2016年7月28日木曜日

南シナ海仲裁裁判決(8):中国が南シナ海領有権を主張、米国の大型スクリーンで1日120回流す

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ワールドワイド・ビデオ  2016/07/28     2016/07/28
http://videoclip.club/post-13596/

中国が動画で南シナ海の領有権を主張、
米国の大型スクリーンで1日120回流す



 中国は南シナ海の領有権を主張した動画を23日からニューヨーク・タイムズスクエアの大型スクリーンで公開しており、在米華人や中国ネットで多くの反応が寄せられている。

 約3分の動画は8月3日まで公開される予定で、毎日120回流される。動画には南シナ海の美しい風景が映し出されており、中国が最初に発見し命名や開発を行った歴史をアピールしている。
 さらに、中国の専門家や英国・影の内閣のキャサリン・ウェスト外相、パキスタンの駐中国大使らが動画に登場し、南シナ海の主権が中国に属する根拠や、フィリピンが仲裁裁判所に提訴した不当性、南シナ海問題は当事国が話し合いで平和的に解決すべきだと語っている。

 在米華人や中国ネットで動画を支持する声が大半を占めた一方で、
 「南シナ海の領有権が中国に属し、それが疑いのない事実だと言うなら、なぜ大金をはたいてまで宣伝するんだ?」
 「国民の税金をむだ使いしないでほしい」「なぜ米国で宣伝するの?
 中国の同盟国で動画を流しても世界に伝わる。
 米国にお金を渡せば同国を勢い付かせるだけでなく、米国が仲裁大国であるとの誤解を与えてしまう」
との声も聞かれている。

(出典:https://www.youtube.com/watch?v=2Z6xwpuaXAE)



サーチナニュース 2016-08-26 09:51
http://news.searchina.net/id/1617300?page=1

五輪閉会式で巧みにソフトパワーを魅せた日本 
われわれは「チャイナドリーム」をゴリ推ししてないか? =中国メディア

 先日行われたリオ五輪の閉会式では、次回開催地の東京をPRするパフォーマンスが行われた。安倍晋三首相がスーパーマリオに扮して登場したほか、世界的に有名なアニメキャラクターが随所に起用されており、日本のソフトパワーの強さがアピールされた。

 中国メディア・和訊網は24日、
 「日本によるアニメのソフトパワーアピールの、チャイナドリームに対する啓示」
とする記事を掲載した。
 記事は、リオ五輪閉会式において日本が、スーパーマリオのほかにキャプテン翼、ハローキティ、ドラえもんといったアニメキャラクターを登場させたPR動画で「心を引き寄せ、ソフトパワーをアピールし、次の東京五輪への期待を高めさせた」と紹介した。

 そのうえで、日本のアニメ文化が単に経済的価値を創造するに留まらず、外交のツールとして現地の歴史や文化、価値観を国外に伝え、賛同と友情を獲得するのに貢献しているを解説。
 日本は2006年よりアニメを柱とする大衆文化外交の展開を打ち出し、07年の安倍首相初就任時の施政方針演説でもマンガ・アニメ分野の競争力を高めることを盛り込んだと伝えた。

 記事は、中国も06年に制定した文化分野の第11次5カ年計画においてデジタルコンテンツとアニメ産業を文化産業の9大分野の1つに据えて大々的に発展させることを打ち出したと紹介。
 しかし、立ち上がりが遅くなおも初期段階にある中国アニメ界が強い力を発揮し、中国文化の価値を外に伝えるには長い時間が必要であると指摘した。

 さらに、このような状況において
 「我が国がいかにして『ゴリ推し』を避け、ソフトな手段で中国の話を伝えるか
について考える必要があることを、今回の日本のPR演出を契機に認識すべきであるとしている。
 なお、「ゴリ推し」の例として、米ニューヨークで、南シナ海における中国の立場を説明する広告を出したことが挙げられた。
 
 これまで、中国文化の対外的なアピールはいささか独善的な部分があった。
 いかに長い歴史や優れた文化を持っているかを「自画自賛」するような印象があり、時として現地から反発や「文化侵略だ」などといった警戒を受けることもあった。
 そんな中で「ゴリ押しを避けるべき」という声が出てきたのは評価に値するだろう。
 どうしたら相手に抵抗なく受け入れられ、愛されるかを考えることが「チャイナドリーム」を世界に広める近道になるのである。



ロイター 2016年 07月 29日 09:01 JST
http://jp.reuters.com/article/analysis-south-china-sea-us-idJPKCN10811J?sp=true

焦点:南シナ海裁定に「無力化」の恐れ、
腰砕けの米外交戦略

[ワシントン 27日 ロイター] -
 南シナ海の領有権をめぐる中国の主張に関して仲裁裁判所が今月裁定を下すまでの間、米当局者らは、もし裁定を中国が無視するなら、同国の国際的評価に「ひどい」損失を与えるべく、各国と共同戦線を組むことを検討していた。
 しかし、7月12日にオランダ・ハーグの常設仲裁裁判所が、少なくとも文面上は中国にとって屈辱的敗北と見られる判断を発表してからわずか2週間後、米国のそうした戦略は白紙となったと思われる。
 仲裁裁判所による裁定は、その重要性を失う危険にさらされている。

 米当局者らは今月に入り、アジア太平洋諸国や欧州連合(EU)を含む他の地域の国々に対し、仲裁裁判所の裁定は拘束力を持つべきであることを明確にする重要性を繰り返し語ってきた。
 「これは国際法で、非常に重要であり、全ての当事者に拘束力があると、われわれは協調し声を大にして訴える必要がある」
と、2月当時、米国防総省の副次官補(南・東南アジア担当)だったエイミー・シーライト氏は語っていた。
 4月には、アントニー・ブリンケン米国務副長官が、ハーグ裁定を無視するなら、中国は自国の評価に「ひどい」ダメージを被るリスクを冒すことになると語った。

 仲裁裁判所に異議申し立てを行ったフィリピンの弁護団を率いた弁護士は、仲裁裁判所による裁定を拒否することは、中国が法の支配を尊重しない「無法国家と宣言しているようなもの」との見方を示した。
 世界で最も交通量の激しい通商ルートの1つである南シナ海の大半に主権が及ぶとする中国の主張は、航行の自由と国際法にとって脅威であるとするフィリピンの提訴を米国は支持した。

 だが、仲裁裁判所が中国の主張を受け入れない裁定を下した後、共同戦線を求める米国の呼びかけは頓挫したように見える。
 裁定は拘束力を持つべきとの米国の主張に呼応したのは、わずか6カ国だった。
 そのなかにはフィリピンも含まれるが、中国が裁定を受け入れた場合に自国も利益を得る可能性がある他の当事国らは入っていない。

 一方、中国は今週、外交的大勝利を得た。
 東南アジア諸国連合(ASEAN)外相会議は25日発表した共同声明で、米国が要求していた南シナ海の領有権問題における仲裁裁判所の裁定について言及しなかった。
 言及するよう求めていたフィリピンが、中国の盟友カンボジアからの反対を受けて、自らの要求を取り下げたのだ。

 また、英国の離脱に揺れるEUは15日、仲裁裁判所の裁定に関する声明を発表したが、中国に直接言及したり、裁定には拘束力があると主張したりすることは避けた。

■<「脚注」程度の重要性>

 ケリー米国務長官は27日、ASEANが法の支配を支持する共同声明を発表したことに満足の意を表し、仲裁裁判所の裁定に全く言及しなかったことで、同裁定の重要性が損なわれるわけではないと述べた。
 ケリー氏はまた、裁定には法的拘束力があるため、その重要性を失わせることは「不可能」だと強調した。

 しかし専門家によれば、米国が友好国や同盟国と協調してこの問題を効果的に推し進めることに失敗したせいで、なおさら裁定が無意味になるリスクに現在直面しているという。
 「裁定が脚注程度にすぎないと見られるようになることを懸念すべきだ。
 なぜなら、裁定の影響力は国際社会によってつくられるものであるからだ」
と、米戦略国際問題研究所(CSIS)の南シナ海専門家、グレッグ・ポーリング氏は指摘。
 「国際社会は何も言わない、ということを表明した。
 『われ関せず。中国をこうした基準に保たなくていい』
というのが、コンセンサスのようだ」

 米シンクタンク、ヘリテージ財団の中国専門家であるディーン・チェン氏は、オバマ大統領の任期も残すところあとわずかで、11月に大統領選を控える米国は、戦略的ライバルであり不可欠な経済パートナーである中国に対し、これ以上の強硬路線は取りたくないように思われると語った。
 「われわれが目にしているのは、
 物理的に、政治的に、違法に、外交的に、南シナ海へ猛進している中国に対し、
 ほとんど何もしない米国の姿だ」
と、チェン氏は述べた。

 オバマ政権が比較的受け身である理由の1つに、仲裁裁判所の裁定後に、南シナ海で中国が埋め立てを拡大したり、防空識別圏を設定したりと事態が大きくエスカレートするのを阻止したい考えがあった可能性が挙げられる。

 中国はこれまでのところ、強硬な発言をするにとどめているが、専門家や当局者らは、9月に20カ国・地域(G20)首脳会議を主催した後に中国が大胆な行動に出る可能性を懸念している。

(David Brunnstrom記者、Matt Spetalnick記者 翻訳:伊藤典子 編集:下郡美紀)



ダイヤモンドオンライン  2016年7月28日 吉田陽介[日中関係研究所研究員]
http://diamond.jp/articles/-/96929

中国の強硬姿勢を理解する鍵は「毛沢東思想」にある

 7月1日で創立95周年を迎えた中国共産党は、習近平総書記のリーダーシップの下で「初心に戻る」ことを強調し、党内の引き締めを続けている。
 その際に習総書記は毛沢東の考え方を引いて、個人の利益よりも公の利益を優先させる清廉潔白な党員・幹部像を説いている。
 党の建設で毛沢東思想を継承している習総書記だが、外交政策でも同路線を継承している。
 現在の習政権は周辺諸国との連携を強化する一方で、大国にはものを言っている。

 筆者は、「共産党は理論の党であり、それは創設期から受け継がれている」と他のコラムでも述べてきた。
 習政権の堅持している理論も中国共産党の公式見解がいうように鄧小平理論だけでなく、毛沢東思想も継承している。
 とくに相手国が「底線(最低ライン)」を越えたときの闘争はすさまじいものがあるが、それも毛沢東の闘争の哲学を体現しているといえる。

 中国と日本は政治体制が違うため、中国共産党は何をやろうとしているのかわかりにくく、「理解しがたい党」と見られてしまう。
 本稿では習政権が毛沢東外交のどの部分を継承しているか、中国共産党の「底線」を越えた者に対する闘争について概観し、日本との関係についても考えてみたい。

■闘争性を備えた毛沢東外交
その一方では現実的外交も

 習外交について見る前にまず毛沢東外交の特徴について見ていこう。
 毛時代と現在とでは時代背景や国際環境が違うため、単純に比較できないが、その理念は現在の政権にも受け継がれている。
 毛外交の特徴を筆者なりに整理してみると次の通りである。

★.第一に、革命を主とした外交である。
 毛沢東時代は国際共産主義運動が存在しており、その目標は世界革命の実現だった。
 毛沢東率いる中国共産党はアジア・アフリカ諸国を半植民地国家と認識し、これらの国々の革命を支援する「プロレタリア外交路線」をとり、武装闘争を主とする革命路線を押し広めた。
 文化大革命期の中国外交はイデオロギー的要素が非常に大きくなり、アジア・アフリカ諸国に武装闘争を主とする革命を呼びかけるという「革命輸出」だった。

★.第二に、自主独立外交を展開しつつ、
周辺地域との関係も強化したという点である。
 毛沢東はソ連が創設したコミンテルンの主張する都市プロレタリアートによる革命路線には依拠せず農村を主体とする独自の革命を目指した。
 中国共産党の「自主独立」外交は新中国成立後も受け継がれた。
 「自主独立」は国家主義の現れであり、それは社会主義国の理念である国際主義に反するともいえるが、毛自身は「愛国主義と国際主義の結合」を主張しており、国際主義の精神によって近隣諸国との関係も重視していた。

★.第三に、超大国との闘争を繰り広げるという点である。
 革命時代の中国共産党は当時軍事大国であった日本帝国主義との闘争を進め、戦後はアメリカ帝国主義との闘争を強調し、社会主義政党及び第三世界との「反帝国主義統一戦線」を結成しようとした。
 そして、アメリカと妥協する社会主義政党にはマルクス・レーニン主義に反する修正主義のレッテルを貼った。
 その一方でソ連とも社会主義のあり方を巡ってイデオロギー闘争を展開した。
 当時の中国は帝国主義と修正主義との闘いで妥協することなく、強い姿勢をとり続けた。

★.第四に、社会主義勢力は平和勢力であり、
先に戦争をしかけることはないということである。
 当時は冷戦の真っ只中で、毛自身も「第三次世界大戦は不可避」あるという認識であった。
 また当時の社会主義勢力の認識も「社会主義勢力のもつ兵器は世界戦争の根源である帝国主義に対抗するもの」というものであった。
 1964年に中国は初の原爆実験に成功したが、それは「帝国主義国の核独占に反対する」という建前で行われ、それはあくまでも「防御的」なもので「先に使用することはない」ことを強調した。
 これは現在の中国の「平和的発展」論にも通ずるものがある。

 以上、簡単に毛沢東の外交路線について述べてみたが、
 毛外交に貫かれているのは「闘争の哲学」である。
 毛沢東の活躍していた時代は「戦争と革命の時代」であったため、闘争を非常に重視しており、党内でも闘争を繰り広げた。
 それは対外関係でも同様で、革命期は日本帝国主義、戦後はアメリカ帝国主義、ソ連修正主義を「主要な敵」とした。当時は「戦争と革命の時代」であったため、「闘争」を押し出した外交は必要だった。

 ただその一方で、「実事求是」、つまり現実に合わせて柔軟に対処する面もあった。
 1953年に周恩来が提起した「平和共存五原則」は現実的な外交路線の例であろう。

■周辺諸国との関係強化と同時に
大国にはものを言う

 習政権は発足後活発な外交活動を繰り広げている。
 それは先進国、途上国との関係をともに強化する「全方位外交」で、それは毛沢東思想のプラス面を受け継いで自主独立を堅持しつつ、「国を開く」ことを提唱した鄧小平の路線を継承している。
 「毛沢東回帰」といわれる習政権は自主独立の堅持のほかに、毛外交の次の四つの特徴も継承している。

★.第一の特徴は、「共通の理念」を示し、各国との関係強化を呼びかけることである。
 習総書記は就任間もなく、「中国の夢」を国内に向けて強調したが、外交舞台においても、「中国の夢」は「世界の夢」にも通じるものがあると強調した。
 「中国の夢」自体は厳密な定義はないが、習総書記の発言など考えると、中国国内に向けたそれは「中華民族の偉大な復興」「人々の生活の向上」であり、国際舞台で強調したそれは「共同繁栄、ウィンウィン」と見られる。

 毛時代は中国の重視していた植民地国家との間では社会主義、共産主義の理念で連帯できたが、改革開放路線をとっている現在は「共通の理念」にはなりえない。
 そのため、各国との関係強化を呼びかけるための理念として、「中国の夢」を強調したのである。

★.第二の特徴は、国際主義の精神で他国との関係を強化することである。
 革命時代はプロレタリア国際主義によって他の国の革命運動を支援したが、現在はそうした「国際主義」ではなく、経済協力を主とした「協力・ウィンウィン」外交を展開しており、それは「新しい国際主義」といえよう。
 さらに習総書記は毛沢東と同様に近隣諸国との関係を重視し、「真、実、親、誠」の理念の下、周辺諸国との関係を強化している。

 習総書記は2014年頃から「運命共同体」という言葉をよく使うようになった。
 「一帯一路」の建設はその理念を体現したものであり、沿線各国との政治上・経済上のつながりを強化している。
 これも「新しい国際主義」といえる。

★.第三の特徴は、「衝突せず対抗しない、尊重しあう、協力・ウィンウィン」を旨とする「新型大国間関係」の構築に努めるが、
 大国にはきちんとものを言うという点である。
 毛時代は時代的制約から大国を「主要な敵」と位置づけ対決姿勢をとったが、全面的衝突は避けていた。
 習政権も大国にはものを言うが、基本的に衝突・対抗しない態度である。

★.第四の特徴は、「社会主義は平和愛好勢力」という考えを継承し、帝国主義勢力への「抑止力」として一定の軍備が必要であるということである。
 中国は「平和的発展」を堅持しているが、それは他国を侵略するというものではなく、「防御的国防」である。
 昨年9月3日の抗日戦争勝利70周年記念パレードについて、何のために行ったかとよく言われているが、「社会主義勢力は平和勢力」という旧来のイデオロギーの影響を受け、現在なおも存在する強権政治に対処するためなのではと筆者は見ている。

 また、毛沢東の外交も習時代のそれも「底線」を設けており、それを超えた場合は、猛然と反撃してくる。
 毛時代の「底線」は社会主義の理論に反すること、革命の放棄であり、習時代のそれは「核心的利益」の侵害である。

 「底線」を越えた者に対する闘争は2012年の尖閣諸島問題、先般大きく報道されている南シナ海問題はその例である。
 この特徴はかつての国際共産主義運動の論争の進め方とよく似ている。

 ここ最近の習政権の動きを見ていると、「ものを言う外交」になっている。
 改革開放が始まった当時は、割合抑制的な態度であったが、現在は総合的国力が向上したしたことから大国としての「自信」がついてきたことが大きな要因だろう。
 また国内に向けても国民の支持を得るため「強い中国共産党」を見せる必要がある。
 毛沢東時代は総合国力が高いとは言えなかったが、独自の革命を成功させた社会主義大国のひとつとして、大国にものを言った。
 「大国としての自信」という点では、毛沢東と習近平総書記の外交は重なるところがある。

■中ソ論争の思考からまだ脱却してない?
大国と対峙する際の中国共産党の「闘争」

 中国共産党は国際協調主義的外交を展開する一方で、中国が設定する「核心的利益」に関わる問題、「底線」に触れたときの反撃は非常に激しい。
 その闘い方は毛時代に繰り広げられた中ソ論争のそれに似ており、現在もその影響が残っていると筆者は見ている。

 中ソ論争は1956年のスターリン批判から66年までの10年間に中国とソ連との間で繰り広げられた大論争である。
 これは主に理論上の論争、つまり、アメリカに対する見方、社会主義への移行は議会を通じて可能か、などの問題を巡って激しい意見が戦わされ、それは国家間関係にも影響した。
 この論争の中での中国共産党の思考を整理すると次の通りである。

