2016年8月11日木曜日

防衛強化に向かう日本(3):中国が軍事的圧力をかければかけるほど、憲法改正に日本の世論は傾いてゆく

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 中国は尖閣で挑発を繰り返さなければならない理由がある、とかんがえるのが常識だろう。
 それはなにか?
ということである。
 中国の動きはなにか「切羽詰まっている」といった感じがする。
 ゆとりがない。
 どうしてゆとりがないのか?
 いくら挑発を繰り返したとしても日本が尖閣を手放すわけがない。
 逆に言えば、
 中国が軍事的圧力をかければかけるほど、憲法改正に日本の世論は傾いてゆく。
 中国の恫喝が憲法改正というパンドラの箱を開けるキッカケにもなる。
 中国の軍事侵攻をから日本国土と国民を守るためには、憲法改正に踏切ざるを得ない、という風潮が日本に蔓延することになる。
 それを分かっていながら、そうせざるをえない状況にあるということだろう。
 この尖閣での中国の行動は正直下手な動きである。
 そんな下策をせねばならぬほどに何か行き詰まっているような、アセリの中国に見えてくる。
 自ら世界での孤立化へ向かう中国の意図とは。
 汚職腐敗運動は完全に対立者の粛清手段と化してしまい、さらにはその牙は団派に向かおうとしている。
 その結果、経済は零落一路をたどっており、回復の見通しはない。
 果たして
 習近平がこのまま逃げ切るか、
 それともパージされるか。
 中国劇場で演じられる劇は見逃すには歴史的には惜しいものになってきつつある。


時事通信 8月10日(水)20時50分配信
http://www.jiji.com/jc/article?k=2016081000914&g=pol

外相抗議後も挑発やまず
=中国、「管轄権」行使を誇示
―尖閣接続水域に公船10隻


●東シナ海を航行する中国海警局の公船=7日撮影、海上保安庁提供(AFP=時事)

第11管区海上保安本部(那覇市)は10日、沖縄県・尖閣諸島の接続水域を中国公船10隻が航行したと発表した。
 外務省の金杉憲治アジア大洋州局長は、在京中国大使館の郭燕公使に抗議した。
 午後3時現在、領海侵入は確認されてないが、岸田文雄外相らの再三の抗議にもかかわらず、日本を揺さぶる公船による挑発活動はやんでいない。
 同本部によると、公船は主に久場島や魚釣島の北西の接続水域を航行。
 一部の公船には「砲らしきもの」が装備されている。

 午前3時ごろには、日本の排他的経済水域(EEZ)内で、中国漁船の乗組員が公船に乗り移る場面を確認。
 中国海警局が自国のEEZ内と見なして活動した可能性があるため、金杉局長は郭公使に対して
 「当該海域で中国の漁業に関する管轄権の行使は認めていない」
という日本政府の立場を強く申し入れた。

 海上保安庁によれば、尖閣周辺では9日昼にも、海警局の搭載艇が中国漁船に横付けし、数人が漁船に乗り移った。
 移乗は同日夜にも見られた。
 中国側として海域の「管轄権」行使を誇示する狙いがあるのは確実だ。
 移乗などの「特殊事案」は尖閣諸島が国有化された2012年以降、昨年までに15日間確認されているが、今年に入ってからは初めてだ。

 一方、中国の程永華駐日大使は
 「当該海域で漁船の活動が増えていて、事態が複雑化しないよう中国は努力している」
と説明。
 中国側は休漁期明けで急増した漁船の「保護と管理」を理由に、活発化する公船の活動をあくまで正当化する構えだ。

 海警局は漁政部門を含め複数の海上治安機関を統合する形で13年7月に発足。
 近年は増強が著しく、軍と並んで習近平政権の掲げる「海洋権益の確保」の中核でもある。

 10日付の共産党機関紙・人民日報系の環球時報は
 「安倍晋三首相はますます中国脅威論を強調するようになっている。
 民衆の危機感を呼び起こし、憲法改正のための世論をつくるためだ」
と主張する研究者の見解を紹介し、日本側の相次ぐ抗議に反発している。

 5日以降、日本政府は中国側に20回以上抗議している。
 外務省幹部は「今後も続くようなら次の手を考える必要がある」
と述べており、引き続き厳しく対処する方針だ。 



時事.com (2016/08/11-06:31)
http://www.jiji.com/jc/article?k=2016081100096&g=pol

中国の一方的行動に反対
=尖閣周辺航行で米国務省

 【ワシントン時事】
 米国務省のトルドー報道部長は10日の記者会見で、沖縄県の尖閣諸島周辺で増加する中国公船の航行について懸念を示した。
 部長は
 「尖閣に対する日本の施政権を害そうとするいかなる一方的行動にも反対する」
と改めて明言した。
 トルドー部長は9日の記者会見に続き、情勢を注視すると同時に、同盟国としての日本と緊密に連絡を取り合っていると説明した。
 日本側の抗議にもかかわらず挑発行動が続いていることに反対姿勢を明確にした。 

