011年夏、シルクロード沿線を訪問した私は、中国西部の甘粛省の首都蘭州市で、当時開発中だった「蘭州新城」といわれる大規模土地開発の現場を視察した。
そこで現場幹部が披露した開発プランを見て呆れてしまい、30分も経たずに現場を離れた。
降水量が非常に少ない蘭州に、杭州の西湖のような湖を造成して世界中の企業を誘致したいという紹介を聞かされたからだ。
さらに2年が経った2013年、中国は水増しのGDPは要らないと公式に宣言した習近平時代になった。
その蘭州新城の開発現場を暴露する報道がどっと溢れ出た。
このコラムでは、その記事の一部を読者に紹介した。
詳しくは「習政権の経済運営方針を反映する中国西部・蘭州新城開発のストップ」をご参照されたい。
経済が低迷しているいま、中国はゾンビ企業を問題にしている。
この蘭州新城(現在は蘭州新区となっている)も、ある意味ではゾンビ企業のような存在となっている。
最近の中国の報道をまとめてここでお伝えしたい。
■ゴーストタウン化する高層ニュータウン
蘭州中川空港の西南方向にある中川大道は、蘭州新区で最もにぎやかなエリアである。
2階建ての建物が連なる商店街は伝統的な地方の自由市場のような趣である。
だが、この通りをはずれると、新区の夜は明かりのない真っ暗な高層住宅が立ち並び、ひっそりとしている。
4年前、秦王川に位置する蘭州新区が正式に承認され、中国で5番目の国家級新区となり、狭い蘭州が外側に拡大発展する使命を担った。
新区の概念、素晴らしい計画、安い土地がデベロッパーを引きつけ、緑地・碧桂園・龍林・亜太など多くの開発業者がもとは田畑だった秦王川の3つの鎮(町)を瞬く間に高層マンションが立ち並ぶニュータウンに変えた。
それから4年後、ここは相変わらず土地はあるが人影はまばらで、空き家のままの建物がブラックホールのように蘭州新区の未来を飲みこんでいるように見える。
蘭州新区のマンション価格は1平方メートルあたり4000元(約6万1000円)前後で、蘭州市内と比べると5割近く安いという。
だがそれでも新区はやはりマンション購入者を引きつけることができない。
市街地から離れていて不便、というのが蘭州市民の新区に対する第一印象である。
都市間鉄道が開通したがそれでも50分ほどかかり、計画中の地下鉄5号線が新区に通じる予定だが具体的な着工時期は未定だ。
蘭州新区の広々とした道路を車で走ると、通行人はほとんど見かけない。
まるで巨大な工事現場のように、内部が空っぽのマンションやタワークレーンが到るところに見られ、削られた小山が岩肌をむき出しにし、路傍には建築ゴミが積まれている。
夜になると、立退き者用住宅である彩虹城と蘭石集団の従業員用住宅以外、大部分のマンションは真っ暗である。
■工業生産額は当初予想の10分の1
新区で指折りの有名デベロッパーである碧桂園は、城市花園という開発プロジェクトを手掛けたが、現在引くに引けない状況にある。
城市花園は2014年に販売を開始し、全697戸のうち買い手がついたのは211戸とたったの3割である。
地元の開発業者はさらに厳しい状況で、新区で販売されている住宅の大部分で販売率が3割前後である。
遠東錦繍華府のように、価格が1平方メートルあたり2400元(約3万6000円)で、全634戸のうち36戸しか売れていないところも現れた。
価格が1平方メートルあたり8600元(約13万1000円)の朱雀湖別墅はなんと販売数ゼロである。
蘭州新区の今年3月末の統計によれば、新区ですでに完成している住宅面積は約730万平方メートルで、在庫化している分譲住宅は600万平方メートルだという。
低迷する住宅市場は不動産業者に多大な資金的圧力をもたらしている。
工事の中止も珍しいことではない。
すでに撤退した企業も出ている。
蘭州新区管理委員会関係者が語ったところによると、今後アウトレットなどの複合商業施設が続々と開業予定だが、こうしたプロジェクトもまた同じような運命をたどる可能性があるという。
「蘭州新区産業発展計画」によれば、2015年までの蘭州新区の工業固定資産投資の累計額は800億元(約1兆2200億円)、工業総生産額は2015年には1200億元(約1兆8200億円)に達するというものだった。
