いよいよ東シナ海での軍事演習に踏み切った中国。
この時を待っていた日本。
「今、目の前にある危機」
これは日本政府にとって朗報であろう。
これで憲法改正への道筋の入り口に立つことができた。
先般の中国空軍の自衛隊機への威嚇行動、
口永良部島での軍船の領海侵入、
ときて
参議院選挙の国民の判定、
そして、この中国海軍の実弾軍事演習。
バタバタと政府にとって大いなる南風が吹いてきている。
政府としてうれしくてしかたないだろう。
憲法改正が通れば、日本は一気にアジア最強の海軍力を空軍力を持つことになる。
数だけで強くなった気分に浸っているハリボテの中国解放軍など歯牙にもかけないほどになる。
核兵器もミサイル攻撃も使えないのが現在の国際状況である。
とすればアジア最強の空海軍事国家になる。
北朝鮮が日本海にミサイルを発射したという。
これはどうなる。
日本政府のとっては嬉しい限りだろう。
中国ならびに北朝鮮が真摯に応援してくれている今が、
おそらく日本にとって最上のチャンスと捉えていることは政府がいちばん理解している
ことだろう。
日本テレビ系(NNN) 8月2日(火)17時45分配信
https://www.blogger.com/blogger.g?blogID=4595222439536306779#allposts/postNum=4
中国海軍 東シナ海で大規模軍事演習
中国海軍は1日、東シナ海で100隻以上の艦艇などが参加する大規模な軍事演習を行った。
中国メディアによると、東シナ海で1日に行われた軍事演習には、潜水艦なども含む100隻以上の艦艇に加え、数十機の戦闘機が参加した。
艦艇からのミサイルの発射には実弾が使われ、中国海軍は、今回の軍事演習について「海上での軍事衝突への対応能力を高めることができた」としている。
中国は、南シナ海での主権を否定された仲裁裁判所の判決後も、南シナ海で軍事演習を行うなど反発を続けている。
今回の東シナ海での軍事演習も、判決の受け入れを求める日本や、最新の迎撃ミサイル「THAAD」の韓国への配備をめぐってアメリカをけん制する狙いもあるとみられる。
』
『
読売新聞 8月2日(火)7時32分配信
中国、東シナ海で艦艇100隻以上の大規模演習
中国国営新華社通信などによると、中国海軍は1日、東シナ海で大規模な実弾演習を行った。
海軍トップの呉勝利司令官が指揮し、東シナ海を管轄する東海艦隊に加え北海艦隊と南海艦隊の艦艇計100隻以上、軍用機数十機が航空機・水上艦・潜水艦の合同攻撃やミサイル迎撃など10項目以上の訓練を実施。
具体的な海域は明らかにしていないが、日本をけん制する狙いもありそうだ。
常万全国防相は7月31日、建軍記念日の1日を前に北京で開かれた式典で、南シナ海での中国の主権主張を否定した仲裁裁判所の判決を念頭に「中国軍は領土と海洋権益を断固として防衛する」と述べていた。
』
『
Record china配信日時:2016年8月2日(火) 17時40分
中国海軍の3大艦隊、東シナ海で大規模な実弾演習
=海軍トップが指揮、軍事的「筋肉」誇示―米華字メディア
2016年8月1日、中国海軍の3大艦隊(東海艦隊、北海艦隊、南海艦隊)が東シナ海で大規模な実弾演習を行った。
海軍トップの呉勝利(ウー・ションリー)司令官が指揮し、建軍記念日に軍事的な「筋肉」を誇示した。
米華字メディア・多維新聞が伝えた。
中国国営新華社通信のニュースサイト、新華網によると、演習は約1.6万平方キロの海域で実施され、東シナ海を管轄する東海艦隊を中心に、北海艦隊、南海艦隊の一部兵力が参加。「中国版イージス艦」と呼ばれる052C型ミサイル駆逐艦「鄭州」、022型ミサイル艇など艦艇100隻以上、軍用機数十機、各種兵器が投入された。