 一方、ベトナムが南シナ海・南沙(英語名スプラトリー)諸島に確保している拠点にロケット砲の移動式発射台を配備したとの報道に関連し、緊張を高める行動を避けるよう全当事者に引き続き求める方針を示した。
 さらに
 「信頼醸成へ実質的な措置を取り、紛争の平和的な外交解決を見いだす努力を増すよう求める」
と述べた。



まぐまぐニュース 2016.08.11 158 北野幸伯
http://www.mag2.com/p/news/215204

中国が尖閣に上陸した場合、
安倍政権が最もやってはいけないこと

 尖閣諸島周辺で挑発行為を繰り返す中国。
 このまま挑発がエスカレートし、人民解放軍が尖閣に上陸する可能性もゼロとは言い切れない状況です。
 万が一そのような状況となった際、日本はどう動くべきなのでしょうか。
 無料メルマガ『ロシア政治経済ジャーナル』の著者・北野幸伯さんが、戦略家・エドワード・ルトワック氏の著書を引用しながらシミュレーションを試みています。

■人民解放軍が尖閣に上陸したらどうする?

メルマガ前号で、中国が挑発をどんどん強めている現実を書きました。
<< 中国よ、本気で上陸する気か? 武装漁船の大群が「尖閣周辺」に出現
http://www.mag2.com/p/news/215097>>

(証拠記事抜きで)おさらいすると、

6月9日、中国とロシアの軍艦が尖閣周辺の接続水域に入った。
6月15日、鹿児島県付近の領海に中国軍艦が侵入。
6月17日、航空自衛隊機と中国軍機が、「ドッグファイト」状態に。
6月30日、自衛隊トップの河野克俊統合幕僚長は、今年4~6月に日本領空に接近した中国軍機に対する航空自衛隊戦闘機の緊急発進(スクランブル)回数が、約200回だったことを明らかにした。
8月6日、尖閣諸島周辺の接続水域に、中国海警局の公船7隻と漁船230隻が進入。

 このように、中国は、挑発のレベルを着実に上げてきているので、「このままでは確実に日中戦争になる」という話をしました。


●海上保安庁HP「尖閣諸島周辺海域における中国公船及び中国漁船の活動状況」より(※編集部注:PDFが開きます)

 そこで、今回は、「人民解放軍が尖閣に上陸したらどうするの?」という話をしたいと思います。
 テキストは、全国民必読の書
 『中国4.0 暴発する中華帝国(エドワード・ルトワック:著)』
です
 こんなお得な本は、メッタにありません。
 たったの780円で、「世界最高の戦略家」と呼ばれるルトワックさんの考えを知ることができる

 しかもこれは、「日本人のためだけに」書かれた本。
 巻末には、再臨の諸葛孔明・奥山真司先生の詳細な解説もある。
 迷わずご一読ください。

■中国の今の戦略と、対処法

 ルトワックさんは、「中国の戦略は15年間で3回も変わった」と言います。

★:中国1.0(2000~09年)=「平和的台頭」
 これは、ルトワックさんも大絶賛のすばらしい戦略。
 中国は、誰にも警戒されることなく、世界第2の大国になることができた。

★:中国2.0(09~14年)= 「対外強硬路線」
 08年から始まった「100年に一度の大不況」で、中国はアメリカの没落を確信。
 「もう邪魔するものはない!」とばかりに、「平和的台頭」戦略を捨て去り、「強硬路線」に転じます。
 日本、ベトナム、フィリピン、その他東南アジア諸国、インドなどなど、あちこちで問題を起こすようになりました。

★:中国3.0(14年~)=「選択的攻撃」
 ところが「強硬路線」による反発が強まった。
 果として、中国は孤立して追い詰められていった。
 そこで14年、「選択的攻撃」戦略に転じたのです。その本質は、

 彼らは抵抗の無いところには攻撃的に出て、抵抗があれば止めるという行動に出た。
(p58)
 この「抵抗があれば止める」というのが大事です。
 いつも書いているように、「アメリカ以上に」中国を挑発してはいけません。
 しかし、中国が日本の主権を侵害するような行為をしたら、「抵抗」しなければならない。
 抵抗しなければ、彼らは「どこまでいいのかな?」と、どんどん浸食してきます。
 しかし、ベトナムのように抵抗すれば、「ああ、これはダメなんだ」と引っ込む。
 ベトナムにできて日本にできないはずがありません。

■「尖閣有事」でアメリカは日本を守るか?