だが、2014年に蘭州新区が実現した工業総生産額は105.94億元(約1600億円)で、計画の10分の1に満たない。
■2014年以降、乱立した国家級経済開発新区
現在、蘭州新区にある企業のほとんどが従来型の製造業で、関係者は「蘭州新区の企業誘致のためのデータが素晴らしくても、実際に着工に到るものは少ない」と嘆く。
新区への移転が決まった蘭州石化公司も足踏み状態にある。
計画によれば、2020年までに蘭州新区の都市人口は60万人、2030年までには100万人となる予定である。
2014年10月31日の時点で、蘭州新区の総人口は15万人、流入人口は2万2000人台にとどまっている。
蘭州新区は全国に17ある国家級新区のなかで最も人口の少ない新区となっている。
その局面を打破するために、2013年より蘭州市共産党委員会、市政府機関、一部の市直属部門など計16のセクションと700名近い職員が正式に蘭州新区に移った。
だが莫大な行政コストがかかるため、いったんは新区に移転した機関がまた続々と蘭州市内に戻りつつある。
蘭州新区が直面している現状は、この地域に限ったことではない。
1992年から2013年までの22年間で承認された国家級経済開発新区は6つだが、2014年以降の2年間で11もの国家級経済開発新区が承認されている。
2015年の全国17の国家級新区ランキングのうち、第1位の濱海新区(天津市)のGDPは最下位の貴安新区(貴州省貴陽市)の155倍であった。
一部の新区、特に中西部では売れ残り物件の山を抱えてゴーストタウンと化している。
蘭州新区はまさにその後者に属している。
経済発展の原理を無視した蘭州新区のような無謀な開発は、もはやこれ以上続けられなくなっている。
その巨大な損失の穴埋めは誰が負担するのだろうか?
』
『
サーチナニュース 2016-08-18 10:59
http://news.searchina.net/id/1616683?page=1
中国製造業の悲哀だ!
「規模こそ大きいが、強さはない」=中国報道
米誌フォーブスが発表する世界長者番付には、中国からも複数の富豪がランクインしている。中国の富豪たちの事業内容を見てみると、インターネット関連や不動産関連の事業で財を成した人物であることが分かる。
「世界の工場」と呼ばれた中国では製造業から世界有数の富豪は生まれていない。
中国ではしばしば「中国の製造業は規模こそ大きいが強くない」という言われる。
中国政府は製造業の高度化に向けたロードマップを打ち出しているが、現時点の産業としての製造業は規模こそ巨大であるものの、1社1社の競争力は低いという意味だ。
中国メディアのOFweek工控網はこのほど、中国は過去30年にわたって加工貿易によって発展を遂げ、世界第2位の経済大国となったにもかかわらず、なぜ製造業の分野で富豪がいないのかと疑問を投げかけている。
記事は、中国の製造業は主に加工貿易であり、世界の産業チェーン全体で見た場合は「安い人件費を背景とした組み立てなどの川下に位置する」と指摘し、高い付加価値を提供できていないことを指摘。
さらに、人件費も上昇し始めたことから、すでに中国からは工場の撤退が進んでいるうえ、
中国政府が打ち出した高度化もまだ始まったばかりだと論じた。
さらに、中国が世界の工場になるうえで重要な存在だった人件費などをはじめとする各種コストの安さはすでに失われていると指摘。
電力や天然ガスなどエネルギー面もコストや土地の取得費用などはすでに中国のほうが米国より高く、
「総合的なコストで見ても、もしからしたら中国のほうが高くなっているかもしれない」
と危機感を示した。
記事は、中国製造業が強くなる前に競争力を失いつつある現状に強い警戒感を示すと同時に、
製造業の分野で富豪がなかなか生まれにくい構造であることを「悲哀」であると嘆いている。
ただ、中国からも世界に通用するメーカーが現れつつあることも事実であり、
世界中で行っている買収を通じて、技術力が向上すれば中国製造業からも将来的にたくさんの富豪が生まれることも有り得る話だ。
』
『
サーチナニュース 2016-08-30 10:17
http://news.searchina.net/id/1617544?page=1
日本企業は脱中国が既定路線?