海軍参謀部訓練局の関係者は、今回の演習を「定例の訓練活動だ」とした上で、「電子妨害が行われるなどの複雑な電磁環境下での訓練に重点が置かれた」と説明した。
』
『
Record china配信日時:2016年8月4日(木) 6時0分
中国海軍、東シナ海で大規模な実弾演習
=日本をけん制か―米メディア
2016年8月3日、米AP通信によると、中国海軍は1日、東シナ海で大規模な実弾演習を実施した。
東シナ海、南シナ海艦隊などの艦船100隻以上、戦闘機10機以上が参加。演習が行われた具体的な海域は明らかにされていないが、日本をけん制する狙いがあるとみられる。参考消息網が伝えた。
中国は南シナ海に対する中国の主権主張を認めなかった7月の仲裁裁判判決に反発。
中国南部海域でも実弾演習を行っており、周辺海域における監視飛行を常態化させ始めている。
中国国防部は、今回の演習の目的を「厳しく、正しく、穏やかに、速く」攻撃することと説明。将来的な情報戦に備え、突発的事態に素早く反応し、短時間で効率よく的確な攻撃を実施できるよう訓練しているとみられる。
今回の訓練には巡視艇、潜水艇、戦闘機、沿岸防御隊が参加。
中国は実戦における部隊の一体化実現を重視。
米国との量的、技術的な差を縮めるべく努力しているという。
』
フジテレビ系(FNN) 8月3日(水)22時17分配信
http://headlines.yahoo.co.jp/videonews/fnn?a=20160803-00000346-fnn-int
北朝鮮、弾道ミサイルを日本海に向け発射 韓国政府も非難
北朝鮮は、3日午前8時前、弾道ミサイルを日本海に向けて発射した。
今回のミサイル発射を、韓国政府も非難している。
韓国外務省の趙俊赫(チョ・ジュンヒョク)報道官は、
「韓国だけでなく、周辺国および国際社会に対する厳重な挑発行為であり、政府は、これを強力に糾弾する」
と北朝鮮を非難したうえで、「国連の安全保障理事会などで、必要な措置をとっていく」と強調した。
また、韓国国防省は、今回のミサイル発射について、
「周辺国までも打撃することができるという挑発と野心を露骨に表したものだ」
と、日本を意識して発射されたものであるとの可能性を示唆した。
』
『
ロイター 2016年 08月 3日 10:38 JST
北朝鮮弾道ミサイル、日本海の排他的水域に落下と推定=中谷防衛相
[東京 3日 ロイター] - 中谷元防衛相は3日、同日朝に北朝鮮が発射した弾道ミサイルについて、同国西岸から約1000キロ飛行し、日本海上の日本の排他的経済水域(EEZ)内に落下したと推定していることを明らかにした。
防衛省関係者によると、
北朝鮮の弾道ミサイルの本体が日本のEEZ内に着水したのは、確認できる限り初めて
という。
』
『
TBS系(JNN) 8月3日(水)9時56分配信
http://headlines.yahoo.co.jp/videonews/jnn?a=20160803-00000033-jnn-int
北朝鮮、日本海に向け弾道ミサイル発射
北朝鮮が3日朝、日本海に向けて弾道ミサイル1発を発射しました。
韓国国防省によりますと、北朝鮮は3日午前7時50分ごろ、朝鮮半島西側の黄海南道・ウンユル付近から、日本海に向けて弾道ミサイル1発を発射しました。
短距離のスカッドか中距離のノドンとみられますが、ミサイルの種類や飛距離など詳しいことは、まだ分かっておらず、韓国軍が分析を進めています。
今のところ、ミサイル発射による被害の情報は入っていません。
』
『
スポニチ [ 2016年8月3日 12:30
北朝鮮ミサイル秋田沖に落下
