2016年8月11日木曜日

信用という「中国」のブランド(1):落ち続ける信用度にどこで歯止めをかけるのか

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 高速鉄道にみるように、契約をしたが破棄同然になるものが多い昨今である。
 イギリスでは原発計画の見直しが発生している。
 ベトナムでは水道プロジェクトでクレームである。
 「安かろう悪かろう」
ということは分かっていただ、それでも安いものに手がでるのはしかたがないことである。
 ただこれが中国に集中してしまうと、中国への信頼・信用は反故になる。
 ローテクレベルなら損して当たり前と諦めるが、これがミドルレベルからハイテクになると、ダメだったからあきらめるというわけにはいかなくなる。
 これまでは、ローテクで世界を席巻してしていたから問題なかったが、技術レベルが上がってくるとそうもいかなかくなる。
 国家信用度ということにもなってくる。


Record china配信日時:2016年8月10日(水) 8時30分
http://www.recordchina.co.jp/a147185.html

英国が中国出資の原発計画の再検討を表明、
中国の駐英大使が早期承認を求める「中英関係にとって重大な局面」―英紙に寄稿

 2016年8月9日、AFP通信によると、中国企業が一部出資している英国の原発プロジェクトをめぐり、英政府が計画の再検討を表明したことについて、中国の駐英大使が早期に承認するよう求めた。

 英国のヒンクリーポイント原発は、フランス電力公社(EDF)が主導して、中国企業も一部出資をすることが決まっている。
 だが、発足したばかりの英国のメイ政権は先月28日、計画について再検討することを表明した。
 メイ首相の側近によると、英国の安全保障上の問題に懸念が挙がっているとみられる。

 中国の劉暁明駐英大使は9日付の英紙フィナンシャル・タイムズへの寄稿で、英政府が建設計画の再検討を表明したことによって、中英関係は重要な局面を迎えていると指摘し、計画を円滑に進めるため、英政府ができる限り早期に計画を承認することを希望すると述べた。
 英政府は9月に計画について最終決定する見通し。

 この報道に、米国のネットユーザーからは、
 「英国はEU離脱を決めてから、この問題については選択肢が減ってしまったようだな」
 「なんということだ。
 西側諸国のどこの国が、中国に原発を作らせることを許可しなければいけないんだ?
 いつでもハッキングできるじゃないか!」
 「中国には、『勝手にしろ』と言えばいい」
といったコメントが寄せられている。



現代ビジネス 2016年08月12日(金) 川口マーン惠美
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/49430

「鉄の女」の再来か
中国の原発投資計画をドタキャン



■正式決定の数日後

 昨年10月、中国の習近平国家主席がイギリスを訪問し、国会や大晩餐会でスピーチをしたり、エリザベス女王と馬車でロンドンの街を駆けたり、バッキンガム宮殿に泊まったりした話は、いくばくかのショックと共に、まだ私たちの記憶に新しい。

 中国はこの訪英で、総額400億ポンド(約7兆4,000億円)に上る商談を決めたのだが、中にはサプライズもいくつかあった。
 その一つが、イギリスでの原発プロジェクト。ヒンクリーポイント、ブラッドウェルなど三ヵ所の原発プラントに、中国企業CGN(中国広核集団)が参画することが決まったのだった。
 ヒンクリーポイントでは、EDF(フランス電力)が仏アレバ社の新鋭機を2基建設する予定だ。
 資金の3分の2をEDFが、3分の1をCGNが出資するという。
 一方、ブラッドウェルではCGNが3分の2を出資し、なんと、中国の国産原子炉「華龍1号」が建設されるらしい。
 英国内では反対の声もあったというが、それをキャメロン首相が押し切ったのである。
 実はイギリスは、原発を20年以上も作っていないので、もう自分たちでは作れない。
 資金もない。
 一方、頼りにしていたフランスは、原発は作れるが、資金繰りがつかない。
 そこへ登場したのが、お金があり、しかも原発技術大国になりたい中国というわけだった。

