2016年8月8日月曜日

混濁する中国の権力闘争(2):日本弱体論を強く叫ばねばならぬ中国の事情

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 何か中国の動きがおかしい。
 仲裁判定が大きく影響しているのだろう。
 その結果として、おそらくズバツっと大きく別けてしまえば
 「世界の中で嫌われ者として孤立する中国を選ぶ習近平派」
 「世界、ならびに周辺諸国と安定を保とうとする団派系」
の権力闘争になっているのではないか。
 解放軍も陸軍系と海軍系に分かれているのではないか。
 傲慢になっているのが海軍で暴走をはじめている。
 それを許している、というより扇動している習近平がいる。
 
 権力闘争の崖っぷちに立っているのが習近平で、ために次から次へと博打を打たざるを得なくなってきている。
 日本にたいしては八つ当たり的なっている。
 自国経済が目に見えて落ちこむのに反して、失われた30年と揶揄するも日本経済は堅調で、ゆえにその豊かさをもって中国に対峙し、ソフトな圧力を掛けてくる。
 軍事というハードで恫喝するも、決して萎えることのない日本に苛立ってくる。
 もし、日本が中国の恫喝に屈しなければ習近平の立場は危うくなる。
 習近平の代わりは中国共産党にはいくらでもいる。
 習近平が中国共産党を壊す前に、共産党は動かざるを得なくなる。


ニューズウイーク 2016年08月18日(木)17時00分 加茂具樹
http://www.newsweekjapan.jp/kamo/2016/08/post-7.php

中国政治の暑い夏と対日外交

<尖閣諸島周辺に終結した中国船は何を意味するのか。
 折しも中国は7月下旬に内政の季節に入った。
 5年に一度の党大会が行われる来年秋までは、中国の政治指導者の関心は内政に傾き、対外行動も内政に強く引きずられることになる。
 その間どんな対日政策が出てくるかは、習近平政権がどこまで権力を掌握しているかによって変わってくる>

 8月5日以降の尖閣諸島周辺海域における中国公船および中国漁船の活動は、日中関係を高い緊張状態に追い込んだ。
 海上保安庁が発表した資料によれば、5日から15日の午前8時までに200から300隻の漁船が尖閣諸島周辺の接続水域で操業し、最大で15隻の中国公船が同時に接続水域に入域し、延べ28隻が領海に侵入した。
 通常この海域に展開している公船の数と比較して、極めて多くの中国公船が展開した。
 8月10日以降、領海への侵入は確認されていなかったが、外務省の発表によれば、17日になって4隻の中国公船が確認された。
 
 なぜ中国公船は尖閣諸島周辺海域に集結しているのか。
 中国の対日行動を分析する枠組みとして、中国国内政治と中国の対外行動とのリンケージがしばしば提起される。
 たとえば、権力の継承期に政権内部で派閥闘争が深まり、
 権力基盤を強化するために日本に対して強硬な姿勢を選択する、
 あるいは挑戦者が政権に揺さぶりをかけるために対日関係を利用する、
という見方だ。

 すでにこの事案に関する多くの分析があり、かつ内政との関連性に言及したものは少なくない。
 しかしいずれも中国共産党内の権力闘争が背景にあるといった指摘にとどまっている。
 以下、内政の視点を踏まえながら、中国の対日行動について検討してみたい。
 
■政治の季節に入る国内政治

 8月5日からさかのぼること9日。
 7月26日の新華社通信は、中国共産党の、そして事実上、中国の意思決定機関である中央政治局会議が、今年の10月に中央委員会総会の開催を決定したと報じた。
 この報道は、中国政治が国内政治の季節に入ったことを伝えるものであった。

 慣例によれば、来年の秋には中国共産党の全国代表大会(党大会)が開催される。
 5年に一度のタイミングで開催される党の大会だ。
 この党大会を経て、2017年秋から5年間にわたって中国を舵取りする指導者達が選出される。
 そして、その一部の指導者達は、習近平政権の後継政権を組織し、2022年から先の10年間の中国政治の中枢を務める。

 中央委員会総会は、毎年1回、秋頃に開催される。
 そして今秋の総会は、来年の党大会の直前の会議であることから、党大会に向けて党内の議論の方向性を決定づける重要な会議である。
 7月26日の新華社通信は、この総会の開催にむけた準備がはじまったことを伝えるものであった。