排他的経済水域内に初
日本政府は厳重抗議
韓国軍合同参謀本部によると、北朝鮮は3日午前7時50分(日本時間同)ごろ、黄海側の南西部・黄海南道殷栗付近から日本海に向け、弾道ミサイルを発射した。
日本のほぼ全域を射程に収める中距離弾道ミサイル「ノドン」(射程1300キロ)とみられる。
防衛省によると、約千キロ飛行し、
秋田県男鹿半島の西250キロの日本の排他的経済水域(EEZ)内に落下した。
北朝鮮ミサイルの弾頭部分が日本のEEZ内に落下したのは初めて。
現時点で航空機や船舶への被害は確認されていない。
金正恩体制は米韓に加え、第3次安倍再改造内閣に合わせた発射で日本をけん制する狙いもあるとみられる。
日本政府は北京の大使館ルートを通じて厳重抗議した。
政府は3日午前、国家安全保障会議(NSC)の関係閣僚会合を首相官邸で開催した。
安倍晋三首相は「米国、韓国と連携し毅然とした対応をする」と述べた。
北朝鮮が人工衛星打ち上げと称するミサイル発射を除くと、北朝鮮の弾道ミサイルが千キロ飛行したのは近年では初めて。
中谷元・防衛相は記者団に「安全保障上の重大な脅威であり、強く懸念する」と述べた。
米戦略軍は北朝鮮がノドンとみられるミサイル2発をほぼ同時に発射したのを探知したと発表。
1発は直後に爆発したと分析している。
韓国軍は
「韓国はもちろん、周辺国までも攻撃できるという挑発の意思と野心を露骨に表した」
とし、日本も挑発の対象だとの見方を示した。
北朝鮮は7月19日にも南西部の黄海北道黄州付近から短距離弾道ミサイル「スカッド」(射程300~500キロ)やノドンなど3発の弾道ミサイルを日本海方向に発射した。
北朝鮮は米軍の最新鋭迎撃システム「高高度防衛ミサイル(THAAD)」の韓国配備決定を非難。
ミサイル発射能力を重ねて誇示し、THAADの効果を疑問視する韓国の国内世論をあおる狙いもあるとみられる。
北朝鮮北東部豊渓里の核実験場では核実験の準備とみられる動きが確認されており、今後も挑発を繰り返す恐れがある。
』
Record china配信日時:2016年8月4日(木) 17時40分
http://www.recordchina.co.jp/a146682.html
北朝鮮のミサイルが日本の排他的経済水域に落下、日本が抗議
=「日本はTHAADを配備する口実ができてしまった」と中国ネットは危機感
2016年8月3日、中国メディアの澎湃新聞は、3日に北朝鮮が発射した弾道ミサイルが日本の排他的経済水域の中に落下したことについて、日本が北京の大使館ルートを通じて北朝鮮に抗議したと伝えた。
記事によると、安倍首相は3日、北朝鮮による弾道ミサイルの発射は日本の安全にとって重大な脅威であり強く非難する声明を発表した。
日本は北朝鮮と正式な外交関係がないため、北京の大使館ルートを通じて北朝鮮に抗議したという。
このニュースが中国版ツイッター・微博(ウェイボー)で伝えられると、中国のネットユーザーからさまざまなコメントが寄せられた。
「北朝鮮はこんなことをしたら日本のTHAAD配備を後押しするようなものじゃないか」
「金正恩(キム・ジョンウン)は本当に日米の盟友だな。
THAADを配備するための手助けをするのだから」
「これで日本も韓国もTHAADを配備する口実ができてしまった」
「THAADを配備するために日本と北朝鮮がグルになっているようにしか見えない」
「もはや金正恩は米帝国側の人間」
「北朝鮮は裏で日米と取引しているに違いない」
「ごめんなさいね、中国は日本のために抗議を伝えることはしません」
「でも中国も北朝鮮を管理できない。
ただ強く抗議することしかできないんだよ」
「抗議して何の意味がある?