★.第一に、「わが党の意見が真理であり、他の党は間違っている」という点である
 中国共産党を含む世界の共産党は、論争当時自らの意見を発表する際にこのような言葉を述べた。
 共産党間での論争のない現在はさすがにこのようなことを言わないが、当時は社会主義陣営、「国際共産主義運動の総路線」が存在し、各国の共産党はそれに「総路線」に照らして理論問題を考えていたため、このような態度になる。

 中国共産党の外交の動きを見ていると、現在の中国共産党も少なからずそのような思考が残っており、
 日中間の歴史認識問題、領土問題、南シナ海の問題でも「わが党が正しい」
という思考で意思を表明し、相手国の主張を退けている。

★.第二に、共同文書を独自に解釈して相手の主張は「国際共産主義運動の総路線」に反していると主張し、その遵守を強調する点である。
 中ソ論争当時は、「国際共産主義運動の総路線」というものが存在するというのが世界の共産党の共通認識となっており、自国の主張がそれに合致しているか否かは大変重要だった。

 当時の理論的拠り所だったのは、1957年と1960年に開かれた世界共産党と労働者党が集まった会議で採択された「モスクワ宣言」と「モスクワ声明」だった。
 論争の際、中ソ両党はこれらを独自に解釈して、相手の主張を論破するのに用いた。
 そのやり方は、日本との歴史問題、領土問題での摩擦や南シナ海問題でも見られ、歴史的事実などを挙げて相手を論破する。

 中国の共同文書の態度について若干述べておこう。
 中国のような社会主義国は特に文書を重視する国である。
 社会主義国の堅持する民主集中制の原則によると、党中央の発する文書は下の党員が守るべきものである。
 対外関係についても同様で共同文書の有無は非常に重要な意味を持つ。
 とくに意見の相違を抱えた国や党に対してはなおさらである。

 ゆえに、日中間で何か問題が起きたとき、中国側は、日本側の行動は「四つの基本文書」の精神に反すると主張し、その遵守を求める。
 また、2014年11月に日中首脳会談が実現する前、日中間の「四つの合意」が文書となって、それが会談を行う上での「底線」となったのである。

★.第三に、「原則問題」では妥協しないという点である。
 中国人はよく「原則問題」を口にするが、それは論争当時の中国共産党の説明によると、
 マルクス・レーニン主義の精神に合致し、プロレタリアートの利益にプラスとなる政策で、
 本稿で述べている中国の「底線」である。
 中ソ両党の意見の食い違いが公開論争に発展した当時、ソ連共産党は中国共産党に公開論争を停止すべく、国際会議を開いて両党の意見の相違について話し合い、世界共産党の団結を強化しようと提案したが、中国共産党はそれに消極的態度だった。
 なぜなら、中国側は形式的な団結は何の役にも立たないという立場だったからである。

 ただ、中国は原則的政策を堅持するときでも柔軟性をもたせる必要性を認めている。
 その柔軟性とは、原則的政策を逸脱しない範囲内でのものである。
 現在の中国の「原則問題」は日中関係で言うと、歴史問題での中国の「原則問題」は過去の戦争の過ちを認めるという点、また領土問題でのそれは「領土問題は存在し、話し合いによって解決する」というものである。

★.第四に、あらゆるメディアを利用して「世論戦」を展開することである。
 中ソ両党の論争が公開論争に発展して以降、両国は国内のあらゆるメディアを使って相手国の主張を批判する記事や評論を掲載し、一種の「世論戦」を展開した。

 当時の中国共産党が発表した論文は「互いに相手が自己を批判した文章をぜんぶ発表し、全国人民、全世界人民に考えさせて誰がまちがっているかを判断させようではないか」と述べ、メディアを駆使した「世論戦」に肯定的だった。
 それは先ほど述べた自らが「原則問題」では間違っていないという自信があるためであると筆者は考える。

 こうした「世論戦」も、2012年9月に日本が尖閣諸島の「国有化」を決めた後に『釣魚島は中国固有の領土』と題する白書を発行し、日本の尖閣諸島「国有化」を批判する評論が中国メディアで多く出たことに似ている。

 以上、時代背景が異なるためやや乱暴な形ではあることは承知しているが、国際共産主義運動の論争の中での中国の闘争のやり方は、現代中国の外交にも同じような傾向が見られるのではという問題意識から、あえて中ソ論争を取り上げてみた。

 中国は改革開放以降、資本主義国との交流も多くなり、また経済・政治的にも国際的地位が向上し、「独自のスタンダード」を押し通すなら、「国際ルールを無視している」という批判がくる。
 しかし、長い間培った思考は容易に変えられるものではないし、中国がすでに世界に影響を与える大国になったが、その位置づけにまだ慣れていないという要因もあって、世界各国の理解を得られるには長い時間が必要ではないかと思う。

■現代に生きる毛沢東の「二分論」
今後の日中関係は共通の利益を探すことが必要

 ここまで中国共産党の「底線」に触れた相手に対する「闘争」について中ソ論争を例にとって見てきたが、ここでは日本との関係について簡単に見ていく。

 今年の全人代で李克強首相が指摘したように、日中関係はまだ脆弱な状態にある。
 習政権発足当初は尖閣問題や靖国参拝問題など「原則問題」の影響を受け、日本に対しては厳しい姿勢をとり、2014年の全人代の「政府活動報告」では名指しこそ避けたが、明らかに日本を批判するくだりがあった。
 当時は先ほど述べたような「世論戦」が繰り広げられたが、現在は日本を批判するもののそれほど厳しくはなく、加えて首脳同士の会談も途切れていないため、両国関係の「最悪な時期」は脱したといえる。

最近の中国の動きから、その原因として次の三つが考えられる。

★.一つは、習政権は現在内外ともに課題が多く、日中関係をこれ以上悪化させるのではなく現状維持にするという判断がはたらいているのではないか考えられる。
★.二つは、現在のところ安倍政権に代わる政権が生まれる可能性が低いため、同政権と長期的スパンで付き合っていく必要があると習政権が考えているためである。
★.三つは、習政権は毛沢東の「二分論」に基づいて、日本軍国主義者と広大な日本人民を区別して民間交流を続けていくことを基本方針としているためである。

 毛沢東の「二分論」は「戦争と革命の時代」という時代背景、闘争性を持つ毛沢東路線が生み出したものであった。
 1950~60年代の中国は、アメリカ帝国主義を「主要な敵」としており、アメリカの軍事基地のある日本の広範な人民の、アメリカ帝国主義とその代弁者である日本反動政権に反対する闘争に期待しており、日中両国の人民が連帯して日本革命を実現するというのが毛沢東の考えであった。

 ただ、現在は毛時代のような「戦争と革命の時代」ではなく「平和と発展の時代」であり、中国共産党の外交のスタンスも経済建設にプラスになる対外関係に変わっている。
 だが、日本については、歴史問題など「原則問題」があり、ひとたびそれに関する意見の対立があれば、両国の関係が冷却化する恐れもあるので、両国関係の「二分論」は現在も有効なのである。

 現在、日中関係は最悪とはいえないが、先ほども述べたようにまだ「脆弱」である。
 今後、両国は「共通の利益」を見出だす必要があろう。
 これは中国の日本研究者も指摘している。
 「二分論」がかつて比較的容易に日本の人々に受け入れられたのは、その当時の人々が戦争を経験しており、贖罪意識があったこともあるが、日中両国の「共通の利益」があったことも否めない。

 かつての日中両国の「共通の利益」はアメリカ帝国主義に反対することであり、中米国交樹立後はソ連の脅威に対抗することだった。
 改革開放後は、ソ連への対抗のほかに、経済面での関係強化があった。
 ソ連崩壊後は日中両国の安全保障面での共通の利益がなくなっている。
 そのため、政治問題で波風が立つことも多くなった。

 今後の日中関係の発展にとって必要なのは何を両国の「共通の利益」にするかだろう。
 中国は現在、世界第二の経済大国であるが、課題はまだ多くバージョンアップが必要である。
 そのため、日中両国の「共通利益」は経済面から見出す必要がある。
 長いスパンで見れば中国の建設している「一帯一路」の建設の参加を視野に入れることは、日中両国の「共通の利益」になりうる。



JB Press 2016.7.28(木)  W.C.
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/47472

世界の厄介者、ロシアと中国に働く吸引力
牛歩ながら着実に進み始めた? "同盟関係"

 中国の傅瑩(Fu Ying)・全人代外事委員会主任委員が、米外交雑誌「Foreign Affairs」の1/2月号に「中国から見たロシア」と題した露中関係論を寄稿している。
 その結論から見ると、
  「米国の今の動きはアジアにとって危険である、一方、
 中露には反米ブロックを形成するつもりなど毛頭ない」
という米国向けのアピールが狙いだったようだ。

 中国の米国対策でロシアが出汁に使われた感がなきにしもあらずだが、露中関係は第三国を敵視することなく2国間の協力により互いの目標を達成し合って行くという、安定した戦略的パートナーシップであると誇らしげに説き、歴史を乗り越えてそのような関係構築に成功したことは、大国同士がどう平和裏に共存できるかを示す好例である、とまで述べる。

 米国もこれに見倣ってほしい、というところだろう。
 それゆえ彼女に言わせれば、露中関係を否定的に捉える西側の互いに相反する2つの見方 - 露中両国の現在の関係は便宜上の結婚に過ぎず、いつかは破綻する運命にある、あるいは、戦略面や思想面で露中が反米・反西側同盟を形成する - はいずれも的外れでしかない、ということになる。

■ロシアと中国で見識の差

 しかし、彼女は少なくとも1つだけ間違っている。
 両国関係を否定的とは言わずとも、彼女とは異なった目で見ているのは西側だけではない、ロシアの知識人やメディアも、なのだ。
 傅瑩の説くように、露中が同盟関係には立ち至っていない点には同意しつつ、カーネギー財団モスクワ・センター所長のD.トレーニンは今の露中関係を、
 「決して対立はしないが、常に同調とも限らない。
 露中の間の距離は近い、しかし近過ぎもしない」
と表現する。
 そして、
 「中国と強固な同盟が作れなかったことは、ロシアの東進政策での失敗とは言えまい、
 なぜなら過度にロシアが中国に依存することを避け得たから」
と付け加えることを忘れない。 
 こうした地政学的な観点は、物事を冷めた目で見るのが仕事だから、その種の表現がロシア側の対中熱気の薄れを表象、とまでは言えまい。
 それがあるとすれば、前回このコラムでも触れたように、両者の経済関係で、だろう。

 トレーニンの下で、カーネギー財団モスクワ・センターのアジア・太平洋方面部長を務めるA.ガブーエフは、ロシアが自国の投資環境の改善を果たさぬままに東進政策を加速し始め、それが世界の資源価格下落と中国の成長鈍化にぶつかってしまった不幸を指摘する。

 他のロシアの論者も、これらの要因で中国企業がエネルギー分野への投資に慎重になってしまったと嘆き、
 ロシア中銀は、中国経済の1%の減速がロシア経済の0.5%の減速をもたらす
と弾く。

★.昨年の露中貿易額は対前年比で約30%と大幅に減少し、
ロシアは中国にとって16番目の貿易相手国
でしかなくなってしまった。
 今年に入ってからも1~4月で昨年同期の2.7%増に過ぎず、2020年で貿易総額2000億ドル達成の看板はまだ下ろしていないものの、ロシア政府高官からはこれに懐疑的な溜息が聞こえんばかりだ。
 貿易の減少は、それでもまだ短期的な話として片付ける余地があるかもしれない。
 しかし、中国の対露直接投資の額が昨年で5.6億ドルと、中国の対外直接投資全体の0.5%でしかないとかになると、ロシア側の失望感は否が応にも増してしまう。

 「中国経済が下り坂だから?」

 ならば、中国の対露直接投資残高が同じCIS内のカザフスタンに向けての額(2014年末で271億ドル、ユーラシア銀行の数値)の1/10強でしかない事実をどう説明できるのか?
 露中政府間委員会(双方のトップはI.シュヴァロフ/第一副首相、張高麗/第一副首相)が両国の共同投資案件として58件(総額500億ドル)を選択したものの、露紙によれば具体的に話が進んでいるのはその中でわずか12件(5件という説も)という牛歩。

 V.プーチン大統領自らが声を枯らして投資を呼び込む極東の先進特区では、案件総数166に対し、中国企業はその中の8件にしか参画しようとしていない。
 そして、金融分野では、在露の中国商銀子会社がすでに昨年の11~12月に資産を大きく減らした(中国銀行で45.3%減)と報じられる。

 こうなると、資源価格下落や中国経済の成長鈍化といった説明そのものまで、何やら胡散臭く見えてしまう。
 ロシアの失望感は、
 「中国にはロシアをその経済苦境から引っ張り上げる積りなどない、
 結局中国も融資などでは対露制裁の影響を恐れてしまう」
といった評に行き着く。

■中国、ロシア経済を酷評

 だが、中国側にも言いたいことは山ほどある。
 昨年の12月に新華社のロシア語版は、ロシア経済はお先真っ暗、との論評を掲載した。
 その中でロシアは、経済戦略が行き詰まり、脱工業化と農業停滞の中で出口なきシステム危機に陥っている、と酷評される。
 こんな危ないところにどうして投資などできようか、だ。
 経済制裁を受ける身で、かつ通貨・ルーブルが大幅下落と来ては、投資を考える側のリスクは際限なく膨れ上がってしまう。

 より問題なのは、ロシアのD.メドベージェフ首相が訪中で李克強首相と経済協力拡大に向けた会談を行ったまさにその日(12月17日)に、この論評が公表されたことだろう。
 あからさまな中国側の意思表示とすら受け取れる。
 ロシアでは早速これに対して、露中経済関係の歩みの鈍さの原因をロシアに押し付けようとの意図だ、とかの指摘が出される。

 5月末にソチで行われた露中の経済会議では、双方から実務面での問題提起がなされ、中国側からはロシアの諸手続きでの官僚主義、特に労働許可取得の難しさが批判される。
 中国人は、そこにロシア官憲の対中警戒心を感じ取ってしまう。

 在露中国企業家連合の会頭は、別の場でロシア人を前にして、
 「君らは我々のカネを愛しても、我々を愛しているわけではないだろう」
と言い放ったという。
 よほど日頃のフラストレーションが溜っていたようだ。
 冒頭に紹介した傅瑩は、
 中国からの移民問題や中央アジアが中国経済圏に飲み込まれてしまうことへロシアが懸念を持ち、
 そして中国も1800年代に多くの領土をロシア帝国に奪われたことへのこだわりを持つ、
という双方の問題が存在することを認めながら、それらが両者の関係を阻害するには至っていないと結論付ける。
 しかし、例えばウラジオストクがかつては中国の町であり、それがいつかは必ず中国に戻って来ると信じる向きが中国にはまだ多い、などとメディアが思い出したように書けば、それが気にならない方がおかしい。

 この点を意識してか、中国社会科学院ロシア・東欧・中央アジア研究所の李勇泉(Li
Yongquan)教授は、
 極東での中国の拡張をロシアが懸念する限り投資流入はあり得ない
と指摘する。
 ロシアが懸念するような材料など、実際にはない、がその趣旨だろう。
 中国の大学で働くロシアの女性学者は、
 「中国人の知るロシアとは、プーチン大統領とロシア美人だけ」
とコメントしている。
 無知や無関心は、それはそれで問題だろうが、中国人の中にいれば、少なくとも彼らがロシアから目を離さず、近いうちに押しかけてきてその領土を持って行ってしまう、というわけでもない、と分かってくる。

 あれやこれやで露中両国民の相互理解がまだ十分ではなく、それが少なからず経済実務に支障を与えていることは、どうやら間違いないようだ。
 しかし、それは露中間に限った話でも別段なく、双方が付き合いの経験値を積んでいく中で、やがて時が解決してくれる部分もあると考えれば、悲観ばかりに暮れる必要もないのだろう。 

■大局観と抽象化が十八番のロシア

 経済外交の分野で東進政策や対中接近が必ずしも円滑に進んでいないなら、何がロシアの根本問題なのかをロシアの論者は突き詰める。
 この種の大局観にあふれ、そして時には抽象化が独り歩きする分析はロシア人の十八番だ。

 ガブーエフは、
 東進=対中接近が、が単に反西側の反射なのか、それともそれ自体に意味があるものなのか、
についてロシアが結論を出せていないことが問題だと述べる(腰が座っていないという意味では、ロシアが本気で東に向かうのかに半信半疑の中国も同様)。

 似たような趣旨を、外交雑誌編集長のF.ルキヤーノフも述べている(参照1、2)。

●:ソ連崩壊以降の世界の状況は、崩壊前後のソ連・ロシアの指導層の誰もが考えもしなかった形で進んでおり、ロシアはその中で一種の自己喪失(Identity crisis)に陥っている。

●:「絹の道」への中国の膨大なインフラ投資はロシアへの挑戦でもあるが、同時にロシアに参画の機会も与えるはず。
 だが、その中でどう自分を位置付けるかがまだ決まっていない。

●:ロシアは西側への従属を拒絶するが、だからといって東方で諸々での指導的立場に立てるわけでもない。
 従って、その存在を発揮することも叶わないという中途半端な状態に置かれている。

 トレーニンも、ロシアにアジアに向けた戦略と呼べるものはなく、あるのは「de facto」戦略、すなわち国ごとの個別の関係だけ、と切って捨てる。
 プーチンの次元で、ロシアを世界的な存在とすることや、東シベリア/極東の経済を発展させ、アジア・太平洋地域での主要プレーヤーとなることが目標となってはいても、それに見合った戦略に落とし込まれてはいないということになる。
 要は何が理由であろうと、戦略不在ということなのだ。
 そうさせているのは、
 自分はこうだと他国に自信をもって主張できる何かがロシアに欠けている
からなのだろう。

 その欠けているものとは恐らく、
 まずは経済力、
 そしてさらには自国への自信そのものの礎となるはずの国の一体性
ではないのか。
 プーチンがある日突然いなくなってしまったならロシアは空中分解か、などと怯えるようでは一体性も何もあったものではない。
 だから多くの論者は、経済外交をやるならとにもかくにも自国の経済状況を改善せよ、相手が中国であろうとなかろうと、ロシアの投資環境を改善せよ、と主張する。

 また、ガブーエフやルキヤーノフは、ロシアの思考回路での問題点を以下のように衝く(参照1、2)

●:偉大なロシアがアジアで単なる原料供給国であってはならない、といったロシアの確信(命題)が物事の進展を阻害している。

●:経済力で中国の弟分になりたくはない、と言うが、中国がもし1970年代以降の対米関係で弟分に成り下がることを単なる感情論で拒んでいたなら、今の中国経済の奇蹟はなかっただろう。

