旧派の陸軍から新派の海軍に部を厚くすることで、権力基盤を築いてきた習近平だが、その結果傲慢になってしまった海軍の舵取りに腐心することになっているようだ。
中国海軍ではアメリカに勝てるはずもない。
とはいえ、ハーグ裁定で頭を叩かれてしまった海軍としては立場を失ってしまっている。
こうなると、見境もなく強硬に出ることしか海軍の選択肢がなくなってしまうこともある。
あちこちで火種を作ることが今の海軍の仕事になってきている。
果たしてそれに、火がつくかである。
中国政府当局はどう抑えるかである。
近いうちに旧派の陸軍と新派の海軍との軋轢が露わになってくるのではないだろうか。
鼻高の海軍のあり方を陸軍側が黙っているとは思えない。
チャンスをみて復権を動くだろう。
そのとき習近平はどうするかである。
陸軍基盤の弱い習近平としては綱渡りになるかもしれない。
『
ロイター 2016年 08月 3日 12:02 JST
http://jp.reuters.com/article/southchinasea-ruling-china-idJPKCN10D0O1?sp=true
焦点:南シナ海裁定、
中国軍部から習主席に「強硬対応」促す声
[北京 1日 ロイター] -
南シナ海における仲裁裁定に対し、人民解放軍の一部からより強硬な対応を求める声が上がっているが、中国政府は米国との衝突誘発を恐れ、この圧力に抵抗している、と関係筋が1日明らかにした。
南シナ海の領有権をめぐり、オランダ・ハーグの常設仲裁裁判所に申し立てられた訴訟について、中国は参加することを拒絶。
中国の領有権主張を否定し、フィリピン政府の主張を認めた7月12日の同裁判所の裁定について、中国政府は「法的根拠がなく、米国政府がでっち上げた反中シナリオの一環としての茶番」と非難している。
裁定後、中国では国民主義的な感情が高まっており、散発的な抗議行動や、国営メディアにおいては強い調子の論説が見られた。
これまでのところ中国政府は、さらに強硬な行動をとる意欲を示していない。
その代わり、中国の領域を防衛することを宣言しつつ、対話による平和的な解決を求めている。
しかし、自信を強めつつある中国人民解放軍の一部は、米国及び域内の同盟国を対象とした、恐らく武力を伴う、より強硬な対応を求めていることが、軍及び指導部と緊密な関係を持つ4人の関係者への取材から明らかになった。
軍との人脈を持つ関係者の1人は、
「人民解放軍は準備を整えている」
と述べた。
「1979年に鄧小平がベトナムに対して行ったように、われわれも踏み込んでいくことで、相手の面目をつぶすべきだ」
中国の同盟国であったカンボジアのクメール・ルージュ政権を、当時のベトナム政府が退陣に追い込んだことに報復するため、中国が短期的にベトナムに侵攻した一件を引き合いに出して、同関係者は匿名を条件にロイターに語った。
習近平主席は、人民解放軍の支持を取り付けることに細心の注意を払っており、軍に対する指導力をしっかりと固めている。
その指揮権が脅かされたことはない。
習主席は、総合的な軍事改革を監督しており、軍の戦闘能力を強化しているが、その一方、中国が経済減速も含めた国内の開発問題に対応するうえで、対外環境の安定が必要だとも述べている。
同主席が議長役を務める20カ国・地域(G20)首脳会議が9月に開催されるまでは、中国は大きな動きを控えるだろうと考えられている。
だが、ハーグ裁定に対して軍の一部が態度を硬化させていることで、南シナ海における挑発的な行動や不慮の事件によって、より深刻な衝突へとエスカレートするリスクは高まっている。
■<軍部は態度を硬化>
指導部に近い別のある関係筋は、人民解放軍には「タカ派」の雰囲気が漂っていると言う。
「米国はやるべきことをやるだろうし、われわれもやるべきことをやる。
軍部が全体として態度を硬化させている。
ひどく体面をつぶされたからだ」
と語り、それ以上のコメントは拒んだ。
中国国防部の楊宇軍報道官は、人民解放軍はより強硬な対応を求めているのかという質問に対し、軍はいかなる脅威や挑戦にも対応しつつ、中国の領土及び海洋における権利、平和と安定を断固として守るだろう、との答えを繰り返した。
退役した人民解放軍将官と、軍とつながりの深い学識者は、非常に好戦的なメッセージを掲げている。
軍が運営する国防大学の梁芳教授は、ハーグ裁定について、中国版ツイッターの「微博」に
「中国軍は戦力を高め、力強く戦う。
