2016年8月6日土曜日

防衛強化に向かう日本(2):力しか信じない中国の動き、日本はいつ切れるか?

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 小さなことの積み重ねがあるとき閾値を超えると突然本流となっていく。
 徐々に国内に何とかしなければならない、という空気が満ち始めている。
 それが積もり積もると僅かな動きが周囲の空気を押すため波動的連鎖的に大きなうねりになる。
 政治状況は整ってきた。
 あとは空気が満ちて動くのを待つ、というところに入っているようである。
 日本は事例主義でしか動けない。
 そういう発想が民族的特性として染みこんでいる。
 それ破るには
 「ガマンにガマンと耐えたが、もうこれが限界」
という形で動くしかない。
 いわゆる、
 日頃は無口で自分の意見を言わないが、突然切れることがある
と言われている。
 その時は徹底的になる、とも言われる。
 いまは耐えている状態であり、切れるまでのつなぎである。
 切れたとき、日本は損得なく暴走することがる。
 理性の歯止めが効かなくなる。

 その時期だが、アメリカの大統領選挙と中国の権力闘争そして経済の零落傾向、そして北朝鮮の動きが決め手になってくるだろう。


ロイター  2016年 08月 6日 17:34 JST
http://jp.reuters.com/article/chinese-vessels-senkaku-idJPKCN10H06M

尖閣周辺に約230隻の中国漁船、武装した海警船も


● 8月6日、外務省は、東シナ海の尖閣諸島(中国名:魚釣島)の接続水域で中国の漁船約230隻と海警局の船6隻を確認し、中国側に抗議したと発表した。写真は2012年9月、中国浙江省舟山市の港から尖閣諸島に向かう漁船群(2016年 ロイター/Stringer)

[東京 6日 ロイター] -
 外務省は6日、東シナ海の尖閣諸島(中国名:魚釣島)の接続水域で中国の漁船約230隻と海警局の船6隻を確認し、中国側に抗議したと発表した。
 これほどの多くの中国漁船が同接続水域に入るのは異例。
 海警局の船のうち、3隻は武装しているという。

 外務省のアジア大洋州局長は同日午前、在日中国大使館の公使に対し、領海内に入らず、接続水域からも退去するよう求めた。
 さらに、一方的に緊張を高める行為だとして強く抗議した。

 日本が中国に抗議をするのは2日連続。
 前日は中国の漁船と海警船が同時に尖閣周辺の日本の領海内に入ったとして、外務省の事務次官が中国大使を呼んで抗議した。

 尖閣諸島をめぐっては、日本側は領土問題は存在しないとの立場を取る一方、中国側は領有権を主張している。




● ANNニュース



日本経済新聞  2016年8月6日(土)
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS06H1G_W6A800C1NNE000/

尖閣周辺、接続水域に中国漁船230隻 
外務省が抗議

 外務省は6日、午前8時5分ごろに沖縄県の尖閣諸島周辺の接続水域で中国海警局の船6隻と中国漁船230隻を確認したと発表した。
 同省の金杉憲治アジア大洋州局長は同日午前、駐日中国大使館公使に退去を求めたうえ
 「現場の緊張をさらに高める一方的な情勢のエスカレーションであり、決して受け入れられない」
と抗議した。

 尖閣周辺で中国の公船や漁船の領海侵入や接続水域に入るのは常態化しているが、数百隻規模は異例という。
 外務省によると、海警局の船6隻のうち3隻は武器も搭載していた。
 接続水域は領海につながる公海で、外国船の航行は国際法違反ではない。
 ただ、隻数の多さに加え、武装した船が入れば緊張が高まりかねないと判断し、抗議に至った。

 外務省は5日も杉山晋輔次官が尖閣周辺の日本領海に中国漁船と海警局公船が同時に侵入したとして程永華駐日大使に抗議した。
 中国公船が領海内で同国の漁船に対し法執行すれば中国法執行機関の活動を認めることになりかねず、問題視した。



TBS系(JNN) 8月7日(日)4時30分配信
http://headlines.yahoo.co.jp/videonews/jnn?a=20160807-00000009-jnn-int



