2016年9月5日月曜日

北朝鮮というキッカケ(1):東岸沖に「弾道ミサイル3発発射」 & 5回目の核実験、 過去最大規模

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 防衛力増強を進める日本政府にとっては北朝鮮の動きは、突き詰めていえば朗報になる。
 中国の圧力にどう対応すべきかに頭を悩ませることなくことを進展させることができる。
 北朝鮮の脅威に対抗するためという、絶妙な大義名分を得ることになる。
 もうここでは「暴力はいけません」なんてバカな悠長なことを言っていられなくなる。
 自分の国は自分の力で守らなければならない、
ということが明確になってきた。
 中国には北朝鮮をコントロールできる能力を失った、ということをこれで内外に示したことになる。
 とすれば、北朝鮮の核弾頭ミサイルの射程に入った日本は、自助努力で事に当たっていかざるを得なくなる。
 北朝鮮に対して「核開発をやめろ」と叫んだところで、やめるわけがない。
 ならばそれに対する対策を講じていくしかない。
 日本に打ち込んだら、タダではすまないぞ!
と脅かすしかない。
 その「タダではすまい」ことを知らしめないといけない。
 それが抑止力になる。


●北朝鮮の核実験と今年の主なミサイル発射 毎日新聞より

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   「弾道ミサイル3発発射」
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BBC ニュース 13分前 2016/09/05
http://www.bbc.com/japanese/37273328  

北朝鮮、東岸沖に「弾道ミサイル3発発射」


●北朝鮮がかつて発射したスカッド・ミサイル(中央)の模型

 韓国政府によると、北朝鮮は5日正午過ぎ、東岸沖の海に向けて弾道ミサイルを3発発射した。韓国軍合同参謀本部が発表した。

 聯合通信が伝えた韓国軍の発表によると、北朝鮮は朝鮮半島西側の黄海北道黄州(ファンヘブクトファンジュ)付近からミサイルを発射した。
 発射した種類や飛距離については、明らかにされていない。
 中国では現在、主要20カ国・地域(G20)首脳会議が開かれている。
 中国がG20を主催するのは初めて。

 国連は北朝鮮の弾道ミサイル発射実験を禁止しているが、北朝鮮は今年に入ってミサイル実験を繰り返している。
 8月24日には、米韓合同軍事演習に合わせて、潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)「北極星1号」(KN-11)を発射。
 米政府関係者によると、約500キロ飛行し、日本海に落下した。
 ミサイル技術向上が見受けられ、実験は成功だったと評価されている。



朝日新聞デジタル 9月5日(月)20時59分配信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160905-00000086-asahi-int

北朝鮮ミサイル、1千キロ飛ぶ 奥尻沖200キロに落下


●弾道ミサイルの飛行イメージ

 北朝鮮は5日午後0時14分、朝鮮半島西側の黄海北道黄州(ファンジュ)付近から、日本海に向けてノドン中距離弾道ミサイル(射程1300キロ)3発を発射した。
 韓国軍合同参謀本部が発表した。同本部や防衛省によれば、3発はいずれも約1千キロ飛行し、北海道・奥尻島の西200~250キロの日本海上に落下した。

 この海域は、日本が最大で周辺200カイリ(約370キロ)に設定した排他的経済水域(EEZ)内で、船舶などの被害は確認されていない。

 北朝鮮の弾道ミサイル発射は、8月24日の潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)以来。8月3日にもノドン1発が日本のEEZ内にあたる秋田県の西沖約250キロに落下した。
 今年3月に国連安全保障理事会が北朝鮮への制裁を強化する決議を採択して以降、発射は20発を超える。

 核・ミサイル開発を続ける北朝鮮は今回、中国で主要20カ国・地域(G20)首脳会議が開かれている最中に国際社会との対決姿勢を示すとともに、金正恩(キムジョンウン)体制の引き締めを狙ったとみられる。

