2016年8月24日水曜日

過剰人口、少子化、ロボットの日本(3):人口減少と経済発展の両立は不可能ではない

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ニューズウイーク 2016年8月23日(火)15時30分 舞田敏彦(教育社会学者)
http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2016/08/2050.php

2050年の「超高齢化」日本に必要な意識改革

<今から34年後、日本は高齢者、非就業者に人口が偏る「逆ピラミッド型」の超高齢化社会を迎える。
そこで求められるのは、これまでの規範にとらわれずに、高齢者や女性の就労を推進する社会変革だ>

 先日、2015年に実施された「国勢調査」の速報集計結果が公表された。
 それによると現在の
★.日本の人口は1億2711万人で、
★.年少人口(15歳未満)の比率は12.7%、
★.高齢人口(65歳以上)の比率は26.7%
となっている。
 今の日本では、子どもよりも高齢者のほうが多い。

 日本で最初の「国勢調査」が実施された
★.1920(大正9)年には、年少人口は36.5%、高齢人口は5.3%
だった。
 およそ100年前の人口は、下が厚く上が細い「ピラミッド型」だったが、現在は中高年層の部分が膨らんだ「つぼ型」になっている。

【参考記事】投票率が低い若者の意見は、日本の政治に反映されない

 これは少子高齢化が進んだためだが、今後この傾向はますます進行し、2050年の人口ピラミッドは政府統計によって<図1>のようになると予測されている。

 つぼ型を通り越して、下が薄く上が厚い「逆ピラミッド型」になっている。
 年少人口は1割強にまで減り、高齢人口が4割近くを占める。
 まさに少子高齢化が極限まで進んだ社会で、グラフにしてみると大変にインパクトがある。

 社会は構成する人々が働くことによって成り立つが、今の就業率が変わらないとすると、
 「就業者2:非就業者3」の比率になる。
 現在ではちょうど半々くらいだが、近未来では働かない人(非就業者)のほうが多くなる。

 これはあくまでも現在の状況を未来に当てはめた場合の予測で、未来社会では高齢者の就業率は高まるだろうし、外国人労働者(移民)や、おそらくはAIロボットの参入も見込める。
 事態はまた違ったものになるかもしれない。

 2050年の日本の人口ピラミッドは<図1>のようになると予測されるが、世界全体の中での位置はどうなるか。
 横軸に年少人口率、縦軸に高齢人口率の予測値をとった座標上に、200の国を配置すると<図2>のようになる。


 左上にあるほど年少人口が少なく高齢人口が多い、すなわち少子高齢化が進んだ社会ということになる。

 グラフ中央を右上がりに走る斜線は均等線で、このラインより上に位置している場合、子どもより高齢者が多いことを意味する。
 2050年では、このような社会が多くなる。
 日本やドイツは今もそうだが、将来、主要国は軒並みこのラインを超えると予測される。

 日本はその中でもトップに位置し、次いで韓国、ドイツと続く。
 グラフに国名は記していないが、日本と韓国の周辺にはイタリア、スペイン、ギリシャなど南欧の国々が位置している。

【参考記事】書店という文化インフラが、この20年余りで半減した

 高齢者がマジョリティーの社会が多くなるが、その一方でこの頃には、「支えられる」存在から「支える」存在へと高齢者の社会的役割の変革も進んでいるだろう。
 老化防止薬の開発など、医療技術の進歩によって、高齢者の就労は今より容易になると想像される。

 少子高齢化が進む未来に関しては悲観的な予測が多いが、それでは生産的ではない。
 技術革新に期待するのは楽観に過ぎるが、考えなければならないことは年齢や性別による社会的役割の規範を撤廃し、人々が多様なスタイルで社会に貢献できるシステムを構築することだ。
 問題が深刻な日本では、なおのことその必要性は高い。

 今後の人口動態は、教育システムにも変化を迫るだろう。
 やせ細る子ども世代にばかり資源を投入するのではなく、成人層にもそれを振り向けないといけない。
 教育期と仕事期(引退期)の間を往来できる「リカレント教育」の普及が望まれる。そ
 れは、「生涯学習社会」という時代のニーズにも合致している。

<資料:国立社会保障・人口問題研究所『将来推計人口』(2012年1月)
    United Nations「The 2015 Revision of World Population Prospects」>



ダイヤモンドオンライン  2016年8月24日 熊野英生 [第一生命経済研究所経済調査部首席エコノミスト]
http://diamond.jp/articles/-/99710

人口減少と経済発展の両立は不可能ではない

理念として、経済発展と人口減少社会を両立させる方法はある。
省力化を強力に進めながら、生産性を高めるという道である。
日本の就業構造を調べると、各国比較をしてみて、
専門的・技術的職業の割合が低く、事務職や販売・サービス業の占める割合が高かった。
変化に柔軟な社会をつくることが、解決への道である。

■1人当たりの生産性を高めて
平均賃金が上がれば内需の成長に貢献

 まず、概念整理をしておくと、
★.人口減少によって労働投入量が増やせなくなるから、それが成長制約になる。
  そして、
★.国内の消費者も人口減少下では減ってしまい、非製造業などでは売上を増やせなくなる。