北朝鮮はわざとじゃないんだよ。
発射できただけでもすごいんだ。
落ちるところまで予測できないって」
』
『
ハンギョレ新聞 8月6日(土)20時48分配信
日本政府、自衛隊に「破壊措置命令」を常時発令へ
北朝鮮の奇襲的なミサイル発射に備えるため
限られた自衛隊の戦力に負担が増える見込み
日本政府が、北朝鮮の奇襲的な核とミサイル脅威に備えるため、自衛隊の「破壊措置命令」を常に発令された状態にする見込みだ。
NHKは5日、北朝鮮が事前に兆候がつかみにくい移動式の発射台を使ってミサイルを発射しているため、自衛隊のミサイル防衛(MD)関連部隊が敵の弾道ミサイルを迎撃できるよう待機させる、いわゆる「破壊措置命令」を常時発令された状態にする方向で最終調整に入ったと報じた。
破壊措置命令は、自衛隊法第82条で定められた措置として、
弾道ミサイルなどが日本に飛んできて、人命と財産に被害を及ぼす恐れがある場合、
防衛相がこれを破壊する措置を取るよう命令する
ことを指す。
この措置が実現すると、日本の自衛隊は敵のミサイルを「中間段階」で捉えられるSM3を装着したイージス艦を東海(日本海)海上に、そして「最終段階」で捉えるパトリオット(PAC)3部隊を東京など主要大都市周辺に常時配備し、北朝鮮の奇襲的なミサイル発射に対応することになる。
日本政府はこれまで、北朝鮮のミサイル発射の兆候が見られる場合、それに合わせて破壊措置命令を発令し、事態が解消されると解除してきた。
日本がこれまでの態勢から「常時破壊措置命令」に切り替えようとするのは、今月3日に発射された北朝鮮のミサイルのためだ。このミサイルは3日午前に発射され、日本の排他的経済水域(EEZ)の秋田県250キロメートル海上に落下した。
しかし、日本は、このミサイルの発射の兆候を捉えられず、事前に破壊措置命令を発令できなかった。
このため、いつミサイルが発射されてもいいように、常に対応できる態勢を備えようということだ。
今回の措置は、日本の軍備強化につながる可能性が高い。
日本は現在、SM3を装着したイージス艦を4隻(全6隻)運用しており、2隻をさらに建造する計画だ。
常時配備が現実のものとなれば、限られた自衛隊の戦力にかなりの負担を加えることになる
ため、自然に戦力増強論議につながるものと見られる。
』
『
テレビ朝日系(ANN) 8月9日(火)5時58分配信
http://headlines.yahoo.co.jp/videonews/ann?a=20160809-00000003-ann-pol
北朝鮮ミサイルに備え 常時「破壊措置命令」
政府は北朝鮮からミサイル発射の兆候がなくても対応できるよう、「破壊措置命令」を8日に発令しました。
これまでは一時的でしたが、今後、常に命令を出し続ける方針です。先週、北朝鮮が発射した「ノドン」とみられる弾道ミサイルは移動式の発射装置を使った可能性があり、事前の兆候を察知するのが難しいとされています。
このため、政府は破壊措置命令を3カ月ごとに更新して命令を出し続ける方針です。
東京・市ケ谷の防衛省には地上配備型迎撃ミサイルのPAC3部隊が配備されたほか、高いレーダー機能を備えたイージス艦なども日本海側に展開させる方針です。
北朝鮮からの「予告なし」の弾道ミサイル発射にも迎撃態勢が整うことになります。
』
『
新潮社 フォーサイト 7月29日(金)15時47分配信 ジャーナリスト 辻原修
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20160729-00010000-fsight-pol
「改憲と心中」で解散権封印
「安倍政権」の憂鬱な未来
安倍政権の終わりが始まったのだろう。
7月10日夜、自民党本部で参院選の開票を見守る自民党幹部は、笑顔もそこそこの複雑な表情を浮かべていた。
自民、公明両党は選挙区選、比例選とも議席を伸ばし、安倍首相が勝敗ラインに掲げた与党で改選定数過半数の61議席を大幅に上回った。