 「尖閣有事の際、アメリカは日本を守ってくれるのか?」
 これは、日本国内で大きな論争になっていました。
 ルトワックさんの見解はどうなのでしょうか?

>>>>>
率直に言って、アメリカは、現状では日本の島の防衛までは面倒を見切れないのである。
(p148)
端的に言って、これらを守るのは、完全に日本側の責任だ。
(同上)
日本が自ら対処すべき問題なのである。
(同上)
<<<<<

 誤解のないように書いておきますが、ルトワックさんは、
 「日米安保は機能していない」とか、
 「アメリカには日本を守る気がない」とか
言っているのではありません。

 たしかにアメリカという同盟国は、日本を「守る」能力と意志を持っている。
 しかし、この「守る」とは、「日本の根幹としての統治機構システムを守る」という意味である。

>>>>
 中国軍が日本の本州に上陸しようとしても、アメリカはそれを阻止できる。
(同上)
<<<<

 どうも尖閣に関して言えば、「自分で守る!」という決意を固める必要がありそうです。

■尖閣を守るために必要な三つのこと

 ルトワックさんは、日本が中国の脅威に対抗するために、「三つのこと」が必要だと言っています。

★:物理的手段(船、飛行機など)
★:法制上の整備
★:政治的コンセンサス

 要するに、日本は「中国軍が尖閣に上陸したことを想定し、それに備えよ!」と言っている。

★:尖閣防衛に必要な武器を確保し
★:即座に尖閣奪回に動けるような法整備をし
★:「中国軍が尖閣に上陸したら、即日奪回する!」という政治的コンセンサスを今からつくっておく

 もっと具体的に書いています
>>>>
 より具体的に言えば、

(A):「領土を守る」という国民的コンセンサスと、
(B):それを実現するためのメカニズム、

 つまり電話をとって自衛隊に尖閣奪回を指示できる仕組みの両方が必要になる。
(p150)
<<<<<

 人民解放軍がある日、尖閣に上陸した。
 それを知った安倍総理は、自衛隊トップに電話をし、「尖閣を今すぐ奪回してきてください!」という。
 自衛隊トップは、「わかりました。行ってきます」といい、尖閣を奪回してきた。
 こういう迅速さが必要だというのです。
 なぜ?
 ぐずぐずしていたら、「手遅れ」になるからです。

>>>>>
 ここで肝に銘じておくべきなのは、

「ああ、危機が発生してしまった。まずアメリカや国連に相談しよう」

などと言っていたら、島はもう戻ってこないということだ。
 ウクライナがそのようにしてクリミア半島を失ったことは記憶に新しい。
(p152)
<<<<<

 安倍総理は、「人民解放軍が尖閣に上陸した」と報告を受けた。
 「どうしよう…」と悩んだ総理は、いつもの癖で、アメリカに相談することにした。
 そして、「国連安保理で話し合ってもらおう」と決めた。
 そうこうしているうちに3日過ぎてしまった。
 尖閣周辺は中国の軍艦で埋め尽くされ、誰も手出しできない。
 アメリカ軍は、「ソーリー、トゥーレイトゥ」といって、動かない。
 国連は、常任理事国中国が拒否権を使うので、制裁もできない。
 かくして日本は、尖閣を失いました。習近平の人気は頂点に達し、
 「次は日本が不法占拠している沖縄を取り戻す!」
と宣言した。

こんなことにならないよう、政府はしっかり準備しておいてほしいと思います。

■多元的な阻止能力とは?

 ルトワックさん、さらに細かい話をされています。
 今の段階から、「人民解放軍が尖閣に上陸した」ことを想定し、

海上保安庁に任務を与える
海上自衛隊に任務を与える
陸上自衛隊に任務を与える
航空自衛隊にも任務を与える(制空権を掌握し、島を隔離する)

 これは軍事面ですね。

 次にルトワックさん、「外交面」についても書いておられます。
 「尖閣有事」の際、外務省はどう動くべきなのか? 今から「準備をしておくことが大事」
だそうです。

>>>>
 外務省も、中国を尖閣から追い出すための独自の計画をもたなければならない。
 中国が占拠した場合を想定して、アメリカ、インドネシア、ベトナム、そしてEUなどへの外交的対応策を予め用意しておくのだ。
(p171)
<<<<<

