2016年8月4日木曜日

豪州の高速鉄道計画は実現可能?:中国としては欲しいが、それができないという言い訳、ブラジル案件は

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 オーストラリアの高速鉄道計画とは、オーストラリアの潜水艦発注事件に端を発している。
 もちろんこの計画は古くからあったが、あくまで未来の予定に過ぎなかった。
 しかし、先の潜水艦発注に関して、ほぼ日本に決まっていたものを、中国の圧力によってフランスに振り替えた経緯がある。
 そこで、オーストラリアがそのお詫びとしてこの高速鉄道計画を持ちだしてきたものである。
 つまり、高速鉄道は日本に発注するから、今回の潜水艦は諦めて欲しい、ということである。
 潜水艦事業は4兆円強で、高速鉄道は15兆円という。
 中国としてはこの高速鉄道を取りたいが、上のような経緯からして受注は無理になっている。
 そこで出てきたのが下のような記事である。
 つまり、問題が大きすぎるという言い訳である。


サーチナニュース 2016-08-04 07:25
http://news.searchina.net/id/1615684?page=1

豪州の高速鉄道計画は実現可能? 
中国「大事な点が見落とされている」

 中国メディアの新財界はこのほど、オーストラリアメディアの報道を引用し、シドニーとメルボルンを結ぶ総建設費2000億豪ドル(約15兆3693億円)の高速鉄道建設計画が浮上していると説明している。

 記事によれば、この高速鉄道建設計画はオーストラリアの民間企業や一部大学、さらにはオーストラリアの政府機関などが共同で検討しているもので、出資者たちは同計画は税金を一切使わず、民間の資金だけで実現可能と主張しているという。

 続けて、出資者たちは同プロジェクトの実現を強く望んでいると説明する一方、同計画には「既存都市の発展」は含まれておらず、土地の安い地区に都市を新たに開発することを主要な目的としていると指摘。
 
既存都市を発展させることは「他国においては高速鉄道計画の主要な目的」と説明する一方、オーストラリアで浮上している計画は「この点が見落とされている」と論じた。
 つまりオーストラリアで浮上している高速鉄道計画には、土地の安い地域に高速鉄道を建設し、活気あふれる都市を開発することができれば、その土地の値上がり益を建設費用にあてることができるという考え方があるのだろう。

 しかし都市を新たに建設するというのは至難の業だ。
 人は自分が住む土地の文化や周りの人びとに対して深い愛着を抱くものであり、住み慣れた都市から「これから発展するかもしれない都市」へと住む場所を簡単に変えられるものではない。
 新たな都市の創造には相当長い年月が必要であり、人びとを引き寄せる都市の魅力を短期間につくり上げるのは非常に難しいだろう。


 中国の国内高速鉄道計画をみると、なにか上の内容とは逆のことが大手を振って行われているように見受けられる。


NNA 8月15日(月)8時30分配信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160815-00000009-nna-asia

【オーストラリア】中国系企業への売却阻止 
豪政府、NSW電力公社の入札で

 オーストラリア連邦政府のスコット・モリソン財務相はこのほど、ニューサウスウェールズ(NSW)州政府の電力公社オースグリッドの経営権売却で、中国の送電大手、国家電網公司(ステート・グリッド)と、香港の大型コングロマリット長江和記実業(CKハチソンホールディングス)傘下でインフラ建設大手の長江基建(CKI)への売却を認めない方針を示した。
 中国企業に電力資産を売るリスクをより重視した形で、NSW州が進めるインフラ整備計画への影響も懸念されている。

 モリソン財務相は暫定的な決定として、ステート・グリッドやCKIがオースグリッドの権益50.4%を99年間リースする権利を取得することは、安全保障上の懸念があり、国益に反するとの判断を下した。
 ステート・グリッドとCKIには18日まで、同相が示した懸念に対処する猶予が与えられる。
 しかし、肝心の安全保障上の懸念が何であるかについては、同相は公開できないとしている。
 ただし、中国国有企業であるステート・グリッドへの売却が阻止されたことはまだしも、国際的マネジメントで定評のある香港上場の民間企業であるCKIへの売却も阻止されたのは想定外との見方が強い。

 CKIは即座に声明を発表し、オーストラリア連邦政府に説明を要求した。
 地元報道によると、ステート・グリッドはモリソン財務相の発表後、少数権益の取得などの代替入札案を同相に提出したもようだ。
 野党労働党はターンブル政権に対し、安全保障上の問題で海外企業に売却を禁止する資産の一覧を公開するよう求めている。
 ターンブル首相は、来月に中国で開催される20カ国・地域(G20)首脳会合で、中国側から決定についての説明を求められる可能性もある。
 
 ■NSWは入札仕切り直し
 
 オースグリッドの権益売却益をインフラ整備資金に充てる計画のNSW州政府は、入札プロセスを早々に仕切り直し、来年の予算案発表までには売却を実現する構えだ。
 同州のベレジクリアン財務相は、オースグリッドの権益売却の遅れは、州のインフラ整備計画に影響しないとしているが、「売却益は来年度予算に組み込まれると見込んでいる」とするなど、売却期限を明確に定めている。
 ベレジクリアン財務相に対しては、オーストラリア外資審議委員会(FIRB)の承認を得る前にステート・グリッドとCKIからの入札を受け入れたことに批判の声も上がる。
 しかし同相は、スケジュール通りにプロセスを進めるための措置だったとして、自らの決定を擁護した。


 また、一度頓挫したブラジル高速鉄道計画を復活させて、国際的に中国高速鉄道の力を世界に問いたい中国政府なのだが。
 いまのブラジルにとって高速鉄道は是が非でも必要なものなのか、が不明であろう。


Record china配信日時:2016年8月15日(月) 13時10分
http://www.recordchina.co.jp/a147608.html

ブラジルの“棚上げ”高速鉄道計画に中国企業が意欲、
中国開催のG20でどんな動きが?―中国メディア

 2016年8月14日、参考消息網によると、ブラジルの主要2都市を結ぶ高速鉄道建設計画に中国企業が意欲を示している。 

 ロイターが消息筋の話として報じたもので、サンパウロとリオデジャネイロを結ぶ110億ドル(約1兆1150億円)規模のこの計画が最初に出されたのは経済が順調だった2010年。
 しかし、その後の進展に遅れが生じ、現在は経済の低迷、政治的混乱の影響で棚上げ状態となっている。 

 中国側はこの計画を「再出発」させたい考えで、在ブラジル中国大使はテメル大統領代行に
 「中国の鉄道建設企業、運営会社はブラジル最大規模のインフラプロジェクトへの参加を希望する」
と伝えた。
 また、テメル大統領代行に近い人物によると、同氏は来月に中国浙江省で開かれる20カ国・地域(G20)首脳会合期間中に上海−杭州(浙江省)間の高速鉄道乗車を打診されており、会期中にブラジル高速鉄道について中国側と話し合いを行うもよう。
 同氏は
 「中国側はこの計画の再始動に向けて努力している。
 ブラジルはこれまでのところ説得に応じていないが、中国の考えに支持は示している」
と明かした。









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