日本は故意に中国崩壊論を煽っている=中国報道
中国はこれまで世界の工場としての役割を果たしてきた。
多くの日本企業が中国に進出し、生産活動を行ってきたが、人件費の上昇などによって中国で生産を行うメリットはすでに薄れている。
また、日本企業にとって中国には反日感情という大きなカントリーリスクも存在する。
中国に投資を集中させるのではなく、投資先を分散させるチャイナ・プラス・ワンという考え方も広く知られているが、中国メディアの観察者はこのほど、日中関係が低迷するなかで日本企業の脱中国が始まっていると伝えている。
記事は、日本国内の書店では「中国関連の書籍がたくさん販売されている」と伝え、
書籍の内容としては中国崩壊もしくは中国脅威論を煽るものであると主張。
さらに、今日の日本における書籍は
1].「中国が強大となることは日本にとって脅威」であるとの主張か、
2].もしくは「中国はまもなく崩壊する」という主張
の2種類が中心であると論じた。
続けて、日本経済は高度経済成長の後にバブルを迎え、そして経済成長を失ったと指摘、そのため日本は中国もいずれ同じ道を辿ると考えていると主張したほか、政治的にも日本は中国に対して強硬な態度を堅持していると主張し、
「世論と政治の影響を受け、日本企業の中国事業に対する考え方も脱中国が既定路線となっている」
と主張した。
さらに記事は、日本国内では中国の経済成長率が10年後に2-3%まで低下する可能性があると報じ、中国崩壊論を煽る世論が存在すると主張する一方、
「それでも日本の経済成長率より高く、米国と同等の成長率だ」
と反発。
一方、日本は米国の経済成長率を理由に米国崩壊論を煽ることはないと指摘し、日本は故意に中国崩壊論を煽っていると主張した。
また、日本企業の脱中国化は理性的な判断とは呼べないと指摘しつつも、
脱中国化を進める背景には
「日本企業は中国が発展を維持できないと考えている」
と主張し、その証拠として日本国内では中国の過剰生産能力やシャドーバンキングなどの問題ばかりが取り上げられていると指摘、
日本企業は中国経済は今後成長の勢いを失い、低迷すると判断している
と伝えた。
』
『
週刊ダイヤモンド編集部 2016年9月6日
http://diamond.jp/articles/-/100945
中国の推定不良債権「公式統計の10倍」の薄氷
今年に入り、中国では社債市場のデフォルト(債務不履行)が急増し、金融不安が高まっている。
日本総研の試算によれば、推定不良債権は公式統計の10倍に達する。
昨年来、小規模な取り付け騒ぎも発生している。金融危機かはたまた問題先送りによる長期停滞か。中国経済の綱渡りが続く。
(「週刊ダイヤモンド」編集部 原 英次郎)
この数年にわたり、中国の不良債権問題はいつ爆発するか分からない時限爆弾として、最大の懸念材料となってきた。
最近の焦点は、債券(社債)市場におけるデフォルト(債務不履行)の増加。日本総合研究所の関辰一副主任研究員によれば
「デフォルトの件数は、前年の倍の勢いで増えている」。
このため金融システム不安にまでつながるのではとの懸念も高まっている。
背景には、中国の不良債権の全体像が不透明であるという根本的な問題が潜む。
関氏の推計によれば、
潜在不良債権比率は公式統計の5倍、
不良債権の規模は公式統計の10倍にも達する。
この数年、中国では企業債務残高が急膨張している。
2015年末の非金融企業の債務残高は約115.5兆元(15年の平均レート1元=19.4円換算で
約2241兆円)で、わずか7年間で3.7倍に膨らんだ。
対GDP(国内総生産)比で見ると、170%にも達し、日本のバブル期をも上回る(図参照)。
このうち潜在的な不良債権はどうなっているのか。
関氏は広義の営業キャッシュフローであるEBITDA(利払い前・税引き前・償却前利益)が、支払利息を下回っている企業の借入金を不良債権と定義して、潜在不良債権比率を推計している。
借入金および支払利息のある上場企業2327社について試算したのが、下表である。
15年末で「潜在的に危険な企業」数は223社あり、その借入金の合計は7367億元。
2327社の借入金総額8兆5499億元に対する比率は8.6%となる。
中国の金融当局、中国銀行業監督管理委員会によれば、同時期の不良債権比率は1.7%となっているから、その5倍に達する水準だ。
問題はこれにとどまらない。
式統計にはオフバランス(簿外)の融資、いわゆるシャドーバンキングが含まれていないからだ。