尖閣接続水域航行、中国外務省「中国固有の領土」

 沖縄県尖閣諸島周辺の接続水域を中国海警局の船6隻と漁船およそ230隻が航行していたのが確認された問題で、中国外務省は「釣魚島(尖閣の中国名)は中国固有の領土だ」と正当化するコメントを発表しました。

 中国外務省は6日、「釣魚島(尖閣の中国名)は中国固有の領土だ。
 周辺海域を含め、争う余地のない主権を有している」と航行を正当化するコメントを発表しました。
 その上で、「中国側は関係する海域の事態を適切にコントロールしている」と強調しました。

 一方、日本の外務省による抗議については、「情勢の緊張と複雑化を招くいかなる行動も取るべきではない。
 関係海域の安定のために共に建設的な努力をすべき」と要求しました。(06日23:35)



現代ビジネス 2016年08月08日(月)  高橋 洋一
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/49391

尖閣諸島に大挙襲来する中国漁船を蹴散らす、最も有効な手段はコレではないか
漁民という名の「民兵」たち

■「キャベツ構造」

 6日午前、中国海警局の船6隻が沖縄県の尖閣諸島周辺の接続水域(領海の外側)に入り、中国の漁船およそ230隻がその周辺を航行した。

これに対して、外務省は以下のような抗議を行っている。(http://www.mofa.go.jp/mofaj/press/release/press4_003572.html)

1: 本6日午前8時5分頃、我が国尖閣諸島周辺の接続水域において中国海警船舶6隻(そのうち外観上武器を搭載している船舶は3隻)及びその周辺に中国漁船約230隻を確認しました。

2: これを受け、同日午前11時45分頃、アジア大洋州局長が在京中国大使館公使に対し、当該公船が直ちに接続水域から立ち去ること及び我が国領海に決して入らないことを強く求めるとともに、公船による尖閣諸島周辺での活動は現場の緊張を更に高める一方的な情勢のエスカレーションであり、我が国としてかかる状況は決して受け入れられない旨強く抗議しました。

 尖閣周辺では、中国船による侵入は常習的になっている。
 6月15日午前3時半ごろには、中国海軍の情報収集艦1隻が鹿児島県口永良部(くちのえらぶ)島西方のわが国領海に侵入している。
 中国海軍の軍艦による領海侵犯は12年ぶり、2度目である。
 その前の9日未明には尖閣諸島の大正島と久場島の間の接続水域に中国の軍艦が侵入した。

 中国船とは、中国海軍の軍艦、中国海警局の公船、その他漁船と大別できるが、これらは見事に連携がとられている。
 一般に、中国海軍の軍艦が中心となり、その外側が中国海警局、さらにその外、一番外側が漁船となっている。
 これを「キャベツ構造」という人もいる。

 実際、尖閣の北方100キロには常に中国海軍の軍艦が航行している。
 中国海警局の公船は漁船を引き連れて尖閣周辺に侵入してくるが、それらを中国海軍の軍艦が常時護衛しているのだ。

■漁民ではなく民兵

 ここで注意しなければいけないのは、中国漁船である。
 日本のような純粋な漁民による漁船ではなく、射撃などの軍事訓練を受けた漁民であり、中国当局や中国海軍の意向で動く民兵の一種である。
 これは半ば常識であるが、新聞報道などでは単純に漁船と書かれているので、要注意だ。

 この民兵の正確な数はわからないが、従来より行われてきた手法である。
 そうした民兵による漁船には、軽兵器などが持ち込まれているともいわれている。
 民兵を活用した漁船のほうが、中国海軍の軍艦、中国海警局の公船より、国家の意図を隠せるので、今の段階では重宝されているのだろう。
 なお、こうした民兵の維持に、中国の軍事予算が使われているのはいうまでもない。

 一方、日本はといえば、こうした中国船の侵入に対して、政府がその都度抗議をしている。
 が、翁長雄志・沖縄県知事は明確に見解を示していない。
 そのため、漁業関係者は尖閣周辺の漁場に行けないと思い込んでおり、実際に行くようなことはない。
 そもそも、海上自衛隊が背後にいて守ってくれるのでもなければ、海上保安庁の少ない巡視船だけが守ってくれても、漁民も尖閣周辺に行こうとは思うはずがない。