 過去の安保理決議により、北朝鮮は弾道ミサイルの発射が禁じられている。

 安倍晋三首相は5日、G20首脳会議の会合で
 「G20サミットで一堂に会している時に許し難い挑発行為が行われたことに対し、国際社会や国連安全保障理事会を含め、断固たる対応をとるべきである」
と述べた。

 日本政府高官は今回ミサイルが1千キロ程度飛行したことについて、
 「杭州がちょうど1千キロの射程にぴったりおさまることを意識してのことだろう」
と指摘。G20への牽制(けんせい)との見方を示した。



夕刊フジ 9月6日(火)16時56分配信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160906-00000010-ykf-int

習主席のメンツ丸つぶれ 
G20中に北朝鮮ミサイル発射

 中国・杭州でのG20首脳会議当日の5日、ノドンとみられる中距離弾道ミサイル3発を発射した北朝鮮。
  日本の防衛省によると、北海道・奥尻島西方沖200~250キロの日本の排他的経済水域(EEZ)内のほぼ同じ海域に落下した。

 金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長はミサイル開発能力を誇示する一方、韓国が配備する米軍の最新鋭迎撃システム「高高度防衛ミサイル(THAAD)」について、中国側が「配備決定のせいで、北が反発し弾道ミサイルを相次いで発射している」と反対していることを逆手にとり、中韓両国の溝を際立たせようとした狙いがあるとの見方がある。

 G20中に発射されたミサイルで習近平国家主席のメンツは丸つぶれになったが、ソウルの外交筋は、正恩氏が、北のミサイル発射などを強く非難する8月下旬の国連安全保障理事会の報道声明に反対しなかった中国に対し、相当不満を募らせている可能性があるとも指摘している。



聯合ニュース 9月16日(金)9時8分配信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160916-00000003-yonh-kr

北朝鮮の弾道ミサイル 
3発が半径1キロ以内に=精度向上か

【ソウル聯合ニュース】
 北朝鮮の中距離弾道ミサイル「ノドン」(最大射程距離1300キロ)の命中精度が向上しているもようだ。
 韓国の政府消息筋は16日、北朝鮮が5日に発射したノドンとみられる弾道ミサイル3発はいずれも約1000キロを飛行し、日本の防空識別圏内の海上に落ちたが、半径1キロ以内にすべて落ちたと説明した。

 これまでノドンが1000キロ飛行した際の平均誤差半径は最小で2キロ、最大で3キロから4キロと分析されていた。
 ミサイルの本体に誘導装置を装着したことで精度が大幅に向上したとみられている。

 人口が密集した地域を攻撃するなどして、被害を大きくするための能力が強化されたことを意味し、特に核や化学兵器を弾頭として使用した場合、被害は甚大になると政府消息筋は強調した。



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  5回目の核実験、過去最大規模
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ロイター 2016年 09月 9日 16:55 JST
http://jp.reuters.com/article/nkorea-5thnucleartest-idJPKCN11F08M?sp=true

北朝鮮が5回目の核実験、
過去最大規模か 各国が強く非難

[ソウル 9日 ロイター] -
 朝鮮は9日、通算5回目となる核実験を実施した。
 今回の核実験の規模は広島の原爆よりも大きく、過去最大規模とみられる。
 北朝鮮は核実験の実施を発表するとともに、核弾頭を弾道ミサイルに搭載する能力を獲得したと明らかにした。

 北朝鮮の今年の核実験は1月に続いて2度目。
 国連安保理は1月の核実験を受け、北朝鮮への制裁を強化する決議を採択していた。

 韓国の朴槿恵大統領は訪問先のラオスで、核実験は明確な国連安保理決議違反であり、国際社会への直接的な挑発だと非難した上で、北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長の「狂気じみた無謀さ」を証明していると述べた。

 ラオスからの帰路にあったオバマ米大統領は、北朝鮮の挑発的な行為は「重大な結果」を招くとの考えを示した。
 ホワイトハウスによると、オバマ大統領はすでに朴大統領と安倍晋三首相と協議。アジアと世界の同盟国の安全保障に対する米国のゆるぎないコミットをあらためて強調した。