 習近平氏に取り入るようにして、この大取引を物にしたキャメロン首相、技術も資金も“他人のフンドシ”のわりには、いたくご満悦の様子だった。
 さて、8ヵ月の時が流れ、国民投票でイギリスのEU離脱が決まったのが6月23日。
 EUを大混乱に陥れた張本人、キャメロン首相は鼻歌交じりで退場し、7月13日、代わって就任したのがテレーザ・メイ新首相だ。
 折しもフランスでは、前述のヒンクリーポイント原発の投資計画がようやく正式決定されたばかりだった。
 ところが、関係者一同がホッと胸をなでおろしたのも束の間、数日後には地獄の釜をひっくり返したような騒ぎとなった。

 8月2日、ロイター通信が伝えたところによれば、重要なインフラ施設への中国の関与には安全保障上の懸念があるとして、メイ首相の命令で、計画が再検討されることになったのだ。
 首相になって、いの一番に下した命令の一つだろう。
 このドタキャン、すでにオランド仏大統領には電話で伝えてあるという。

 思い返せば、最近、英中は異常に接近していた。
 AIIBへの参加をいち早く決めたのもイギリスだったし、11月末に決まった人民元のSDR入りについても、詰めは、習近平・キャメロン両氏がロンドンで行ったと思われる。
 習近平氏は、これによって人民元決済や元建て債券の発行が大々的に可能になると踏み、キャメロン氏は、人民元ビジネスの利権を手にしてガッポリ儲けるつもりだったろう。
 つまり両首脳は手を取り合い、英中「黄金の10年」に突入しようとしたわけだが、ひょっとするとメイ首相はこれから、それら中国寄り路線を一つ一つ覆していくつもりなのか?

 メイ首相とはいったい何者だろう?

■“鉄の女”の再来か

 メイ氏が首相に就任したその日、メルケル首相はちょうどキルギスに外遊中で、そこからお祝いの電話をかけたという。
 二人は会ったことはなく、言葉を交わしたのもこの電話が初めてだった。
 その1週間後、メイ首相がベルリンに来た。
 普通なら、イギリス首相の初の外遊はワシントンかパリ、あるいはブリュッセルだが、彼女はベルリンに来た。
 それをドイツのメディアは、「EUの重鎮ドイツを重視している証拠」と評価したが、おそらくメルケル首相がキルギスからの電話で、ドイツを最初の訪問地とするよう「ご招待」したのだろう。
 そして、招待を受けてやってきたメイ首相は、儀仗兵による最高の栄誉礼で迎えられた。

 ドイツでは、メイ首相とメルケル首相が似ているなどという声もある。
 保守で、地味な実務家で、女性というハンディにもかかわらず一国の首相にまで伸し上がった。
 しかも二人とも牧師の娘で、既婚、子供なしetc。
 しかし、私はこの二人が似ているとはあまり思わない。
 メイ氏はどちらかというと、サッチャータイプではないか。
 いうまでもなく、サッチャー首相とメルケル首相はまるで似ていない。

 サッチャー氏は国民に嫌われることを厭わなかった。
 死に体だったイギリスの復活を期し、“鉄の女”の異名にふさわしく、あらゆる前線で戦った。
 働組合を徹底的に叩き、採算の取れない炭鉱を閉鎖し、国営企業を民営化し、金融における規制をどんどん甘くした。
 「私は好かれるために首相になったのではない」
という言葉は、おそらく嘘ではなかったのだろう。
 フォークランド島をめぐる紛争では、アルゼンチン相手に本物の戦争さえ起こした。
 こうして、イギリスは金融大国になった。

 メイ氏を見ると、私はサッチャー首相を思い出す。
 時代が違うのだから政策の方向は異なるだろう。
 そもそもメイ氏は、イギリスを金融に依存しない産業国に戻したいという夢を持っている。
 ただ、イギリスを再び強い国にしたいというところは同じだ。
 また、国民に媚びそうもないところ、また、必ずしもポリティカル・コレクトネスに縛られていないように見えるところが、サッチャー首相と似ている。