●:欧州もロシアに比べてはるかに経済規模は大きいが、彼らに弟分とはみなされてはいないではないか。

■同盟関係には程遠い

 トレーニンの“地政学的”な分野に立ち返ると、露中が将来的に同盟関係にまで進むかどうかが議論される。
 彼の論に従えば、2014年からロシアの東進政策と対中接近が喧伝されたものの、これまでのその実態は、トップ同士の相互理解進展、中国企業のロシアの資源へアクセス拡大、ロシアによる人民解放軍への最新兵器供与、中国と欧州を結ぶ交通路確立でのロシア内インフラの利用、といった程度に終わっており、同盟関係には程遠い。

 彼や他の多くの論者が述べるように同盟関係が成り立っていないとなれば、それはなぜか、となる。
 その答えには、
 両者間に信頼が欠如しているから、といった厳しい発言(前駐露大使・李輝(Li Hui))や
 両者の経済力格差、
 それに中国がロシアを基本的にはアジアではなく欧州の国家とみなし、それゆえに自分がコントロールできる相手でもないと思っているから、
などが出されている。

 李勇泉は、どうやらロシアが本気で東に向かっているとはあまり信じられないようで、その東進政策の意味は、せいぜいが中国の存在によるロシアのエネルギー資源輸出多岐化の実現、と述べている。
 これに対して、欧州国家であることが理由でロシアとの距離があると中国が見るなら、中国はGeo-economic playerではあっても、まだGeo-political playerではない、とトレーニンは評する。

 傅瑩もそうだが、ロシア外交評議会・アジア太平洋地域プログラム担当のL.ヴィクトローノヴァは、必要がないから同盟関係に立たないだけで、もしその必要が生じるなら2001年締結の「露中善隣協力条約」で対処可能と説く(同条約第9条 では、一方が第三国から脅威を受けた際の協議条項が規定されている)。
 できないのではなくその必要がないから、とは、俗世間でも負け惜しみで使われることが多い説明のような気もするが、自分を犠牲にしても相手のために、が国際政治の場では夢物語にすらならない現実を踏まえれば、露中間で同盟が成るかどうか、という問いは、当の露中よりも、この2カ国に同盟を組まれたなら不都合と思う他国の詮索の産物なのかもしれない。

 それでも、対米・対西側への出方でのこれまでの両国の差が、鉄の同盟には至らない理由であったことも事実だろう。
 中国が主として経済でのつながりの面から、ロシアほどには米国や西側との対立を求めてはいない、とは多くのロシアの論者も認めてきた。

 米露間の冷戦思考継続に中国は驚くのみ、と書く傅瑩は、ウクライナ問題で中国は、旧ソ連内でのロシアと他国との歴史的な関係を考慮しても、同国の独立・主権・領土の一体を尊重すべき、しかし、西側の教唆で発生したカラー革命やNATO(北大西洋条約機構)の東進には疑問を呈さざるを得ない、という中国の姿勢を鮮明に述べている。
 国内にウイグルや民主化といった問題を抱える以上、それらを後押しするような動きや概念は、それが米露にどう関わる話であろうと片っ端から否定していくしかない。

 EUやTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)への対応でも両者に差が見られる。
 そして、中国が「一帯一路」や「絹の道」構想を推し進める中央アジアも、露中関係が微妙な地域ということになる。
 ロシアは「絹の道」への参画に2014年までは前向きではなかったし、これに安全保障問題にも関係する上海機構が絡んでくると、即座に中国と手に手を取って、というわけにはいかなくなる。

■度重なる首脳会談

 そのため、この6月にウズベキスタンで行われた上海機構首脳会議が「絹の道」と上海機構の連結という点では大した成果を挙げなかったことに、ロシアは内心では安堵していると、オスロの国際平和研究所上級研究員・P.バーエフは分析している。
 こうした第三国への対応で、露中は今後接近していけるのだろうか。

 プーチンはこの6月にタシケント、北京と場所を変えて2度も続けて習近平と会談した。
 それにしては具体的な大型契約の新たな締結発表などがなく、ロシア側の失望も買ったのだが、今回はどうやら習近平の方がプーチンを無理矢理にでも北京に呼び込んだようだ。

 WSJ(ウォールストリート・ジャーナル)は、中国が南シナ海関連でロシアを味方にせねばならない立場に追い込まれたとして、ウクライナ問題で中国が取った対応(制裁に加わらず、批判せず)と同じようにロシアが南シナ海問題で行動することを習近平が強く期待している、との観測を報じる。

 南シナ海を巡る対米・対隣国の関係が緊張する中で、仲間は1人でも多い方がいい。
 そして9月の杭州でのG20サミットでは、中国の株を上げるためにプーチンにも一役買ってもらわねばならない・・・。
 最近開催されたASEAN(東南アジア諸国連合)外相会議での
中国外相のなりふり構わぬ動きを見れば、習近平がそう考えていることも容易に察しが付く。
 ロシア外務省は、公式には南シナ海での問題に対し中立の姿勢を崩してはいないが、従来に比べれば中国の肩を持つ姿勢が目立つようになる。
 ならば、これが首脳会談で中国側が得た最大の成果だろう。

 トレーニンは、露中間の経済関係は実利主義に基づき政治は絡まない、と断じているが、バーエフは、ロシアの南シナ海問題での協力への見返りに、ヤマールLNGへの中国からの融資120億ドルを習近平が認めた、と見る。
 これが“プーチンの案件”だからである。

 大西洋評議会の上級研究員・S.ブランクはつとに、「露中関係がしょせんは便宜的関係に終わる」という米国に多い見方が、中国がロシアを引き留めるために譲歩したり、ロシアも対中関係維持のために第三国との関係悪化も辞さない行動に出ている、といった最近の露中接近を見逃している、と指摘している。 

 物事は既成概念を超えて動き出しているのかもしれない。
 そして、それが南シナ海の問題のみならず、千島列島でのロシア軍基地建設や、韓国へのTHAAD(終末高高度防衛ミサイル)配備にまでつながっているのなら、日本にとっても露中関係は他人事ではなくなる。

 もっとも、ロシアでは外交政策で指導層の意見がまとまり切っているわけでもなく、中国も対米で今のところは手一杯の状態、そして何より米国の次期大統領がどのような外交政策に乗り出してくるのか予断を許さない以上、露中関係に当面は大きな変化はないだろう 
- そうロシア科学アカデミー・極東研究所のV.カーシンは予測する。 

 動きがない、に越したことはない。
 それが米国の新政権が発足する来年の1月までの話でしかなくとも。




【自ら孤立化を選ぶ中国の思惑】



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2016年7月26日火曜日

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●日曜討論 2016年07月24日 『南シナ海 仲裁裁判 中国とどう向き合う』 1080i





●南シナ海2016 スカボローを取り出れば中国に未来はない!「習近平」の危険な外交と内政のリンク!世界を混乱させる時代錯誤の中華民族の復興!【藤崎一郎×神保謙×興梠一郎×大庭三枝×朱建榮】
2016/07/24 に公開





●南シナ海中国全否定に今後中国が起こす3つの行動!東シナ海で一線超えれば海警行動!【小原凡司×富坂聰】
2016/07/19 に公開




●石平 尖閣諸島を実効支配しようとする中国 特に空軍が海軍を意識しており危険だ!<保守統一チャンネル>
2016/07/11 に公開




日本の観光政策と観光資源(2):医療ツーリズム

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サーチナニュース 2016-07-26 10:51
http://news.searchina.net/id/1614981?page=1

技術もサービスも高品質、
さらに食事もおいしい!日本への医療観光が人気=中国

 南シナ海問題に端を発した、日本や米国に対する抗議活動が一部で発生した中国だが、こうした問題に左右されることなく、根強い人気を誇る日本旅行プランが存在する。
 それは日本で医療サービスを受ける医療観光プランだ。

 中国メディアの今日頭条は、日本製品の不買運動が一部で見られる中国において富裕層を中心に日本への医療観光が人気となっている現状を紹介した。
 記事は、2020年までに医療サービスを受けることを目的に日本を訪れる中国人は毎年31万人を超えるという予測を示し、日本での医療観光が人気である理由について「医療技術の高さ」や「サービスのきめ細やかさ」といった医療サービス全体の水準の高さを指摘。
 そのほか、観光資源やおいしい食事も多く、心も身体も健康になることができるのが日本であるとの見方を示した。

 また、日本が「健康長寿大国」だからというのも、日本の医療観光に説得力をもたらす要因と言えよう。
 2014年の日本人女性の平均寿命は86.83歳、男性は80.50歳であり、日本は世界でもっとも長寿の国だ。

 そのほか、日本のガンの早期発見や治療技術は世界最先端の水準にある。
 中国の技術は世界の平均を下回っており、質の高い医療サービスを受けたくとも中国国内ではなかなか受けられないのが現状だ。
 中国ではガンを不治の病として認識する人は少なくない。
 日本のように早期発見が困難なうえに、医療技術が高くないのが理由であろう。
 日本への医療旅行は決して安くはないが、不治の病が治るのであれば安いとの判断なのだろう。
 中国国内の医療レベルが上がるまでは、日本への医療旅行の人気は衰えないだろう。


サーチナニュース 2016-09-02 14:27
http://news.searchina.net/id/1617914?page=1

診察や検査だけじゃない! 
日本の医療は、投資先としても魅力的だ=中国メディア

 最先端の機器が備わった日本の医療機関での検査や診察を目的として訪日する中国人が急増している。
   日本政府も積極的に外国人の医療ツーリズム受け入れ政策を進めているが、中国国内では
 「中国から日本の医療機関に積極的に投資せよ」
との声も出ているようである。

 中国メディア・経済観察網は8月31日、
 「日本には医療ツーリズム以外に、病院に投資するチャンスもある」
とする記事を掲載した。
 記事は、日本の外務省が発表したデータで、2013年には168件だった中国人向けの医療滞在ビザ発給数が15年には829件にまで急増したことを紹介。
 また、今年6月には外務省が医療滞在ビザを緩和する通知を発表し、医療ツーリズムで訪日する中国人の数はさらに増える見込みであることを伝えた。

 そのうえで、日本の医療機関で受診を望む中国人観光客は日本の先進的な医療設備、特にガンの検査や治療に対して期待をしていることが想像できると説明。
 中国国内ではガンは末期においてようやく発見されるような状況であり、重粒子線治療や陽子線治療システムが希少なうえ国からも公認されていないとした。
 また、がんの治療費も日本の2倍以上となっており、日本に渡って治療を受けた方が滞在費を含めても安いと紹介している。

 記事は、中国でも今後国外から先進設備を取り入れ、国の認可を経て普及することになるとした。一方で、「その前に、国外の医療関連プロジェクトに投資することで中国人患者に対する治療サービスの枠を獲得というのが、ハイリターンな投資方式となりつつある。これは、中国の医療技術も進歩させることになるのだ」と伝えた。

 そして
 「中国の病院が日本の治療センターに投資を行えば、中国の医師が日本でトレーニングを受けられるようになり、中国人患者の治療を行うこともできる」
と説明。
 日本の病院への「中国人の進出」は単に病気を診てもらうだけでなく、投資というアプローチでもますます注目されているのであるとした。

 中国の医療は現在、様々な問題を抱えている。
 高い医療費や医療リソース分配の不均衡に加えて、経済成長に伴う生活習慣病の患者増への対応にも迫られている状況だ。
 日本をはじめとする外国に医療目的で訪れる中国人が増えていることは、国内の医療体制が充実していないことの裏返しとも言える。
 先進技術を取り入れたがんなどの生活習慣病検査・治療体制の整備も急務になっている。



サーチナニュース 2016-09-30 07:35
http://news.searchina.net/id/1619854?page=1

買い物だけじゃ満足できない! 
中国人が日本で医療サービスを受ける理由=中国報道

 中国人の訪日目的は観光や買い物だけではない。
 ここのところ、医療サービスを受けるために日本を訪れる「医療観光」がにわかに中国で注目が高まっているという。

 中国メディアの今日頭条はこのほど、国外を訪れる中国人旅行客は単なる買い物や消費だけでは満足できなくなり、今や「健康分野」への消費にも関心を抱き始めていると紹介。
 これまでに中国では美容整形の手術を韓国で受けることや、米国籍を求めて米国で出産することがブームとなったが、近年は日本で健康診断などの医療サービスを中国人が増えていると伝えた。

 記事は、中国人が日本への医療観光を選ぶ背景について、
★.日中が地理的に近いこと、
★.日本はサービスの質が高く、気持ちの良い待遇を得られること、
★.医療滞在ビザが解禁されたことで条件に応じて数次有効ビザも発給されるようになったこと
を指摘。

 続けて、
★.何よりも重要な要素は「日本の医療レベルが高いこと」だ
と紹介し、がんの早期発見および治療に関する日本の医療レベルを非常に高く評価したうえで、
 「日本ではがんと宣告されても、それは必ずしも死を意味するものではない」
と指摘。
 一方、中国ではがん患者が急増しているにもかかわらず、医療レベルの向上が追いついておらず、
 「多くの患者にとってがん宣告はそのまま死を意味する状況」
であることを伝えた。

 中国では経済成長に伴い、生活習慣病を患う人が増えているほか、大気汚染や喫煙率の高さを背景に、肺がん死亡率も急上昇している。
 そのため、中国国内で受けることのできない医療サービスを求めて中国人患者が日本を訪れるケースは今後も増加し続けると見込まれる。






【自ら孤立化を選ぶ中国の思惑】



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過剰人口、少子化、ロボットの日本(2):少子高齢化で日本経済が迎える黄金時代

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WEDGE Infinity 日本をもっと、考える 2016年08月01日(Mon)  塚崎公義 (久留米大学商学部教授)
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/7345

日本の財政が絶対に破綻しない理由

  「日本政府の財政赤字は巨額で、借金も巨額であり、しかも今後は少子高齢化で財政収支は悪化して行くから、日本政府はいつかは破産する」と考えている人も多いようです。
 それならなぜ日本国債を買うのだ?
といった話は別の機会に譲るとして、今回は日本政府の破産の可能性について、考えてみましょう。

 結論を先に言えば、筆者は、財政は破綻しないと考えています。
 読者は以下の拙稿を読んで「非常識だ」と思うかも知れませんが、それはそれとして、頭の体操として「どこが間違っているのだろう?」と考えながらお読みいただければ幸いです。
 結果として筆者の誤りを指摘できず、筆者の意見に賛同して下されば、さらに幸いです。

■まずは「最後の手段」があることを確認

 日本政府が破産することは、絶対にありません。
 最後の最期には、日銀に紙幣を印刷させて国債を償還してしまえば良いからです。
 日銀法などの改正は必要ですが、それだけのことです。

 これは禁じ手であると言われていて、世の中に大量の紙幣が出回ると超インフレになる可能性が高まると懸念している人が大勢いますが、
 日銀としては、預金準備率を大幅に高めることで、市場に出回る紙幣を減らし、超インフレを防ぐことも可能ではありますから、人々が考えているほど「有り得ない選択肢」ではなさそうです。

 とはいえ、これは銀行への課税と同じ意味を持ちますから、なぜ銀行だけに課税するのか、といった議論が必要ですし、超インフレを心配している人が大勢いる政策は現実的ではないでしょう。
 したがって、以下では、「紙幣印刷に頼らなくても国債は償還できる」ことを示したいと思います。

 過激な案は、いくつも思いつきます。
 たとえば資産課税で家計金融資産1700兆円の半分を税金で召し上げてしまえば、財政赤字はほぼ解消します。
 さすがの筆者もこれは推奨しませんが、頭の体操としては
 「消費税を未来永劫20%にする」
のと
 「一回だけ資産課税をする」
のと、どれくらい違うのか、冷静に考えてみることも必要かと思っています。

 相続税率を100%にすれば、日本の高齢者は平均すれば金持ちですから、莫大な税収が見込めるでしょう。
 これは極端だとしても、
 「相続税率を大幅に引き上げる。
 一方で贈与税率を引き下げ、高齢者から子や孫への生前贈与を促す」
政策ならば、現実的かも知れません。

 ここまでで、最悪でも政府の破産は無いということを確認した上で、上記のような極端な手段を採らなくても国債が償還でき、日本政府が破産しない、ということを示していきたいと思います。

■少子高齢化で増税が容易になる

 バブル崩壊後、日本経済の長期停滞期には、失業問題が深刻でした。
 そこで、時として大胆な失業対策としての公共投資が行われましたし、そうでなくとも「費用対効果の乏しい歳出」が続く傾向がありました。
 「この歳出を止めると、現在この仕事に就いている人が失業してしまう」という反対論が強かったからです。

 また、増税も容易ではありませんでした。
 「増税をすると景気が悪化して失業が増える。そうなると税収が落ち込むのみならず、再び失業対策の公共投資が必要になってしまう」
という反対論が強かったからです。
 中には単に税金を払いたくない人が景気悪化を理由として反対していただけの場合もあったでしょうが、そうした人に反対の口実を与えていたのが失業問題だったと考えれば、やはり失業が増税を困難にしていたのです。

 また、筆者のように本当に景気を心配して増税に反対していた人も多かったと思います。
 そして実際、増税によって景気が悪化し、景気対策が必要となって財政がむしろ悪化したように見えたケースもあったわけです。

 しかし、今後は労働力不足の時代ですから、増税して景気が悪くなっても失業者が増えることは無いでしょう。
 一時的に失業した人も、比較的容易に次の仕事を見つけることができるはずですから、問題は深刻化しないでしょう。

■増税がインフレ対策と財政再建の一石二鳥に

 少子高齢化で労働力不足が深刻化していくと、インフレの時代が来ます。
 恒常的に労働力が足りないので、物が不足して価格が上がっていくのです。
 労働力不足による賃金の上昇も、コストプッシュ・インフレをもたらすでしょう。

 通常は、インフレ抑制は金融引き締めの仕事ですが、昨今の日本のように政府が巨額の借金を抱えている場合、金融引き締めで金利が上がると財政部門の金利負担が巨額になってしまうので、好ましくありません。
 従って、ポリシーミックスとして金融を緩和したまま増税で景気を抑制してインフレを抑え込もうということになりそうです。

 現在、インフレ抑制に財政政策(増税等)が使われていないのは、増税はタイムラグが長いからです。
 たとえば消費税の場合、法案を作成して国会で審議して、法律が成立してから準備期間を置いて、ようやく増税されるわけですが、その間に景気が悪化して、増税が実施される頃にはインフレが納まっている可能性も高いのです。

 しかし今後は、恒常的なインフレ圧力に悩むことになりますから、増税で対応することが適切でしょう。
 増税に多少時間がかかっても、その間にインフレ圧力が消えることはなさそうですし、高い税率で恒常的に景気を抑制し続けることが必用になってくるからです。