自民、公明両党に、憲法改正を目指す、おおさか維新の会などを加えた改憲勢力としても参院の3分の2に達した。
衆院で3分の2をすでに保持しているのに加え、参院でも3分の2を確保する結果に、テレビの開票速報は「与党大勝」と伝えていた。
しかし、浮かない表情の自民党幹部が注目したのは、選挙区選の自民党が設定した最重点区の結果だった。
■最重点区で大きく負け越し
参院選終盤、自民党は党独自の情勢調査によって、最重点区を13に絞った。
僅差で負けている青森、宮城、福島、山梨、長野、三重の6選挙区で逆転を目指しながら、僅差でリードしている秋田、新潟、愛媛、大分と、複数区である東京、北海道、神奈川の2議席目を着実に取りに行く作戦だった。
野党候補に大きくリードされている沖縄、岩手、山形の3選挙区はあきらめた。
首相や人気者の小泉進次郎衆院議員らの応援を長野、福島などの最重点区に投入し、「選択と集中」作戦と呼んでいた。
結果は、逆転を目指した6選挙区すべてで敗れ、リードしていた新潟、大分と、北海道の2議席目をひっくり返され、取りこぼした。
最重点区だけの勝敗でみれば4勝9敗。
最重点区はもともと接戦区だったところなので、ある程度の負けは予想されたが、大きく負け越すということは想定外だった。
「競り合っていたところでみんな負けた。喜べるような結果ではない」
と、ある自民党幹部は打ち明けた。
首相も「ここまでやったのに」と、悔しさを周辺に漏らしているという。
■「無党派層の支持」で民進の後塵
背景にあるのは、深刻な事実だ。
選挙結果を伝える7月11日付け読売新聞朝刊に興味深い記事が掲載されていた。
投票所で有権者に聞く出口調査で、支持政党のない無党派層に比例選の投票先を聞いた結果、22パーセントで民進党が1位となり、自民党は2位の21パーセントだった。
政権を奪還した2012年の衆院選以来、13年参院選、14年衆院選と、自民党が無党派層の投票先で民主党に負けたことはなかった。
民主党政権の失敗により、本来なら野党に行きがちな無党派層の支持も取り込んできたことが、国政選挙3回連続圧勝の原動力となっていた。
今回の参院選で、その「勝利の方程式」が崩れたことになる。
参院選で自民党の獲得議席は追加公認を含めて56議席にとどまった。
57議席獲得で1989年の参院選大敗で失った参院単独過半数を回復できたが、1議席及ばなかった。
公明党が自民党単独過半数を嫌い、最終盤、自民党候補を支援する公明票の足が止まったという見方が自民党内に出ている。
いずれにしても、ここまで首相が4連勝してきた国政選の流れは今回の参院選で変わり、次の衆院選は厳しくなるだろう。
■都知事選での「小池氏の反乱」
そして、参院選が終わるやいなや、安倍政権を揺るがすような波乱が、すでに始まっている。
政治資金などを巡るスキャンダルで舛添要一前知事が辞任に追い込まれ、参院選と同時進行になった東京都知事選だ。
候補者選びで、自民党都連の反対を振り切り、小池百合子元防衛相が出馬を強行したことから、自民党は分裂選挙を余儀なくされた。
報道各社の情勢調査では、野党統一候補でジャーナリストの鳥越俊太郎氏や、自民、公明両党推薦の増田寛也元総務相を、小池氏がリードしていると伝えられている。
小池氏は「自民党都連はブラックボックス」と批判しており、「都議会冒頭解散」を提唱している。
「外務省は伏魔殿」というキャッチフレーズで外務省の機密費流用事件に取り組むことをPRしようとした田中真紀子元外相をほうふつさせる。
田中氏は人事課に籠城して自分の気に入らない課長を首にしようとするなど、外務官僚と大立ち回りをするパフォーマンスを演じ、世論からも「真紀子さんをいじめるな」と支持された。
しかし、肝心の外交が機能不全に陥ってしまったため、当時の小泉首相に更迭された。
小泉内閣の支持率は急落したが、小泉首相の電撃的な訪朝により、V字回復した。
■「反安倍」勢力の仕掛け?