 主要国の中で北朝鮮の唯一の同盟国である中国は、北朝鮮の核実験に断固反対するとの声明を発表し、状況を悪化させる行為を控えるよう北朝鮮に強く求めた。
 また、中国は朝鮮半島非核化の目標を堅持し、問題解決に向けて6カ国協議を活用することを支持すると表明した。

 北朝鮮の国営テレビは、核実験によって核弾頭を中距離弾道ミサイルに搭載する能力が証明されたと報道。
 北朝鮮が核弾頭の小型化にも成功したと伝えたが、第三者による検証はまだされていない。

 稲田朋美防衛相は、北朝鮮が運搬手段のミサイルを増強していることと合わせて考えると、日本の安全保障に重大な脅威だと懸念を表明した。
 日本政府は北京の大使館ルートを通じ北朝鮮に抗議。安倍晋三首相は声明を発表し、
 「北朝鮮の核開発はわが国の安全に対するより重大な脅威であり、地域と国際社会の平和と安全を著しく損なう」
と非難した。

 防衛省は、放射能量の変化の有無を確認するため、自衛隊機を派遣した。


2016年09月09日(Fri)  BBC News
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/7725

北朝鮮、核実験実施を発表 韓国は「過去最大」と

 北朝鮮北東部の豊渓里(プンゲリ)核実験施設付近で9日朝、マグニチュード(M)5.3の強い揺れが観測された。
 北朝鮮は日本時間午後1時半ごろから、国営朝鮮中央放送で核弾頭の爆発実験に成功したと発表した。

 北朝鮮国営の朝鮮中央テレビは、核兵器研究所の声明として、
 「北部の核実験場で核弾頭の威力を判定するため、核爆発実験を行い、成功した」
と発表した。

 これに先立ち韓国統合参謀本部は、「北朝鮮が過去最大の核実験を実施したと推測する」と声明を発表した。
 聯合通信が伝えた。
 声明によると、爆発の規模は10キロトンで、今年1月の核実験の2倍近く。
 20キロトン以上ではないかという専門家の意見もある。
 広島に投下された原爆の威力は、約15キロトンだった。

 今回の核実験についても、規模や手法が、第三者によって確認されるまでには時間がかかる。
 日本政府は放射線量計測のため、大気中のちりを収集する装置を搭載した自衛隊機を複数派遣した発表した。
 また中国も、北朝鮮国境付近で放射線量の変化を監視していると明らかにした。

 韓国の朴槿恵大統領は、訪問先のラオスで、金正恩朝鮮労働党委員長の「狂った無謀ぶり」を示す「自滅行為だ」と批判。
 帰国予定を数時間早めることになった大統領は、5度目の核実験で
 「金正恩政権の制裁が増え、北朝鮮の孤立が増すばかりだ」、
 「このような挑発は、自滅への道をさらに加速化させる」
と述べた。

 中国外交部は、核実験に断固反対すると表明し、事態悪化につながる行動を避けるよう北朝鮮に呼びかけた。

 米ホワイトハウスのアーネスト大統領報道官は、オバマ大統領が「アジアと世界各地の同盟国の安全について、米国は絶え間なく取り組んでいくとあらためて伝えた」と発表。
 「大統領は今後、北朝鮮の挑発行動が確実に重大な結果につながるよう、同盟国や友好国と協議を続けていくと述べた」
という。

 日本の安倍晋三首相は午前11時前、首相官邸で記者団に対し、
 「もし北朝鮮が核実験を強行したのであれば断じて許容できない。
 強く抗議しなければならないと思っている」
と述べ、米韓中露などとの対応連携の重要性を強調した。