中国は、主権問題に関して、いかなる国にも屈しないだろう」
と投稿した。
軍の強硬派がどのような手段を考えているのかは明らかではない。
★.大きな関心が注がれているのは、中国が南シナ海に防空識別圏を設定する可能性だ。
防空識別圏が設定されれば、各国の航空機に対し、中国当局への識別情報の提供が求められるようになる。
★.他の選択肢として軍に近い関係筋が示しているものには、南シナ海を哨戒飛行する爆撃機に、フィリピンやベトナム内のターゲットを攻撃可能なミサイルを搭載するという案もある。
退役した中国軍大佐のYue Gang氏は、中国が域内での定期的な哨戒飛行を公約したことは、米国が航空母艦によって実現している制空権を拒否しようとする意思を示していると指摘。
中国は、事件を誘発して米国を締め出すだけの自信をつけているはずだ、
と同氏は言う。
「中国は米航空母艦に怯んでいないし、不慮の衝突を引き起こすだけの勇気も備えている」
とYue氏は「微博」に投稿した。
行動を伴うかどうかはさておき、この地域における中国の軍備増強は加速しつつあるようだ。
中国・厦門大学にある南シナ海研究所の李金明氏は、学術誌「東南アジア研究」において、「長期的な戦いに向けて準備し、今回の裁定を南シナ海における軍事戦略の転機としなければならない」と書いている。
■<衝突には消極的>
勇ましい発言にもかかわらず、緊張激化の原因になりかねない確固たる軍事行動はいまだ見られない。
外交関係者からの情報によれば、
中国指導部は衝突の危険性について十分に承知している
という。
「彼らは守勢に立たされており、国際的な反応を非常に気にしている」
と北京駐在の上級外交官は、中国当局者との会話に触れ、そう語る。
「中国政府は、(領有権についての)協議を正常化させたいと真剣に望んでいる。
指導部は、次に打つべき手について慎重かつ真剣に考えなければならない」
中国軍部内にも、米国との直接的な対立は中国にとって分が悪いという認識がある。
「米軍相手に、わが国の海軍では相手にならない。
あの水準のテクノロジーにはまだ達していない。
一般の中国国民だけが苦しむことになる」
と前述した軍に近い関係者は語る。
この関係者によれば、今のところ、こうした消極論の方が優勢のように見えるという。
1979年のベトナムとの国境紛争についても、
政府が宣伝活動で国民に信じ込ませようとしているほどには、中国にとって有利には運ばなかったという認識がある
という。
中国政府は2013年、東シナ海に防空識別圏を設定して日米両国などの怒りを招いたが、
中国本土からの距離を考えれば、南シナ海ではそれさえも実行困難かもしれない。
中国は防空識別圏を設定する権利があると繰り返し主張しているが、その決定は中国が直面する脅威のレベル次第となる。
指導部に近い2人目の関係者は「戦争の可能性はない」と断じる。
「しかし、軍事演習は今後も続けていくだろう」と言う。
「米国の海軍艦艇は今後も(南シナ海の係争水域に)来るだろう。
誤算は排除できない」
中国の王毅外相は、対話の重要性を強調し、今こそ物事を「正しい軌道」に戻し、裁定について「新しいページをめくる」べき時期だと語った。
米国はこうした提案に対して前向きな反応を示しており、事態沈静化に向けたメッセージを託して、ライス大統領補佐官(国家安全保障担当)を今週、中国に派遣する。
また米政府は、今回の裁定に便乗して攻撃的な動きに出ないよう他の域内各国を説得するため、静かな外交活動を進めている。
中国は、南シナ海における米国の「航行の自由」作戦に怒りを示したが、中国軍は米艦を追尾して警告を送るだけの反応にとどめている。
西側諸国やアジア諸国の外交筋によれば、それは中国が米軍を不必要に刺激したくないと考えていることを示す。
また中国は、何らかの事件が発生することで、9月に杭州で開催されるG20首脳会議に影を落とすことを心配している。
習近平主席にとって、世界の主要経済大国のほとんどの首脳を集めて議長役を演じるという、今年の外交日程でもっとも重要なイベントとなる。
北京駐在の外交官によれば、
中国が何か動きを見せるとすれば、G20の閉幕後、11月に米大統領選挙が行われるまでの時期を選ぶだろうという。
「だが、米国が座視したまま動かないだろうと中国が考えるとすれば、それは間違った判断だ」
と付け加えた。
(翻訳:エァクレーレン)
』
『
Record china配信日時:2016年8月3日(水) 9時10分