 こうした認識にもとづけば、この夏から来年の秋までの1年あまりの時間
 中国の政治指導者の主要な関心は内政に傾き、
 中国の対外行動は内政に強く引きずられる
ことになる。

■権力をどう継承するか

 7月26日の報道によれば、中央政治局会議は、今秋の中央委員会総会の議題として政治権力の継承のありかたをめぐる問題をセットした。

 「政治権力の継承」。
 これは一貫して中国政治の中心的な課題である。
 1980年代からはじまる改革開放路線下の中国政治には、後継者の選定を含めた人事制度(政治エリート同士の関係のあり方)をめぐって、一つのコンセンサスがあった。
 「文化大革命の再演を防ぐ」である。

 中国共産党は、この
 文化大革命を「指導者が誤って発動し、反党集団に利用され、党と国家各民族に大きな災難である内乱」
と評価している。
 この「指導者」が毛沢東であり、「反党集団」が林彪や四人組だ。
 この文化大革命の再演を防ぐため、1980年代以来の中国政治は
 個人の指導者への権力の過度の集中を如何に防ぐか、
その制度化を中心的な課題と位置付けてきた。

【参考記事】歴史を反省せずに50年、習近平の文化大革命が始まった

 たとえば中国共産党は、国家主席や国務院総理や副総理、全国人民代表大会常務委員会委員長(国会議長に相当)などの任期制限(2期10年まで)を憲法(1982年制定)に規定した。
 また、明文化はされていないが(少なくとも海外の中国研究者はそれを把握していない)、中国共産党の最高意思決定機関である政治局常務委員会の構成員(いわゆる、チャイナ・セブン)の定年と任期制限がある、といわれている。

 中国共産党は、そうした精神を、1980年2月の中央委員会総会で「党内の政治生活に関する若干の準則」(「準則」)として確認している。
 同準則のなかで提起された政治原則のひとつが
 「集団指導体制の堅持と、個人専制の反対」
であった。
 もちろん、その取り組みが成功しているかどうかの評価は別だ。

■導き出される仮説

 7月26日の新華社通信の報道は、習近平政権がこの制度に手をつけようとしていることを、明らかにした。
 政治局会議は、「新しい情勢下の党内の政治生活に関する若干の準則」(「新しい準則」)の制定を10月の中央委員会総会の議題とすることを決定した。
 1980年2月の「準則」を「新しい情勢」に則したものに変更するというのである。

 「新しい準則」の具体的中身はまだ分からない。
 どのように手をつけようとしているのかは明らかではない。
 10月の中央委員会総会を経て、少しずつ明らかになるのだろう。
 いま分かっていることは、党員、特に中央委員会や政治局、政治局常務委員会といった高級幹部の党内における活動のあり方に関するルールを定める、ということだけだ。

 政治局会議が「新しい準則」の制定を秋の中央委員会総会の議題とすることを決定した、という事実から、二つの仮説を導き出すことができる。

★:第一の仮説は、
 この制度に手をつけることができるほどに、習近平総書記の政治的権威は確立している、
ということだ。
 習近平は、鄧小平、江沢民、胡錦濤の各政権を通じて40年近く堅持されてきた制度を変更する。それは容易なことではないはずだ。それにもかかわらず、制度変更を中央政治局の意思とすることができたのは、この会議の招集者である習近平総書記の権威によるものだと理解しておかしくないだろう。

 間違いなく習近平は、近年稀に見るほど強く権力を掌握し、高い政治的権威を有している政治指導者だ。
 ただし、彼はそれを政権の誕生とともに手に入れたのではなく、党内に定められている手続きを踏まえて、一つ一つ積み上げていった。
 いわば、制度によって造り上げられた権力と権威だ。

【参考記事】「核心」化する習近平

 習近平の権力と権威は、
 「手続き」にほとんど拘束されることなく、自由に権力を行使してきた毛沢東のそれとは根本的に違う。
 そして鄧小平は、指導者としてのカリスマがあり、党内の手続きや制度を無視した意思決定もおこなっていた。
 それでも鄧小平が党内の反対勢力を抑圧するときは、手続きを踏まえ、また反抗を阻止するための制度を設計してきた。