 では、外務省は具体的に何をするべきなのでしょうか?
 ルトワックさんは例として、こんな提案をしています。

>>>>>
 たとえば中国からの貨物を行政的手段で止める方策なども有効であろう。
 EUに依頼して、軍事的な手段によらずに、中国からの貨物処理の手続きのスピードを遅らせるよう手配するのだ。

(中略)

こうすれば、中国は、グローバルな規模で実質的に「貿易取引禁止状態」に直面することになる。

(中略)

全体としては、かなり深刻な状況に追い込まれるはずだ。
(p171)
<<<<<

 結論を言えば、「日本政府は今から、人民解放軍が尖閣に上陸したら、何をすべきか、決めておくことが必要」ということですね。

 者さんの中で総理をご存知の方がいれば、ぜひ教えてあげてください。

『ロシア政治経済ジャーナル』
著者/北野幸伯
日本のエリートがこっそり読んでいる秘伝の無料メルマガ。驚愕の予測的中率に、問合わせが殺到中。わけのわからない世界情勢を、世界一わかりやすく解説しています。


なるほどな、と思うのだが何かちがう。
 何が違うのかをシンプルに言えば
 「日本はやりたがっている」
ということだ。
 アメリカ抜きで中国とタイマンでやりたがっている。
 その時期まではアメリカの影に隠れて平和国家のポーズをとっている。
 耐えて耐えて、もうこれ以上は耐えられない
 「已む得ないことです」
という言い訳を作れるような、法的根拠に自信があるような状況まで待って、一気にいく、ということであろう。
 それはどこか?
ということになるが、当然
 中国の尖閣上陸
であろう。
 これなら自衛防衛出動ができ、文句のつけようがない。
 そして、
 これを利用して以降文句をいわせない程に中国軍の海軍空軍を徹底的に叩く
というのがシュミレーションであろう。
 中国軍の海軍と空軍はハリコの虎にすぎない。
 尖閣を利用して完膚なきまでに徹底的に叩きたい、というのが日本政府の願望だろう。
 尖閣はエサである。
 中国を誘い出すエサである。
 これを待っているとみていい。
 そして、絶対にアメリカは参加させない
ということも必須である。
 と同時に、リアルタイムにアメリカに情報を流しておくことも忘れないだろう。
 つまり、アメリカとは一体で情報を共有しつつ、手を汚すのは日本だけ、という算段である。
 おそらく日本政府、防衛庁あたりが考えているのはこんなところではないだろうか。
 日本の軍部が動き出したらおそらく中国相手では失敗はないだろう。
 なぜなら、日本には残念なことに、いや喜ばしいことに
 有り余るほどの戦争キャリアが蓄積されている
のである。
 中国の本当に戦えるのかといった軍事力とはレベル・ケタが違う、ということである。
 ただ、名目的に前に出たくない、という心理がある。
 よって許される防衛行動までは待たないといけない。
 自衛力なら許されている。
 そこまでは忍耐が肝心になる。
 その前に動くことは憲法違反という孫悟空の頭の輪が締まるということにもなる。


産経新聞 8月11日(木)7時55分配信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160811-00000066-san-pol

中国、尖閣周辺で連日の挑発

 ■外交…抗議に加え対外発信
 ■海保…専従船数の増強視野
 ■自衛隊…海上警備行動発令も

 日本固有の領土である尖閣諸島(沖縄県石垣市)の領有権を不当に主張する中国が連日、尖閣周辺の接続水域に公船を送り込み、領海侵入を繰り返している。
 海上保安庁によると、10日も接続水域で10隻が航行。
 中国のあからさまな攻勢に、日本政府は有効な対応策を迫られている。

                     ◇

■「決して楽観してはいけない」

 外務省幹部は10日、中国公船の動きが弱まったとしても警戒感を緩めることはないと強調した。
 中国は南シナ海問題をめぐり、オランダ・ハーグの仲裁裁判所が中国の主権を全面的に否定したにもかかわらず、軍事拠点化に向けた力による現状変更を強行している。
 尖閣をめぐっても中国への不信感は拭えない。

 外務省は、中国公船が漁船と同時に尖閣周辺の領海に侵入した5日以降、再三にわたって幹部が中国側に強く抗議してきた。
 9日には政治レベルに格上げし、岸田文雄外相が中国の程永華駐日大使を外務省に呼び出したが、その後も領海侵入はやまなかった。
 政府関係者は「外交だけでは限界がある」と指摘する一方で、同盟国・米国との連携こそが最大の抑止力になると強調する。
 今年3月に施行された安全保障関連法は、自衛隊による集団的自衛権の行使を可能にし、中国に対する最大の抑止力となるものだ。