 この図式に対しては、
(1):省力化投資やビジネスモデルの組み換えによって、労働投入量を節約する。
(2):労働力を節約しながら、1人当たり労働生産性を引き上げる。
 生産性は、資本装備率を高めながら、機械化・IT化を推進する格好になる。
 節約された労働力をより生産性の高い部門(企業)にシフトさせる。
(3):国内需要の制約に対しては、輸出やインバウンド消費への需要シフトで対応する。

 (1)や(2)によって、1人当たり生産性が高まって労働者の平均賃金が上がれば、人口減少によって消費者数が増えなくても、1人当たり所得が高まるので、内需の成長にも貢献できる。

 より現実的な処方箋は、人手不足に悩んでいる企業がそれに対処するときに、省力化・IT化を進めていくことだろう。
 これまでも、サービス業や技能職などで人手不足が顕著になっている。

 最近の求人数がどういった分野に集中しているのかをみれば、今後の人口減少によって人手不足がより深刻化していく状況を予想しやすいはずである(図表1)。



 私たちは、この人手不足のニーズを前向きに活用して、省力化・IT化で解決したり、省力化をビジネスにする事業者のモチベーションを導いていけば、日本全体の生産性上昇に寄与するであろう。

■需要拡大が賃金上昇に結びつかない
医療・介護分野の労働市場

 ところで、サービス業などで人手不足が顕著である理由は、どこにあるのだろうか。
 一つは、人口高齢化によって医療・介護の需要が拡大するからである。
 しかし、需要拡大が賃金上昇へと結び付かないところが、医療・介護分野の労働市場における不可解なところである。
 理由は、消費者に対するサービス提供の価格を人為的に固定化しているからだろう。
 割安になったサービス価格の下では、超過需要が生じて、人手不足が生じる。
 つまり、価格規制がみすみす生産性上昇のチャンスをスポイルさせているのである。
 本来ならば、医療・介護分野で高い賃金が得られる職業がもっと多く生み出されて、そこに事業参入する企業が人材投資に資金をかけられるはずである。

 そうした人材投資は、1人当たりの生産性を上昇させて、わが国の内需を厚くする基盤になったはずである。
 高齢化がこれだけ進んでいるのに、高齢者の潜在需要を成長の源泉に用いることに十分に成功していないのは、本当に残念なことである。

■人手不足によって省力化投資が進む
ロボット化や人工知能で肩代わり

 人手不足については、飲食サービスや生活サービスのように、消費者の購買力が弱いからサービス提供価格を引き上げられない分野もある。
 これらを医療・介護分野と同列に扱えない。
 経済学の原理に沿えば、柔軟な価格・賃金を前提にして、
 生産性の低い部門から高い部門へと労働移動が起こることで人手不足が調整される。
 「儲からない事業」から「儲かる事業」への労働シフトである。

 この原理をより注意深く考えてみると、必ずしも労働シフトでなくてもよい。
 飲食・生活サービスでは人手を確保するために、
★.儲かるビジネスへの転換をもっと大胆に行う
ことでもよいということになる。
★.人手が足りなければ、人海戦術がとれないので、省人システムへの転換を検討する
ことも一案である。

 例えば、これまで4人で手がけてきた仕事を、機械を導入して1人で作業するという手法の見直しである。
人手不足によって省力化投資が進む理由は、労働需給が逼迫して労働コストが上昇するから投資の採算性が改善して、投資の実行が促されると考えるのが自然である。
 わが国の場合は、労働コストが必ずしも上昇せず、投資が促進されない傾向がある。
 それでも、人手不足によって事業継続が困難になることも起こるだろうから、ニーズはより直接的な労働代替となろう。

 ロボット化や人工知能の利用は、人が行っていた作業をそのまま機械やシステムが肩代わりすることを狙っている。
 特に、自動運転車の実用化・普及が進めば、運送業や交通インフラ全体に革新的な効果が生じる。
 IT化の進化によって仮想店舗が普及したり、テレビ電話を通じて遠隔地とのコミュニケーションが自在に行われるようになれば、小売・サービス業にも大幅な省人効果が生まれるはずである。

 これまで労働集約型だとみられていた業種すべてに、省力化のテストを行って、労働生産性を向上させる余地がないかどうかを検討することになるだろう。

■販売・サービス業が多い日本
専門的・技術的職業が多い欧州

 次に、わが国の労働市場について、どういった変革の指向が必要になるかを考えてみることにしよう。
 各国の就業人口が職業別にみて、どこに多く所在しているのかを調べてみた(図表2)。



日本の就業者は、各国比較して、販売・サービス業の占める割合が高く、専門的・技術的職業の占める割合は低い。
 興味深いのは、ドイツやスウェーデンは専門的・技術的職業の割合が高いことである。
 ドイツの就業者数は4.0千万人と日本(6.4千万人)よりも少ないのに、専門的・技術的職業に従事する人数は、ドイツ(1.56千万人)の方が日本(1.04千万人)を上回っている。

 もう一つ、日本の職業別にみた就業構造で特徴的なのは、事務職の割合が相対的に高いことである。
 各国比較で事務職の方が、専門的・技術的職業よりも多いのは、日本と韓国である。