 日本の菅義偉官房長官は午前10時すぎから臨時で記者会見し、
 「気象庁が、北朝鮮付近を震源とする自然地震ではない可能性のある地震波を観測した。
 本件地震は過去の事例などを踏まえると、北朝鮮の核実験の実施に伴い発生した可能性があると考えている」
と述べた。
 官房長官は昼にも官邸で記者会見し、
 「通常とは異なる地震波の観測とこれまでの情報を総合的に勘案した結果、本日、北朝鮮が核実験を実施したものと判断される」
と語った。

 9月9日は北朝鮮の建国記念日。
  北朝鮮は、こうした記念日に合わせて軍事力を誇示することが多い。
 最新の衛星映像や諜報活動から、プンゲリ付近でこのところ活動活発化の兆候がみられていたため、5回目の核実験が近く実施されるとの見方が強まっていた。

 国連は、北朝鮮の核実験やミサイル実験を禁止している。
 しかし北朝鮮は今年に入りミサイル発射実験など重ね、敵対国を核攻撃すると脅迫を繰り返している。
 国連などは制裁措置を強化しているが、核保有国を目指す北朝鮮政府の決意は揺らいでいない様子だ。

 BBCのスティーブン・エバンズ韓国特派員は、米中間の緊張悪化が、関係各国の連携を困難にしていると話す。
 中国は友好国・北朝鮮の核実験・ミサイル発射実験に抗議を繰り返しているものの、朝鮮半島の不安定化につながる対応は敬遠している。

■<北朝鮮と核兵器>

2002年10月 秘密の核兵器開発計画の存在を初めて認める
2003年1月 核拡散防止条約(NPT)から2度目の脱退宣言(1度目は1993年)
2006年10月 プンゲリの核実験施設で初の核実験を行ったと発表
2009年5月 核開発に関する6者協議から離脱表明した1カ月後、2度目の地下核実験を実施
2013年2月 3度目の核実験実施。国営メディアは「小型化かつ軽量化」した核弾頭を使用したと伝えた
2016年8月 潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)「北極星1号」(KN-11)を発射し、日本海に落下させた

■<分析>スティーブン・エバンズ、BBCニュース、ソウル

 核実験だったと確認されれば、どう対応できるかが大きな問題だ。
 4回目の核実験と(敵対する各国はミサイル発射実験だと批判した)衛星打ち上げを機に、制裁措置はすでに強化されている。
 北朝鮮非難の国際世論に中国も加わったが、米中関係には亀裂が走っている。
 韓国に米国のミサイル防衛システムを配備する計画に中国は反発しているし、南シナ海や東シナ海での領有権争いで米国に批判されて怒っている。

 東アジア地域で、中国と米国がたがいにぶつかりあう事態が増えているのだ。

(英語記事 North Korea: Large quake detected close to nuclear test site)

提供元:http://www.bbc.com/japanese/37314978



毎日新聞 9月9日(金)21時31分配信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160909-00000099-mai-int

「核弾頭爆発実験」…威力、最大規模

  ◇日米、制裁強化で一致

 北朝鮮は9日、核弾頭の爆発実験に成功した、と発表した。
 同日午前、北東部・豊渓里(プンゲリ)付近で地震波が観測されており、この付近で地下核実験を実施したとみられる。
 韓国軍によると、爆発の威力は10キロトン程度で過去4回の核実験に比べ最大規模とみられる。9日は北朝鮮の68回目の建国記念日だった。

 核実験は5回目で、1月6日に「水爆」と主張する核実験を強行して以来、北朝鮮は今年に入り、核兵器の運搬手段となる弾道ミサイルの発射を繰り返している。
 核弾頭の小型化を早期に達成して実戦配備しようという意思が明確になっており、国際社会に対する重大な脅威になる。

 朝鮮中央通信は9日、核兵器研究所の声明を発表した。
 北朝鮮が「核弾頭爆発実験」に言及したのは初めて。
 「核弾頭の威力を判定するため」と説明し、弾道ミサイルに搭載できる核弾頭の小型化が進められている点を誇示した。