 それに比べてメルケル首相は、党の意向や国民の意見を無視して物事を進めることは少ない。
 自分の意見がないという非難もあるほどだ。
 例外的に難民問題だけは強引に「ようこそ政策」を推し進めたが、この場合も「人道」という切り札を味方につけていた。
 ドイツにおいて人道主義は絶対に落とされない砦なので、それを主張するのは難しいことではないのだ。
 つまり、この切り札のおかげで、彼女は常に反対する人々より道徳的に優位な位置を保てた。
 彼女はポリティカル・コレクトネスにはことのほか敏感だ。
 だからといって、メルケル政権のしていることがいつも道徳的に瑕疵がないかというとそれは大間違いだが、ただ、少なくともメルケル首相は、ドイツの人道イメージを保とうとしている。
 彼女を「ドイツの母」といった温かいイメージで見ている国民もいる。

 そもそも、強いドイツを目指すなどと言おうものなら憤慨するのがドイツ国民である。う
 がった言い方をするなら、メルケル氏は、勝手に強くなっていくドイツを、強くなっていないように見せなければならない。
 そこが強いイギリスを目指すメイ氏との決定的な違いだ。

■イギリス社会にくすぶる“爆弾”

 7月20日にベルリンで行われたメルケル・メイ両首相の共同記者会見は興味深かった。



 相手を注意深く観察しつつも、にこやかに誉めあい、重要なことは何一つ喋らず、両国の培ってきた緊密な協力関係と友好は何があっても変わらないということが強調された。
 しかし、そのリラックスした微笑みの輪の中で、互いの国益を賭けた鋭い火花が散っていた。
 まもなく始まるはずの熾烈な交渉の値踏みである。

 イギリスにしてみれば、EUは交易相手として重要なので、今、手にしているEUにおける自由貿易の権利を手放すわけにはいかない。
 ただ、イギリス国民をEU離脱に導いた最大の問題は、他のEU国からの増えすぎた移民だ。
 つまりメイ首相は、移民の流入をどうにかして制限しなければならない。
 しかし困ったことに、自由市場参加の条件は、人間の自由な往来を認めるということなのだ。
 メイ首相の前には、ほとんど解決不可能に見える難問が立ちはだかっていることになる。

 記者会見の最後の方で、ある記者がメイ首相に、ボリス・ジョンソンを外相に起用した真意を問うた。
 「なぜ、出場したくない選手をグラウンドに引っ張り出したのか」と。
 それに対してメイ首相は
 「イギリス首相がドイツでサッカーについて話すなんて、危険すぎます」
と素っ惚け、続けて再び、EUとの関係を良好に保ちたいとの抱負を述べた。
 イギリスの政治家は老練である。

 現在、イギリスには300万人のEU国民が暮らし、そのうち一番多いのがポーランド人の79万人だ。
 多くの分野では、移民はすでに欠かせない労働力となっている。
 7月29日、メイ首相はポーランド首相に会い、ポーランド人を引き続き歓迎する意向を伝えた。
 しかし、このままでイギリス国民が黙っているかどうか? 
 移民問題は、すでに導火線に火のついた爆弾のようにイギリス社会にくすぶっている。

 先日、ロンドンにいる次女に電話をしたら、今のところBrexitの影響は何も感じないそうである。
 「でも、イギリスはそのうちEU移民の流入に制限をかけるみたいよ」
と言うと、彼女が電話口で、
 「そんなことをしたら、イギリスはすぐに崩壊しちゃうわ」
と笑った。



Record china配信日時:2016年8月11日(木) 4時10分
http://www.recordchina.co.jp/a147222.html

「中国企業の品質は予想以下」
=ベトナムの水道プロジェクト、中国企業との提携を解消―中国紙

 2016年8月10日、環球時報によると、ベトナムの首都ハノイの水道管改造工事を請け負っている現地企業Vinaconexが中国企業との提携を解消した。
 原因は中国側が生産するパイプの品質が「予想以下」であるためだという。

 中国の新興鋳管が今年3月に落札したハノイの水道プロジェクトは投資総額5370万ドル(約54億4500万円)、パイプの長さは21キロに上る。
 20万世帯に生活用水を送るのに使われ、使用寿命は50年間が見込まれていた。
 工事は今年5月に終わる予定だったが、ベトナムでは落札後から中国企業の製品の質に疑問の声が持ち上がっており、4月に工事が中断。
 Vinaconexの責任者は新たなパイプ提供業者を探す考えを示している。