 そうであるがゆえに、「新しい準則」が秋の中央委員会総会の議題としてセットしたことの政治的意味は重い。
 習近平は、自らの権力と権威の原点である制度に手を加えようとしているようにも読み取れるからである。
 それができるほどに、習近平の権威と権力は確立している。

 筆者は、7月26日のこの報道に極めて驚いた。
 公式報道以外のいわゆる「憶測」や「伝聞」にもとづく報道では習近平への権力集中が多く指摘されてきたものの、新華社通信といった公式報道を通じて、その気配を観察できることは極めて稀だからだ。
 心情的には、筆者は第一の仮説に傾いてしまうが、この仮説を支持するために必要な情報はほとんどないのも事実である。
 これと対抗する仮説も提示しておこう。

★:第二の仮説は、
 政治局会議は「新しい準則」の制定を議題にすることを決定はしたが、習近平の政治権力は安定していない、
というものだ。
 習近平は、「準則」を書き改めて「新しい準則」を定めることの是非、その内容をめぐる党内の論争の主導権を掌握することを通じて、権力を安定させようとしている。

■権力継承と対外行動をめぐる問い

 この仮説をふまえて以下のことを想定することができる。

●:まずは政治権力の継承をめぐる国内政治について。
 いま中国政治研究者の間では、習近平が自らの総書記の任期(2期10年)を延長する可能性が論じられている。
 第一の仮説であれば2012年10月に習近平氏が総書記に就任して以来の個人への権力集中の動きに、今後、一層、拍車がかかり、習近平総書記は2期10年の任期を越えて、2022年以降も総書記の地位にあり続けることを想定できる。
 第二の仮説であれば、今後の党内における論争の帰趨次第だろう。

●:いま一つは国内政治とリンクした対外行動に関して。
 中国政治の研究者の間には、習近平氏が総書記に就任してからの
 対米政策、
 対日関係、
 対韓関係、
 対東南アジア関係、
 対台湾関係、
のいずれも胡錦濤政権期と比較して
 不安定化し、外交は失敗している、という見方
がある。
 その結果、習近平政権の中国共産党内の政治的権威は必ずしも安定していないため、
 主権と領土、ナショナリズムに直結する問題については政権は強硬な政策を選択するという

★.しかし第一の仮説であれば、次のように答えることができるだろう。
 もうすでに政権は安定している。
 習近平政権は自らの政治的基盤を強化するために、尖閣諸島周辺海域においてゲームをエスカレーションさせる策を選択しているのではない。
 あるいは習近平にチャレンジしようとする側が、基盤の弱い習との競争に打ち勝つために、尖閣諸島周辺海域において緊張をつくりあげているわけでもない。

 われわれが現在尖閣諸島周辺海域において目の当たりにしている
 中国側の行動そのものが、習近平政権の基本的な対日政策だという理解が成り立つ。

【参考記事】中国はなぜ尖閣で不可解な挑発行動をエスカレートさせるのか

 確かに現政権の日本外交に対する認識は厳しい。
 平和主義から「積極的平和主義」へと変化した日本外交に対する中国側の不信(不安)は深く、日本の外交戦略は中国の周辺地域における平和と安定を脅かす要因となりつつある、という懸念が広がっていている。
 日本の外交戦略に対抗することが中国の対日政策の基軸という声は、中国国内で小さくない。
 まして、今回の政権の行動は政権の権力構造の不安定性に起因する一時的なもので、不安定性さが克服され次第理性的な対日政策を選択する、と見ることはできないのかもしれない。

【参考記事】中国は日本を誤解しているのか

★.第二の仮説の場合、
 習近平は、自らがセットした「新しい準則」に関する党内の議論の主導権を握るために、尖閣諸島周辺海域においてゲームのエスカレーションという政策を選択した、ということになる。

★.いま一つ別に考えられることは
 習近平の主導権を握ろうとする行動にたいして、
 習近平にチャレンジしようとする勢力が習に圧力をかけるために尖閣諸島周辺海域においてゲームのエスカレーションという行動を選択した、
ということになる。
 
 いずれにしても第二の仮説によれば、権力が不安定である期間の中国は、主権や領土、あるいはナショナリズムにかかわる対外行動について、協調的な選択肢を選択することはない。
 まして、中国の政治エリートが日本に対する不信感を共有しているなかで、不安定期に対日協調策を政権が選択することはあり得ない、ということになる。