 一体、どこに問題があるのだろうか。

 もちろん、中国の国際法を無視した挑発が一番の元凶だ。
 その中国の行動をただすのは至難の技だ。
 一党独裁体制で、民主主義国家では当たり前の情報公開がないので、日本への挑発のために、軍事予算で民兵による漁船集団を組織化していることを、国民が知るはずもないだろう。
 このコラムでは、中国が民主化していないのは日本にとって大きな脅威であることを何度も指摘してきた。
 その意味で、迂遠なようだが、中国の民主化がやはり必要なのだろう。
 安保法制を「戦争法だ」と国会前に叫ぶのであれば、その声を中国政府や中国国民に届けるほうが、日本の安全保障によって有益である。

■一党独裁が問題なのだが…

 さて、日本側はどう対応すればいいのか。中国船による尖閣周辺への侵入は、いわゆるグレーゾーンの問題であるといわれている。
 しばしば日本政府から持ち出される例は、多数の武装した漁船が領海侵犯したり、一部の漁民が不法上陸するケースだ。

 前者の場合、多数の漁船に対して海上保安庁が対応するのはかなり困難である。
 その場合には、自衛隊に「海上警備行動」を命じることになる(自衛隊法第82条)。
 海上警備行動は、これまで、
 能登半島沖北朝鮮不審船事件(1999年)、
 中国潜水艦領海侵犯事件(2004年)、
 ソマリア沖海賊対策(2009年)
と3回発動されている。

 後者の場合、警察での対応は困難である、その場合には、自衛隊に「治安出動」を命じることになる(自衛隊法第78条)。
 なお、治安出動はこれまで発動されたことはない。

 こうした事態が起これば、海上保安庁、警察から自衛隊にバトンを渡すことになるが、それが迅速かつ切れ目なく行えるかどうかがポイントである。

 2015年5月17日の閣議決定によって、グレーゾーン事態に対応するために電話閣議方式が導入されている。
 国務大臣全員が参加する臨時閣議の開催が困難なときには、総理大臣が主宰して電話等で閣議決定をするのだ。
 それ以前には、総理から閣議書を各大臣に回して閣議決定する「持ち回り閣議」が行われていたが、それをさらに緊急事態用に、迅速に政府の意思決定を行えるようにしたのだ。
 おそらく、電話閣議による海上警備行動等の発動も実際にシミュレーションされているだろう。
 ただ筆者は、今の中国の海軍、警備局、漁民(民兵)の一体化は、とても「グレーゾーン」とはいえないと思う。
 形式的には漁民を装っているが、事実上彼らは民兵であり、真っ黒、軍事行動そのものである。

こう考えると、領海侵犯でも無害通航権など認めずに、武力行使のできる自衛隊が防衛出動(自衛隊法第76条)するのが本来の姿だろう。

 いずれにしても、中国は一党独裁によって中国海軍の軍艦、中国海警局の公船、その他漁船を一体化・統一化しているが、日本では民主主義の下で、切れ目のない迅速対応をしている。
 これがうまく機能するかどうかが問われているのだ。

■9月に向けてますます激化する恐れ

 しかも、中国は海軍、警備局、漁民(民兵)が一体化しているが、日本では、自衛隊が出動したとしても、通常火器による海上警備行動・治安出動と、武力行使の防衛出動の間には大きな違いがある。
 これは、相手の出方に応じて、海上警備行動となるのか、治安出動となるのか分かれているのだが、ここに切れ目があるわけだ。

 しかし、これは専守防衛に徹する日本としてはやむを得ない。
 この切れ目をどう乗り越えるのか、後でしっかり国際社会に説明できるような体制を整えておく必要がある。

 尖閣諸島については、日本固有の領土であることは歴史的にも国際法上も明らかであり、現に我が国はこれを有効に支配している。
 このため、尖閣諸島をめぐって解決しなければならない領有権の問題はそもそも存在しない。

 中国政府は、1895年の尖閣諸島の日本領への編入から1970年代に至るまで、日本による尖閣諸島に対する有効な支配に対し一切異議を申し立ててこなかった。
 この間、尖閣諸島は、中国共産党の機関紙や中国の地図の中でも、日本の領土として扱われてきた。