 政府は今後も米国とともに「法の支配」を訴えて国際社会を巻き込み、国際法に従わない中国の“いびつさ”を強調していくことにしている。
 また、中国が議長国となる9月の20カ国・地域(G20)首脳会議に安倍晋三首相が出席し、習近平国家主席と会談した際には強く抗議する方針だ。

 また、外務省は対外発信にも力を入れ始めた。
 9日には、中国公船の活動状況や政府の対応に関する資料を同省ホームページなどで公表し、
 「多数の中国公船が集結し、中国漁船に続いて領海侵入を繰り返す事象が確認されたのは今回が初めて」
と訴えた。

 ■ついに「13」隻

 「どこまで増えるんだ」。中国海警局の公船が同時に13隻で接続水域内を航行した7日、海上保安庁は一時、緊迫した空気に包まれた。
 大量の漁船とともに現れた公船群。
 6日の7隻からほぼ倍増し、過去最多だった平成24年9月18日の12隻を超えた。

 「13」という数字には意味がある。

 海上保安庁が今年2月に完成させた「尖閣警備専従部隊」は大型巡視船10隻とヘリ搭載型巡視船2隻の計12隻。
 これを上回る数字だ。
 中国の公船1隻に対し、巡視船1隻以上の勢力で対応するのが定石だが、全船を稼働させても1隻足りないことになる。
 乗組員のローテーションや修理などを考えると「実際に12隻が同時に稼働することはない」(同庁幹部)というが、中国の“示威行動”を如実に示すものといえる。

 尖閣警備専従部隊は、24年9月の尖閣諸島国有化後、中国公船が付近の日本の領海や排他的経済水域(EEZ)に頻繁に侵入したことから、24~27年度に新造船10隻、既存船改修2隻を増強して完成。
 27年度末時点の要員は606人だ。
 この結果、それまで全国にある管区から応援に来ていた巡視船の多くが本来業務に戻ることができた。

 しかし、尖閣警備専従部隊発足後も、全国で最多の大型巡視船19隻を擁する第11管区海上保安本部をはじめ、全国的な応援を得ながら監視活動が行われてきた。
 今回も、8日には接続水域と領海を航行する計15隻の公船に加え、多数の漁船に対応したが、全国からの応援を増やしてしのいだのが実態だ。

 9日には、中国公船がEEZ内で漁船に立ち入り検査を実施したことが確認された。
 同様の検査は少なくとも24年から毎年確認されており、これらが漁業に関する検査であれば、日本の主権の一部を侵害したことになる。

 「既成事実を積み重ね、実効的な支配を強調していくのが中国のやり方」(公安関係者)とされ、政府内部では巡視船や航空機の増強が必要ではないかとの見方も出ている。

 ■中国海軍も活発

 尖閣周辺海域では、中国公船や漁船が領海侵入を繰り返しているだけでなく、中国海軍艦艇の動きも活発化している。
 今年6月には中国海軍のフリゲート艦が尖閣周辺の接続水域を航行したほか、口永良部(くちのえらぶ)島(鹿児島県)の領海に情報収集艦が侵入した。

 防衛省は海上自衛隊のP3C哨戒機や護衛艦を周辺海域に展開。
 中国軍艦艇の動向に目を光らせるとともに、中国公船などについても警戒監視活動を行い、海上保安庁との連携を強化している。
 ただ、軍艦ではない公船の活動に自衛艦が直接対処すれば「中国海軍が尖閣周辺に展開する格好の口実を与える」(防衛省幹部)という恐れがある。

 このため、警告射撃などが可能となる海上警備行動の発令は、主に中国軍艦艇が尖閣周辺の領海に無害通航ではない形で侵入したケースなどを想定している。
 だが、中国軍艦艇が動かなければ自衛隊が動かないわけではない。

 仮に尖閣諸島が武装漁民に占拠され、海上保安庁や警察が保持する装備で対応が不可能ならば自衛隊に海上警備行動が発令される。
 昨年5月に安全保障関連法が閣議決定された際には、
 海上警備行動の手続きを迅速に進めるため、閣僚に電話で了解を取り付ける閣議決定の方式を導入した。