ダイヤモンドオンライン  2016年8月12日 姫田小夏 [ジャーナリスト]
http://diamond.jp/articles/-/98504

中国製品、脱ニセモノ化も「ブランド確立」の高い壁

 「中国、こんな商品まで売られているんです」

 出張先の上海で会社経営者の林田聡さん(仮名)は、カーナビゲーションが日本円にして3000円ほどで販売されているのを通販サイト「タオバオ」で発見した。
 日本地図こそインストールされてはいないが、日本の量販店で購入しようとすれば、パナソニックの「ゴリラ」の売れ筋で5~6万円はする。

 「これはニセモノだろうか?」
と首をひねる林田さんだが、それは日本ブランドのコピー品ではなかった。
 商品名はある。
 だが、中国の自動車業界を熟知する林田さんですら知らない“無名ブランド”だった。
 「名もない中国企業でも日本ブランドと同等のものが作れるようになったということですね」
と林田さんはつぶやく。

 しかし、林田さん警戒を解かない。
 「この商品、コピー品ではないけれど極めてグレーですよ」。
 林田さんが不安になったのはほかでもない。
 この商品にブランドがないためだ。
 例えば、パナソニックのゴリラなら、多少値段は高いがそれに見合ったサポートを得ることができる。
 故障しても期間内であれば保証を受けられるし、地図を更新するにも期間内であれば無料で更新できる。
 仮にこの3000円のカーナビを購入して日本で使うならば、「使い捨て」を覚悟しなければならない。
 トラブルが発生しても、この中国メーカーによるサポートは期待できない。
 そもそもアフターサービスという概念が定着していない中国では、商品を売り逃げするメーカーはまだまだ多いのだ。

 近年は、日本のカー用品アフター市場に中国メーカーが生産した部品や付属品が入り込むようになってきている。
 “中国製・無名ブランド”は通販サイトなどで散見されるが、さすがに大手流通小売業界では「権利侵害はしていないが、どこか怪しげなパーツ」には距離を置く。
 都内のカー用品の販売に携わる専門店従業員は次のように明かす。
 「以前、うちでも中国の“無名ブランド”のカーアクセサリーを扱ったことがありますが、取引開始後3年も経たずして会社ごと消えていたことがありました。
 大手量販店などは信用問題にかかわることから、日本に拠点すらない無名の中国メーカーとの取引を敬遠しています」

■ニセモノづくりから足を洗いたいが
 消費者に振り向いてもらえない

 知的財産権の侵害に悩む日本企業に向けて、戦略的なサポートを提供する企業にGMOブライツコンサルティング株式会社(本社:東京都)がある。
 同社に在籍していた上海出身の平安(ピンアン)さんは、当時顧客からの依頼で、タオバオなど通販サイトで出回る「疑わしい対象」を抽出し、情報提供する業務に就いていた。
 驚くのは、この3年間での中国の知財意識の変化だ。
 平さんはこう話す。
 「3年前は証拠を集め、コピー品の製造現場を探し出し、弁護士事務所に依頼するなど、模倣品対策は大変手間のかかるものでしたが、最近は中国の通販サイトが知財保護を強化するようになり、証拠となる情報を専用サイトにアップロードしさえすれば出品削除に応じてくれるようになりました」
 確かに、アリババグループを中心とする通販サイトは模倣品対策に力を入れており、専用サイトのガイドラインに基づいて手続きを行えば、不正な出品の削除がより簡単にできるようになった。

 その一方で、情報提供を受けた顧客が、現地弁護士を通じて通販サイト上の権利侵害者に対し警告文を送ると、「相手から反論が返ってくることがある」(同)という。
 中国ではコピー品の販売が知財侵害だと認識できない企業や個人がまだまだ多いようだ。

 こうした業務を繰り返す中で、平さんはこんな案件に遭遇した。
  「ある通販サイトで、中国企業のA社が『商品は日本B社の某ブランドと同じパーツを使っています』というフレーズを使用しているのを見つけました。
 これは『日本の某ブランドの新製品ではないか』と誤認させる言い回しでもあり、不正競争防止法に抵触するという判断からB社に報告、その後削除申請を行うことに決めたのです」