■政治的には過疎地を維持するか、といった問題も浮上

 現在までのところ、過疎地に道路を整備する事業は、効率は悪いけれども失業対策の面もあるので、特に反対意見は強くありませんでした。
 しかし今後は、労働力不足の時代を迎え、「過疎地の人々に都会に移住してもらえば、過疎地への道路を整備する必要がなくなり、道路建設要員が介護に従事できるようになる」といった意見が強まってくるでしょう。

 「生まれ育った過疎地で暮らしたい」という人々の希望をどこまで尊重するかは政治の問題ですから本稿では深入りしませんが、仮に「過疎地から都会に引っ越していただければ年金を2倍支払います」といった制度ができるならば、財政赤字の面では大いに助かることになるでしょう。

■最後の最後は日本人が一人になるので財政赤字は解消

 極端な議論ですが、少子化で一人っ子と一人っ子が結婚して一人っ子を産むことが続くと、最後は日本人が一人になります。
 その子は家計金融資産の1700兆円を相続します。
 同時に政府から1000兆円の税金を課せられるでしょうが、手元に700兆円残るので、豊かな人生を送るでしょう。

 つまり、「財政赤字は子供たちに借金を残すから世代間不公平だ」という議論はミスリーディングなのです。
 その部分だけを切り取れば正しいのですが、日本人の高齢者は平均すれば多額の資産を残して他界しますので、後世の世代には遺産が入るのです。

 つまり、世代間不公平ではなく、遺産が相続できる子とできない子の世代内不公平が問題なのです。
 これについては、相続税率を高くする、資産課税を行う等々の議論があるでしょうが、政治の問題ですから本稿では深入りはやめておきましょう。

■不適切な政策が採られなければ子供世代は豊かに

 重要なことは、何千年後かに日本人が最後の一人になれば、財政赤字の問題は何の苦も無く解決する、ということです。
 このことを充分に認識した上で、では今後何千年かの間に、いつ、どのような財政破綻が生じ得るのかを考える必要があります。

 もちろん、政府が不適切な政策を採れば、財政が破綻する可能性も考えられるでしょうが、特に不適切な政策が採られなければ、淡々と日本人の人口が減少していき、子どもは両親の遺産(つまり4人の祖父母の遺産)を相続し、次第に豊かになっていく、ということになるでしょう。
 その間、財務省は
 「国の借金を国民一人当たりで計算すると、こんなに増えている」
と宣伝して増税キャンペーンを張り続けるでしょうが、気にすることはないのです。

 以上が筆者の「暴論」ですが、いかがでしたでしょうか。
 「非常識だし到底賛同はできないが、理論的に論破することも難しそうだ。
 今後も論破を目指して頭の体操を続けよう」
と思っていただければ、筆者としては幸いです。


WEDGE Infinity 日本をもっと、考える 2016年07月18日(Mon)  塚崎公義 (久留米大学商学部教授)

少子高齢化で日本経済が迎える黄金時代

 「日本経済は、人口減少で衰退して行くし、
 少子高齢化で年金も破綻しそうだし、
 明るい展望など持ちようもない
と考えている人は多いと思います。
 しかし、少子高齢化にも悪い面と良い面があります。
 筆者は、
 今後10年間は少子高齢化の良い面が表面化し、日本経済は明るい時代を迎える
と考えています。

 少数説ですから、「非常識だ」と考える読者も多いと思いますが、「どこが間違えているのだろう?」と考えながら御読み頂ければ幸いです。
 読者の頭の体操になれば幸いですし、結果として読者が筆者の誤りを発見できずに、筆者に賛同していただければ、さらに幸いです(笑)。

■バブル崩壊後の諸問題の源は失業だった

 バブル崩壊後、日本経済は長期停滞に陥りましたが、その根幹は失業問題でした。
 失業が多い(労働力の供給超過)ので、賃金が下がり、デフレになり、それが景気を更に悪化させました。
 失業者が不幸であるのみならず、「辞表を出せば失業する」という恐怖からブラック企業の社員が辞表を出せず、結果としてブラック企業が存続、増加してしまいました。

 企業は、いつでも労働力が確保出来るという安心感から、正社員を減らして非正規社員を増やしました。
 労働力を囲い込む必要を感じなくなったからです。
 この結果、正社員になれずに非正規職員として生計を立てざるを得ない人が増え、「ワーキング・プア」と呼ばれる人々も出現しました。
 ワーキング・プアは、結婚できなかったり、結婚しても子供が産めなかったりしたため、少子化に拍車をかける要因となりました。

 財政赤字が膨らんだのは、失業対策として公共投資などを行なったことに加え、「増税すると景気が悪化して失業が増えてしまう」という反対論が強かったからです。
 そして実際に増税して景気が悪化して財政赤字がむしろ悪化してしまったこともありました。
 景気は「税収という金の卵を産む鶏」であるのに、それを殺してしまったからです。

 失業が問題であった真の原因は、日本人が勤勉で倹約家であることでした。
 勤勉に物を作り、倹約に務めたことで物が余ったのです。
 余った物は輸出をしましたが、それにより円高を招いてしまい、際限なく輸出を増やすことは出来なかったのです。
 そこで企業は人を雇わなくなり、失業が増えた
というわけです。

■今後は失業より労働力不足が問題となる

★.少子高齢化によって、現役世代の人口(作る人)が急激に減りますが、
 総人口(使う人)の減り方は緩やかです。
 そうなると、
 失業問題は自動的に解決し、労働力不足が問題
となってきます。
 現在の日本経済は、まさに移行期で需要と供給のバランスが良い時期にあるのです。
 そして、今後は少しずつ労働力不足の時代になっていきますが、じつは
★.労働力は少し足りないくらいが経済にとって活力になる
のです。

 非正規労働者の待遇は、労働力の需給を素直に反映するので、労働力が不足すると、非正規労働者の待遇が順調に改善して行くでしょう。
  そうなれば、非正規労働によって生計を立てている人々の生活が改善し、ワーキング・プアが消滅します。
 そうなれば、非正規同志が結婚しても子供が産めるようになり、少子化も緩やかになるかも知れません。

 1日4時間しか働けない高齢者や子育て中の女性なども、仕事を探せば簡単に見つかるようになります。
 まさに「一億総活躍社会」ですね(笑)。
 子育て世代は消費性向が高いので、所得の増加が消費に直結しやすいですし、高齢者も、仕事を見つけられるようになれば、老後の不安が和らぎ、消費が増えることも期待されます。

■需要が増えれば供給が増える

 現在、経済成長率がほとんどゼロなのに、労働力が不足しています。
 これを見て、「日本経済は労働力不足なので成長出来ない(潜在成長率がゼロである)」と心配している人も多いようですが、これはバックミラーを見ながら運転するようなもので、将来予測としては正しくありません。

 心配要りません。
 需要が増えれば供給も増えるからです。
 日本企業は、これまで省力化投資を怠って来ました。
 安い労働力が自由に使えたからです。
 しかし、これからは労働力不足の時代になるので、企業は省力化投資を迫られることになるでしょう。
 「省力化投資の必要が無かったから、投資をしてこなかった時代」に投資が行われなかったというデータを用いて、今後の投資を予測するのはミスリーディングなのです。

 ここで明るい材料は、これまでサボって来た分だけ、日本経済には「少しだけ省力化投資をすれば大幅に省力化できる余地」が充分にあるということです。
 これは、
 今後は設備投資が増えて景気が上向くという需要面と、
 労働力不足でも供給力は増やせるという供給面と、
両方で明るい材料です。

■財政赤字問題も悪化しない

 少子高齢化は財政を悪化させると多くの人が考えていますが、そうでもないでしょう。
 これまで、「増税をすると景気が悪化して失業が増え、失業対策で財政が悪化する」ということで増税が難しかったわけですが、
★.今後は景気が悪化しても失業が増えないので、「気軽に」増税できる
ようになるでしょう。

 むしろ、
★.インフレ対策として金融引き締めより増税が用いられるようになる
かもしれません。
 金融引き締めで金利が上がると政府の利払いが増加してしまいますから、
★.ポリシーミックスとして「金融は緩和したままにして、景気過熱を増税で抑え込む」
ということになるはずです。
 そうなれば、増税は財政再建とインフレ対策の一石二鳥という事になります。

 最期に、本当の極論です。
 財政は破綻しません。
 少子化が進むと、日本人の人口は減り続け、最後は一人になります。
 その人は、1700兆円の個人金融資産を相続します。
 国の借金が1000兆円あるので、同額の税金を徴収されるでしょうが、手元に700兆円あるので、豊かな一生が送れるはずです。

 「財政赤字は、将来世代に増税することになるので世代間の不公平だ」と言われます。
 その部分だけを切り取れば、その通りですが、日本人の高齢者は(平均すれば)多額の資産を残したまま他界し、遺産を遺します。
 それも考慮すれば、世代間不公平など存在しないのです。

 問題は、遺産が相続できる子と相続できない子がいる、という「世代内不公平」なのです。
 これをどうするか、相続税や累進課税を増税すべきか否かは、政治の問題なので、本稿で議論するのはやめておきましょう。


WEDGE Infinity 日本をもっと、考える 2016年07月25日(Mon)  塚崎公義 (久留米大学商学部教授)
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/7342

バブル後の長期停滞は、日本人の勤勉と倹約が原因だった

 皆が正しいことをすると、皆が酷い目に遭うことがあります。
 銀行破綻の噂を聞いた人にとって、正しい行動は直ちに預金を引き出すことですが、皆が預金を引き出そうとすると、銀行は本当に破綻してしまい、ほとんどの預金者は損をします。
 こうしたことを「合成の誤謬」と呼びますが、
 バブル崩壊後の日本経済の長期停滞も、合成の誤謬が原因だったのです。
 今回は、これについて考えてみましょう。

■日本人は勤勉に働き、
 倹約に努める素晴らしい人々

 日本人は勤勉です。
 かつて日本製品が世界を席巻していた頃、妬んだ外国人から「日本人はウサギ小屋に住む働き中毒だ」と揶揄されていたものですが、勤勉が素晴らしいものであることは、言うまでもありません。
 倹約家であることも、素晴らしいことです。
 浪費より倹約の方が良いに決まっています。

 江戸時代までの日本では、勤勉に働き倹約に努めることが、生きていくための条件でしたから、「正しい事が良い結果につながった」わけです。
 明治以降、バブル崩壊までは、人々が勤勉に働いて多くの物を作り、倹約に努めて消費を控えたから設備投資機械が数多く作られて経済が発展したのです。
 資金面から見ると、人々が勤勉に働いて倹約をして貯金をしたから、銀行が人々から預かった資金を設備投資資金として融資することが出来たのです。
 ここでも「正しい事が良い結果につながった」わけです。

■皆が勤勉と倹約に努めると、
売れ残りが発生し、失業が増える

 しかし、バブルが崩壊してみると、設備投資需要は小さくなってしまいました。
 そうなると、物が余るようになったのです。
 皆が勤勉に働いて大量の物を作り、皆が倹約に努めて物を買わないのですから、当然のことです。
 そこで、売れ残った物を外国に売ろうとしましたが、それには限度がありました。

 日本が巨額の輸出をすると、まずは貿易摩擦として外国政府の怒りを買ったのです。
 加えて、輸出企業が持ち帰ったドルを売りに出すため、ドル安円高になり、輸出採算が悪化しました。
 つまり、売れ残った物を無限に外国に売り続ける事は出来ないのです。
 そうなると、企業は生産を減らしますから、雇用も減らします。
 そうなると、失業が増えます。
 この失業の増加こそが、バブル崩壊後の日本経済の諸悪の根源だったのです。

■デフレスパイラルの原因は失業だった

 バブル崩壊後の日本経済は、デフレスパイラルに陥っていたと言われています。
 消費者物価統計を見ると、それほど下がっているわけではありませんが、「消費者物価統計というものが、統計作成上の諸問題によって物価上昇率が高めに出る傾向がある」という事を考慮すれば、たしかにデフレスパイラルだったと言えるでしょう。

 失業者が多いと、彼等は消費を抑えますから物が売れなくなり、物の需給が緩んで物価が下がります。
 ディマンド・プル・インフレの反対ですね。
 また、失業者が多いと、労働力需給の緩みによって賃金が下がります。
 そうなると、サービス産業などで値下げ競争が起こります。
 コスト・プッシュ・インフレの反対ですね。
 要するに、失業はデフレの源なのです。

 デフレになると、物が売れなくなります。
 人々が更なる値下がりを予想して買い控えを行なうようになるからです。
 設備投資も手控えられるでしょう。
 借金をして工場を建てたとして、製品価格はデフレで下がっていくのに借金は減って行かないのでは、採算を採るのが難しいからです。
 要するに、デフレになると景気が悪くなるのです。
 そうなると失業が増えて、さらなるデフレを招くことになります。
 スパイラル(悪循環)ですね。

 これは、「実質金利が高くなるから」という説明も可能です。
 実質金利というのは、金利から物価上昇率(厳密には予想物価上昇率)を差し引いた値のことです
 これが設備投資などを考える際に重要なのです。
 物価が20%上昇している国で金利が10%であれば、人々は喜んで借金をして投資を行うでしょうし、買い急ぎも行うでしょう。
 一方で、金利がゼロでも物価が下がっている国では、人々は買い控えをして貯金に励むでしょう。
 要するに、金利を見る際には物価上昇率との対比で見ないと、景気への影響はわからない、という事なのです。

■財政赤字の元凶も失業だった

 失業が増えると、失業対策として公共事業が行われるので、財政赤字が増えます。
 それだけではありません。
 増税しようとすると、
 「増税をしたら景気が悪化して失業が増える。
 失業対策として公共投資が増えるから、財政赤字がかえって増えてしまう」
といった反対論が高まります。

 これは、増税が嫌だから言い訳として言っている論者もいるでしょうが、本当に財政赤字を心配している論者もいるでしょう。
 実際、増税で景気が悪化して、財政がかえって悪化したと考えられる事例も見られているのです。
 行政コストの削減も同様です。
 行政コストの削減は、失業に直結する場合もあるので、増税以上に抵抗が強い場合もあるでしょう。

■少子化の一因も失業だった

 失業者が多いので、
 企業は正社員として労働者を囲い込まなくても、何時でも安い非正規労働者が確保出来ました。
 そこで、企業は正社員を非正規社員で置き換えて行ったのです。
 非正規労働というのは、従来は主婦や学生の小遣い稼ぎが中心でしたから、時給が低くても社会問題にはなりませんでしたが、これで生計を立てようとする人が増えてくると、「ワーキング・プア」の問題が出てきます。

 ワーキング・プアは、自分の生活が苦しいだけでなく、結婚相手を見つける事が難しかったり、子供を産む事を諦めたりするケースが少なくないのです。
 こうして考えると、少子化が進んだ一因は失業者が多かったことだ、と言えるわけです。

 子どもが減ると、育児用品などの需要が落ち込みますから、景気が悪化します。
 したがって、これも少子化と不景気のスパイラルになっていた、というわけなのです。

【参考記事】

 本稿によって、勤勉と倹約によって物が余ったことが、長期停滞の原因であることが御理解いただけたと思います。
 しかし今後は、少子高齢化により労働力が不足し、物が余らなくなります。
 そうなると日本経済の様々な問題が一気に解決して黄金時代が来るかも知れません。
 そのあたりは下記の拙稿を御覧いただければ幸いです。

 また、勤勉と倹約が問題を引き起こすことを御子様にも御理解いただくため、アリ国とキリギリス国の物語にしてみましたので、よろしければ御子様たちに下記の拙稿を御紹介いただければ幸いです。

■少子高齢化で日本経済が迎える黄金時代
 <前掲>
■アリとキリギリスで読み解く日本経済
 <参考へ>

【参考】

アメーバブログ 2016-05-02 15:42:16   塚崎公義

アリとキリギリスで読み解く日本経済

 アリの国に、勤勉で倹約家の王様がおりました。
 アリたちは王様を見習って勤勉に働き倹約につとめましたから、国の経済は大いに栄えていました。
 アリの王様は大いに満足し、国中を走り回ってはアリたちに一層勤勉に働き倹約に努めるように毎日命令していました。
  隣はキリギリスの国でした。
 キリギリスたちは、それほど勤勉でもなく倹約家でもありませんでしたが、豊かな土地と自由な雰囲気にあふれた国で、キリギリスたちは豊かで気ままな生活をエンジョイしていました。
 アリの王様は、キリギリスの王様に言いました。
 「国民が勤勉で倹約家でないと、経済が貧しくなりますぞ。
 わが国を見習われては如何でしょう?」
 キリギリスの王様が言いました。
 「大丈夫ですよ。『みんなで使えばこわくない』と言うではないですか。
 今までも困っていないし、これからも困ることはないでしょう。」

 アリたちは王様の命令に忠実でした。
 今まで以上に勤勉に働きましたから、今まで以上のパンが作られましたし、今まで以上に倹約しましたから、今まで以上に少ないパンで生活できるようになりました。
 しかし、困ったことがおきました。
 作ったパンが大量に売れ残り、腐ってしまうパンが増え始めたのです。
 アリの王様は焦りました。
 「勤勉と倹約は良いことだ。これを止めろとは言えない。
 しかし、国民が勤勉と倹約を続ければ、ますます多くのパンが腐ってしまうだろう」。
そこで王様は、
 「皆が勤勉と倹約に努めたため、充分なパンが出来るようになった。
 褒美として抽選にあたったアリに長期休暇を与える」
というおふれを出しました。
 休暇をもらったアリたちは、喜ぶどころか給料がもらえないことを悲しみ、更に一層倹約に努めました。
 働いているアリたちも、「次は自分が給料をもらえなくなるかもしれない」と考えて一層倹約に努めました。
 こうしてパンの売上が一層減ったため、作られたパンの量が減ったにもかかわらず、残って腐るパンは減りませんでした。

 王様はますます焦り、ますます多くのアリに長期休暇を与えましたが、同じ事でした。アリたちが一層倹約したため、残って腐るパンは減らなかったのです。
 こうしてアリの国は貧しくなっていきました。
 ケインズという経済学者が
 「王様が借金をして休暇中のアリを雇い、穴を掘ったり埋めたりさせればよいのです」
と言うので王様はそのとおりにしました。
 すると王様に雇われた大勢のアリたちは給料がもらえたのでパンを買うようになりました。
 パンが足りなくなったので、休暇中だったアリたちがふたたびパンを作りはじめ、アリの国はもとのように豊かになりました。