 政府はこうした態勢を通じて、中国海警局に漁民保護などを名目に“主権行使”の既成事実を作らせることを防ぎたい考えだ。



Record china配信日時:2016年8月11日(木) 13時0分
http://www.recordchina.co.jp/a147287.html

尖閣に襲来した中国公船、その狙いとはなにか―台湾紙

  2016年8月10日、台湾紙・旺報によると、台湾の研究者は戦略的判断から日中は対立しても武力衝突には到らないと指摘した。

 尖閣諸島情勢が緊迫の度合いを増している。
 8月に入り、数百隻の中国漁船が尖閣諸島近海に出現。
 随行した中国公船がしばしば日本の領海に侵入している。
 一触即発の事態に思えるが、タカ派に対するポーズであり武力衝突にまでは発展しないと台湾の研究者は分析している。

 東呉大学の劉必栄(リウ・ビーロン)教授は、
(1):9月初めに中国でG20サミットが開催される
(2):安倍晋三首相はG20サミット期間中の日中首脳会談を望んでいる
―との2つの理由から、日本側が沈静化に努めて事態拡大は避けられると予測した。

 政治大学国際関係センター米欧研究所の厳震生(イエン・ジェンション)研究員は、
 中国の狙いは力を誇示することにあると指摘する。
 日本だけではなく、在韓米軍のTHAAD(終末高高度防衛ミサイル)配備を認めた韓国、南シナ海問題の関連国に対してのパフォーマンスでもある。


時事通信 8月11日(木)15時9分配信

中国漁船の乗組員救助

●沈没した中国漁船の乗組員を救助する海上保安庁職員=11日午前、沖縄県石垣市の尖閣諸島沖(第11管区海上保安本部提供)


日本テレビ系(NNN) 8月11日(木)16時5分配信
http://headlines.yahoo.co.jp/videonews/nnn?a=20160811-00000055-nnn-soci

尖閣で中国漁船が衝突 海保が乗員6人救助



 11日朝早く、沖縄県の尖閣諸島の沖合で、中国漁船と貨物船が衝突した。
 中国漁船は沈没したとみられ、海上保安庁が乗組員6人を救助し、行方不明の8人の捜索を続けている。

 第11管区海上保安本部によると、11日午前5時半ごろ、尖閣諸島魚釣島の北西約67キロの公海上で、中国漁船とギリシャ船籍の大型貨物船が衝突した。
 近くを警備していた海上保安庁の巡視船が駆けつけたが、中国漁船は見つからず、沈没したとみられている。

 中国漁船には14人の乗組員がいて、うち6人は海上を漂流していたところを巡視船に救助され、命に別条はないという。
 残る8人は行方不明で、海上保安庁に加え、中国の公船が捜索を続けている。

 外務省によると、中国政府に対し日本側の救助や捜索活動を外交ルートで伝えたところ、謝意が示されたという。


サーチナニュース 2016-08-12 12:03

尖閣沖で中国漁船沈没、海保が救助 
中国政府は「協力に感謝」、ネット民には「疑問」も

 尖閣諸島(中国名:釣魚島)沖の公海上で11日、中国漁船がギリシャ船籍の大型貨物船と衝突し、中国漁船が沈没した。
 外務省によれば、遭難通信を受けた海上保安本庁は巡視船および航空機を現場海域に派遣、中国漁船の乗組員を6人救助。
 日本政府から外交ルートで中国政府に対して通報したところ、中国政府から謝意が表明されたという。

 香港メディアの鳳凰網は12日、同事故について
 「中国漁船の乗組員6人が救助されたが、8人の行方が分からなくなっている」
と伝えたほか、現場海域では衝突した中国漁船は見当たらなくなっており、すで沈没したと見られると紹介した。

 続けて、海保が救助した6人の中国漁船の乗組員は石垣島の病院に搬送されたことを伝えたほか、行方が分からなくなっている乗組員について、現在も海保が捜索を行っていると報じた。

 外務省によれば、日本政府が同事故で中国漁船の乗組員を救助し、中国政府に対して外交ルートを通じて通報したところ、中国政府は謝意を表明した。
 また、中国外交部のウェブサイトによれば、華春瑩報道官は11日、
 「日本側に救助された中国漁船の乗組員6人はすでに中国側に引き渡された」
と述べ、今回の事故における日本側の協力と人道主義に則った精神は称賛に値すると発言した。

 なお尖閣諸島周辺海域には5日から多数の中国漁船・公船が確認されており、日本政府が外交ルートを通じて中国政府に対して再三にわたり抗議を行っていたものの、領海侵入が繰り返し発生していた。