【参考:『世界地図集』(1958年出版(1960年第二次印刷))】

 こうした歴史事実にもかかわらず、中国は尖閣諸島に、海軍、警備局、漁民(民兵)の一体化で仕掛けてくる。
 先月12日にはオランダ・ハーグの仲裁裁判所が、中国の主権を全面的に認めない判断を示したが、国際法無視の中国は何もなかったかのように振る舞っている。

 9月には中国・杭州で20ヵ国・地域(G20)首脳会議がある。
 その際、南シナ海問題が話題にあがると、中国政府は困るだろう。
 議長国なので何とかするだろうが、その際、尖閣周辺問題を南シナ海問題とすり替える可能性もあり、尖閣周辺での中国の挑発行動はますます激化することになるだろう。

 中国は海軍、警備局、漁民(民兵)の一体化で仕掛けてくるが、日本は正直言って心許ない(下図)。


サンフランシスコ平和条約で尖閣諸島が日本の領土として確認され、米国の施政下に置かれて以降、日本が日米地位協定に基づいて施設提供している米海軍用の射爆撃場が2ヵ所ある。
 久場島の「黄尾嶼射爆撃場」と大正島の「赤尾嶼射爆撃場」である。

 1978年6月以来使用されていないが、この際、ここを米軍に使ってもらってはどうだろうか。
 尖閣周辺への中国船の侵入をみるにつけ、日本政府もそこまでの対応策を考えておいたほうがいいと思うのだが。






読売新聞 8月3日(水)21時58分配信

憲法改正向けた議論、野党に参加呼びかけ…首相

 安倍首相は3日の記者会見で、憲法改正について
 「自分の任期中に(改正を)果たしていきたいと考えるのは当然だ」
と改めて実現に意欲を示した。

 そのうえで、
 「そう簡単なことではない。
 (衆参両院の)憲法審査会の静かな環境の中で、所属政党にかかわらず、日本の未来を見据えて議論を深めていってもらいたい。
 政局のことは考えるべきではない」
と述べ、野党に議論への参加を呼びかけた。


毎日新聞 8月6日(土)20時7分配信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160806-00000090-mai-pol

<安倍首相>「自民草案で国民投票考えず」

 安倍晋三首相は6日、広島市での平和記念式典出席後に記者会見し、
★.自民党が野党時代にまとめた憲法改正草案について「そのまま案として国民投票に付されることは全く考えていない」
と述べ、他党との協議で改憲項目が絞り込まれるとの認識を示した。
★.首相は「まず(衆参両院の)憲法審査会という静かな環境で真剣に議論する中で、どの条文をどう改正するかが収れんしていく」
とも述べた。

 また、首相は
 「核兵器のない世界に向け努力を積み重ねる。我が国が核兵器を保有することはありえず、保有を検討することもありえない」
と強調した。

 公明党の山口那津男代表も6日の広島市内での会見で改憲について丁寧に議論する考えを示した。
 山口氏は
 「国政選挙が重なり世代交代が進んだ。党内でもゼロからのスタートのつもりで議論していく」
と話した。
 改憲項目については
 「逐条的に一つ一つ基礎から議論し、(新たな条項を加える)『加憲』にふさわしいテーマがどこにあるか、じっくりと議論を進める姿勢が大事だ」
と述べた。


Record china配信日時:2016年8月9日(火) 12時50分
http://www.recordchina.co.jp/a147084.html

尖閣、ガス田…、
日本に頻繁に抗議させることこそが「正常」である―中国メディア

  2016年8月9日、中国網は「日本に頻繁に抗議させることこそが正常である」とする記事を掲載した。

 中国の公船が尖閣諸島付近の接続水域を航行したり、東シナ海のガス田開発をめぐり中国が建設した構造物にレーダーを設置したりしていることについて、日本政府はここ数日間に繰り返し中国に抗議している。

 これについて記事は、
 「中国にとっては、日本に抗議させることこそが正常なストーリーである。
 なぜならこれは、中国の対日戦略が受動的でなく能動的であることを意味するからだ」
と指摘。
 「安倍政権の度重なる“懇願”を受け、日中関係の緊張を緩和させたが、その後に安倍政権は何をしただろうか?
 南シナ海問題のほぼすべてで中国の邪魔をした。
 このことから分かるように、中国が日中関係の緊張を緩和させようというのは“片思い”であり、日本に圧力を与えなければ逆に日本に南シナ海で中国の邪魔をさせることになる」
とした。