 韓国の韓民求(ハン・ミング)国防相は、5回目とは別の坑道でも核実験の準備が整っていると指摘し、追加実験もあり得るとの見方を示した。

 日本政府は同日、北京の大使館ルートを通じて北朝鮮側に抗議した。
 安倍晋三首相は「わが国の安全に対するより重大な脅威であり、地域および国際社会の平和と安全を著しく損なっている」との声明を発表した。

 オバマ米大統領も声明で「米国は北朝鮮を核保有国と決して認めない」と表明。
 安倍首相や朴槿恵(パク・クネ)韓国大統領とも電話協議し、新たな制裁を含む重大な措置を取ることなどで一致したと明らかにした。
 また、安倍首相と朴大統領も電話で協議した。

 国連安全保障理事会は9日午後(日本時間10日未明)に緊急会合を開く見通し。
 日米韓は連携し、国連安保理で新たな制裁決議を採択できるよう働きかけを強める。
 渡航禁止や資産凍結の対象となる個人・組織の拡大などに加え、金融制裁をさらに強化できるかが焦点となる。

日本テレビ系(NNN) 9月9日(金)19時56分配信

北核実験「挑発ではなく深刻な脅威」の声も


 北朝鮮の5回目の核実験を受け、日本政府は北朝鮮の核兵器開発の進展に強い危機感を持っている。

 稲田防衛相は9日の会見で、北朝鮮がミサイルに搭載できる核兵器の開発に成功している可能性も否定できないと述べた。
 稲田防衛相
 「核兵器の小型化弾頭化の実現に至っている可能性も否定できないのではないか。
 北朝鮮の脅威が高まっているのは間違いがない」

 北朝鮮は先月、潜水艦からの弾道ミサイル発射にも成功するなどミサイル技術の向上は明らか。
 政府関係者は核弾頭の開発と合わせて「単なる挑発ではなく深刻な脅威だ」と話している。

 こうした中、安倍首相は9日午後、アメリカのオバマ大統領と緊急に電話会談した。
 両首脳は「国際社会の断固たる対応で北朝鮮に挑発行動の代償を強く認識させることが不可欠だ」との考えで一致した。

 また政府は北朝鮮に対する独自制裁の強化についても検討に入った。
 こうした圧力については、政府内にも「国際社会の非難を無視する今の北朝鮮にどれだけ効果があるのか」という声もある。
 しかし、官邸関係者は「影響力のある中国なども巻き込んで圧力をかけるほかに打つ手がない」と話している。

朝日新聞デジタル 9月10日(土)1時49分配信

北朝鮮、核搭載型ミサイル実戦配備も視野 現実味は?

 北朝鮮による核ミサイル攻撃が、現実の脅威となりつつある。
 5度目の核実験で、軍事能力はどこまで高まったのか。
 金正恩(キムジョンウン)委員長の思惑はどこにあるのか。
 南シナ海などの問題で米国や周辺国に余裕のないなか、挑発はエスカレートしている。

 北朝鮮は、今回の実験が「核弾頭の威力判定のための核爆発実験」だったと主張。
 小型化、軽量化して弾道ミサイルに装着できる核弾頭の生産が可能になったとした。
 根拠となるデータや写真は公開していない。
 3月9日には、小型化に成功した「核弾頭」を公開し、ミサイル搭載が可能だと主張していた。

 航空機による核爆撃に比べ、核弾頭ミサイルは迎撃が難しい。
 北朝鮮が核搭載型ミサイルを開発する目的は、米本土や在日米軍基地を核の脅威下に置くことだ。
 韓国は、米国の核の傘で北朝鮮が核兵器を使えないよう牽制(けんせい)するとともに、有事の際に海外からの米兵力の増援を前提にして作戦を立てている。
 米韓同盟が十分機能しなくなれば、韓国への北朝鮮の軍事的脅威は飛躍的に高まる。