 一見するといつもの削除申請につながる情報提供業務だが、このコメントからは中国企業の新たな変化が見て取れるのだ。
  “日本B社の某ブランド”を日本の楽器メーカーだと仮定しよう。
 中国には楽器メーカーの生産工場があり、多くの中国メーカーが部品を納入している。
 そのうち一部の中国メーカーが、部品の生産と納入に飽き足らず、自前で部品を集め組み立てて同じ楽器を作ろうと発想する。
 そこに日本の楽器メーカーに似た商標をつければそれがコピー品となる。中国企業は知ってか知らぬか、過去に何度となくこうした行為を繰り返してきた。

 だが、このA社は商標権侵害まではせずに踏みとどまった。
 平さんによれば「安易であからさまなコピー行為に及ぶ中国企業は減少傾向にある」という。
 恐らく通販サイトの模倣品対策の強化も奏功しているのだろう。

 むしろ問題はそこから先だ。
 もしA社の商品に“中国名の自社ブランド名”をつけたら、中国の消費者はこれを購入するだろうか。
 中国の消費者には「聞いたこともない中国ブランドは疑ってかかれ」という暗黙の了解がある。
 簡単には人を信用しない中国人に、確立されたブランドなくして商品の良さを説得するのはほぼ不可能だ。
 つまり、A社は最初から「負け」を知っていたことになる。
 だからこそ編み出したのが「日本のB社の某ブランドと同じパーツを使っている」という苦肉のキャッチフレーズなのだ。

 「ニセモノづくりから足を洗いたい、だが、自社ブランドでは客が振り向かない」という中国企業のジレンマ。
 “脱ニセモノ”を試みる中国企業には大きな壁が立ちはだかっている。

■製造技術だけでは通用しない
 国際ブランドとして問われるのは信用力

 確かに中国の製造業は日進月歩であり、一部の技術はすでに日本に追いついていると言えるものもあるが、信頼できる国産ブランドは多いとはいえない。
 ましてや、世界が認めるブランドもほとんどない。
 “精巧なものづくり”ができるようになった中国の最大のチャレンジはここにある。

 大東文化大学の某名誉教授は、中国の製造業と知財意識を端的に物語る事例として「紫砂壺(ズーシャーフー)」を挙げる。
 「紫砂壺」は江蘇省宜興市で生産される素焼きの急須のことだ。

 紫砂壺について同教授は
 「中国の長い歴史の中で知的財産権という概念やブランドという概念が出てきたのはごく最近のこと。
 優れた伝統工芸品であるにもかかわらず、『紫砂壺』ですらこれを守ろうという動きがなかった」
と指摘する。

  「紫砂壺」は原料と技術、そして焼き方で決まるといわれる工芸品だが、小規模な生産元が乱立しており、たまに名人は輩出されても、高品質を維持しブランドとして名を馳せるまでには至っていない。
 そのため、市況が悪化すれば投げ売りに出るなど、市場は不安定な状況に置かれてきた。

 それでも最近はようやく自社で開発・設計を行い、商標登録に乗り出すなど、ブランディングの第一歩を踏み出す企業も出てきている。
 「紫砂壺」はほんの一例だが、これまで価格だけで戦ってきた中国の製造業の競争が、質的に変化しようとしていることがわかる。

 一方、こうした変化に対し、楽観は禁物とする声もある。ものつくり大学の田中正知教授はこう指摘している。
  「昔の日本がそうだったように、中国は今、ライセンス生産から自社ブランドを立ち上げる時期に入っています。
 その先は海外進出も視野に入れているでしょうが、果たして国際市場に受け入れられるかどうか。
 国際ブランドとして問われるのは信用力だからです

 国産ブランドのアイスクリームバーはたった5元で売られているが、ハーゲンダッツは40元もする。
 高齢者が使う国産携帯は300元程度で買えるが、アップルのスマホは6000元だ。
 名もない中国メーカーのカーナビが3000円なら、パナソニック製ナビは6万円の値段がつく。

 たとえ自社ブランドを確立しても、国際ブランドとのその差は埋めがたい。
 その差は「信用力の欠如」、この一言に尽きるといえるだろう



サーチナニュース 2016-08-24 15:27
http://news.searchina.net/id/1617155?page=1

東南アジアで「上品で高級」なイメージの日本企業、
中国企業が競争するには・・・

 中国メディアの新浪は19日、中国企業の東南アジアにおける直接投資が日本企業と衝突するケースが増えていると伝え、中国企業が日本企業と海外投資で競い合うためには中国政府の強力なサポートが必要であると主張している。