小池氏が都知事選で勝利すれば、都議会との対立は決定的になるだろう。
知事に都議会を解散する権限はない。
知事の不信任が成立した場合には10日以内に議会を解散することが地方自治法で認められているが、議会がすぐには不信任案を出さず徹底抗戦の構えを見せれば、対立は長期化し都政が混乱するのは必至だろう。
2020年東京五輪・パラリンピックの準備にも支障が出かねず、政権としても関与せざるをえない事態になることも考えられる。
しかし、首相に知事を更迭する手段はなく、仮に小池氏が辞任に追い込まれれば、与党の自公が悪者となり、内閣支持率にも影響が出るかもしれない。
首相は外交では日露首脳会談で北方領土問題の前進を図ることで政権の求心力を高めることを狙っていると言われている。
しかし、欧米を敵に回しながら、クリミア併合を既成事実化してしまったプーチン大統領を相手に厳しい交渉が予想され、北方領土返還に向けて成果を得られる見通しは立っていない。
小池氏の「反乱」は、ポスト安倍に向けた党内の反安倍勢力が仕掛けたものという見方も浮上している。
小池氏は第1次安倍内閣の首相補佐官、防衛相だったが、2012年の自民党総裁選では石破茂地方創生相を支持し、石破派に近い。
都知事選では石破派の若狭勝衆院議員が「除名できるなら除名してみろ」と党本部を挑発しながら、小池氏を支援しており、自民党幹部によると、石破派議員の秘書も小池選対に出入りしているという。
石破氏は近く予定される内閣改造で閣外に転じ、次期総裁選に向けて反安倍路線で動き出すとも言われており、その号砲となったのが、小池氏の反乱というわけだ。
■衆院を解散できない理由
首相は参院選前の6月1日、国会閉会時の記者会見で「衆院解散・総選挙について、頭の中をよぎったことは否定しない」と語った。
首相が解散について公言するのは異例のことだ。
国会閉会日に衆院を解散し、衆参ダブル選にしなかったことに未練があったのだろうとの見方が専らだ。
首相は2018年9月に自民党総裁の任期満了を迎える。
党則では総裁は「2期6年まで」と定められている。
ただ、党内には党則を改正して、総裁任期を延長する任期延長論も出ており、首相が衆院を解散してダブル選を断行し、衆参で大勝したなら、総裁任期を延長して3選を確実にしていただろう。
そのために、首相は伊勢志摩サミット(主要国首脳会議)の成功や、オバマ米大統領の広島訪問など、歴史に残るような業績作りに努力し、サミットぎりぎりまで解散を考えていたのだ。
だが結局、ダブル選は見送られた。
参院選では、改憲勢力が3分の2を超え、衆参で憲法改正を発議する条件が整った。
こうなると、憲法改正を念願とする首相が、衆院で3分の2を失う可能性のある、衆院解散に踏み切ることは難しくなる。
首相の掲げるアベノミクスの展望は厳しく、景気が回復する見通しは立たない。
参院選で示されたように、次の衆院選は厳しくなるとみられており、北方領土問題の前進のようなよほどの好条件が整わなければ、憲法改正を発議できる3分の2の議席をなくす可能性のある解散には踏み切れない。
このままいけば、18年9月の総裁任期満了を迎え、政権の幕引きを図ることになるだろう。
■政権運営はさらに厳しく
首相は衆参の憲法審査会で改正案の取りまとめに向けた議論に入ることを指示している。
18年9月までに改憲に慎重な公明党も同意できる改正案を作り上げ、国民投票を実施しなければならないからだ。
国民投票の準備にかける時間などを考慮すれば、残された時間はそう長くはない。
もっとも、6月に英国で実施された、欧州連合(EU)離脱の是非を問う国民投票の結果、キャメロン首相が辞任に追い込まれたことを考えれば、憲法改正案の発議には慎重にも慎重にならざるを得ないだろう。
国民投票で否決されれば、憲法改正の道は閉ざされ内閣総辞職は避けられないからだ。
これまで「安倍一強」を支えた無党派層の離反は、参院選で見え始めた。
それは都知事選で、さらにはっきりとするだろう。
衆参で憲法改正に必要な3分の2の議席を維持するため、解散権は事実上、封印される。参院での3分の2を維持するためにはおおさか維新などの野党勢力も取り込まなければならず、政権運営はさらに難しくなる。
そもそも憲法改正という歴史的偉業を成し遂げるためには、
政権と引き換えにすることも覚悟の上
なのかもしれない。
安倍政権は2年後の終幕に向けた道のりを静かに歩き出している。
』
新潮社 フォーサイト 7月29日(金)15時47分配信 ジャーナリスト 辻原修