 王様はしばらく喜こんでいましたが、やがて自分の借金が巨額に上っていることに気がつくと、穴掘りを止めてしまいました。
 すると、穴掘りのために働いていたアリたちが仕事がなくなり、給料がもらえなくなり、再び倹約をはじめ、・・・という具合に、アリの国はまた貧しくなってしまいました。

 一方、キリギリスの国では、キリギリスたちが大量にパンをたべる一方で、それほど真剣に働くキリギリスもいなかったので、パンが余って困ることはありませんでした。
 したがって、キリギリスたちは自分で働きたいと思った分だけ働き、給料をもらい、それを全部使って楽しく暮らしていました。
 だれも貯金などしませんでした。
 「生活に困ったら働けばいいんだ」という安心感がありましたから、将来に備えて貯えておく必要を感じなかったからです。
 じっさい、いつでも贅沢がしたければ多く働いて給料を稼いで贅沢をすることができましたし、いつでものんびりしたければ働く量を減らして少しだけ贅沢を我慢すればよかったのです。

 あるとき、キリギリスたちは、働いた以上に贅沢をするために、アリたちからパンを買うことにしました。
 お金はありませんでしたから、アリたちから借金をしてパン代を払うことにしました。
 アリたちは、倹約をしていたおかげで貯金をたくさん持っていましたし、栄えているキリギリス国を見て「この国におカネを貸せば、将来大きくなって戻ってくるかもしれない」と考えたため、気前よく貸しました。
 アリの王様はこれをみて喜んでいました。
 アリたちが働きすぎるとパンが出来すぎて余ってしまうのですが、これをキリギリスが買ってくれるならば、パンが余ることがなくなり、アリたちが全員働くことができるからです。
 実際、アリたちには仕事が増えて給料も増え、少しずつ豊かな生活が戻ってきました。
 王様がもう一つ喜んだことは、キリギリスにおカネを貸しておけばアリたちが老後の生活に困ることもないということです。
 アリたちの老後のためには、倉庫にパンを貯めておくよりもキリギリスたちにおカネを貸しておく方が、腐る心配もないし、ずっと安心だったのです。

 そんなある日、アリの王様は夢を見ました。
 キリギリスたちが
 「俺達はアリ国からたくさん借金をしているが、これほど巨額の借金はとても返済することが出来ない。
 返さないことにしよう」
と相談している夢です。
 王様はびっくりして飛び起きましたが、キリギリスたちが借金を返さないはずがないと自分に言い聞かせて、安心して再び寝ました。
 すると、今度は別の夢を見ました。
 キリギリスたちが
 「アリ国に借金を返さなくてはならない。
 まず、これ以上アリから借金をするのはやめよう。
 これからはアリの作ったパンを買うことが出来ないが、我慢しよう。
 それから、出来れば大いに倹約して作ったモノが余るようにして、余った分をアリたちに買ってもらおう」
という相談をしているのです。
 王様はふたたびびっくりして飛び起きました。
 そんなことになったら、アリたちの働き口がなくなって、アリ国はふたたび貧しくなってしまうではありませんか。

 すっかり目が覚めた王様は、考え込んでしまいました。
 「どちらの夢もアリ国にとっては悪夢だ。
 しかし、このままキリギリスたちの借金が膨らんでいけば、どちらかの悪夢が正夢になってしまうだろう。
 どうしてアリ国はこれほど困難な事態に陥ってしまったのだろう」。
 しばらく考えた後、王様はつぶやきました。
 「1匹だけが勤勉で倹約家ならば、そのアリは豊かになれるだろう。
 しかし、国中のアリが勤勉で倹約家だと、国中のアリが貧しくなってしまうのだ。
 経済の神様は何という悪ふざけをなさるのだろう」

 それから王様はどうしたのでしょう?
 記録が残っていないので、はっきりしたことは言えませんが、
 一説によれば、国中を歩いて「贅沢のすすめ」を説いてまわったということです。
 もっとも、キリギリスたちも借金が返せずに大いに苦労したということですから、倹約のしすぎも贅沢のしすぎも困った結果に終わったのでしょう。
 「過ぎたるは及ばざるが如し」というわけでしょうか。

【注】
 本稿は、15年前に週刊東洋経済に寄稿したものです。
 日本の失われた10年が「合成の誤謬」によるものであったとの持論をマンガ形式で表現したものです。
 もちろん、マンガの絵はプロに御願いしましたが。
 その後も状況に変化がなく、今読んでも違和感が無いのは、チョッと悲しいことですね。


2016年7月24日日曜日

南シナ海仲裁裁判決(7):海軍を増強することで、そこに権力基盤を求めた習近平だが

_
 海軍を増強することで、そこに権力基盤を求めた習近平だが。
 それが充分な成果をあげてこないときは、陸軍系に不満が高まることは目に見えている。
 腐敗運動は旧派に属する陸軍系が狙われている。
 いまは首を縮めているが、もし習近平がちょっとでも躓けば一気に怨念が吹き出てくる。 
 虐げられた陸軍の恨みは深いものがある
と見ていいだろう。
 「中国の夢」より「自分のフトコロ」が優先する
ことは間違いない。
 
 南シナ海とは「習近平=海軍連合」の生命線
ともいえる。
 なんとしてもここにかじりつくしか習近平に道は残されていない。
 ここで失敗すれば「旧派=陸軍連合」の巻き返しにさらされる。
 いかにしてもくいい止めねばならない。
 一切の妥協はしない、それが習近平の姿勢だろう。
 妥協できない状況に追い詰められていると言っていい。
 もし、ここで妥協したら習近平の権力立場が崩れ落ちるのである。
 ドンパチがあっても、中国は引かない、というより引けない。
 
 地域に意図的に緊張を作ることで政権の延命を狙ってくるだろう。
 東シナ海はその標的になる可能性が大きい。
 軽い行き違いがあってもここでは本格的なものにはなりにくい。
 それは日本が中国にとって強すぎるからである。
 まともに鉢合わせして共産党政権それ自体を潰すようになることは習近平の目論見にはない。


jiji.com 2016/07/24-14:24
http://www.jiji.com/jc/article?k=2016072400072&g=int

中国軍、最新兵器を誇示
=南シナ海で実効支配を強化

 【北京時事】
 南シナ海の領有権をめぐる中国の主張を否定した仲裁裁判所の判決が出た後、中国軍は軍事演習や高官の部隊視察で最新兵器を誇示している。
 軍事力を見せつけ、南シナ海問題で譲歩しない姿勢を内外に強調する狙いがある。

 国営中央テレビなどは19日、范長竜中央軍事委員会副主席が南シナ海を管轄する南部戦区を視察したと報道し、核爆弾の搭載が可能な戦略爆撃機H6Kや準中距離弾道ミサイルDF16を映し出した。
 范氏は視察で、
 「わが国が直面する複雑で厳しい安全保障環境を認識し、急襲能力を高めないといけない」
と指示した。
 H6Kの戦闘行動半径は3500キロ。
 射程2000キロ以上の巡航ミサイルや超音速対艦ミサイルを搭載するとされ、日本全土や米領グアムへの攻撃が可能とみられている。
 中国空軍は18日にH6Kが南シナ海のスカボロー礁(中国名・黄岩島)の上空などを飛行し、警戒監視活動を行ったことを明らかにしている。
 一方、DF16は射程1000キロで非常に命中精度が高く、沖縄、台湾が対象となっている。



Yahoo ニュース 2016年7月24日 10時19分配信 遠藤誉  | 東京福祉大学国際交流センター長
http://bylines.news.yahoo.co.jp/endohomare/20160724-00060224/

中国空海軍とも強化――習政権ジレンマの裏返し

 南シナ海の判決を受け中国の反撃がやまない。
 米中海軍トップ会談で中国は人工島建設継続を、軍事委員会副主席は「平和の幻想を抱くな」と表明。
 「判決がボタンを押した」
と弁明し、態度を翻したフィリピンにも対抗しなければならない。

◆人工島建設はやめない――米中海軍トップ会談

 新華網7月18日電によれば、リチャードソン・米海軍作戦部長と呉勝利・海軍司令員(軍事委員会委員)との会談が北京で行われたとのこと。
 会談で呉勝利司令員は
 「中国が領土主権問題に関して譲歩すると思わない方がいい」
と、一歩も譲らぬ姿勢を見せた。
 さらに
 「われわれは如何なることがあっても、南シナ海における主権と権益を犠牲にすることはなく、
 これは中国の核心的利益であり、中華民族の根本的利益である」
とした。 
 また
 「われわれはいかなる軍事的挑発も恐れない。
 中国の軍隊は、国家の主権と安全と発展を守る堅強な力であり、
 中国海軍はいかなる権利侵害と挑発に対しても対応するだけの十分な準備ができている」
と強調した。
 その上で、
 「我々は島嶼建設を中途半端に終わらせることは絶対にしない!」
と、人工島建設を続行することとともに、積極的に防衛していくことを宣言し、アメリカを牽制した。

 中央テレビ局CCTVでは、威圧的な呉勝利氏の顔を大写しにして、小顔のリチャードソン氏の顔を委縮しているような表情で脇に映し出すに留め、「ほれ、この通り、中国軍は強い!」という印象を人民に与えることに必死だということが、逆に伺われた。
 一方のリチャードソン氏は
 「中国海軍の接待に感謝し、喜んで呉勝利と提携して両軍関係の友好的な発展と信頼関係の構築に寄与したい」
としたと言ったと、新華網は伝えている。
 その言葉を受けるかのように、中国側がリチャードソン氏を北海艦隊や潜艇学院に案内し、遼寧などの艦艇を視察したことなどを紹介し、「中国が米国よりも上に立ちながら」、米中がいかに友好的であるかをアピールした。

 用意周到に組まれた映像の割には、二人が並んで立っている映像なども映しており、それを見る限りにおいては、リチャードソン氏は決して引けを取らず、ほぼ同じ背の高さで、せっかく呉勝利氏の顔だけ大写しして、まるで縮んだように恐縮したリチャードソン氏の顔を添えたのに、その映像効果を帳消しにしている。

◆「平和の幻想を抱くな」――範長竜・中央軍事委員会副主席

 「人民網」7月21電によれば、範長竜・中央軍事委員会副主席(中共中央政治局委員)は、南部戦区部隊の視察を行い、
 「軍事闘争に関するあらゆる準備作業を強く推進し、
 肝心の有事の時には、必ず“突撃任務”の力を瞬時に発揮できるようにせよ」
と指令を出した。
 南シナ海作戦に関してこのように具体的な指令を出したのは、中華人民共和国誕生以来初めてのことだと、CCTVでも軍事評論家による解説が行われた。
 「今日のフォーカス」など多くのニュース番組でも特集し、範長竜副主席が「平和の幻想を抱くな」という声明のもと、「今後、南シナ海における哨戒飛行を常態化させる」と強調したと報道した。
 解説者はさまざまに表現を変えながらも、結局のところ
 「判決が軍事強化のボタンを押した」
とし、
 「平和のための防衛」から「平和のための攻撃」
に出るため「準備は整った」と異口同音に唱えている。

 アメリカを中心とした「一部の国」が、「中国の軍事力を軟弱なものと誤読した」ためにこのような権力を侵害する不当な判決が出たので、中国軍は今後、「決して軟弱ではない」ことを見せつけていかなければならないと強調している。
 つまり「バカにされないように」南シナ海における軍事力の威力を常態化させることが肝要だ、としているわけだ。

◆あの「戴旭」までが叫び始めた

 中国人民解放軍・国防大学の教授を務める戴旭氏は、7月18日に開かれたネットシンポジウムで
 「南シナ海という中国の大門が閉ざされたら、中国は内陸国家になってしまう」
という講演を行なった。
 中国南海ネットオンライン開設式で開かれた「南海問題シンポジウム」でのことだ。
 彼はさらに
 「中国は世論というプラットフォームで国内外の中国人と全地球上の中華民族の英知と力を結集して、
 アメリカと日本の陰謀をあばき、打撃を与えなければならない」
と言った。
 戴旭というのは、2014年1月1日に中国のネットで発表された「2013年度中国人クズランキング」で、堂々の4位にランクイン入りした人物だ(詳細は拙著『中国人が選んだワースト中国人番付――やはり紅い中国は腐敗で滅ぶ』のp.77で詳述)。
 ネットユーザーにバカにされ、
 中国政府からはナショナリズムを焚き付けすぎて困ると眉をひそめられている彼までが駆りだされたとなれば、
 これは国内世論的に、非常にまずい状況が来ていることを意味する。

◆追いつめられる習近平政権

 これまで中国は、南シナ海に人工島を完成させるたびに、まるで戦争相手から島を奪い取ったかのごとく、「戦勝の歓喜」に沸いてきた。
 歌唱大会を開くなど、お祭り騒ぎだった。そのたびに「ほらね、中国共産党政権はすごいだろう?」と、求心力を高めるのに必死だったのである。
 その「偉大なる中国の領土・領海」が、
 実は他人のもので、中国にはそれらを所有する法的根拠がないとなったら、
 どうなるだろう。
 習近平政権は人民に対してメンツ丸つぶれ
などという単純な言葉で表現できるレベルではない。
 そうでなくとも中共政府に不満を持つ中国人民が政府転覆に動くきっかけを作ろうとするかもしれない。
 そのため、あまり過激に愛国主義を煽るわけにもいかないのである。
 排外デモが、反政府デモに転換していったら困る。
 その可能性は、胡錦濤政権における反日デモで、イヤというほど見て来た。
 だから、習近平政権になってからは、反日デモさえ行なわせないように徹底して抑えつけてきた。
 その分だけ売国政府と呼ばれないようにするために、対日強硬姿勢を取ってきたのである。
 ところが今では、「敵」は日本だけでなく、南シナ海で「航行の自由」を主張して、中国に言わせれば「軍事行動」を行なっているアメリカだ。
 アメリカ系の商品ボイコットを訴える抗議運動が始まっているが、これは危険だ。
 中・米が「新型大国関係」として世界を君臨するという習近平政権の外交スローガンもまた、メンツ丸つぶれになるからである。

◆フィリピンの新大統領が親中路線を翻(ひるがえ)す

 加えて、中国が致命的な打撃を受ける事態が発生した。
 6月30日に就任したドゥテルテ大統領は、就任式の後の閣議で、
 「フィリピンに有利な判決が出ても、中国とは話し合いで解決する」
としていたのだが、中国の王毅外相のあまりに高圧的な態度に、「中国に譲歩しない姿勢」を表明したのだ。
 中国大陸以外の中文ネット情報によれば、7月19日、フィリピンのヤサイ外相がフィリピンの「ABS-CBN」ニュースの取材を受けて、次のように語ったという。

――モンゴルでアジア欧州会議(ASEM)に出席している間、場外で王毅外相と会った。
 そのとき王毅外相は、
 「ハーグの判決結果に関しては一切触れることを許さない」
という前提条件で、二国間会談を申し出てきた。
 だから私は会談を断った。
 なぜなら、それはフィリピンの国益にそぐわないからだ。
 フィリピンの主要な任務は、スカボロー礁(黄巌島)におけるフィリピン漁民の利益を守ることにあるからだ。

 中国のこのような高飛車すぎる姿勢こそが、国際社会から締め出される最大の原因を作っていることを、中国は分かっていない。
 一党支配体制を維持することこそが、中国の最大の課題なのだが、その求心力を失いつつあるため、なりふり構わず動き始めている。
 その課題のために、自らを追い込み始めた中国――。
 しかし、9月初旬には中国でG20が開催される。
 勇ましい言葉通りに空海軍強化による行動を、いま取ることはできない。
 さあ、どうするか――?
 習近平政権のジレンマはエスカレートしていくばかりだろう。



JB Press 2016.7.25(月)  阿部 純一
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/47432

裁定が出ても中国が一歩も引くわけにはいかない理由
「無謬性」の虜となった習近平

仲裁判断、中国外交に大打撃 習主席「一切受け入れない」

 7月12日、オランダ・ハーグの常設仲裁裁判所が、フィリピンによって提起された南シナ海の国際法上の解釈をめぐる裁定を下した。
 裁定は中国の主張をことごとく否定する内容であり、中国側の「全面敗訴」と言っていい内容であった。

 中国はフィリピンの常設仲裁裁判所への提訴そのものを不当なものとし、裁判への参与も行ってこなかった。
 事前の予想で、中国に不利な裁定となることは予想されていたが、それは中国も織り込み済みのことであっただろう。

 ただし、中国側が主張してきた「古来中国のものであった」ことを根拠に、南シナ海の管轄権の範囲を示す「九段線」についてまで裁定が及ぶとは想定外だったかもしれない。

■裁定が出ても一歩も引かない中国

 中国は不利な裁定が出ても対応できるように、中国側の南シナ海をめぐる主張に賛同する国家を多数集める工作に励んできた。
 同時に、自らの主張の正当性を改めて強調するための「白書」まで多言語版で用意していた。

 中国によれば、南シナ海における中国の立場を支持する国は70カ国に上るとされている。
 だが、その多くが南シナ海の領有権をめぐる問題に関心のないアフリカ、中東、中央アジアの国々である。
 その中にはインドも含まれていたが、
 インド政府は「すべての関係国に対し、仲裁裁判所への最大限の敬意を示すよう求める」
との声明を発表しており、中国の立場を支持などしていないことが分かる。
 70カ国の支持というのは、かなりの誇張が盛り込まれていると見てよい。

常設仲裁裁判所の裁定では、中国の主張する九段線の「歴史的経緯」は根拠なしとして否定され、南沙諸島には「島」はなく「岩(礁)」と満潮時には水没する「低潮高地」があるだけであり、「岩(礁)」は領海12海里を宣言できるが排他的経済水域(EEZ)は設定できず、「低潮高地」はどちらもその権限を持たないとされた。
 要するに、中国の主張する南シナ海の管轄権が否定されたのである。

 問題は、中国はいかなる裁定が出されようとも、南シナ海問題で一歩も引かない姿勢を貫く意思を明確にしていたことである。
 そこまで中国が決意した背景は何なのか。
 それは「党・指導者の無謬性」へのこだわりであり、ひいては習近平主席を「常に正しい判断をする指導者」であることを確保するためであったと言っていいだろう。

■「無謬性」にこだわり過ぎて政策が硬直化

今年3月、新疆ウイグル自治区のネットニュースサイト「無界新聞」に
 「忠誠なる共産党員」の名で
 習近平の政策的誤謬を羅列し辞任を求める「公開書簡」が出され、
 大騒ぎとなったことは記憶に新しい。
 民主主義国家では言論の自由があり、政権批判など当たり前の現象だが、一党独裁の中国ではそれが許されない。
 党とそのトップリーダーは「常に正しい」ことにされているから、党や習近平を名指しで批判することなど許されてはいないのである。
 「無界新聞」の件については、当局が血眼になって犯人探しを行ったことは言うまでもないが、いまだに首謀者は見つかっていない。