 記事は東南アジアにおける日本企業の投資が拡大していることを指摘。
  しかしその主要な理由は
★.中国の投資を妨害するためではなく、
 日本国内の少子高齢化という問題や
 東南アジアの安価な労働コストや潜在成長力といった魅力によるもの
と指摘。
 また東南アジア諸国も「Made with Japan(日本との共同製造)」に魅力を感じ、そのブランド価値を求めているとの見方を示した。

 さらに「日本政府は資金や技術が足りない中小企業の海外投資を全面的にサポートしている」と指摘。
 従って中国企業が東南アジアで日本企業と競い合うためには、
 「中国企業自身の努力のみならず、中国政府の強力なサポートと協力も必要である」
と説明した。

 いつの時代のどんな分野においても、頼りになる協力者の存在は成功するための非常に大きな要素の1つだ。
 記事は東南アジアにおける投資で中国が成功を収めるには、日本企業が得ているような政府のサポートが必要であるという見方を示している。

 特に強力な競争相手がいる場合は、なおのこと頼りになる協力者が必要だろう。
 東南アジア諸国は「Made with Japan」を「高大上」だと感じていると記事は指摘しているが、
 「高大上」とは中国のネットスラングで、ハイエンド・上品・高級という意味
がある。
 こうしたブランドイメージを持つ日本企業と競い合うのは中国企業にとって簡単なことではないだろう。



WEDGE Infinity 日本をもっと、考える 2016年09月02日(Fri)  山本隆三 (常葉大学経営学部教授)
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/7632

英国メイ首相は中国が嫌い?
なぜ中国が資本参加する仏原発の認可を見直すのか?

 フランスEDF(仏電力公社)と中国CGN(広核集団)が共同で取り進めている英国ヒンクリーポイントC原発の契約調印を英国政府が遅らせ、メイ新首相が率いる政権が契約の是非を再検討することになった。
 英政府の再検討方針の発表が行われたのは、契約調印式の前日という際どいタイミングだった。
 英国政府の最終結論は初秋に出される予定だ。

 見直しを行う理由は、安全保障上の問題とも言われているが、英国の原発に中国資本の参加を英国政府が認めた時点から安全保障の問題は指摘されていた(「中国原発の技術とカネにすがる英国のお寒いエネルギー事情」)。
 前キャメロン政権は、その安全保障上の問題も検討し中国との事業推進を認めたはずだ。
 ただ、今年になり米国でCGNの社員がスパイ容疑で逮捕される事態があり、新政権がより慎重になっている可能性はある。

 安全保障問題以外に、英国政府が認可を再検討せざるを得ない理由があるのではと思われる。
 その一つは、メイ政権が打ち出した産業振興策、製造業復活だ。
 そのためには、エネルギー・電力に価格競争力がなければならない。
 英国政府が約束したヒンクリーポイントCからの電力の買い取り価格が高く、産業の競争力に影響を与えるという指摘がありそうだ。

 もう一つは、英国が熱心と言われている地球温暖化、気候変動問題への取り組みだ。
 EU離脱派の主要幹部は温暖化懐疑論者が占めていた(「トランプ似の前ロンドン市長もトランプも温暖化懐疑論者なのはなぜか?」)。
 メイ首相自身も以前は温暖化問題に熱心だったが、最近は全く発言しないと言われている。
 温暖化対策を進めるためには原発は必須と考えていた前政権の方針に変更があれば、原発推進の熱意は落ちるかもしれない。

 キャメロン前政権は、西側諸国では中国と最も親しいと言われ、ヒンクレーポイントC原発は英中蜜月の証明でもあった。
 EU離脱により、英国新政権は中国との貿易条件などの交渉を行うことも必要になるが、メイ新政権は、中国に対し甘くはないということもあるのだろうか。
 中国政府からは英中関係は岐路にあると牽制が行われている。