 米東海岸も射程に収める長距離弾道ミサイル・テポドン2改良型は重さ1トン以下、日本の大半を射程に収める中距離・ノドンは700キロ以下で搭載が可能と言われる。

 韓国国防省は9日の国会報告で、前回の核実験が、広島や長崎で使われた原爆に比べて大きさを4分の1程度にできるブースト型核分裂爆弾(強化原爆)だったと推定していると明らかにした。
 北朝鮮が既に小型化と軽量化を相当進展させていた可能性を示唆した。

 核搭載型ミサイルの実戦配備には、どれほどの現実味があるのか。

 韓国政府によれば、北朝鮮は1千発以上の弾道ミサイルを保有。
 うち85%が韓国に脅威となる短距離のスカッドなどだが、約200発を保有するノドンは日本と在日米軍を、6月に試射に成功し、約40発を保有する中距離のムスダン(射程3千キロ以上)は米領グアムをそれぞれ攻撃するために開発されたとみられる。

 8月24日には、射程約2千キロで発射の兆候が確認しにくい潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)の試射にも成功している。
 搭載する潜水艦の能力は不完全とみられるものの、年内にも実戦配備されるという見方もある。

 弾道ミサイルによる攻撃には、大気圏への再突入時に高熱や衝撃、振動などから核弾頭を保護する技術も必要だ。
 朝鮮労働党機関紙の労働新聞(電子版)は3月15日付で、金正恩(キムジョンウン)委員長が弾道ミサイルの大気圏突入実験を指導したと実験の写真付きで報道。「実験は成功した」と主張した。

 韓国は写真などから、北朝鮮の大気圏突入実験の温度が1600度程度だったと分析。
 弾道ミサイルの再突入時には7千度前後の高温や強い振動が伴うため、まだ北朝鮮が再突入技術を持っていないとしている。

 また、軍事関係筋は
 「米ソが冷戦期に開発した大陸間弾道ミサイル(ICBM)の命中精度は誤差10~30メートルで、地下サイロからいつでも発射が可能。
 核爆弾の爆発可能性は100%だ。
 北朝鮮がその水準に達するには10年単位の長い期間が必要だ」
と語る。

 しかし、北朝鮮にはそれほど高性能なICBMは必要ない。
 韓国軍元将校は
 「米国が核による報復攻撃をためらい、核の傘が無力化されれば、北はそれで目標を達成する」
と語る。

 短距離・スカッドは、ICBMに比べて飛行高度が低い上、北朝鮮が1980年代にエジプトから実物を入手しており、信頼性は高い。
 パキスタンも1998年、5回の核実験で核兵器を実戦配備。
 インドを射程に収めるミサイルへの搭載技術も持つとされる。
 軍事関係筋は
 「スーパーコンピューターが発達した現在、パキスタン程度の技術はあるはずだ」
と語る。

 北朝鮮は5日、ノドン3発をほぼ同時に発射し、すべて日本の排他的経済水域(EEZ)内に落下させた。
 再突入後、100%核弾頭が爆発する確証はないが、核物質を載せた弾頭を着弾させる技術はありそうだ。
 核弾頭を爆発させられなくても、放射性物質を含んだ「ダーティーボム(汚い爆弾)」として実戦での脅威になる。

2016年09月09日(Fri)  BBC News

北朝鮮の核兵器開発 どこまで進んでいるのか

北朝鮮北東部の豊渓里(プンゲリ)核実験施設(資料写真)

 北朝鮮の核開発は国際社会にとって依然として、深刻な問題だ。
 核実験を阻止しようと国際社会は様々な手を尽くしてきたが、北朝鮮政府は5回の核実験を実施したと主張している。
 9日朝の実験は「過去最強」の爆発だったという。

■北朝鮮は核爆弾を保有しているのか

 厳密に言えば、保有している。
 北朝鮮はすでに核弾頭の実験を何度か行っている。
 ただし、近隣諸国を核攻撃するには、ミサイルに搭載できるくらい小型の核弾頭を作らなくてはならない。
 北朝鮮は核弾頭の小型化に成功したと主張しているが、第三者による確認はなく、北朝鮮の主張を疑問視する専門家たちもいる。

■北朝鮮の核爆弾の威力は?