シャドーバンキングとは銀行融資以外のルートで、資金を仲介することを指す。
中小の不動産業の主な資金源にもなっている。
関氏によれば、
銀行の理財商品と委託融資、信託会社の信託融資の三つを合わせたシャドーバンキングの合計は、15年末で「49.1兆元」になる。
これに銀行のオンバランスの融資95.8兆元を加えると、与信総額は144.9兆元。
8.6%が不良債権と仮定すると、
その残高は約12.5兆元となり、
公式統計1.3兆元の10倍、
GDPの18.5%にも達する。
■金融危機か先送りかそれとも外科手術
綱渡りの対応が続く
今後、不良債権問題には、三つのシナリオが考えられるだろう。
★.第1が最も悲観的なシナリオ
金融危機が発生し、その結果、金融機関の企業に対する貸し渋り、貸し剥がしが発生して、景気後退に陥る。
昨年来、すでに小規模な金融機関の破綻や取り付け騒ぎも発生している。
★.第2が外科手術
政府が主導して一気に不良債権を損失処理し、公的資金を投入して損失を穴埋めすると同時に、業績不振企業の淘汰・再編成という構造改革を進める。
この場合、一時的に景気は大きく後退し、失業者も増えるが、その後の回復は早いだろう。
ただし、推定不良債権12.5兆元に対して、15年末の銀行の貸倒引当金はわずか2.l3兆元で、その差は10.2兆元もある。
これに対して、15年の中央政府の財政収入は6.9兆元、
地方政府は8.3兆元。
不良債権の財政収入に対する規模は大きい。
★.第3が先送り戦略
追加融資をしながら企業を延命させつつ、景気回復によって不良債権を減らしていくという戦略だ。
実現性の高いシナリオは順に第3→第1→第2か。
バブル崩壊後の日本も1990年代初めから第3の対応を採ったが、景気は回復せず不良債権が増大を続け、97年、98年の金融危機の発生、その後の長期停滞へと突入していった。
中国の習近平政権内部でも、構造改革派と景気重視派の路線対立があるといわれる。
政権内部の路線対立をはらみながら、不良債権処理は綱渡りの対応が続く。
』
『
産経新聞 9月17日(土)10時15分配信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160917-00000508-san-bus_all
中国の不良債権は公式統計の10倍の190兆円!
世界経済危機も現実味を帯び…
中国の不良債権の拡大に警鐘を鳴らすデータが、ここ最近、相次いで公表されている。
内閣府が8月まとめた報告書「世界経済の潮流」は、不良債権に計上される恐れのある銀行の要注意債権の残高が、2年で倍増したと指摘。
民間シンクタンク大手の日本総合研究所が発表した中国の推定不良債権が、公式統計の10倍に上るという試算リポートは、さらに大きな衝撃を市場関係者らに与えた。
中国に待ち受けるのは「金融危機」か、はたまた大胆な構造改革路線による不良債権問題の解決か。
政権内部では経済政策の路線対立も根深く、先行きはまったく読めない状況だ。
「(中国の)景気が減速する中、要注意債権の不良債権化に注意が必要だ」。
内閣府は「世界経済の潮流」の中で、こう警鐘を鳴らした。
中国では、債権を
「正常」
「関注」
「次級」
「可疑」
「損失」
の5つに分類して、最後の3つを、不良債権としている。
内閣府が要注意債権と呼ぶのは、不良債権のワンランク前の「関注」債権で、2016年4~6月期の残高は3兆2000億元(約48兆円)と、2年前の約2倍にまで増えたという。
また内閣府は報告書の中で、今年に入り、中国の国有企業の固定資産投資が急増しているとも指摘。
リーマン・ショックに対する経済対策を機に悪化した、過剰設備問題のリスクに対する警戒も呼びかけた。
一方、日本総研がまとめたのは、中国の金融機関が抱える潜在的な不良債権の残高が、15年末で12兆5000億元(約190兆円)に達するとのリポートだ。
中国政府は、同時点での不良債権残高を1兆2744億元(約19兆円)としており、試算結果は、ほぼ10倍に達する規模だ。
同社は、広義の営業キャッシュフローが支払い利息を下回っている企業の借入金を不良債権と定義し、中国の上場企業2327社の15年の財務データを分析。
このうち223社が、「潜在的に危険な企業」にあたるとした。
借入金ベースの比率では全体の8.6%に上る。
この比率を、公式統計に載らない「シャドーバンキング(影の銀行)」による融資や、非上場企業向けの融資を含んだ中国全体の貸出額にあてはめて、不良債権残高を推計したという。