■暗雲立ち込めるヒンクレーポイントCプロジェクト

 昨年10月にCGNの参加が決まった時には、プロジェクトは順調に進むものと思われたが、その後権益の約3分の2をもつEDF社内にて本プロジェクトを巡り議論が沸騰することになった。
 まず、プロジェクトのリスクに関する議論がある。
 新たに開発されたアレバのEPR(欧州加圧水型炉)が建設されることになるが、フィンランド、オルキルオトで建設されている同型炉の工期は大きく遅れ、工費は膨らんでいる。
 2003年から開始された工事の完工は2018年になり、工費は32億ユーロ(3600億円)が85億ユーロ(9600億円)になっている。

 ヒンクレーポイントC原発において発電される電気は、全て35年間にわたり英国政府機関が1MWh当たり9.25ポンド(1kWh当たり12.3円)で買い取る予定になっている。
 電力市場が自由化されている英国では、将来の電気料金がいくらになるか保証はなく、巨額の投資を必要とされる発電設備に投資を行う事業者が出てこないために、政府が電気料金を保証するのだ。

 ただし、この買い取りには条件がある。
 いまヒンクレーポイントCの運転開始は2025年と予定されているが、2029年より遅れることになれば、35年の買い取り期間は1年ずつ縮められる。
 2033年までに運転開始ができなければ契約は無条件で解除される。
 現在行われているフィンランドでの工事並みに遅れれば、買い取り期間短縮、最悪の場合にはキャンセルもあり得るスケジュールになる。
 このリスクの下、180億ポンド(2兆4000億円)のプロジェクトの3分の2の投資を行うのは無謀との指摘が出てきた。

■EDF労組の反対を押し切り推進を決議した取締役会

 EDFは仏全土の原発58基の操業を行っているが、今年1月5%の人員削減を行った。
 リーマンショックが発生した2008年からキャッシュフローのマイナスが続き、コスト削減を強いられているからだ。
 EDF労組は組合代表の取締役を通し、ヒンクリーポイントC原発の建設から手を引くか、あるいは、仏フラマンベルで建設されている175万kWの3号基の運転が開始されるまで延期するかを提案した。
 フィンランドの工事と同じく工費と工期に問題がでているからだ。

 2007年の工事開始時点では、36億ユーロ(4100億円)の建設費で2012年5月完成予定だったが、いま建設費見込みは105億ユーロ(1兆2000億円)、完成は2018年にずれこんだ。
 原子炉はオルキルオトと同じくEPRだ。
 まだ、一基も操業開始に至っていないEPRがヒンクレーポイントCでも利用される予定だ。
 EPRの操業開始を待ってからでも決断は遅くはないとの労組の意見だった。

 しかし、EDF取締役会は、40億ユーロ(4500億円)の新株を発行することで資金調達を行うことを決め、7月28日にヒンクリーポイントへの投資を10対7の評決で決議する。
 翌29日には英国政府との調印式が予定されているタイミングだった。
 英国政府の調印延期はEDFにとっては寝耳に水だったが、オランド仏大統領にはメイ首相から、時間をかけ検討するのがメイ流のやり方なので理解して欲しいと、事前に通知が行われていたと一部では報道されている。

■中国のスパイ行為で見直しか

 今年4月、米国在住のCGNのエンジニアが共同謀議の容疑で起訴されたと米司法省が発表した。
 1997年から4月に逮捕されるまで、中国において原子炉部品の設計にかかる時間と費用を削減すべく、米国政府の許可なく米国人専門家の協力を得ることを企てたとされている。
 FBI(連邦捜査局)は次の発表をしている
 「この逮捕と起訴は原子力関係者に重要なメッセージを発している。
 外国企業は原子力技術を欲しがっている。
 米国の原子力技術と情報を盗もうとする試みを止めるために、米国はあらゆる法的な強制力を使用する」。
 ちなみにこの共同謀議は最高刑では終身刑になる犯罪とされている。

 この事件は、ヒンクリーポイントCに関する英国政府の結論が先送りされてから、英国のマスコミでも報道されることとなり、次の識者の意見が伝えられている。
 「企業の誠実さに重要な疑念をもたらす出来事だ。
 政府のヒンクリーポイントC見直しの重要な要素になる」
あるいは
 「見直すとの結論を出す場合には、中国との摩擦を避けるために、EPRの工費と工期に問題が生じていることを理由にするのでは」。
 しかし、英国が見直しの際に考えることは他にもありそうだ。