 また、
 「過去、釣魚島(日本名:尖閣諸島)は日本の支配下にあったが、現在では日中が半々。
 中国はできる限りの実力で日本を圧倒し、東シナ海、釣魚島において日本にさらに大きな圧力を与え、他の問題に構う精力をなくさせなければならない。
 東シナ海での圧力が十分なものであれば、南シナ海問題での日本の力は削がれる。
 そして、我々は機を見て東シナ海や釣魚島への支配能力を強めていくべきだ
としている。



ニューズウイーク 2016年8月10日(水)20時15分 遠藤誉(東京福祉大学国際交流センター長)
http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2016/08/post-5642.php

中国がいま尖閣を狙う、もう一つの理由

 中国がいま尖閣を狙うのは南シナ海で味をしめたからだが、実はオバマ大統領の広島訪問および広島、長崎の原爆犠牲者慰霊平和祈念式典と関係している。
 「被害者ぶるな」というメッセージを中央テレビ局CCTVは報道し続けている。

■原爆犠牲者慰霊平和祈念式典に対して

 実にいちいち細かいというか、何を怖がっているのかというか、オバマ大統領が伊勢志摩サミットの際に広島を訪問して以来、中国の神経質さは尋常でない。
 王毅外相はオバマ大統領の広島訪問演説に先立ち、
 「広島は注目に値するが、南京はもっと忘れてはならない。
 被害者には同情するが、加害者は永遠に責任を回避できない」
と記者団に述べている。
 中国共産党の宣伝機関である中央テレビ局CCTVなどは、かつての日本軍による行為を何度も繰り返し報道し、
 「アメリカ大統領が被爆地を訪問したからと言って、日本の戦争責任が帳消しになるわけではない」
と露骨に表明した。
 そして、オバマ大統領訪日に合わせて、沖縄で米軍基地反対の運動が行われた場面を拡大して報道し、まるで日本中が「米軍基地反対」に燃えているような印象を中国人民に与えたのである。

 今回はまた、広島と長崎の原爆犠牲者慰霊平和祈念式典に際して、各県の知事が「日本は加害の事実を忘れてはならない」と強調したと、CCTVはそのことだけを伝えた。
 ここまで必死になっていると、ほぼ「みっともない」という印象さえ持ってしまう。

 そもそも、建国の父、毛沢東が、日本軍と共謀して中共軍を強大化させ、そのお蔭も手伝って中華人民共和国が誕生したという事実を忘れたのか?
 いや、知っているが故にこそ、その厳然たる事実を覆い隠すために、ここまで必死に日本非難に躍起になっているとしか思えない。

■尖閣沖侵入は絶好のプロパガンダ

 中共にとって、
 「毛沢東が日本軍と共謀していた」という事実
ほど恐ろしいことはない。
 国家の根底が覆されてしまうからだ。
 それもあって、「攻撃は最大の防御なり」とばかりに、尖閣を集中的にターゲットにし始めている。
 戦争までするつもりはないが、ともかく既成事実を作っておくことが中国に有利になることを南シナ海の強引さで学習した中国は、尖閣を含めた東シナ海領域で、既成事実を作っておくことに余念がない。
 今後の日程としては、8月15日の終戦の日、そして中国にとっての抗日戦争勝利記念日である9月3日に向けて、中国公船の動きは、ますます活発化していくであろうことを覚悟しておいた方がいい。

 中国にとっては、アメリカ政府がニクソン政権以来、「尖閣の領有権に関してはどちらの側にも立たない」と宣言していることが嬉しくてならない。
 つまり「アメリカは、尖閣の領有権が日本にあるとは言っていない」と解釈することができるので、中国はそのように主張し続けているからだ。
 そのオバマ大統領が広島を訪問したことは、中国にとっては「日本が被害者の国であった」ことにつながり、今般の原爆犠牲者慰霊平和祈念式典の知事のスピーチでも、そのオバマ大統領の広島演説の一部が引用されたことが、日本肯定につながると、気が気ではないのである。