リポートをまとめた関辰一副主任研究員は「不良債権の認定基準が甘いことなどを踏まえると、実際の不良債権は公式統計を大きく上回る規模と考えられる」と指摘。
不良債権が膨らんだ理由について、「中国経済の高成長の終焉にともない、製造業や採掘業、不動産業で、過剰債務・過剰投資の問題が深刻化し、不良債権比率が上昇している」としている。
こうした状況は、今後、中国経済にどのような影響を与えるのだろうか。
最悪のシナリオは、経営を圧迫された金融機関の破綻を機に、金融危機が引き起こされることだ。
バブル崩壊後の日本でも1990年代後半、金融機関の破綻が相次ぎ、貸し渋りや貸しはがしが起きたことで企業の破綻が相次いだ。
中国でも、同様の事態が起き、中国の景気が大きく後退する恐れがある。
ただ、日本という“反面教師”もいるだけに、中国は同じ道をたどらないのでは、と指摘する声も多い。
その場合、「構造改革」によって不良債権問題を解決する道が模索される可能性がある。
「構造改革」の場合、政府は金融機関に公的資金を投入する一方、金融機関はリストラを迫られ、景気は一時的に後退することになる。
中国の政治体制は日本と違うため、日本では遅れた金融機関への公的資金投入が、スピーディーに進むこともありうる。
ただ、政府内には、構造改革路線を重視する習近平政権指導部と、景気刺激を重んじて、高度経済成長路線への回帰を求める江沢民元国家主席ら「守旧派」との間の対立があるとされる。
この対立が根深ければ、構造改革路線は、そう簡単にはいかない。
結局、金融機関の寿命をダラダラと延ばしつつ、景気回復で不良債権問題の解決を待つ「先延ばし策」がとられるかもしれないが、中国の景気減速がささやかれる中、手をこまねくだけなら、傷口はますます広がりかねない。
14億人の人口を抱え、世界最大の消費市場に膨張した中国の経済が世界経済に及ぼす影響は巨大だ。
日本にとっても、進出企業の多さや対中輸出の巨額さを踏まえると、インパクトはとてつもなく大きい。
世界経済にとって、中国の不良債権問題は、いつ爆発する分からない「時限爆弾」のようなものだといえそうだ。
』
『
東洋経済オンライン 2016年09月05日 神宮 健 :野村総合研究所(北京)
http://toyokeizai.net/articles/-/133944
中国の金融自由化は、どこまで進んだのか
中国経済は人口構成の変化などによる潜在成長率の低下に加えてリーマンショックへの対応として打たれた4兆元の景気刺激策の後遺症(過剰生産能力、不動産過剰在庫の調整)を抱えている。
そのため、リスクや痛みを伴う経済構造改革の推進が難しくなる中で、中国の金融自由化や人民元レート形成の自由化も、中国政府当局の発表とは裏腹に、実感としてはあまり進んでいない印象を受ける。
それはなぜなのか。
金融と為替の自由化の問題を考える際、
「国内金融政策の独立性」、
「資本自由化」、
「為替の固定相場制(ないしは為替の安定)」
の三つが同時に成立しないことは「国際金融のトリレンマ」として、よく知られている。
足元の中国は、経済が国際化する中、「国内金融政策の独立性」を保ちつつ、「資本規制」「為替の安定」の状況から「資本自由化」「変動相場制」へ徐々に移行しているところだ。
一方、資本自由化を進めると、1980年代の日本のように、国内金利も海外金利の影響を受けるようになるため、金利自由化についても考えねばならない。
このように、資本移動、金利、為替の自由化は相互には関連しており、これらをどのように推進するかは、よく議論されるところだ。
■金利自由化完了のはずだが窓口指導が続く
中国の金利自由化を簡単に振り返ると、1990年代に銀行間市場金利が自由化され、金融機関の預貸金利については、2004年10月に「貸出金利は下限を管理、預金金利は上限を管理」することになった。
上限、下限は中央銀行である中国人民銀行が定める基準金利を基に決定される。たとえば貸出基準金利の0.8倍などだ。
その後8年間は自由化が進まなかったが、2012年以降、貸出金利の下限引下げと預金金利の上限引上げを徐々に進め、2013年7月に貸出金利の下限を撤廃、2015年には5月に預金保険制度を導入した上で8月に預金金利上限も撤廃し、金利自由化は完了した。
この金利自由化のプロセスで規制のアービトラージが見られたことが注目される。
金融イノベーションやインターネットの応用等により、従来の金利規制のかからない分野、具体的には、シャドーバンキング(主に銀行のオフバランス取引)やインターネット金融などにおいて、自由金利商品が次々と生み出された。