http://www.recordchina.co.jp/a146477.html
中ロが南シナ海で9月に合同軍事演習、
「これはチャンス」とオーストラリアが動く?―中国紙
2016年8月2日、環球時報によると、
オーストラリアが南シナ海に「軍事設備」を配備し、9月に行われる中ロ合同軍事演習の情報収集を行う
との見方が浮上している。
豪メディアが関係者の話として報じたもので、どのような「設備」なのかという説明はなかったものの、「国防省がこの機会を逃すとは思えない」との考えを示した。
シドニー・モーニング・ヘラルドは「コリンズ級潜水艦も選択肢の1つ」と指摘した上で、
「最も簡単なのは空軍のP−3哨戒機を飛ばすことだ」
と分析。
この報道に関し、オーストラリア戦略政策研究所(ASPI)の関係者は
「P−3哨戒機を使った軍事演習の観察はわが国にとっては通常の行為」
と述べ、
「オーストラリア人、米国人は中国とロシアの軍隊がどんな行動を取るかに非常に関心を持っていると思う」
とコメントしている。
中国国防部の報道官は7月28日、中ロ海軍が9月に南シナ海で合同軍事演習を実施すると発表した。
これを受け、米メディアからは
「南シナ海を舞台に中ロが米国に向けて武力をアピール」
「両国の団結力を示すものだが、南シナ海情勢は悪化する」
との指摘が上がっている。
』
『
Record china配信日時:2016年8月4日(木) 14時20分
http://www.recordchina.co.jp/a146649.html
中国国営紙、南シナ海問題でオーストラリアを威嚇する社説を掲載
=欧米ネット「中国はヒステリックだな」
「中国は危険な賭けをしている」
2016年8月3日、英紙デイリー・メールによると、南シナ海の領有権問題で仲裁裁判所が下した判決をオーストラリアが支持する立場を表明したことに対して、中国国営紙がオーストラリアを威嚇する社説を掲載した。
南シナ海の領有権をめぐる仲裁裁判で、仲裁裁判所は先月、中国の主張を退ける判決を下した。
これを受け、オーストラリアのジュリー・ビショップ外相は、オーストラリアは中国の主張を支持しないとの立場を表明した。
中国国営環球時報は先月30日の社説で、
「オーストラリアは張り子のトラというよりも、張り子のネコといった方がふさわしい」
と述べ、
「もしオーストラリアの艦船が南シナ海に立ち入れば、中国の攻撃の対象になるだろう」
と警告した。
また、
「オーストラリアは貿易のパートナーである中国よりも米国に対して忠誠を示そうとしている」
と批判した。
』
『
Record china配信日時:2016年8月4日(木) 23時30分
http://www.recordchina.co.jp/a146641.html
中国最高裁が南シナ海問題で司法解釈を発表、
不法侵入者には禁固刑の可能性
2016年8月3日、ロイター通信によると、中国最高人民法院(最高裁)は2日、南シナ海の領有権について司法解釈を発表し、中国の領海への不法侵入があった場合は1年以下の禁固刑が科される可能性があるとの解釈を示した。
南シナ海の領有権をめぐっては、フィリピンが中国を相手取って提訴していた仲裁裁判で、先月、仲裁裁判所は中国の主張を退ける判決を下している。
最高人民法院が発表した司法解釈では、仲裁裁判の判決について直接的に言及していないが、南シナ海における中国の領海に外国漁船などが不法侵入した場合は1年以下の禁固刑が科される可能性があるとの解釈を示した。
また、「司法権は国家主権の重要な要素である」とも述べている。
』
サーチナニュース 2016-08-05 07:25
http://news.searchina.net/id/1615786?page=1
中国人よ・・・「なぜ列に並ばないのか!」、
中国人がルールを守らない理由
南シナ海問題で仲裁裁判所が下した判断に中国が従おうとしない様子が世界中で報道され、
中国は「秩序やルールを守らない国」との認識が定着しているのではないだろうか。
そんななか、中国メディアの捜狐は中国国民が普段の生活のなかでも秩序やルールを守らない理由を考察している。
記事は、現代の中国人について「中国人は列に並ぶのが嫌いな民族」と表現し、「中国人よ、なぜ列に並ばないのか」と疑問を投げかけた。確かにほとんどの中国人はバスに乗る時もチケットを買う時も並ぶことをしない。なぜこのような国民性になったのだろうか。