 中国では、現在に至るも「無謬性」の神話が生きている。
 毛沢東は死後、文化大革命の責任を問われたものの、1981年の歴史決議で「功績第一、誤り第二」の結論となった。
 鄧小平に関しては、1997年に死去して今年で19年になるが、依然として1989年の天安門事件の責任さえ正式に問われてはいない。

 では習近平の場合はどうか。
 「中華民族の偉大な復興」を「中国の夢」であるとする習近平主席は、東南アジアの「小国」に蚕食された南シナ海、とりわけ南沙諸島を「取り戻す」ことが自らに課せられた歴史的使命であるとともに、東アジア地域秩序を形成する盟主としての中国の地位確立にとってもきわめて重要な事業であると位置づけた。

 そのために、これまで台湾やチベットなど「分離独立」の気配のある地域に限って使っていた「核心的利益」という修辞を南シナ海にも援用し、「領土主権に関わる問題について一切譲歩しない」姿勢を明確にしてきた。
 つまり習近平政権は、南シナ海の領有をめぐる紛議に関して「退路を断つ」政策を強行してきたのである。
 南シナ海での中国の政策が「正しいもの」だとする「無謬性」へのこだわりが政策を硬直化させ、状況の変化に対し柔軟な軌道修正をする余裕を失わせてしまったと言える。

■米中の緊張関係はさらに高まることに

 今回の常設仲裁裁判所の裁定は、「南シナ海の島嶼が誰のものか」について明確にしていない。
 もともと裁定の目的はそこにはなかったわけであり、今回の裁定で、中国の南シナ海の島嶼の領有権の主張までは排除されていないのである。
 これは中国にとって幸いであり、中国にはこれまで通りの主張を展開する余地が残されたことになる。
 とはいえ、国際法廷で下された「最終判断」は、それなりに重く習近平政権にのしかかる。
 いわば「国際的圧力」であり、今後中国が参加する国際会議で繰り返し「裁定順守」のプレッシャーがかけられることになる。

 それにもかかわらず、「無謬性」を確保しなければならない
 中国としては、独自の論理で2つの行動を追求するしかないであろう。

★.第1に、国内対策である。
 今回の裁定は、広く国内でも報道されており、政権の主張を「鵜呑み」にすることに慣らされてきた人民に対し、国際社会の圧力に屈する姿勢は見せられない。
 下手に妥協すれば「裏切られた」人民による政権批判を招く
からである。

 一方、知識人を中心に、裁定を「中国外交の大失敗」と醒めた目で見る「民意」にも対抗しなければならない。
 いずれにおいても政権批判を封じ込めるには、習近平政権の「無謬性」を証明するために南シナ海における中国の拡張主義をさらに進めるしかない。

★.第2に、対外政策である。
 中国では内政がそのまま外交に反映されるから、
 外交も強硬路線で突っ走るしかない
 領有権問題をめぐって中国は「裁定を棚上げした上での二国間協議」を主張するが、当事国であるフィリピンは言うに及ばず、もはやそんな中国に都合のいい条件で協議に応じる国はないだろう。

 南シナ海における「航行の自由」作戦を展開する米国は、裁定を追い風にさらに南シナ海における米軍のプレゼンス強化を目指すかもしれない。
 また、裁定を歓迎する日本が南シナ海の航行の自由へ参画することを歓迎するであろう。
 それを嫌う中国は、日本を牽制するために東シナ海で緊張を造成するかもしれないし、南シナ海上空の「防空識別圏」設定を急ぐかもしれない。
 現状では、中国の空中哨戒能力は十分とは思えないが、域外国の干渉排除のため無理をする可能性は排除できない。

 結局、南シナ海をめぐる常設仲裁裁判所の裁定は出たものの、それが南シナ海の緊張を解決するものとはならず、一層緊張を高める結果になりそうである。

 裁定は確かに中国を窮地に追い込んだが、だからといって「引くわけにはいかない」中国と、海洋覇権国家・米国との雌雄を決する危険性は裁定前よりも高まっていると言えるだろう。


WEDGE Infinity 日本をもっと、考える 2016年07月25日(Mon)  岡崎研究所
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/7348

欧州も警戒し始めた中国の独善

 仏戦略研究財団アジア部長のニケが、Diplomat誌ウェブサイトに6月11日付で掲載された論説において、先のシャングリラ・ダイアローグにおける中国の態度があまりにも悪かったことも手伝って、
 最近では従来アジアの安全保障に関心の低かった欧州の認識が変わってきている
と述べ、仏がその牽引役となることを歓迎しています。
 要旨、次の通り。

■演説の荒々しいトーン

 今年のシャングリラ・ダイアローグにおいて、中国の孫建国副参謀総長は「アジア太平洋地域の文明は、調和の中で混ざり合い、相互の順応も活気に満ちている」と述べた。
 だがこうした人々を安心させるような言葉にもかかわらず、演説の荒々しいトーンや南シナ海で繰り返される領有権主張、仲裁裁判判決をあらかじめ拒否するといったことは、地域の大きな懸念になっている。
 しかもこうした懸念は、アジア太平洋の安全保障の中心から離れた国にまで広がっている。
 従来これらの国々は、中立ではないにせよ、バランスをとるのを好んでいたはずだ。

 その姿勢の変化は、「ハードな安全保障」に取り組まないことで知られていたEUに顕著である。
 中東や移民、テロといった自分たちの地域で高まる問題にもかかわらず、EUは徐々にアジアにおける利害の大きさを認識しつつある。

 こうした変化をもたらしている主要要因は、言うまでもなく
★.中国による南シナ海での主張、国際規範の拒絶、近隣諸国に強制しているヒエラルキーシステムである。
 また、中国がよりアグレッシブな戦略的選択をすることは、内政要因や体制変革への懸念と直接的に関係している。
 シャングリラでの中国の演説は、今まで以上に主張が激しく、イデオロギー的なものであった。

 EUを含む国際社会にとっての主要課題の1つは、
★.中国が、自らも批准している国際合意に基づくいかなる制約にも強い拒否反応を示すという点である。
 これは国連海洋法条約や中比仲裁裁判の判決について顕著である。
 これは、条約や国際約束を遵守するのは、
 共産党指導部が狭く規定する国益に適う場合のみだということ
であり、大きな不安定化要因となる。

 この点、ル・ドリアン仏国防大臣がシャングリラで述べたようなフランスの明確な立場は歓迎されるべきものだ。
 海洋における法の支配の原則が脅かされていることについて、ル・ドリアン大臣は、国連海洋法条約の不遵守問題は地域を越え大西洋から北極にまで影響しうることを想起させた。

 欧州における主要軍事国の1つであるフランスは、インド太平洋地域に及ぼしうる十分な軍事プレゼンスをもっている。
 そして、国連海洋法条約が認める航行や上空飛行の自由の原則に対する脅威は受け入れられない。
 伊勢志摩サミット後の共同声明でも言及されたように、ル・ドリアン大臣は、ルールに基づく海洋秩序、国際法の尊重、対話が脅しや強制、武力の行使によって妨げられてはならないことを述べた。

 欧州の海軍間で調整を行い連携することで南シナ海で欧州による航行の自由作戦を行うとの提案は、歓迎された。
 もしそれを実行に移せば、同提案は、すべてにおいて重要な意味を持つ地域の安定に貢献する欧州の取り組みとしてポジティブなシグナルになるだろう。

出典:Valérie Niquet,‘France Leads Europe's Changing Approach to Asian Security Issues’(The Diplomat, June 11, 2016)
http://thediplomat.com/2016/06/france-leads-europes-changing-approach-to-asian-security-issues/

 アジアの安全保障問題について、これまで比較的関心の薄かったEU諸国が、中国の南シナ海への海洋進出に対し、強い懸念を示し始めたことは、当然とはいえ、歓迎すべきことです。
 特に、フランスが率先して海洋分野における法の支配を重視する言動を取り始めたことは高く評価できます。
 伊勢志摩サミットの首脳宣言において、海洋秩序の維持のために国際法の諸原則に基づくルールを遵守することの重要性が強調されたことの意味は大きいものがあります。

■強硬かつ独善的な態度

 その後のシンガポールのシャングリラ会議において、中国側の態度が強硬かつ独善的であったことが、関係諸国の間に中国に対する警戒感を一層高めることとなりました。

 ドイツも最近、これまで以上に中国の南シナ海進出に対し、警戒感を示すようになりました。
 これは、先日のメルケル・習近平会談においても見られた通りです。
 欧州はこれまで全体としてアジアから離れているという地理的要因に加え、経済関係を通じ中国との関係を強めてきたため、中国に対し、比較的微温的な対応をとってきました。
 しかし、ル・ドリアン仏国防大臣の指摘するように、南シナ海の問題はやがては、大西洋から北極に至る海域でも同様のことが起こり得ることを欧州の国々に想起させることとなりました。

 フィリピンが提訴した国際仲裁裁判所の判決については、日本としては、あくまでも国際法、国際ルールに基づき対処するとの立場で、米、ASEAN諸国、EUと協力しつつ対処すべきです。
 日本にとっては、南シナ海が東シナ海、台湾海峡に隣接し、かつシーレーンにあたる戦略上の要衝の地であることに何ら変わりはありません。


Record china配信日時:2016年7月27日(水) 7時50分
http://www.recordchina.co.jp/a136667.html

ASEAN共同声明で仲裁裁判決に触れず
「中国の外交的勝利」―仏メディア

 2016年7月25日、仏国際放送ラジオ・フランス・アンテルナショナル(中国語電子版)は、ラオスの首都ビエンチャンで開かれた東南アジア諸国連合(ASEAN)外相会議で各国外相が採択した共同声明について、南シナ海で中国が主張していた権利が国際法違反とする常設仲裁裁判所の判決への言及は盛り込まれなかったことは「中国の大きな外交的勝利だ」と伝えた。

 24日の外相会議では各国の意見がまとまらず、25日も協議を続けたが共同声明を発表するに至らなかった。
 中国との関係が強いカンボジアが態度を硬化させたことなどが理由。
 中国は会議後、カンボジアに感謝の意を表明した。 

 仏AFP通信によると、中国のカンボジアに対する根回しが奏功した結果となった。
 南シナ海の領有権問題で中国と対立するフィリピン、ベトナムが声明に強い対中姿勢を盛り込もうとしたが、カンボジアが反発して難色を示し、共同声明では触れられなかった。




ASEAN外相会議、南シナ海問題で中国に“配慮”
TBS系(JNN) 7月27日(水)10時47分配信


Record china配信日時:2016年7月30日(土) 3時30分
http://www.recordchina.co.jp/a146031.html

南シナ海問題、亀裂深まるASEAN、
カンボジア、中国の「代理人」に
外相会議声明、仲裁判決に言及せず

 2016年7月29日、南シナ海問題をめぐり、東南アジア諸国連合(ASEAN)の亀裂が深まっている。
 ラオスで開かれた外相会議では、常設仲裁裁判所(PCA)が中国の領有権を否定した直後にもかかわらず、各国の思惑が交錯。共同声明では仲裁裁判に言及しなかった。
 この中で中国の「代理人」役を買って出たのはカンボジアだ。

 ASEANはベトナム戦争中の1967年、米国の後押しを受けた「反共のとりで」として、インドネシア、タイ、マレーシア、シンガポール、フィリピンの5カ国でスタートした。
 84年にブルネイが加盟して6カ国になり、95年ベトナム、97年ミャンマー・ラオス 99年カンボジアと続き、計10カ国になった。

 日本メディアによると、24日からラオスの首都ビエンチャンで開催されたASEAN外相会議で、中国と南シナ海の領有権を争うフィリピンとベトナムは、共同声明に
(1):仲裁裁判の判決を歓迎する
(2):中国の大規模な埋め立てに懸念を示す
(3):法にのっとったプロセスと外交を尊重する
―などの明記を主張した。

 これに対し、カンボジアがASEANの「全会一致の原則」を盾に強く抵抗。
 25日に採択された
★.共同声明では南シナ海情勢について中国の名指しを避けつつ、「深刻な懸念」を表明し、「法的プロセスの尊重」の文言は盛り込まれたものの、
 仲裁裁判には一切触れなかった。 

★.ASEAN内の親中派はカンボジアラオスブルネイ
 ラオスは取りまとめ役の議長国で動きにくく、ブルネイは目立つのを好まない。
 AFP通信は「カンボジアがASEANの合意形成を阻止」と報じた。

 カンボジア政府を率いるフン・セン首相は、約300万人の国民を虐殺したとされるポル・ポト派(クメール・ルージュ)出身。
 東部地方軍の幹部だったが、ポル・ポト派指導部による粛清の危険を感じて1977年、ベトナムに逃亡した。

 カンボジアに侵攻したベトナム軍は79年1月、首都プノンペンを制圧し、ポル・ポト政権を打倒。
 ベトナム軍と共に母国に戻ったフン・セン氏は外相などを経て30代の若さで首相に就任した。
 当時、中国が支持していたポル・ポト派はタイ国境のジャングルに逃れ、フン・セン首相を「ベトナムの操り人形」などと非難していた。

 ASEANが大きな役割を果たしたカンボジア和平達成後もフン・セン氏は、ほぼ一貫して首相にとどまり、政権担当期間は30年以上に及ぶ。
 近年は経済援助や投資を続ける中国に急接近。
 かつて自らを権力の座に就かせたベトナムとは、すっかり袂(たもと)を分かった形だ。

 南シナ海問題に関する他のASEAN各国の立ち位置は複雑。
 領有権を主張するマレーシアや周辺海域で中国漁船の違法操業が相次ぐインドネシアは中国に批判的だが、タイ、ミャンマー、シンガポールは深入りを避けている。

 今回の共同声明が中国に配慮する内容になったのは、こうした関係の表れでもある。
★.PCAの“お墨付き”があるのに、域内の問題で明確な立場を示せなかったASEANは大きな岐路に立たされている。





【自ら孤立化を選ぶ中国の思惑】


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2016年7月23日土曜日

台湾、この国のあり方(2):国を選ぶか、それとも地域か 「一番好きな国:日本56%、中国6% この圧倒的な差は!

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 もし中国が軍事力を行使するとなれなれば、東シナ海、南シナ海、朝鮮半島、台湾と4カ所挙げられるが、もっとも危険なのは台湾であろう。
 ここは法的に中国に論理がある。
 東シナ海では日本の壁を突き崩すことはできない。
 ドンパチやって日本に勝てるほどの海軍力と空軍力を中国はもっていない。
 南シナ海では国際法上中国の論理は否定されたため、法的根拠が無い。
 朝鮮半島は各国の関係が絡み合う。
 複雑になり過ぎる。
 それに対して台湾を併合することは中国の悲願であり、正当性を主張できる唯一のところである。
 もし、中国政府が軍事行動を起こさざるをえないはめに陥ったら、台湾がもっとも狙われる。
 これは国内問題、すなわち内政問題として論断できる。
 他の3つは国際問題になり、そこで失敗すると共産党政府が崩壊する」可能性もある。
 

Record china 配信日時:2016年7月23日(土) 11時0分
http://www.recordchina.co.jp/a145659.html

「台湾は『国』」=蔡英文総統が明言―米メディア

 2016年7月21日、米紙ワシントンポストは総統就任後初となる台湾の蔡英文(ツァイ・インウェン)氏に対する単独インタビューの内容を発表し、「台湾は一つの『国家』だ」とするコメントを伝えた。
 22日付で中国メディアの観察者網が報じた。

 インタビューでは中国が「92コンセンサス」(中国と台湾双方が「一つの中国」を認める)の受け入れを迫っていることについて、蔡総統は
 「(中国が)台湾政府に民意に反して相手の設けた期限を受け入れるよう要求しても、その可能性は大きくはない」
と回答し、中国の習近平(シー・ジンピン)政権に対して、台湾の民主的な意志を尊重し柔軟な措置を取ることを期待する、とした。

 台湾と米国との関係について聞かれた際には、
 「われわれ台湾に住む人について言うならば、
 われわれは(台湾を)一つの『国家』であり、一つの民主的な『国家』だと思っている」
とコメントした。
 また若い人々の間で「台湾アイデンティティー」が強まっていることについては
 「台湾では世代と種族が異なれば、中国観も異なっている。
 ただ彼らの間で唯一合意されていることは『民主』だ」
と語った。



Record china 配信日時:2016年7月25日(月) 15時10分
http://www.recordchina.co.jp/a145760.html

中国が日本に負けた!!
「一番好きな国は日本」と答えた台湾人を中国ネットはどう見るか?