その結果、市場から金利自由化を催促される形で金利自由化完了の時期が早まったのである。
しかしその後は、さほど大きくは変化してない。
例えば、預金金利自由化直後に、人民銀行は商業銀行に対して預金金利を一定水準以上に引き上げない旨の、窓口指導を行った模様である。
その一方、シャドーバンキングに対しては規制強化で臨んでいる。
金融政策運営面でも、金利自由化を機に、人民銀行が目指す金利調整型の政策運営、つまり、中央銀行が政策金利を操作し、それがシグナルとなり経済全体に波及していく運営に近づいたとはいえない。
依然として、数量調整型の運営、
具体的には銀行融資に対する窓口指導が行われている。
また、農業や零細企業向け貸出について預金準備率の面で優遇措置を採るなど、ターゲットを絞った「定向」政策が採られており、言ってみれば個別対応型の手取り足取りの調整となっている。
さらに、金利自由化後は、人民銀行の基準金利に替わって各銀行からの報告に基づく貸出基礎金利(LPR)が徐々に指標性を持ってくるはずであったが、現在も1年物の金利が発表されているだけである。
■自由化よりも金融危機の回避が優先
★.背景には、第一に、金融危機の回避があろう。
目下金融面の最大の課題は不良債権処理である。
★.銀行の不良債権は、公表で「1.43兆元(約230兆円)に上り(2016年6月現在。商業銀行ベース)」、
実際にはその数倍(1000兆円)に及ぶ可能性もある。
不良債権処理のためには、景気が維持される中で銀行が利益(昨年の商業銀行の利益は約1.6兆元)を出し続ける必要があり、銀行の預貸利鞘の急速な縮小は当局、銀行とも避けたいところである。
★.第二に、中国の金融は間接金融が太宗を占めており、現時点で金融政策を有効に実行するには銀行ルートに頼らざるを得ないことがある。
また、政策金利が市場金利に波及していくだけの金融インフラも整っていない。
中国の金融の一つの問題として、銀行が、信用リスクが低い(とされてきた)国有企業に融資し、中小企業や農業関係向けの融資に積極的でないことがある。
銀行にとっては、一定の利鞘が確保されている中では、そのほうが簡単なためである。
こうした状況下で経済の弱い分野まで資金を行き渡らせようとすると、マクロレベルでは過剰緩和となり資産バブルを誘発しやすい。
このため、「定向」政策を採らざるを得なくなっている。
次に、人民元為替レートの形成メカニズムについて簡単に振り返ってみよう。
2005年7月の為替制度変更により、人民元は「市場の需給に基づき通貨バスケットを参考にする管理フロート制に移行」した。
日々の取引レートのレンジは、人民銀行が発表する中間値に対し、対米ドルでプラスマイナス0.3%となった(現在はプラスマイナス2.0%まで拡大)。
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ただし、その後の10年間の動きを見ると、時期を区切って人民元高、人民元安、人民元の安定といったトレンドは見られるものの、短期間の変動は基本的に小さかった。
この背景には、中間値がかなり恣意的に決められていたことがある。
前日の終値がレンジの限界にあっても、当日の中間値は再び前日の中間値に近い水準に戻されるといったことである。
このため人民元レート自由化のためには、レンジ拡大だけでなく、中間値に市場需給を反映させることが必要だと指摘されていた。
■為替レートの変動に政府当局は慎重
2015年8月11日の相場改革はこれに応えたものである。
中間値は、マーケットメイカーが、前日の終値を参考に、外貨需給の状況と国際主要通貨の為替レートを総合的に考慮し外為取引センターに提供することになった。
12月には、13通貨から成るCFETS(中国外為取引センター)人民元指数が発表された。
人民元レート形成について対米ドルではなく対通貨バスケットでの人民元レートを重視していることを市場に意識させる意図があろう。
2016年には上記の中間値の計算についてさらに具体的な方法が示されている。
2015年8月以降の対ドル人民元レートの動きは、人民元高・安の両方向に動くようになっており、変動幅も大きくなっているものの、一方向へゆるやかに動くというこれまでの傾向から脱しているかを判断するにはなお時間を要する。
昨年8月の相場改革の際には、為替市場が動揺した。
市場参加者が為替変動に慣れていない中で、当局は為替の大きな変動に対して慎重になっている可能性もある。