記事が挙げた
★.1つ目の理由は、「特権意識の氾濫による不公平な競争」だ。
中国では立場やコネによって何事も対応が大きく異なるのが普通の国だ。
病院での診察や手術もコネがなければ後回しにされてしまう国であり、正直に順番を守る人が少なくなるのも当然と言えるだろう。
★.2つ目の理由は「並ばないことが習慣になっている」ことだ。
大衆の力は強く、たとえ自分が列を守っていても、大多数の人たちが守らなければ秩序は生まれない。
反対に大多数が列を守っていれば、一部の人が列を乱そうとしても秩序が保たれる。
外国人であっても、中国で生活していれば自然と列に並ばない習慣が身についてしまう。
★.最後に挙げたのは、「管理しきれていない」点である。
記事は日本が中国を占拠していた当時の例を挙げ、兵士が鞭を持ち、秩序が保たれるようにしていた状況を説明。
★.現在は権力者が「鞭」を持って秩序を保とうとしていないことが原因
の1つであると論じた。
★.中国人が国内での秩序やルールを守ることができていない現状で、
南シナ海問題で仲裁裁判所が下した判断を中国が守るよう期待することは無理がある
のかもしれない。
』
『
サーチナニュース 2016-08-05 15:31 執筆者:日本経営管理教育協会・水野隆張
【コラム】南シナ海の荒波に対処するには中国の「兵法」に学べ!
■仲裁裁判所が南シナ海での中国権利否定
独自境界「法的根拠なし」
中国や周辺国が領有権を争う南シナ海問題で、オランダ・ハーグの常設仲裁裁判所は2016年7月12日に、中国が独自の権利を主張する境界線「九段線」に国際法上の根拠はない、との判決を出した。
南シナ海問題を巡る初の司法判断で、提訴したフィリピンの主張をほぼ全面的に認める判決となった。
中国政府は当初からこの裁判には参加せず、判決には従わない旨を明言してきた。
領有権を当然視する一方、こうした問題は当事者間で協議すべきだと主張している。
しかしながら、フィリピンによる提訴は、ルソン島西方沖のスカボロー礁を中国が公船を繰り出して実行支配したことがきっかけであり、実力行使をしておきながら、一方では当事者間で話し合おうということは身勝手すぎると言わざるを得ない。
■今回の裁定は中国の外交的敗北を意味する
今回仲裁裁判所が下した裁定は、中国の習近平政権にとって大きな外交上の敗北を意味するであろう。
周辺国を圧迫する強引な外洋拡張路線を推進したことで外交上の孤立を深めただけではなく、南シナ海への領有権に関する自国の長年の主張が国際社会に明確に否される結果を招いたからである。
中国国内では判決のニュースがネット上に伝わると「中国の領土は一点たりとも譲るな」などと強硬な発言が目立つほか、政府の対応を批判する声も挙がっているようである。
裁定を認めない中国政府の強硬姿勢の背景には、
判決を座視すれば、批判の矛先が指導部に向かいかねない懸念もあるとみられるということである。
■ASEANは名指しをせずに暗に中国に自制を促す声明を発表した
中国・雲南省で6月中旬に開かれた東南アジア諸国連合(ASEAN)外相会議では「親中派」カンボジアなど複数の国との溝が広がり、ASEANは大きな岐路に立たされた。
この場で中国は「領有権問題は当事者同士で解決する」など南シナ海問題に関する自国の主張10項目の受け入れをASEAN側に強硬に要求した。
反発したASEAN側は中国を実質的に批判する共同声明を出そうとしたが、中国の猛烈な巻き返しに合いASEAN10カ国のうちカンボジア、ラオス、ブルネイ、タイが土壇場で反対に回り、声明は撤回に追い込まれた。
その後再度会合が重ねられ名指しは避けながらも南シナ海の南沙諸島(スプラトリー諸島)の軍事拠点化を進める中国を牽制する内容の声明が発表された。
ASEAN内の団結と結束を確認するとともに、「他の諸国にASEANの規範と原則を尊重するように求める」と強調し、カンボジアなどへの働きかけを強める中国に自制を促している。
■兵は静かなるを以て勝ち、
国は専らなるを以て勝つ『尉繚子』
中国古典「兵法」の名言である。
意味するところは
「戦争は、備えを怠らず、どのような攻撃を受けても慌てることなく、これに応じうる静かな態勢をもつほうが勝つ。
また、国は民心が統一し、国をあげて一致協力する態勢にあるとき勝つ」
ということである。
我が国としては日米同盟を強化して、備えを怠らず、ASEANなどの東南アジア諸国と協力関係を緊密に働きかけて、中国に自制を求めて行くべきであろう。