 日本を批難し続けていないと、一党支配が維持できないところまで来ているからだ。

 日本は予め然るべき「手段」と「措置」を準備すべく、効果的な戦略を練っておいた方がいいが、それ以上に「毛沢東が日本軍と共謀していた事実」を中国につきつけることが、何よりも効果的である。
 これは歴然たる事実で、中国は全面否定できないからだ。
 そして中国人民の多くがこの事実を知ったときに、中国共産党政権は必ず崩壊するからである。



ニュースウイーク 2016年8月10日 8時5分配信 遠藤誉(東京福祉大学国際交流センター長)
http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2016/08/post-5638.php

尖閣沖、中国の狙い――南シナ海に学び東シナ海でも強硬路線

 尖閣沖における中国公船の不当な動きが活発化している。
 南シナ海問題では判決を無視して強気に出たことが成功したとして、東シナ海でも強硬路線を貫く方針だ。
 「攻めに出ろ」と指示したとされる習近平の真実を追う。

◆過去最多の中国巡視船

 尖閣諸島の沖合で、過去最も多い中国当局の巡視船13隻が日本の接続水域に現れ、周辺海域には、中国漁船およそ300隻がいるもようで、海上保安庁は警戒を強めている。
 海上保安庁はホームページで「尖閣諸島周辺海域における中国公船及び中国漁船の活動状況について」を発表した。
 領海侵入を繰り返す中国側に対し、岸田外務大臣も外務省に中国の程永華・駐日大使を呼びつけ、抗議を表明している。
 しかし程永華大使は「中国の領土で中国の船が活動することに、いかなる問題があるのか」と居直っている。
 中国海洋局のウェブサイトにも「中国の海警艦船が8月7日に我が釣魚島領海を巡航した」と、堂々と書いている。
 中国はなぜここまでの強気な態度を示すのか?

◆南シナ海における強気姿勢を東シナ海においても

 その回答は、南シナ海における「盗人(ぬすっと)猛々(たけだけ)しい」とも言える強気姿勢により判決を逃げ切った中国の経験にある。
 これに関してはこれまで本コラムで数多く書いてきたので、ここではくり返さないが、ともかく
★.強硬姿勢に出ることによって、徹底してASEAN諸国の一部をチャイナ・マネーで抱き込み、
 判決を逃げ切ったという中国にとっての「成功例」を、
今度は東シナ海でもと考えているのである。
 7月24日付の本コラム「中国空海軍とも強化――習政権ジレンマの裏返し」に書いたように、中央軍事員会は、徹底した空海軍強化の司令を出している。
 これまでは
 「(これでも)防御に留まっていたが、今後は積極的な攻撃に出る」
ことを宣言しているのである。
 「判決がボタンを押した」としているが、実はその前から「強硬路線」は決議されていたとみなしていいだろう。
 だから2013年初頭にフィリピンによる仲裁裁判所への提訴を受けてからは、むしろ逆に次々と南シナ海に人工島を建設し、判決後はさらに強硬路線を貫き通した。
 その背後には、習近平国家主席の指示があったと、香港の「明報」が報道している。

◆中共中央政治局会議で習近平が「行動を起こせ」

 8月4日、香港の「明報」は、習近平国家主席がハーグの仲裁裁判所の判決が出る前に開かれた中共中央政治局会議で、
 「まず行動を起こせ! あとで言っても何にもならない」
という趣旨の指示を出していたと報道している。
 それによれば、習主席は
 「南海問題に関して、もし今われわれが行動を起こさなかったとしたら、あとに残るのは歴史資料の束だけで、何を言っても役に立たない。
 いま行動を起こしてこそ、論争状態が保たれる」
と述べたという。
 さらに中共中央政治局会議のあとに、
 「本当の大国は問題があることを恐れない。
 むしろ問題があるからこそ、(それを逆利用して)そこから利益を得ることができるのだ」
と述べていた。