 北朝鮮は2006年、2009年、2013年、 今年1月と今年9月の合計5回、核実験に成功したと主張している。
 爆発の威力は回を追うごとに強くなっている様子だ。
 9月9日の実験の威力は、10キロトンから30キロトンと言われており、事実ならば北朝鮮の核実験で過去最大となる。
 実験に使われているのが原爆なのか、より強力な水爆なのかも、大きな問題だ。

 水爆は核融合エネルギーを使い、原爆は核分裂エネルギーを使う。

 2006年、2009年、2013年の実験はいずれも、原爆実験だった。
 北朝鮮は今年1月に行ったのは水爆実験だったと主張している。
 ただし計測された爆発の規模から、専門家たちは水爆ではなかったのではないかとみている。

■プルトニウムかウランか

 核実験の出発物質に何を使っているのかという問題もある。
 アナリストたちは、最初の2回の核実験ではプルトニウムを使用したとみているが、2013年実験で使ったのがプルトニウムなのかウランなのかは不明だ。
 ウラン核実験の成功は、北朝鮮の核開発にとって大きな前進を意味する。
 北朝鮮のプルトニウム備蓄量には限りがあるが、濃縮ウラン製造ができるようになれば、核爆弾用の材料を大量に備蓄できるようになる。
 プルトニウムの濃縮には大型で発見しやすい施設が必要だが、ウラン濃縮はより簡単に、秘密裏に遂行できる。

■北朝鮮の核開発についてほかに分かっていることは?

 寧辺の施設が北朝鮮の核開発計画の中心拠点とみられているが、今年の1月と9月の実験は北東部の豊渓里(プンゲリ)核実験施設で実施されたもよう。
 寧辺の核施設では、原子力発電所の使用済み核燃料を再処理し、核兵器用のプルトニウムを抽出しているとされる。
 米国と韓国は、北朝鮮にはほかにもウラン濃縮施設があるとみている。
 北朝鮮国内にはウラン鉱山が豊富にある。

■国際社会の対応は

 米国、ロシア、中国、日本、韓国は「6者協議」と呼ばれる複数の交渉ラウンドを北朝鮮と開いていた。
 核軍縮合意を北朝鮮から取り付けようと働きかけが繰り返されたものの、結局のところ、北朝鮮政府の動きを食い止める効果はなかった。
 2005年には画期的な共同声明で、経済援助と制裁緩和など政治的対応と引き換えに、北朝鮮はすべての核兵器及び既存の核計画を放棄することを約束した。
 2008年には、援助獲得のために寧辺の原子炉冷却塔の爆破までした。

 しかし共同声明の合意内容の履行は困難で、北朝鮮は2009年には6者協議から離脱した。
 核施設の全容を公表するという北朝鮮の主張を、米国は決して信用しなかった。
 2010年には北朝鮮が、発電用だと説明しながら米科学者ジークフリード・ヘッカー教授を寧辺のウラン濃縮施設に招いたことで、米国の不信感はいっそう高まった。
 2012年に北朝鮮は突如、米国の食糧援助を引き換えに核開発を中止し、ミサイル実験も凍結すると発表したが、同年4月にロケット発射を試みたため、この件は立ち消えとなった。

 2013年3月には、3回目の核実験を受けての国連制裁追加、米国との非難の応酬を経て、北朝鮮は寧辺の全施設を再開すると表明。
 2015年には通常操業に戻った様子だった。

 北朝鮮の主要な通商相手で唯一の同盟国として、一連の核実験に対する中国の反応は常に注目されている。
 2016年に相次ぐ実験については、中国を含めて国際社会が批判している。
 しかし中国政府は全般的に、不安定な隣国をさらに不安定にさせるような対応には慎重姿勢を保ってきた。

(英語記事 North Korea's nuclear programme: How advanced is it?)





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