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『
Record china配信日時:2016年8月6日(土) 12時0分
<南シナ海問題>習主席の内部会議での発言が流出―香港紙
2016年8月4日、香港・明報によると、中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席が南シナ海問題について、仲裁裁判所の判決が出る前の内部会議で
「われわれが行動を起こせば、対立状態が保たれることになる」
と述べていたことが分かった。
習主席は
「南シナ海問題で今手を打たなければ、将来的に歴史資料が残るだけで、何を言っても無駄になる。
われわれが行動を起こせば、対立状態が保たれることになる」
と語ったという。
中国共産党中央政治局の会議後は
「真の大国は問題を恐れない。
問題の中から利益を得ることが可能だ」
としていた。
習主席は就任後、南シナ海問題で大きな行動に出てきた。
フィリピンは13年初め、南シナ海問題で仲裁裁判所に仲裁を申請。
中国は同年9月に埋め立てを始め、これまで3つの島で大型飛行場を建設している。
中国軍の将官昇進記念式典でも南シナ海担当者の昇進が目立っている。
南シナ海での軍事演習、行動も増えている。
』
『
中央日報日本語版 8月16日(火)18時36分配信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160816-00000038-cnippou-kr
南シナ海判決で体面傷ついた中国、
出口戦略は
2016年夏、アジア・太平洋地域の緊張がきっ抗している。
先月12日ハーグ国連海洋法条約付属書7による仲裁裁判所が、フィリピンから出された中国との南シナ海紛争訴訟で「中国完敗」の判決を出した後だ。
南シナ海の90%を自国領海と主張して腕力を振り回してきた中国の姿勢に国際社会が「国際規範を遵守せよ」と命令を出したのだ。
摩擦の調整の定規を提示してくれた判決だが、中国の世論戦と「判決無力化」を狙った軍事行動で領域内の緊張はさらに大きくなっている。
火種は日本が実効支配している東シナ海の尖閣諸島(中国名:釣魚島)まで飛んでいる。
中国が高高度ミサイル防衛(THAAD)体系の配備計画を明らかにした韓国に対しても手荒な対応で一貫しながらアジア・太平洋地域が新興覇権・中国と既存覇権・米国の「新冷戦地帯」になったという分析が出てくる。
THAAD問題では韓国と、南シナ海をめぐってフィリピン・ベトナムなど東南アジア周辺国と無差別的にぶつかている中国の矛先は米国を狙っている。
仲裁裁判所の判決の核心は中国の南シナ海領有権が法的根拠がないということだ。
そして中国が自国の管轄権にあると主張する紛争の「地形物」が人の住む島ではない暗礁または干潮露出地(引き潮の時だけ水面上に出てくる岩)だとして200カイリ排他的経済水域(EEZ)や大陸棚の根拠にはなれないという事実だ。
また、この地形物の周囲を埋め立てて人工島を作った中国の行為は国連海洋法協約(UNCLOS)違反だとも述べた。
フィリピンが国際海洋法裁判所(ITLOS)に提訴した時から仲裁裁判所の管轄権と拘束力を認めないと明らかにしてきた中国は、判決そのものを全面否定した。
判決前から南シナ海一帯で軍艦100隻余り、H-6Kなど最新鋭戦略爆撃機を動員して軍事訓練を行い、判決後は南シナ海の軍事統制センターの役割をする海南島海上などで大規模な武力デモを行っている。
東シナ海の尖閣諸島の接続水域(12~24カイリ)にも海上警察船舶と漁船数百隻を投入して日本と連日にわたり外交折衝戦を行っているところだ。
南シナ海は世界物流量の3分の1を超える世界で最も混雑する海だ。
韓国の原油輸送船の90%がここを通り過ぎる。
358万平方キロ海域にスプラトリー諸島(中国名:南沙群島)、パラセル諸島(西沙群島)、プラタス諸島(東沙群島)、マックルズフィールズ堆(中沙群島)など4つの群島を中心に島と珊瑚礁・岩が280個余り散在している。
中国はこの群島の外側、ベトナム近海とマレーシア北部およびフィリピン西部海域を狭く残して9つの線をU字形につなげて「九段線(Nine Dash Line)」と呼んで自国の領海だと主張する。南シナ海面積の85~90%に達する。