しかし、為替の調整が一方向でゆるやかな場合、さらなる為替投機をもたらすリスクにも注意が必要だ。
資本自由化について見ると、SDRの構成通貨入り(16年10月予定)を目指していたことなどから、2015年において、一部自由化あるいはほぼ自由化された資本項目は37項目で全体の92.5%に達している。
ここでも表面上自由化が進んでいるが、当局の姿勢を見ると、2012年には人民銀行調査統計司が10年間・3段階の資本自由化案のレポートを発表するなど資本自由化に積極的な動きが見られたが、その後は、むしろ自由化に慎重になっているように見える。
■資本流出阻止へ海外送金チェックを強化
実際、様々な管理がなされている。
特に、資本流出傾向が激しくなった昨年以降は、既存規定の厳格化の形を取りながら海外送金等に対するチェックが厳しくなった。
また、最近の対外証券投資を見ると、06年の導入以来あまり人気のなかったQDII(適格国内機関投資家制度。
割当てられた限度額の枠内で海外証券投資ができる)の投信が今年前半大きく売れた。
しかし、資本流出への警戒からと思われるが、当局が枠を絞っているためQDII商品を作り難くなっている。
これは、ゆるやかな人民元高トレンドの下でホットマネー流入が続いていた頃、QFII(適格外国機関投資家制度)枠を絞っていたことと、流出入の方向が逆である以外、同じ構図である。
やはり、当局は大量の資本流出によって、不良債権問題をかかえる国内金融システムが不安定化することを懸念していると見られる。
一方、技術的には、近年、金融市場や人民銀行の公開市場操作のツールは整ってきているが、大規模な内外資本移動に対応するにはなお不十分と当局が判断している可能性もある。
このように、金利・為替・資本自由化は進んでいるものの、実際はかなりコントロールされた中途半端な状況である。
例えば、こうした中で米国が利上げし、中国から資本流出が生じた場合、これまでと同様、資本規制の強化とある程度の人民元安の組み合わせで対応することになろう。
ただし、上述したように、さらなる投機的な動きが生じるリスクはある。
本格的に自由化を進めるには、
第一に、足元の不良債権処理が重要である。
この点では、最近、不良債権の資産証券化の再開などの動きが出ており、不良債権処理が加速するかどうかが注目される。
不良債権処理が峠を越せば、金利自由化が実質的にも進められる。
第二に、銀行依存の金融体制を変えるには、長年指摘されてきた直接金融の拡充等を進めることに加え、インターネット金融の利用やインターネット会社等の金融への参入を秩序立って推進する必要がある。
これにより、金利自由化だけでなく本稿で触れなかった業態自由化も進むことになる。
第三に、金利調整型の金融調節のための環境も整備しなければならない。
国債市場のさらなる充実が必要である。国債金利のイールドカーブがしっかりしないと、金利体系が安定しない。
■自由化の進展には市場との対話も重要
信用リスクを金利に反映させることも重要である。
長らく債券市場でデフォルトが発生せず、特に国有企業の債務には暗黙の政府保証があるという前提で、信用リスク評価は重視されていなかった。
だが、2015年以降債券市場でデフォルトが発生するようになり、最近では国有企業のデフォルトも生じたことから、信用リスクも重視されるようになってきた。
これは債券市場の成熟の面からはプラスと捉えられる。
厚みのある金融市場や公開市場操作のツールも必要である。
後者については、最近では、SLF(Standing Lending Facility、常設貸出ファシリティー)、MLF (Medium-term Lending Facility、中期貸出ファシリティー)等の人民銀行による市場への資金供給手段もそろってきた。
これは資本流出入に機敏に対応する上でも重要である。
第四に、為替自由化については、人民元レートは制度上かなり変動することが可能である。
当局は市場参加者の成熟度に対して慎重であると見られるが、その一方で、昨年8月の相場改革の際は、市場に改革の主旨をうまく伝えられず、混乱を招いた。
当局側も市場参加者とのコミュニケーションを改善する必要がある。
今後は金融システム不安の解消に取り組み、それと平仄を合わせながら金利・為替自由化と金融インフラ整備を進め、さらに資本自由化を進めていくことを目指していると考えられる。
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