 鳳凰網が中国の簡易投稿サイト・微博(ウェイボー)に開設しているアカウントには、中国漁船の衝突事故および日本側の救助について多くのコメントが寄せられている。
 日本側の救助に謝意を示す意見が多く見られる一方で、
 「なぜ中国側の公船が救助しないのか」
という疑問の声が見られた。
 中国は尖閣諸島の領有権を主張しているにもかかわらず、乗組員6人の救助を日本の海保が行ったことに納得がいかなかったようだ。

ニューズウイーク 2016年8月12日(金)15時46分 高口康太(ジャーナリスト、翻訳家)

中国漁船300隻が尖閣来襲、
「異例」の事態の「意外」な背景

<8月に入って突然、尖閣諸島をめぐり日中関係が緊迫化している。
 エスカレートする異常事態に日本政府も危機感を募らせているが、中国はなぜこれほどの強硬姿勢に出ているのか。
 実は尖閣だけでなく、対韓国、南シナ海でも中国外交は"異例"尽くしの状態。
 その原因は、河北省の避暑地で行われている"夏休み中の井戸端会議"にある> 

 2016年8月、尖閣諸島をめぐる情勢が風雲急を告げている。
  300隻もの中国漁船が尖閣諸島近海に来襲した。
 その漁船を守るかのように中国公船も多数随行している。
 今までにない数の襲来に日本政府も態度を硬化、強い抗議を繰り返している。
 突然の日中関係緊迫は何を背景としているのだろうか。

 この間の尖閣情勢については海上保安庁の文書「尖閣諸島周辺海域における中国公船及び中国漁船の活動状況について」(2016年8月9日付)が詳しい。
 一部を引用しよう
 (ちなみにその前に出された緊急通達は「Pokemon GO利用者の方々へ」。
 防波堤を歩いている時や操船中のゲームはやめようという呼びかけである。
 中国とポケモンという2つの注意喚起が縦並びになっている図はなかなか見られるものではない)。

>>>>>
 平成28年8月5日午後1時30 分頃、中国漁船に続いて、中国公船(中国政府に所属する船舶)1隻が尖閣諸島周辺領海に侵入した。
 その後、8日午後6時までに、最大15隻の中国公船が同時に接続水域に入域、延べ17隻が領海に侵入した。
 約200~300 隻の漁船が尖閣諸島周辺の接続水域で操業するなかで、最大15隻という多数の中国公船も同じ海域に集結し、中国漁船に続いて領海侵入を繰り返すといった事象が確認されたのは今回が初めてである。
<<<<<

 文書が率直に記すとおり、今回の事態はきわめて"異例"だ。
 中国は毎年初夏に東シナ海の禁漁期をもうけている。
 禁漁期あけに大量の漁船が尖閣諸島近海に出没するのはいつものことだが、今年は接続水域にまで接近する漁船が多い。
 8月5日から8月8日までに日本領海に侵入し退去警告を受けた中国漁船はのべ43隻。
 2015年通年で70隻だったが、わずか4日間で昨年の半数以上という異常な数を記録している。
 また、中国公船は尖閣諸島に定期パトロールを行っているが、今回は定期パトロールではなく漁船の随行が目的のようで、領海・接続水域での侵入数は過去に例のないレベルに達している。

 この異常事態に日本政府も危機感を募らせている。
 外務省は怒りの抗議ラッシュを展開。
 まずは外務省アジア太平洋局長から始まり、次第にポジションを上げながら抗議を行っている。
 抗議レベルを引き上げていくという外交手法である。
 もっとも、抗議などどこ吹く風と次々に中国公船が領海に侵入してくるため、レベルは驚くべきペースで上がってきている。

 そのスピード感を如実に示すのが8月7日の郭燕・在京大公使への抗議だろう。
 午前8時29分に外務省の金杉アジア大洋州局長に抗議され、午後2時に滝崎アジア大洋州局審議官から2発目。
 午後8時10分に石兼総合外交政策局長から3発目。
 わずか1時間後の午後9時20分には同じく石兼氏から4発目の抗議。
 そして午後11時15分に朝一で会った金杉氏から5回目の抗議を受けている。
 仕事だから仕方がないと言えばそれまでだが、朝一から日付が変わる直前まで怒られ続けるのはせつない仕事としか言いようがない。

 9日にはついに岸田文雄外相自らが程永華・駐日本中国大使に抗議する事態にいたった。
 早くもレベルはマックスに到達してしまったわけだ。

■尖閣だけではなかった"異例"尽くしの中国外交

 尖閣諸島における中国の異常な動きはいったい何を意味しているのだろうか? 
 ついに中国が尖閣諸島の実効支配を奪おうと実力行使に出てきたのか。
 フィリピンが提訴した国際仲裁裁判所での敗訴を受け、黒幕である日本に報復しているのではないか。
 はたまた、タカ派として知られる稲田朋美議員の防衛相就任に対する嫌がらせではないか――などなど専門家の間でもさまざまな意見が飛び交っている。