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20160729-00010000-fsight-pol
「改憲と心中」で解散権封印
「安倍政権」の憂鬱な未来
安倍政権の終わりが始まったのだろう。
7月10日夜、自民党本部で参院選の開票を見守る自民党幹部は、笑顔もそこそこの複雑な表情を浮かべていた。
自民、公明両党は選挙区選、比例選とも議席を伸ばし、安倍首相が勝敗ラインに掲げた与党で改選定数過半数の61議席を大幅に上回った。
自民、公明両党に、憲法改正を目指す、おおさか維新の会などを加えた改憲勢力としても参院の3分の2に達した。
衆院で3分の2をすでに保持しているのに加え、参院でも3分の2を確保する結果に、テレビの開票速報は「与党大勝」と伝えていた。
しかし、浮かない表情の自民党幹部が注目したのは、選挙区選の自民党が設定した最重点区の結果だった。
■最重点区で大きく負け越し
参院選終盤、自民党は党独自の情勢調査によって、最重点区を13に絞った。
僅差で負けている青森、宮城、福島、山梨、長野、三重の6選挙区で逆転を目指しながら、僅差でリードしている秋田、新潟、愛媛、大分と、複数区である東京、北海道、神奈川の2議席目を着実に取りに行く作戦だった。
野党候補に大きくリードされている沖縄、岩手、山形の3選挙区はあきらめた。
首相や人気者の小泉進次郎衆院議員らの応援を長野、福島などの最重点区に投入し、「選択と集中」作戦と呼んでいた。
結果は、逆転を目指した6選挙区すべてで敗れ、リードしていた新潟、大分と、北海道の2議席目をひっくり返され、取りこぼした。
最重点区だけの勝敗でみれば4勝9敗。
最重点区はもともと接戦区だったところなので、ある程度の負けは予想されたが、大きく負け越すということは想定外だった。
「競り合っていたところでみんな負けた。喜べるような結果ではない」
と、ある自民党幹部は打ち明けた。
首相も「ここまでやったのに」と、悔しさを周辺に漏らしているという。
■「無党派層の支持」で民進の後塵
背景にあるのは、深刻な事実だ。
選挙結果を伝える7月11日付け読売新聞朝刊に興味深い記事が掲載されていた。
投票所で有権者に聞く出口調査で、支持政党のない無党派層に比例選の投票先を聞いた結果、22パーセントで民進党が1位となり、自民党は2位の21パーセントだった。
政権を奪還した2012年の衆院選以来、13年参院選、14年衆院選と、自民党が無党派層の投票先で民主党に負けたことはなかった。
民主党政権の失敗により、本来なら野党に行きがちな無党派層の支持も取り込んできたことが、国政選挙3回連続圧勝の原動力となっていた。
今回の参院選で、その「勝利の方程式」が崩れたことになる。
参院選で自民党の獲得議席は追加公認を含めて56議席にとどまった。
57議席獲得で1989年の参院選大敗で失った参院単独過半数を回復できたが、1議席及ばなかった。
公明党が自民党単独過半数を嫌い、最終盤、自民党候補を支援する公明票の足が止まったという見方が自民党内に出ている。
いずれにしても、ここまで首相が4連勝してきた国政選の流れは今回の参院選で変わり、次の衆院選は厳しくなるだろう。
■都知事選での「小池氏の反乱」
そして、参院選が終わるやいなや、安倍政権を揺るがすような波乱が、すでに始まっている。
政治資金などを巡るスキャンダルで舛添要一前知事が辞任に追い込まれ、参院選と同時進行になった東京都知事選だ。
候補者選びで、自民党都連の反対を振り切り、小池百合子元防衛相が出馬を強行したことから、自民党は分裂選挙を余儀なくされた。
報道各社の情勢調査では、野党統一候補でジャーナリストの鳥越俊太郎氏や、自民、公明両党推薦の増田寛也元総務相を、小池氏がリードしていると伝えられている。
小池氏は「自民党都連はブラックボックス」と批判しており、「都議会冒頭解散」を提唱している。
「外務省は伏魔殿」というキャッチフレーズで外務省の機密費流用事件に取り組むことをPRしようとした田中真紀子元外相をほうふつさせる。
田中氏は人事課に籠城して自分の気に入らない課長を首にしようとするなど、外務官僚と大立ち回りをするパフォーマンスを演じ、世論からも「真紀子さんをいじめるな」と支持された。
しかし、肝心の外交が機能不全に陥ってしまったため、当時の小泉首相に更迭された。
小泉内閣の支持率は急落したが、小泉首相の電撃的な訪朝により、V字回復した。
■「反安倍」勢力の仕掛け?