 以上の仮説の検証は、10月に開催される中央委員会総会での議論を待たねばならない。
 習近平政権は、36年前の「政治生活に関する若干の準則」の何を書き換えるのだろうか。
 その検証を通じて、習近平政権の対日政策の基軸のありかを見出すことも可能である。



サーチナニュース 2016-08-02 07:11
http://news.searchina.net/id/1615531?page=1

衰退する経済・・・日本は現実を前に「うなだれている」=中国報道

 中国メディアの捜狐はこのほど、かつて経済的な繁栄を享受していた日本は現在、衰退する経済の現実の前に「うなだれている」と主張する記事を掲載した。

 日銀は7月29日の政策決定会合で、上場投資信託(ETF)の保有残高を年間約6兆円ペースで増加するよう買い入れを行う方針を決めた。
 現行の3.3兆円から6兆円に倍増させる。

 記事はこの金融緩和について「経済およびインフレを刺激する大胆な行動を取るように要求する政府と金融市場からの圧力によるもの」と主張し、日銀がすでに行っている「毎年80兆円というペースでマネタリーベースを増加させる」といった政策と合わせても、市場参加者のほか、経済回復を願う日本国民を満足させることができないのは明らかと指摘した。

 記事の要点は、日本は経済状態を回復させたいと願っているが、それでも有効な政策がないという点だ。
 今回の金融緩和政策に対して記事が「経済およびインフレを刺激する大胆な行動を取るよう要求する政府と金融市場からの圧力による」と指摘したのは、今回の金融緩和政策は政府と金融市場からの圧力をなんとかしのぐための一時的な方策に過ぎないという意味があるのだろう。

 しかし日本は記事が主張しているように「うなだれている」のだろうか。
 むしろ強烈な逆風のなかを前進しているという見方はできないだろうか。
 強烈な逆風の中で一歩も前進していないかのように見えても、実際はその中で立っていること自体が負けていないことの明らかな証拠になる。
 日本は決してうなだれてはいないということだ。

 減速する経済状況に陥って先が見えない中国だが、それ以上に日本は衰退していると宣伝することによって国内不満をなだめようとする目的の記事のようである。
 左程に中国は行き詰まりを感じているようである。


サーチナニュース 2016-07-30 09:09
http://news.searchina.net/id/1615388?page=1

日本は他国の富で自国の債務を補填している!
これは通貨戦争だ=中国

 最近、中国国内で報道されているニュースの多くが南シナ海に関するものだ。
 その内容は日本や米国がフィリピンに加勢し、フィリピンが申し立てた南シナ海をめぐる仲裁裁判を不公平な判決に導いたとの論調だ。

 そんななか、中国メディアの外匯聨盟は、
 日本の金融政策や外交政策は「腹に一物ある」ものであり、
 「日本は他国の富で自国の債務を補填している」
と主張する記事を掲載した。

 記事は、日本銀行の金融緩和政策や日本が署名した環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)政策に言及し、これらは日本円を円安に誘導し、日本が国外でさらに富を得るための政策であると主張。

 日本は海外に莫大な資産を保有しており、それは対外純資産残高からも見て取れるが、円安になれば外貨建ての資産が膨れ上がることになる。
 実際に日本の対外純資産は円安によって14年末時点で3年連続で過去最高となった。
 15年末は海外からの投資が増えたことで減少に転じたが、それでも日本の対外純資産残高は世界一の規模だ。

 記事は、日本は東南アジア諸国からも莫大な富を得ていると主張し、「日本は他国の富で自国の債務を補填している」と主張、「これこそ真の通貨戦争である」と論じた。

 中国国内での報道は一般的に、日本の政策が中国に不利益になっているとの内容や、日本政府が右傾化しているとの内容が多い。
 しかし今回の記事は、
★.日本の政策が東南アジアにとっても不利益をもたらしているとの内容で書かれており、
 日本と東南アジア諸国が連携し、親密な関係を構築することに対する中国側の苛立ちと、
 東南アジア諸国に対して日本との関係を再考するよう迫る意思が表れていると言えよう。
 日本が海外に莫大な資産を保有し、そこから莫大な富を得ているとしても、それは現地の富を搾取しているものではなく、現地に雇用などの利益を生み出しているものであり、記事の批判は的はずれでしかない。