【参考記事】中国はなぜ尖閣で不可解な挑発行動をエスカレートさせるのか
http://www.newsweekjapan.jp/ohara/2016/08/post-4.php
【参考記事】中国がいま尖閣を狙う、もう一つの理由
http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2016/08/post-5642.php

 尖閣諸島だけを見ていては理解できないというのが私の立場だ。
 中国を取り巻く環境を見ていると、対日外交以外にも異例の行動を次々と繰り出している。

★.まずは韓国に対する「韓流禁止令」だ。
 7月13日、韓国政府は在韓米軍のTHAAD(高高度防衛ミサイル)配備を認める方針を公表した。
 THAADに付随する高性能レーダーが人民解放軍を丸裸にしかねないと中国は撤回を求めてきたが、8月に入って韓流スターのイベント中止といった具体策的な報復策に出ている。
 韓国に行く中国旅行ツアーの中止が始まったとの情報もある。
 こうした報復そのものは中国ではよくあることだが、配備発表から半月以上が過ぎてから行動開始は不可解きわまりない。

★.そして南シナ海。
 8月6日、中国人民解放軍空軍広報官は南シナ海での「戦闘巡行」が始まったことを宣言した。
 今後は戦闘機や爆撃機、偵察機、空中給油機からなる編隊が定期的に南シナ海をパトロールするという。
 尖閣諸島近海でも船舶と航空機による定期的な巡行(パトロール)を実施している中国だが、わざわざ「戦闘」という挑発的な言葉をつけ、爆撃機まで飛ばすというのは"異例"としか言いようがない。

 そう、8月に入って尖閣諸島、韓国、南シナ海という3つのスポットにおいて、中国は"異例"の強硬姿勢を見せているのだ。

■原因は政治の季節、大国になりきれない中国

 中国外交は本来、きわめて柔軟だ。
 7月24日から26日にかけて開催されたASEAN関連外相会議ではその真価を発揮し、経済援助をちらつかせたかと思えば、一方的な行動を取り締まる南シナ海行動準規範の早期制定に言及するなど精力的な外交を展開。
 ASEAN外相会議の共同声明から中国批判の文言を削除するという成果を手に入れている。

 うまく批判を回避したというのに、そこで「戦闘巡行」などと言い始めれば、せっかくの成果はおじゃん。
 国際社会の批判は必然だ。
 これまでの外交努力を無駄にするような強硬姿勢は、
 外交よりも優先される論理があることを意味している。

 その論理とは国内政局にほかならない。
 中国は今、"政治の季節"を迎えているのだ。
 中国の大事を決める北戴河会議が7月末から始まっている。
 避暑地として知られる河北省秦皇島市北戴河区で毎年夏に開催される秘密会議だ。
 会議の位置づけについて明確な規定はないが、この政治指導者と長老たちによる夏休み中の井戸端会議は政策、人事に決定的な役割を果たす。
 来年には次期政権最高指導陣を決める第19回中国共産党全国代表大会(十九大)が開催されるとあって例年以上に重要だ。

 しかも習近平は党大会で"異例"の人事を狙っている。
 江沢民、胡錦濤と2代続いた「総書記2期10年」という枠組みを覆し、
★.習近平体制を3期15年に延長すること。
 この戦略が次第に有力視されるようになってきた。
 "異例"の人事を成功させるためには反対派に一切の批判材料を渡してはならない。
 そのための"異例"の強硬外交が一気に展開されたのだろう。

 このように読み解けば中国の動機は理解できるのだが、しかし国内政治を優先させるあまり外交をしっちゃかめっちゃかにしても構わないというのはいかがなものか。
 中国の国際的影響力が弱かった時代ならばいざしらず、だ。
 国際政治に責任を持ち大人の姿勢を見せるのが大国である。

 中国が大国として振る舞うよう、国際社会のネットワークに引き込むというのが米オバマ政権の戦略だったが、そろそろ任期は時間切れだ。
 そしてオバマ大統領の後釜になりかねないのが、国内政局のためならば外交は平気でないがしろにするドナルド・トランプ氏だ。
 トランプ氏が勝利した場合、「中国を大人にする」試みが失敗し、「米国が中国にあわせてお子様になる」という悲劇的な転換点となるだろう。








●緊迫!尖閣”暴走”中国に何が 20160810
2016/08/12 に公開




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