 2016年7月25日、台湾で実施された世論調査で「一番好きな国」の1位に日本が選ばれたとの報道に、中国のネットユーザーが反応を示している。

 環球網は日本メディアの報道を引用し、
 「調査は約1000人を対象に、今年1〜2月に実施された」
とこの情報を報じた。
★.「台湾を除き、あなたの最も好きな国(地域)はどこですか」との問いに対し
★.「日本」と答えた人は過去最高の「56%」。
★.中国は2位になったものの、支持した人は「6%」と日本との間に大きな差が生じた。
★.米国は3位(5%)
だった。
 中国は「台湾に最も影響を与える国」で1位(50%)になっている。

 この報道に対し、中国のネットユーザーからは
 「侵略を美化する教育の結果」
 「台湾が武力統一される可能性が高まった」
という意見や台湾、日本を非難する声が上がる一方、
 「台湾人の選択は正しい」
 「中国人だって日本が好き。日本を手に入れたいくらい」
 「日本は先進国。中国は?」
 「香港人も『英国が一番好き』って答えるのかな?」
 「台湾人はなぜ日本が好きなんだろう」
 「我々は日本が大嫌い。でも、日本をうらやましいと思う」
といったコメントも見られた。



Record china配信日時:2016年7月25日(月) 13時0分
http://www.recordchina.co.jp/a145713.html

台湾、過半数が一番好きな国は日本
日本人から「台湾は兄弟」「ありがとう」の声―台湾メディア

 2016年7月24日、台湾の中央通訊社によると、日本の財団法人・交流協会が発表した世論調査で、「一番好きな国は日本」と回答した台湾人が56%に上ったことが分かった。

 発表された「第5回台湾における対日世論調査(2015年度)」によると、調査は今年1〜2月に行われ、
★.「台湾を除き、あなたの最も好きな国(地域)はどこですか」
という問いに、
 「56%」が日本を挙げた。
 2位以下の中国(6%)
 米国(5%)
を大きく引き離し、過去最高の割合で「日本が好き」という結果になった。

★.海外旅行先としても、
 42%が「行きたい国」に日本を挙げ、
 2位の欧州(23%)
を引き離した。
 また、
★.「今後台湾が最も親しくすべき国(地域)はどこですか」
の問いでも、
 日本を挙げた人は39%で最多。
 2位は中国(22%)。
 3位は米国(14%)

 こうした結果を伝えた日本のニュースのコメント欄には、日本のネットユーザーから「
 そんな台湾の兄弟が私も大好き」
 「これからもどうぞよろしく」
 「今年も(台湾に)行くよー」
 「私も台湾は大好き」
 「ありがとう台湾」
など、台湾に好意的なコメントが多数寄せられている。



jiji.com 2016年7月26日(火)
http://www.jiji.com/jc/article?k=2016072500744&g=pol

国民党資産返還法が成立=戦後日本から接収-台湾

 【台北時事】
 台湾の立法院(国会)は25日、野党・国民党が戦後、日本から接収した不動産などで築いた資産の返還を求める特別法を可決した。
 国民党は審議の引き延ばしで抵抗したが、与党・民進党などの賛成多数で成立した。
 党勢が低迷する国民党にとって大きな打撃となりそうだ。

 戦後、中国大陸から台湾に渡ってきた国民党政権は
 日本統治時代の企業や不動産を接収。政府だけでなく、党自体も「台湾放送協会」や映画館を接収したほか、政府から無償や格安で土地などを譲り受けた。
 一党独裁体制の下、これらの資産を元手に、ビジネス活動や投資事業で巨額の資産を築いた。

 国民党によると、2015年末時点の資産は166億台湾ドル(約548億円)。
 ピーク時(1998年)の918億台湾ドルからは大幅に減少しているが、過去に関連団体に移された資産もあり、全容は把握できない状況だ。

 特別法は党費、政党補助金、政治献金を除き、
 日本敗戦の1945年8月15日以降に取得した党資産を精査し、「不当財産」と判断した場合は返還を求めるとしている。


Record china  配信日時:2016年8月1日(月) 17時10分
http://www.recordchina.co.jp/a128221.html

中国と台湾、高まる武力衝突リスク
=「時限爆弾から遠ざかれ」と米誌―中国メディア

  2016年7月30日、参考消息網によると、台湾問題で忍耐ぎれの中国について、米メディアは「米国は時限爆弾から遠ざかれ」と報じている。

 米誌ナショナル・インタレスト電子版は7月6日、中国と台湾の武力衝突リスクが高まっていると警告した。
 7月1日に台湾の軍艦が対艦ミサイルを誤射し、中国の漁船に直撃、1人が死亡する事件が起きた。中国政府がただちに報復することはなかったが、「(中台関係に)深刻な影響を与えた」と警告している。

 台湾の蔡英文(ツァイ・インウェン)政権誕生後、中国政府は不快感をあらわにしている。
 蔡総統は「一つの中国原則」を定めた92コンセンサスの継承については明言していない。
 また、「台湾独立派」が政権を支持していることも中国の疑惑を招いている。

 今回のミサイル誤射では幸運にも武力衝突には発展しなかったが、もしミサイルがあたったのが中国の軍艦だったら果たしてどんな結果が生まれていただろうか?
 台湾が武力攻撃を受けた場合、米国は台湾関係法に基づき支援することが定められている。
 もし武力衝突に巻き込まれたくないのであれば、中台関係という時限爆弾から遠ざかることが求められる。


WEDGE Infinity 日本をもっと、考える 2016年08月02日(Tue)  岡崎研究所
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/7414

中国の要求は台湾人の決意を強化させるだけ

 Diplomat誌のティエッツィ編集長が、6月26日付同誌論説にて、
 中国による両岸交流停止発表の経緯を紹介し、両岸の対話チャンネルの欠如は危険なことである、
と批判しています。
 要旨、以下の通り。

■1992年コンセンサス

 1月20日の台湾総統選よりかなり前から、中国は「1992年コンセンサス」が両岸関係の基本線であるとして、蔡英文と民進党が1992年コンセンサスを認めないならば交流を停止する、と暗に脅してきた。

 共産党・国民党間の1992年コンセンサスは、中台は一つの中国を認めつつ、双方が自らを「中国」と位置づけ得る曖昧さがある。
 しかし、民進党はこの定式化を認めず、蔡英文は選挙戦を通じて中国からの強い圧力に抵抗してきた。
 蔡英文は、両岸の代表者が「1992年対話」を持った歴史的事実は何度も認めたが、同対話については「共通の土俵を模索するために相違を脇に措くとの共通認識があった」としている。

 5月20日の就任演説で蔡英文は、「1992年対話」、中華民国憲法の秩序、従来の両岸の交渉と交流、台湾人の意思に基づく両岸関係の処理を提案した。
 それは中国にとり全く不十分だった。
 国務院台湾事務弁公室(TAO)は、一つの中国の原理を認めることによってのみ両岸の継続的で組織的な交流は続き得る、と繰り返し脅した。
 6月25日、TAOの安峰山報道官は、
 「5月20日以降、台湾側が1992年コンセンサスを認めないので、両岸の交流メカニズムは既に停止されている」
と述べた。
 蔡政権が1992年コンセンサスを支持するまでは、両岸の対話チャンネルは無くなるということである。

 中国の発表は、明らかに裏目に出ている。
 民進党の呉秉叡幹事長は、中国は1992年コンセンサスをめぐり台湾を恫喝した、と非難した。
 呉幹事長は、台湾の有権者は蔡英文を選ぶことで1992年コンセンサスを拒否したのであり、中国の要求は台湾人の決意を強化させるだけであろう、と言っている。

 両岸の公式な交流メカニズムの停止は関係を10年近く前の状態に戻すものだが、
 両岸の対話メカニズムの欠如は、経済、教育、人的交流が急増している今日、破滅的結果を秘めている。
 今般の中国の動きは、起こり得るセンシティブな問題を議論する窓口をなくすことになり、双方が対処できないような、両岸関係へのダメージが起こり得る。

出典:Shannon Tiezzi,‘Did China Just Kill Cross-Strait Relations?’(The Diplomat, June 26, 2016)
http://thediplomat.com/2016/06/did-china-just-kill-cross-strait-relations/

 「92年コンセンサス」(いわゆる「一つの中国の原則」)を受け入れない限り、中台間の接触・交流を停止するとの中国の方針は、蔡英文政権の成立以来変わっていません。
 この状況がいつまで続くのか予断できませんが、ティエッツイの言う通り、これが危険な状況であることに変わりはありません。
 中国の言う「接触・交流の停止」とは、窓口機関(台湾側・海峡交流基金会と中国側・海峡両岸関係協会)同士の交流の停止を意味するのか、あるいは、事実上の両政府間(台湾側・行政院大陸委員会と中国側・国務院台湾事務弁公室)の交流の停止を意味するのか、判然としません。

■一つの中国

 これまで、8年間の馬英九政権下では、これら双方のチャネルを通ずる交流が、かなり頻繁に行われるようになっていました。
 しかし、それ以前の陳水扁政権下では、「92年コンセンサス」の存在を台湾側は認めていなかったのですが、窓口機関の間で時折、接触・交流が行われていました。
 「92年コンセンサス」という同床異夢の概念に合意することによって、中国としては、なんとか台湾を「一つの中国」という大枠の中に縛り付けておきたいところでしょう。
 しかし、この概念がいかに曖昧で不明確なものであるかは、昨年11月のシンガポールにおける習近平と馬英九の首脳会談によって如実に示されたところです。
 台湾の民意はこのような中国側の思惑を認識した上で、蔡英文を総統に選出したのであり、台湾当局としては、すでに最近の中国の主張をある程度、織り込み済みでしょう。

 蔡英文自身の対応は、中国の主張(「一つの中国の原則」)をそのまま受け入れることなく、同時に92年に中台間で会談がおこなわれたという「歴史的事実を尊重する」としつつ、中国側の主張に一歩あゆみよった姿勢をとっています。
 ただし、中国から見れば、これだけでは全く不十分ということになります。

 米国在台湾協会(AIT)のバガード理事長は、総統として初の外遊となるパナマ運河拡張工事記念への参加の途次に米国に立ち寄った蔡に対し、
 「自分たちの理解では『92年コンセンサス』なるものはそもそも存在しない」
と明言しました。
 米国の中台関係への対応が最近、大きく変わってきたことは注目すべき点です。
 バガードの発言内容は当然のことですが、米国関係者はこれまで「92年コンセンサス」を支持するとの中国寄りの発言をしがちでした。

 中国の台湾への政策は、これからも武力を背景とする威圧的言動を含め、硬軟両様にわたって行われるでしょう。
 中国から台湾への観光客を激減させること、貿易・投資面で台湾企業に不利な扱いをすること、人的往来などの面で蔡政権をけん制することなどは十分に考えられます。
 中国にとって「核心的利益」の筆頭である台湾問題について、何も行動しないという選択肢は考えられません。
 ただしその際、中国としては下手をすると、台湾の民意が中国からさらに離れていくというジレンマに直面せざるを得ないものと思われます。



時事通信 8月25日(木)16時16分配信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160825-00000038-jijp-int.view-000

蔡総統初の演習視察=台湾

台湾の国防部(国防省)は25日、屏東県恒春で中国軍の侵攻を想定した陸海空軍合同の軍事演習を実施し、内外のメディアに公開した。
 5月に就任した蔡英文総統が初めて演習を視察。



●写真は、視察後に演説する蔡総統。



朝日新聞デジタル 8月25日(木)15時51分配信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160825-00000051-asahi-int

台湾軍が中国軍想定した大規模演習 
蔡総統が初めて視察


●上陸してきた中国軍を阻止するという想定で行われた台湾の軍事演習=25日、恒春、鵜飼啓撮影

 台湾軍は25日、南部・屛東県恒春の演習場で大規模な軍事演習を行い、内外メディアに公開した。
 演習は毎年定例の統合演習「漢光」の一部で、台湾に上陸した中国軍に反撃するとの想定。
 5月に就任した蔡英文(ツァイインウェン)総統が三軍の統帥として初めて演習を視察した。

 演習ではまず無人機(UAV)が上空から敵陣を偵察した上で、空軍のF16やIDF戦闘機(経国号)などが攻撃。
 攻撃ヘリ「アパッチ」も空からの支援を行い、戦車や装甲車が攻撃を加えた。
 蔡氏は演習後、
 「国を守り、民を守るのが軍の仕事。全力でこの任務を全うしよう」
と話した。



TBS系(JNN) 8月26日(金)6時22分配信
http://headlines.yahoo.co.jp/videonews/jnn?a=20160826-00000011-jnn-int

台湾で大規模な軍事演習、蔡英文総統が初視察



台湾で25日、中国軍の侵攻を想定した大規模な軍事演習が行われ、今年5月に就任した蔡英文総統が初めて視察しました。

 台湾南部の基地で25日行われた実弾演習には、陸海空軍の兵士らおよそ1300人が参加しました。
 中国軍が台湾に上陸して築いた陣地を奪還するとの想定で行われ、アメリカ製の攻撃ヘリコプターなどが初めて公開されました。

 今年5月、独立志向の民進党の蔡英文政権が発足して以降、中台間の公的な対話が途絶えるなど関係は冷え込んでいます。
 陸海空3軍の総帥として初めて演習を視察した蔡英文総統は訓示で、「軍改革の基本方針を来年1月までにまとめる」と述べました。(25日23:14)



Record china配信日時:2016年8月28日(日) 14時40分
http://www.recordchina.co.jp/a148568.html

<台湾発ニッポン再発見>
なぜ!?
台湾のテレビCMに日本語が氾濫するフシギ

 2016年8月25日、台湾にはなぜか、日本語の音声が付されたテレビCMが非常に多い。
 自動車、化粧品、家電製品など日本メーカーの製品ならもちろんのこと、何かしら日本にゆかりのある製品なら、多くのCMが日本語で展開する。
 台湾で放映される、台湾人をターゲットにした広告にもかかわらず、だ。
 一体どれほどの消費者が日本語を解するのかと考えると、実に奇妙な現象だ。
 その背景には何があるのか?
 以下は、台湾のネットに掲載された記事。

 実は、視聴者に日本語が聞き取れないことは大きな問題ではない。
 意味がわからなくても、多くの台湾人は日本語のアフレコがついているCMを見ると、その製品に高級なイメージを抱く。
 広告の狙いはそこにあるのだ。
 確かに親日家の多い台湾ではあるが、“日本びいき”であってもそうでなくても、多くの消費者が同様のイメージを抱く。
 「日本」という情報提示に対し、
 「それならば、ハイスペックに違いない」
と条件反射のようにバイアスがかかるのは、行動経済学で言うところの「アンカリング」に当たる。

 われわれは子どものころからデパートなどで、日本製品がローカル製品よりも格段に高い価格で売られているのを目にしてきた。
 実際、その価格の差だけ、性能や品質にも差があった。
 なぜなら、日本国内にとどまらず海外にまで進出してくる製品がそもそも、特別に優れたプロダクトだからである。
 「日本製品=ハイスペック」とは限らず、正確には「海外へ輸出されるほどの日本製品=ハイスぺック」なのだが、台湾市場でこれを受け止めるわれわれにとっては、
 「日本製=とにかくスゴイ」という固定観念が育っていく。
 この固定観念を突き崩すことは、日本民族が絶滅でもしない限り不可能であろう。 

 さて、台湾と長らく複雑な関係にある中国の首脳陣は、これと同じ手法を用いることはできないだろうか?
 中国のスバラシイ一面ばかりを見せ続けて、「中国=最高」というイメージを植えつけることは?
 単純なことだ。
 10年、20年もあればできる。
 「中国は天国!」多くの台湾人がそんなイメージを抱く日は
 …いやいや、そんな日が来ることは金輪際ないだろうが。
(翻訳・編集/愛玉)

■愛玉プロフィール
中国語翻訳者、ライター。 重慶大学漢語進修課程で中国語を学ぶ。その後、上海で日本人向けフリーペーパーの編集、美容業界誌の中国語版立ち上げなどに携わる。中国在住経験は4年。レコードチャイナの編集員を経て現在、北海道へ子連れIターン移住。フリーで中国ニュースの翻訳や中国関連の執筆などを行う。得意分野は中国グルメ、中華芸能。
連絡先:writeraitama@gmail.com



中央社フォーカス台湾 8月31日(水)18時36分配信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160831-00000010-ftaiwan-cn

中国大陸の軍事力に懸念 
台湾から「離島奪取可能に」=国防部

(台北 31日 中央社)
 国防部は31日、中国大陸がすでに台湾の離島を封鎖・奪取できる戦力を有しているとの内容を盛り込んだ「五年兵力整備及び施政計画報告」を立法院(国会)に提出した。

 国防部は同時に「2016年中共軍力報告書」も提出。
 両報告書の中では、中国大陸の軍事戦略、国防予算、軍事改革、台湾への軍事作戦などの問題についての検討がなされている。

 軍力報告書によれば、中国大陸が台湾を侵攻する可能性のあるタイミングは、独立宣言や独立姿勢の明確化、内部の情勢不安、台湾の核兵器保有、両岸(台湾と中国大陸)平和統一対話の遅延など。
 中国大陸が人民解放軍に対し、
 2020年までに台湾への全面的武力作戦を可能にする軍事力の整備を終わらせるよう要求している
ことも記された。

 施政計画報告では、台湾を対象とした軍事演習は減っておらず、中国大陸が対台湾の軍事闘争を平常的な戦備としていることが指摘された。

 国防部は兵力整備の計画として、情報作戦の能力強化、弾道ミサイルの防衛能力向上、敵軍のミサイル飛来時の高生存戦力強化、自主国防の着実な実施などを掲げている。



中央社フォーカス台湾 9月17日(土)13時30分配信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160917-00000001-ftaiwan-cn

台湾・米国高官同士の交流を後押し 
米超党派議員が制限緩和の法案提出

 米下院で15日、台湾と米国の高官同士の面会などに対する制限を緩和する法案が提出された。
 法案が成立すれば、台湾の「全ての」高官に米国への入国、大使館、領事館への出入りが可能になるほか、国務省や国防総省といった行政機関での面会に対する制限も撤廃されることとなる。

 提案者の1人で、長年この問題に注目してきた共和党のスティーブ・シャボット下院議員は、米国の行政機関は台湾の総統との直接対話を促進すべきだと強調。
 外交上、友好関係を維持するには対面で意思疎通を図ることが重要だと語った。
 シャボット氏によると、こうした制限のため、ワシントンにある自身の執務室に台北市長時代の陳水扁氏を迎えたことがあるが、総統在任中の陳氏に会うには、(ワシントンから約360キロ離れた)ニューヨークまで車を走らせなければならなかったという。

 また、陳政権下で外交部長(外相)を務めた陳唐山氏は部長だった頃、ワシントンで米国側の要人と面会できなかったものの、立法委員(国会議員)時代には何ら問題はなかった。

米国各地で台湾独立運動への支持獲得などに取り組む「台湾人公共事務会」(本部:ワシントン)の陳正義会長は、こうした制限は1970年代の冷戦時代に開始されたものだが、冷戦はすでに終結していると指摘。
 規制は米国が自ら実施したものであり、当然解除できると述べた。







【自ら孤立化を選ぶ中国の思惑】


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現代中国事情(2):中国から米国の高校へ留学、11年で100倍増

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 「アメリカ、アメリカと草木もなびく」
というのが中国富裕層。
 お金ができると中国に絶望してしまうらしい。
 一度でも海外旅行をすれば、そうなることは已む得ない。
 以前はアメリカ・ヨーロッパは遠くお金もかかった。
 行かれるひとは限られていた。
 しかし、
 隣の日本が門戸を広く開放した結果、
 西欧の代替としての安価な日本旅行が爆発的に広まった。
 日本は同じ中国文化圏でも中国と違う文化に出会う。
 そこで驚愕してしまう。
 さらに日本の先にヨーロッパ・アメリカがある。
 日本は西欧文化圏と中国文化圏の境界線に位置する。
 ここで西欧のサワリを経験すると、次はアメリカへと願望が広がっていく。
 中国から逃げ出したいという富裕層は今後も増えていくようである。


Record china 配信日時:2016年7月23日(土) 1時20分
http://www.recordchina.co.jp/a145457.html

中国から米国の高校へ留学、11年で100倍増、
米大学進学の「近道」と人気―台湾メディア

 2016年7月21日、参考消息網によると、台湾・聯合新聞網は20日、中国本土から米国の高校への留学者数が11年間で約100倍増加したと伝えた。

 海外に留学した中国人留学生数が2015年に初めて50万人を突破する中、米国の高校への留学者数も2004年の433人から15年は4万3000人へと11年で100倍近い伸びをみせている。