 明報は論拠として「中国南海網(ウェブサイト)が開通したので」としているが、実際に「中国南海網」にアクセスしても、そのようなことが書いてあるわけではない。
 また明報には「一部の資料を初めて公開した」とあるので、「国家海洋局」の中の「【新華社】中国南海網正式開通 一部の資料を初公開」という項目にアクセスしてみたところ、そのようなことには全く触れていなかった。古い歴史の資料の一部を開示したに過ぎない。
 ところが「明報」には、「中国南海網が開通した→一部の資料を初公開→中共中央政治局会議で習近平が発言」とあるので、まるで
 「中国南海網が開通して、それまで明らかにしなかった中共中央政治局会議における習近平の発言を初めて公開した」と読めるような書き方になっている。
 事実、日本の一部のメディアでは、そのように誤読して報道しているものがある。

 実際に早くから公表されている中共中央政治局会議の内容を見てみると、2016年1月29日が全人代に関してで、2月22日が全人代で発表する「政府活動報告」と「第十三次五カ年計画」文案の最終チェックである。
 この会議は習近平国家主席が招集し、習自身がチェックしている(ちなみに、李克強首相が勝手に書いたような報道の全ては流言飛語以外の何ものでもない)。
 次は5月27日で、ここでは城鎮化問題に関して討議している。
 その次は判決が出た後の7月26日で、ここでは今年10月に北京で開く中共中央六中全会や今年下半期の経済政策などに関して討議され、その後、北戴河の会議へとなだれ込んでいるので、明報が報道しているような内容は載ってない。

 ただ、明報を非常に注意深く読むと、「北京の消息筋によれば」という文言があるので、「漏れ伝わったところによれば」というのが、最大の根拠だろう。
 そうであるならば、筆者もまさに「北京の、ある消息筋」から、同様のことを聞いている。
 但し、習近平が軍事的指示を出したのは、中共中央政治局会議ではなく、あくまでも中央軍事委員会会議においてである。
 それらの一部は本コラムですでに紹介してきた中央軍事委員会会議による決議と声明発表などだ。
 情報は根拠が正確でないと、正しく有用な分析はできない。

◆海だけでなく、いずれは空も

 その後の動きとして注目すべきは、中国空軍のスポークスマンが8月6日、多くの機種にわたる戦闘機が南シナ海に向けて飛び立ったことを発表したことだ。
 それによれば
 「67年の輝かしい歴史を経て、中国空軍は多種の空軍兵士、多機能により現代化された戦略的軍種により、国家主権と民族の尊厳を守るために戦っている」
として、いつでも臨戦態勢にあることを中国空軍は忘れていないと強調した。
 「67年の輝かしい歴史」とは、拙著『毛沢東 日本軍と共謀した男』の252頁に書いたように、日本敗戦後も毛沢東は日本軍を徹底的に利用して、元日本軍の第二航空軍団第四練成大隊を懐柔し、中国共産党側の空軍創設を成し遂げたことを意味している。
 元日本軍を原点とする中国人民解放軍の空軍部隊は、南シナ海に於いて海だけでなく、空の覇権をも掌握すべく、いま強化されているのである。
 このアナロジーは、そっくりそのまま、尖閣を含めた東シナ海に適用されていくことだろう。
 日本は決して南シナ海問題の二の舞を踏まぬよう、中国の打つ手を正確に読み、先手を打っていかなければならない。



Record china配信日時:2016年8月26日(金) 7時10分
http://www.recordchina.co.jp/a148632.html

日本東沖の公海で操業する中国漁船「200隻以上」と認める―中国外交部

  2016年8月25日、中国外交部はこのほど、日本の三陸沖や北海道東沖など日本の排他的経済水域(EEZ)付近の公海で操業する中国漁船について「200隻以上」であることを認めた。

 北太平洋の公海上では中国、台湾などの漁船によるサンマやサバの乱獲が問題となっている。
 これに対し、中国外交部は公式サイトで「中国漁船が北太平洋の公海上で操業していることを確認している。
 日本の指摘を受けて中国の担当部門が確認したところ、
 「中国漁船はいかなる違法行為も行っておらず、禁止事項にも抵触していない。
 中国漁船が故意に誤った位置情報を発信したケースもない」
と表明した。

 さらに、中国が「責任ある漁業国」であると強調。
 一貫して世界の海洋資源を合理的に利用・保護し、法に基づき漁業を展開していると主張した。




【自ら孤立化を選ぶ中国の思惑】



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