欧州の国々では、専門的・技術的職業の割合が高いことが特徴である。
 専門的・技術的職業の従事者が多いほど、「人的資本の蓄積が大きく、生産性が高い」とは必ずしも言えないとしても、日本社会がもっと労働者のスキルを十分に使いこなせるようになる方がよいということは言えるだろう。

■人口減少社会と経済発展の両立には
大きな摩擦を甘受しなければならない

 やや理念的に人口減少社会の解決について論じたが、生々しい現実ではそれほど容易に省力化が進まないことも付言しておきたい。

 すでに、新しいテクノロジーを利用した未来社会に対してネガティブな見解を示す論調がある。
 例えば、未来のテクノロジーによって“消える職業”はこれだ、などという話である。
 しかも、そうした技術進歩は、“中間所得者層を消滅させる”という危機説まで言われる。

 古来、技術進歩が従来の産業構造を変えて、長い時間をかけて労働移動が起こってきたことは説明を要しないだろう。
 この変化は、短期的には失業を生み、失職による所得減少を伴ってきた。
 しばしば経済学者は、生産性の高い部門への労働移動という言葉を用いるのが、生身の経済ではそれが激しい摩擦を生み出す。
 「TPPが日本の農業にダメージを与える」と激しい批判があるのも、摩擦の一例である。

 つまり、新しいテクノロジーの利用を急進的に推進することは、政治的には歓迎されにくいということである。

 結論を言えば、人口減少社会と経済発展を両立するためには、私たちは相当に大きな摩擦を甘受しなくてはいけないということだ。
 また、そうした変革を成し遂げるには、政治的に相当に芯の強い人物が中心になって、理念を現実化していくことが望まれる。



サーチナニュース 2016-08-28 22:33
http://news.searchina.net/id/1617405?page=1

日本にとって人口問題は「国難」だ!
日本人は本当にいなくなってしまう?=中国

 日本でも中国でも、子どもたちにとって夏休みの宿題は大きな悩みだといえるかもしれない。
 しかし将来、こうした悩みを経験する子どもたちの数は大きく減少する見込みだ。
 
 中国メディアの財経捜索は24日、世界の人口危機問題は深刻さを増しており、人口問題は日本においても「国難」レベルの問題になっていると説明している。

 記事は総務省が2016年7月に発表した統計を紹介。
 同統計によれば16年1月1日時点での人口は前年より約27万人も減少、7年連続で減少した。
 さらに、日本は人口問題を「国難」として認識、政府は多くの措置を講じているが「効果は極めて低い」と説明した。
 このままでは2060年までに日本の労働人口は現在に比べて40%以上も減少すると説明した。

 しかし記事は人口危機問題は中国にとっても「深刻になっている」と指摘。
 一人っ子政策のツケによって、中国では高齢化がかつてない速度で進んでおり、2050年には高齢者が3億4880万人に達する見込みだ。
 これは日本、エジプト、ドイツ、オーストラリアの人口の総和にほぼ等しい数だ。
 高齢化が進むと同時に労働人口も減少し、2015年の9億2400万人から2080年には3億3900万人まで減少する見通しだという。

 生産や消費といった経済活動に携わる人間が減れば、社会経済が成り立たなくなるのは誰の目にも明らかだ。
 ロボットを活用すれば生産面の落ち込みはカバーできるかもしれないが、消費は人間が増えなければカバーできないためだ。
 中国はすでに一人っ子政策を撤回し、二人目の出産を認めている。
 日本も成果を追求する形で少子化対策を行わない限り、将来的に日本人は本当にいなくなってしまうだろう。

 メデイアで頻繁にみられる愚脳の記事。


Record china配信日時:2016年8月29日(月) 5時40分
http://www.recordchina.co.jp/a148707.html

アジアが世界で最も高齢化速く、医療費負担も膨大に
=2030年の日本、4割が高齢者―米メディア

 2016年8月26日、米華字サイト・僑報網によると、アジアが世界で最も高齢化のスピードが早く、2030年には高齢者医療費に約20兆ドル(約2000兆円)が必要な可能性が出ている。
 環球時報(電子版)が伝えた。 

 シンガポールのアジア・太平洋リスクセンターによると、アジア・太平洋地域では30年までに高齢者人口が2億人を突破。
 医療費負担が企業や家庭に重くのしかかるとみられている。
 高齢者医療費は年間25億ドル(約2500億円)に、15年の5倍に膨れ上がる見通しだ。
 同センターでは「世界で最も高齢化のスピードが速い地域となっている」と話す。 

 同地域は高度成長とともに少子化が急速に加速。
 「人口ボーナス」を享受できる時期は過ぎ、逆に「人口税」が必要な事態が近いとみられる。
 特に日本の高齢化は著しく、30年には人口の38%が高齢者に。
 韓国、香港、台湾も同様の道をたどる見通しだ。

 いかに負担を少なく人口を減らしていくかが将来の課題になっている。
 人口税というのは行き過ぎだが、人口増は地球とか環境とかに大きな負荷をかけている。
 それを認識することがなにより大切である。






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