 中国の留学事情に詳しい専門家は
 「中国では、子どもを米国の高校に留学させたいと希望する親が増えている。
 そうすることが米国の大学へ進学する近道だからだ」
と説明する。

 中心になっているのが富裕層だ。
 国際的な調査機関、新世界財富の2015年のリポートによると、
 中国で100万ドル(約1億円)以上の資産を持つ富豪の数は65万4000人で、
 約1年で5万人近く増えている。



サーチナニュース 2016-07-23 14:43
http://news.searchina.net/id/1614829?page=1

訪日中国人観光客の消費減、
お金のない中国人が日本に行くようになった=中国メディア 

 中国メディア・中国商網は21日、日本政府観光局が20日発表した統計で、今年上半期の訪日中国人観光客数が同時期過去最高の307万6600人に達する一方、1人当たり消費額が減少したことについて
 「お金を持っていない中国人が日本に来るようになった」
など、理由を考察する記事を掲載した。

 記事は、今年上半期の訪日中国人観光客が過去最高を記録する一方で、1人当たり消費額が約22万円と前年同期比で22.9%減と顕著に低下したことを「注目に値する」として紹介。
 中国の業界関係者からは、今年4月に中国政府が実施した個人輸入の関税強化措置によって、輸入代行従事者が大量購入を控えるようになったことが原因の1つとの声が出ていると伝えた。

 さらに、「観光客の消費行動の変化も原因だ」として行き過ぎた消費行為にブレーキがかかった点を挙げたほか、中国旅遊研究院の楊彦峰研究員が
 「増えた中国人観光客の一部には、購買力の低い層が含まれている」
と解説したことを紹介。
 旅行業界の競争が激しくなり、廉価なツアーや旅行代金分割払いシステムの出現によって
 「経済力が低い観光客も日本旅行の費用を負担できるようになった」
と分析したことを伝えた。

 「爆買い」現象の沈静化は、様々な要素が絡んだ結果と言えそうだ。
 廉価なツアーの増加によって経済力の低い観光客が日本にやって来るようになったというのは興味深いが、過度にコストダウンしたツアーには安全性のリスクが付きまとう。
 「爆買い」の主役だった富裕層との間で起きたのとは違う、トラブルや問題の発生に留意する必要がありそうだ。
 中国のパスポート保持者は4%にすぎない。
 5千万人少々である。
 中国人口は13億7千万人と言われている(中国のデータはあまりあてにならないが)。
 全人口の4%となれば、それば相当な富裕層である。
 これまでは超富裕層が海外旅行で日本に来てきたが、これからはそれが広がって普通の富裕層も日本旅行をするようになったということである。
 それでもは全人口の4%にしかならないという富裕層なのである。
 「お金のない中国人」というのはまるで貧乏人と言っているようだが、相当な富裕層であることには間違いないのである。


サーチナニュース 2016-07-24 10:09
http://news.searchina.net/id/1614834?page=1

増え続ける訪日中国人客、
爆買いは終わりでも日本経済に寄与=中国報道

 訪日中国人による爆買いはもはや終わりという声も聞かれ始めているが、2016年に入ってからも訪日中国人の数は増加し続けている。
 中国メディアの今日頭条はこのほど、「16年上半期に訪日した中国人は300万人を超え、前年比40%も伸びた」と伝えている。

 記事は、16年上半期に日本を訪れた中国人旅行客の数が300万人の大台に乗り、307万6600人という最高記録を更新したと伝えた。
 訪日外国人数も過去最高となる1171万人に達し、昨年同期比で28.2%の増加だった。
 うち中国人が26.26%を占めて最多となったことを伝えた。

 続けて、訪日中国人が16年に入ってから増え続けていることを紹介。
 訪日中国人の数は1月の47万5100人から6月の58万2500人まで、5月を除いて毎月増え続け、増加幅は22.6%にも達したことを伝えた。
 訪日中国人の数は4月から3カ月連続で50万人を超えたが、日本政府観光局はその理由について、日中間の航空路線の拡大や中国の連休、訪日旅行プロモーション、夏休みシーズンの開始、継続的なリピート客、クルーズ船の寄港増加などがあったと分析している。

 また、今後の見通しについて記事は、フランスでのテロ事件や英国のEU離脱問題、円高、4月の熊本地震といった懸念材料はあるものの、日本は楽観的だと紹介。
 一般に7月は1年でもっとも旅行客の多い月であり、東アジアからの多数のクルーズ船寄港に加え、東南アジア地区が旅行シーズンを迎えるからだという。

 中国人旅行客が増加していることは、日本経済にとっては明るいニュースだ。
 爆買いが減少しているとは言え、外国人旅行客の増加は日本経済に寄与するためだ。
 日本政府はこれまで2020年までに2000万人としてきた目標をビザ緩和と円安を受けて前倒しで達成することが確実になったとして、目標を4000万人にすると決定したが、同目標の達成の鍵を握るのは市場の規模から言ってもやはり中国となるだろう。


サーチナニュース 2016-08-02 22:17
http://news.searchina.net/id/1615588?page=1

口では嫌いとか言うけど
・・・日本人は中国を羨んでるだろ!=中国報道

 近年、日本人の対中感情が悪化していると言われるが、中国に在住する日本人は決して少なくない。
 外務省の2015年10月1日時点の海外在留邦人数調査統計によれば、中国に在住する日本人の数は13万1161人と、国別で見た場合は米国に次いで2番目の多さとなっている。

 中国メディアの捜狐はこのほど、
 「日本人は中国居住にあこがれているのか?」
と疑問を投げかけ、
 日本人には「中国に居住したがる理由」がある
と主張する記事を掲載した。

 記事は、中国に在住する日本人が多いということは
「口にしないだけで中国を羨む人も少なからず存在する」ことを示している
と主張、そのうえで
 「日本人が羨む中国の良い点」
を考察した。

★.1つ目は、「住民税がない」ことだ。
 中国にも所得税に当たる税はあるが住民税はない。
 そのため生活が楽なのだという。

★.2つ目の点は「不動産税がない」こと。
 日本では不動産を所有していると固定資産税がかかるが、中国の大多数の都市では個人用の住居には固定資産税はかからず、上海など一部の都市で試験的に導入しているに過ぎない。

★.3つ目は「都市部で自動車が所有できる」ことで、
 日本では都市部で自動車を保有するにはコストがネックになるとしながらも、日本に比べると中国のほうが保有しやすいのだという。しかし駐車場を確保するのが難しいという点は中国も同様といえるだろう。

★.4つ目は「ゴミ捨てが楽なこと」だ
 中国では日本と違い、いつでも好きな時に捨てることができ、粗大ゴミの場合、日本では有料で引き取ってもらう必要があるが、中国では売ることができるので、日本人にとっては魅力的だろうと推測した。

★.5つ目は「中国の野菜は比較的安いこと」だ。
 食料自給率が低い日本は野菜なども輸入しており、中国のほうが安いのは当然だが、中国の場合は「安全性」に疑問符がつく点は問題だ。

★.6つ目は「仕事が楽なこと」。
 日本の職場は就業態度に厳しいが、中国では私用で抜け出すことも、会社の電話を私用で使うことも自由だと気楽さを強調した。

 中国が好きで好んで滞在する日本人ももちろんいるだろうが、実際のところは多くの日本人が仕事などを理由に、やむを得ず滞在しているのではないだろうか。
 それでも記事が指摘しているとおり、中国の生活にも少なからぬ利点があるというのは興味深い点だ。


Record china配信日時:2016年8月12日(金) 3時20分
http://www.recordchina.co.jp/a147286.html

米国へ移民した中国人、帰国希望者が増加―中国メディア

 2016年8月9日、世界日報によると、米国へ移民した多くの中国人が滞在10年以上を経て、中国帰国の準備を進めている。

 米国滞在10年近くを経て、一部の中国人移民は帰国の準備を始めている。
 ロサンゼルスに住む30代の女性は、南カルフォルニア大学を卒業後、10年近く米国で働いてきたが、最近中国への帰国を決めた。
 「もうこれ以上待てない」のが理由だ。
 勤務先の会社は2年前、女性のグリーンカード(永住権)取得のため動き始めたが、発行は早くても20年と判明。
 「帰属感のない漂白状態で30歳を超えた。中国に帰った方がましだ」
と考えるようになったという。

 米国では最近、グリーンカード発行までに少なくとも6年かかる。
 若い中国人留学生の中には
 「待つ間は転職や昇進の自由がない。
 職はあきらめ中国に帰った方がましだ」
と考える人が増えている。



Record china配信日時:2016年8月13日(土) 5時30分
http://www.recordchina.co.jp/a147393.html

中国の国際的地位は上がっているのになぜ海外移民する人が多いのか?
=「中国人は全員が移民したいと思っている」
「違法に稼いだお金だから」

 2016年8月11日、中国のポータルサイト・今日頭条が、海外移民する中国人が多い理由について分析する記事を掲載した。

 記事は、中国の国際的地位はますます上がってきているものの、中国では第3次移民ブームが起きていると指摘。
 多くの富裕層やインテリ層が移民しているとした。
 その理由について記事は、
★.投資環境が海外の方が整っており安全であること、
★.移民後はその国の医療制度の恩恵やビザなし渡航できる国が多くなる
など、多くの利点があるからだと分析した。

これに対し、中国のネットユーザーからさまざまなコメントが寄せられた。

「本当のことが言えない国に未練などない」 
「安心感がないから故郷を離れるんだろう」 
「この国は道徳が退廃しているからだ」 

「できるものなら中国人は全員が移民したいと思っているよ」 
「中国人で移民したくない人などいるだろうか?
 単に条件にかなわないだけだ」 
「もし欧米各国が制限なしで移民を受け入れたら、中国人の7割が移民すると思う」 

「中国を離れることは中国人全員の夢」 
「みんな移民しちゃえばいいよ。
 1億人くらい残ればそれでいい」 

「中国の国際的な地位が高い?
 誰から聞いたんだ?
 作者はそれを信じたのか?」 
「普遍的な国際的価値観すら共有していないのに、国際的な地位なんてあると思っているの?」 

「高すぎる不動産が原因だと思う」 
「違法なことをして稼いだお金だから移民するんだよ」



人民網日本語版配信日時:2016年8月28日(日) 5時0分
http://www.recordchina.co.jp/a148538.html

中国の中産階級が強い焦り―中国メディア

 23日に北京で発表された報告によると、現在、
★.中国の中産階級の規模は日に日に拡大しているものの、
 同グループは未熟で、ほとんどが虚弱な状態。
 自分の境遇に強い焦りを感じている人が多いという。
 中国新聞網が報じた。

 中央社会主義学院(中華文化学院)統一戦線ハイエンドシンクタンクは同日、「中産階級の今後の発展の動向と社会のガバナンス改革」と題した学術セミナーを開催し、北京理工大学の楊帥博士が、同シンクタンクの重要課題である
 「中産階級と社会のガバナンス改革」
をめぐって報告を行った。 

 報告によると、現在、中国の中産階級の規模は拡大を続け、利益訴求は日に日に多元化し、社会における影響力も拡大している。
 そのため、社会の構造に変化が起き、社会のガバナンスにも新たな課題が生じている。

 報告によると中国の中産階級は少なくとも
 個人資本所有者や
 個人事業経営者、
 専門技術者、事務員、
 経営幹部
などを含んでいる。
 また、中国の中産階級の規模は日に日に拡大しているものの、同グループは未熟で、ほとんどが虚弱な状態であり、自分の境遇に強い焦りを感じている人が多い。
 そして、その焦りも大きくなる傾向にあるという。

 報告は、
 「政府がさらに多くの保障性ある対策を講じ、中産階級の生活上のストレスを和らげ、その発展の道を広げることが急務となっている。
 また、中国伝統の社会のガバナンス経験を生かし、その合理的な要求と多様化された表現を積極的に導き、政府のガバナンス体系やガバナンス能力の改革を推進しなければならない。
 そして、中産階級が発展を続けることで生じる社会構造の変化に対応し、社会を安定させるものとしての役割を最大限発揮できるようにしなければならない」と提案している。

(提供/人民網日本語版・編集/KN)



サーチナニュース 2016-09-04 10:43
http://news.searchina.net/id/1617962?page=1

日本人は決して背の低い民族ではない!
中国人は「危機感」を抱け=中国報道

 ほとんどすべての日本人は身長や基礎体力の測定をした経験があるだろう。
 日本人にとってこうした統計データはあまり大きな意味を持たないものかもしれないが、
 中国の一部の人には脅威を感じさせるものとなっている
ようだ。

 中国メディアの今日頭条はこのほど、日本人と中国人の平均身長および基礎体力に関する統計データを比較しつつ紹介し、「日本人は決して背の低い民族ではなく、しかも基礎体力は中国人に勝っている」と説明、同時に読者に「危機意識」を持つように呼びかけている。

 記事は、日本人の20歳以上の成年男子の平均身長は、多くの年代において中国人の同年齢の成年男子より高いことを説明、さらに基礎体力の握力部門では「日本人の成年男子と成年女子の各年代の成績はすべて中国人を上回ったと指摘した。
 また、20歳未満を対象とした統計データにおいても、平均身長こそ中国人が日本人よりわずかに高かったが、基礎体力の測定項目である50メートル走、立ち幅跳び、握力のすべてにおいて日本人の成績は中国人を上回っており、「中国の青少年の基礎体力は日本の学生より大きく劣っている」と指摘した。

 記事は同データに非常に強い危機感を抱いているようだが、それは一体なぜだろう。
 その理由として
 「日本人は身体が小さかったときに中国を侵略した。
 現在も日本人は自分たちを強化している」
と説明し、
 「日本人が再び中国を侵略するとは思わないが、絶えず自分を向上させてようやく侵略されずに済むというものだ」
と主張し、他者に劣ることは脅威につながりかねないとの見方を示した。

 中国人は何かにつけて比較をしたがる習慣があるようだ。
 こうした比較する習慣は、ときに自尊心の弱さから生じていることがある。
 自分に自信がないため他者との差に敏感になり
 もし自分が上回っているなら安心感を抱けるが、もし下回っていれば消極的な感情に悩まされる。
 記事が感じている「危機意識」も、もしかしたらこうした点が原因となって生じているのかもしれない。

Record china配信日時:2016年8月11日(木) 7時10分

打倒ディズニー掲げる中国国産テーマパーク、
たった1年半でひっそり閉鎖―湖北省武漢市

 2016年8月8日、RFI中国語版サイトは記事「ディズニーにけんかを売った万達武漢電影楽園がこっそり閉園」を掲載した。

 「ディズニーランドは中国に進出するべきではなかった。
 ミッキーマウスとドナルドダックで客を集める手法はもう過去のものだ。」
 「上海ディズニーランドは開園後10〜20年は赤字が続くだろう。」

 この挑発的な発言は中国一の大富豪・王健林(ワン・ジエンリィン)氏のもの。王氏率いる大連万達集団はテーマパーク運営を手がけており、上海ディズニーランドという黒船を撃退すると怪気炎をあげていた。

 ところが上海ディズニーランド開園から1カ月あまりが過ぎた7月末、大連万達集団のテーマパーク「万達武漢電影楽園」が閉園してしまった。
 湖北省武漢市にある同テーマパークは総工費38億元(約584億円)をかけ2014年末にオープンしたが、集客に苦戦。
 客数は1日平均200人という惨憺たる状況で、わずか1年半でのギブアップとなった。


Record china配信日時:2016年10月1日(土) 5時50分
http://www.recordchina.co.jp/a151792.html

590万人が海外に出る中国
「国慶節」連休、
日韓はじめ世界各国が争奪戦―韓国紙

 2016年9月30日、参考消息網によると、29日付の韓国紙・中央日報は、590万人が海外に出ると予想される中国の国慶節(建国記念日)連休を控え、日本、韓国、タイ、フランス、米国、豪州などによる中国人客争奪戦が高まりをみせていると伝えた。

 記事では、中国観光研究院や上海デイリーの情報として、10月1日から7日までの国慶節連休に、中国から590万人が海外に出ると予想され、こうした旅行客が海外で使う金額は約6400億円に上ると指摘。

 日本については、
 「昨年1月に中国高所得層のビザ有効期間を3年から5年に延長した」
 「多くの中国人が訪れる韓国の免税店をベンチマーキングし、今年初めに東京の都心に市内免税店もオープンした」
 「家電製品や衣類だけでなく食品・化粧品・薬品まで消費税(8%)を払い戻し、1人当たりの免税限度も50万円に高めた」
 「京都市は今年6月、中国最大のポータルサイト、バイドゥ(百度)と提携し、観光施設や各種店舗をバイドゥ地図を通じて中国人観光客に提供することにした」
 「日本航空は中国人が好きなキャラクター、ドラえもんを胴体に描いた特別機を準備した」
などと伝えている。

 タイについては「高級化戦略で国慶節特需を期待している」とし、タイ政府が今月初め、中国政府と非正常的な超格安旅行を意味する「ゼロ(0)ドルツアー」を阻止するなど、旅行活性化のための了解覚書(MOU)を結んだと指摘。
 「超格安旅行をなくしてタイを訪問した中国人観光客の満足度を高めれば、観光収入が2017年には165億ドル(約1兆6700億円)に上るという自信が見える。
 タイ政府の関係者は、超格安旅行の縮小で中国人観光客の訪問は一時的に減少するかもしれないが、長期的な観点でタイの観光産業にプラスになるだろうと説明した」
と伝えた。

 記事ではまた、
 「世界で外国人が最もよく訪問するフランスは、テロで中国人観光客の訪問が減ったことを受け、最近『安全な都市』キャンペーンを始めた」
 「米ニューヨーク市は上海市と7月に観光協約を結び、両都市間の観光交流を増やすことにした」
 「早くから『チャイナ2020』戦略を出した豪州は国慶節を控え、中国の都市別にソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)などを通じた観光客の誘致に力を注いでいる」
と伝えた。

 今回の国慶節に中国人観光客が昨年の20万人より多い22万人程度になると見込まれる韓国も、
 「政府がビザ発行手続きを簡素化し、各種中国人観光客歓迎行事や中国パワーブロガー招請事業をする予定だ」
 「ソウル市は国慶節連休を中国人観光客歓待週間に定め、さまざまな行事を準備している」
 「流通業界は29日に開始する『コリアセールフェスタ』を中国人観光客マーケティングに積極的に活用する計画で、家電・自動車・化粧品などを最大80%割引するほか、K−POP公演や各種イベントを準備している」
などと伝えている。

 中国のパスポート所有者は4%ほどの5千万ほど。
 その約1割が海外旅行に出ることになる。
 いいかえると、中国の超リッチ層ということになる。