中国が南シナ海領有権を主張して前面に出した代表的な単語は「自古以来」だ。
漢国の以前から最初に発見して名前をつけて管理してきたという主張だ。
中国が韓国・ベトナムなど境界隣接国14カ国との国境線、海領有権などを主張する指針書として作成した『中国近現代領土問題研究』(劉恩瑞・劉恵瑞、2007年共産党上海市当校)は「秦始皇帝33年に初めて南シナ海を行政管理した」と紹介している。
1974年にベトナムから近い西沙諸島を武力占領した後、南シナ海に面した東南アジア諸国とずっとぶつかってきた。
80年代中盤に第1列島線、第2列島線という概念を作って海洋強国の建設に乗り出した中国は2012年「中国を海洋国家に育てなければならない」という胡錦濤の第18回党大会演説以降、膨張の道を歩んでいる(イ・チュングン韓国海洋戦略研究所選任研究委員)。
2012年2月、中国は漁業問題でフィリピンが実効支配してきたプラタス諸島のスカボロー礁で対立して岩礁を武力占領し、2014年には西沙諸島近隣海域に石油ボーリング船を送りこんでベトナムとも衝突した。
領域内摩擦の性格が軍事・安保に変わったのは2015年初め。米国のあるシンクタンクがスプラトリー諸島の岩礁が人工島で埋め立てられてその上に滑走路と格納庫など軍施設が建てられた事実を高解像度の人工衛星写真で確認してからだ。
2011年に主張した「アジア重視(Pivot to Asia)」政策を中東の次の問題として放置してきた米国はその年の5月、南中国公海での自由航行作戦(Free Navigation Project)を明らかにして空母を投入した。
中国は海域内の軍事力増強で対抗した。その後ベトナムは米国の武器を購入してカムラン湾の開放も考慮している。
25年前に米軍を送り出したフィリピンはスービック湾に米軍を呼び戻す問題を検討するなど東南アジア地域の安保協力も再調整される状況だ。
南シナ海は中国の崛起が継続する限り、今の米国がその影響力を持続する限り、アジア・太平洋地域の潜在的な火薬庫になるものとみられる。
習近平時代の中国復活の象徴である「一帯一路(One Belt One Road)」プロジェクト成功のための核心通路であり、米国の立場としてはこの海域が中国の膨張阻止に焦点を合わせて前面に出した「アジア重視政策」の最前線という点からだ。
両国ともに退くことはできない「戦略海域」なのだ。
海岸線の長さ1万8000キロ。15世紀まで最強の海洋国家として君臨した中国は近世に入って海を制覇した西欧列強と日本から「恥辱の100年」(1840~60年のアヘン戦争以降1949年の中華人民共和国樹立まで)を体験した。
侵略ルートは海だった。歴史的な傷が攻撃的な海洋政策に出てくるという分析もないわけではないが海紛争に臨む中国の形態は多分に威嚇的で覇権的だ。
南シナ海の判決とTHAADイシューをめぐって過度に反応してきた中国が遠からず水位調節に出るだろうという展望も出てくる。
南シナ海の関連諸国との過度な政治・軍事的な緊張状況が一帯一路プロジェクトの成功に邪魔になりうるという点を中国指導部が知らないはずがないばかりか、来年秋の第19回党大会を前に現在中国が展開した戦線があまりにも拡大しているという分析からだ。
パク・ビョングァン国家安保戦略研究院東北アジア研究室長は「国内経済は良くないが、対外的には南シナ海と東シナ海(尖閣)、黄海(THAAD)、台湾(民進党)などいわゆる『四海問題』と戦っている」として「徐々に状況を収拾していくだろう」と診断した。
パク室長は「THAAD問題も『韓半島(朝鮮半島)配備計画撤回』という目標をあきらめはしないだろうが、韓国との破局を迎える状況は作らないようだ」として「9月初め杭州主要20カ国(G20)首脳会議が主な契機になるだろう」と話した。
彼は「韓国政府はG20首脳会議をうまく活用しなければならない」ともつけ加えた。
シン・ソンウォン国立外交院経済通商研究部長は
「中国は長いタイムテーブルで動くだけに、近く冷静モードに転じるだろう」
と話した。
国際舞台で事実上「恥」をかかせたフィリピンとの対話そのものを冷遇した中国は12日、ドゥテルテ比大統領の特使であるフィデル・ラモス元大統領と傅瑩・全国人民代表大会外事委主任との会談を通して「南シナ海緊張緩和のための対話の必要性について合意した」という共同声明書を出した。
』
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