■英国経済復活は製造業から

 メイ新首相は、自らが議長を務める11名の閣僚による英国経済活性化の委員会を立ち上げた。
 強力な産業政策を柱とし、全ての国民に効果がある経済を謳い文句にしている。
 その政策により賃金上昇と雇用を地方、都市部を問わず、国の隅々まで確保することが目的だが、そのため長期的な生産性の上昇、イノベーションを促進、英国に競争力をもたらす産業と技術に注力するとしている。
 情報通信などもあるだろうが、主として製造業に注力する意味と解釈することができる。



 脱EUの投票結果を見ると、製造業が衰退した地方においては、EU離脱派が勝利を収めた。
 英国経済の最近の成長は、不動産、金融などによりもたらされているが、その恩恵を主として得たのは都市部であり、製造業が衰退した地方との格差が拡大した。
 地方の成長を実現することが、いま必要とされているとの判断だろう。
 そのためには製造業だ。
 英国の分野別国内総生産額(GDP)の推移は図‐1の通りであり、製造業は伸び悩んでいる。
 図-2の通り主要先進国では製造業がGDPに占める割合が最も小さい国になっている。


 製造業復活となれば、その鍵の一つはエネルギーコストだ。
 北海油田からの原油、天然ガスの生産量は減少を続け、いまや国内需要量の半分を賄う程度だ。
 自由化された市場で最近電気料金は上昇を続け、英国政府の調査では製造業の支払う電気料金(付加価値税及び気候変動税を除く)は2010年の1kWh当たり6.9ペンス(9.2円)が15年には7.9ペンス(10.5円)に上昇している。

 英国政府はヒンクリーポイントCから発電される電気をすべて買い取るが、その買い取り価格は今の電力市場では高くなっている。
 見直しの目的の一つは、産業振興のため競争力のある電気料金を得ることにあるのではとも思われる。

■温暖化問題はどうするのか

 メイ新首相が就任し、まず行ったことはエネルギー・気候変動省を廃止し、ビジネス・イノベーション・技能省と統合し、新たにビジネス・エネルギー・産業戦略省を設立したことだった。
 気候変動の名前をつけた省が廃止になったことから、環境団体からは温暖化対策に熱心だった英国の取り組みが後退する懸念も出ている。
 外相に就任したボリス・ジョンソンなどEU離脱派幹部は温暖化懐疑派が占めていたため新内閣には温暖化問題に熱心でない閣僚がいることも、環境派が懸念する点だ。

 英国政府が原発建設に熱心な理由の一つは、温暖化対策として二酸化炭素を排出しない低炭素電源を活用するためだ。
 また、英国民の原発新設に関する理解も高いが、温暖化対策に必要というのも理由の一つだ。
 英国での原子力発電への支持に関する世論調査をみると、2013年に支持が落ち込んでいる。
 これは温暖化懐疑論が当時もてはやされたためと説明されている。
 温暖化問題への熱意が下がると原発建設への熱意も薄くなることがあるかもしれない。

■それでもヒンクリーポイントCは必要

 英国政府の結論は早ければ9月にも出されるとみられている。
 スパイ問題、電気料金から建設を諦めるのではとの見方もあるが、その場合の問題は電力供給量だ。
 1990年に電力市場を自由化した英国では、発電所の老朽化による閉鎖が行われても発電所の新設が行われなくなった。
 将来の電気料金が不透明ななかで巨額の投資を行う事業者は限られているからだ。

 英国政府は発電所建設のための制度としてヒンクレーポイントCに使用された差額保証制度(固定価格買い取り制度)、あるいは発電所を建設すれば一定額が支払われる容量市場を作っているが、まだ確実な制度はなく、英国では図-3の通り発電設備が減少している。


 ヒンクリーポイントCからの電気は英国の全需要量の7%を賄うことができる。
 もし、プロジェクトを中止すれば、新たな設備を政府は手当しなければならない。
 それも二酸化炭素をあまり排出しない競争力のある電源だ。
 そんなマジックがあるだろうか。
 英政府の決断が注目される。











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