小池氏が都知事選で勝利すれば、都議会との対立は決定的になるだろう。
知事に都議会を解散する権限はない。
知事の不信任が成立した場合には10日以内に議会を解散することが地方自治法で認められているが、議会がすぐには不信任案を出さず徹底抗戦の構えを見せれば、対立は長期化し都政が混乱するのは必至だろう。
2020年東京五輪・パラリンピックの準備にも支障が出かねず、政権としても関与せざるをえない事態になることも考えられる。
しかし、首相に知事を更迭する手段はなく、仮に小池氏が辞任に追い込まれれば、与党の自公が悪者となり、内閣支持率にも影響が出るかもしれない。
首相は外交では日露首脳会談で北方領土問題の前進を図ることで政権の求心力を高めることを狙っていると言われている。
しかし、欧米を敵に回しながら、クリミア併合を既成事実化してしまったプーチン大統領を相手に厳しい交渉が予想され、北方領土返還に向けて成果を得られる見通しは立っていない。
小池氏の「反乱」は、ポスト安倍に向けた党内の反安倍勢力が仕掛けたものという見方も浮上している。
小池氏は第1次安倍内閣の首相補佐官、防衛相だったが、2012年の自民党総裁選では石破茂地方創生相を支持し、石破派に近い。
都知事選では石破派の若狭勝衆院議員が「除名できるなら除名してみろ」と党本部を挑発しながら、小池氏を支援しており、自民党幹部によると、石破派議員の秘書も小池選対に出入りしているという。
石破氏は近く予定される内閣改造で閣外に転じ、次期総裁選に向けて反安倍路線で動き出すとも言われており、その号砲となったのが、小池氏の反乱というわけだ。
■衆院を解散できない理由
首相は参院選前の6月1日、国会閉会時の記者会見で「衆院解散・総選挙について、頭の中をよぎったことは否定しない」と語った。
首相が解散について公言するのは異例のことだ。
国会閉会日に衆院を解散し、衆参ダブル選にしなかったことに未練があったのだろうとの見方が専らだ。
首相は2018年9月に自民党総裁の任期満了を迎える。
党則では総裁は「2期6年まで」と定められている。
ただ、党内には党則を改正して、総裁任期を延長する任期延長論も出ており、首相が衆院を解散してダブル選を断行し、衆参で大勝したなら、総裁任期を延長して3選を確実にしていただろう。
そのために、首相は伊勢志摩サミット(主要国首脳会議)の成功や、オバマ米大統領の広島訪問など、歴史に残るような業績作りに努力し、サミットぎりぎりまで解散を考えていたのだ。
だが結局、ダブル選は見送られた。
参院選では、改憲勢力が3分の2を超え、衆参で憲法改正を発議する条件が整った。
こうなると、憲法改正を念願とする首相が、衆院で3分の2を失う可能性のある、衆院解散に踏み切ることは難しくなる。
首相の掲げるアベノミクスの展望は厳しく、景気が回復する見通しは立たない。
参院選で示されたように、次の衆院選は厳しくなるとみられており、北方領土問題の前進のようなよほどの好条件が整わなければ、憲法改正を発議できる3分の2の議席をなくす可能性のある解散には踏み切れない。
このままいけば、18年9月の総裁任期満了を迎え、政権の幕引きを図ることになるだろう。
■政権運営はさらに厳しく
首相は衆参の憲法審査会で改正案の取りまとめに向けた議論に入ることを指示している。
18年9月までに改憲に慎重な公明党も同意できる改正案を作り上げ、国民投票を実施しなければならないからだ。
国民投票の準備にかける時間などを考慮すれば、残された時間はそう長くはない。
もっとも、6月に英国で実施された、欧州連合(EU)離脱の是非を問う国民投票の結果、キャメロン首相が辞任に追い込まれたことを考えれば、憲法改正案の発議には慎重にも慎重にならざるを得ないだろう。
国民投票で否決されれば、憲法改正の道は閉ざされ内閣総辞職は避けられないからだ。
これまで「安倍一強」を支えた無党派層の離反は、参院選で見え始めた。
それは都知事選で、さらにはっきりとするだろう。
衆参で憲法改正に必要な3分の2の議席を維持するため、解散権は事実上、封印される。参院での3分の2を維持するためにはおおさか維新などの野党勢力も取り込まなければならず、政権運営はさらに難しくなる。
そもそも憲法改正という歴史的偉業を成し遂げるためには、
政権と引き換えにすることも覚悟の上
なのかもしれない。
安倍政権は2年後の終幕に向けた道のりを静かに歩き出している。
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