さて、韓国は臨戦態勢に入れるか。
少し前までは「韓半島統一」といった「取らぬ狸の皮算用」「絵に書いたモチ」でウハウハだったのが、いまや平壌焦土作戦にゴロンと変化してしまった。
この国の先をみる目というのは、まったくいい加減だ。
遊女のように中国に擦り寄ったのも記憶に新しい。
もう少し足元をみるべきではないだろうか、と思うのだが。
目先だけで何も考えずに熱くなって行動してしまうといういうのがこの民族の性格なのかもしれない。
としたら、それに効くクスリはないからどうにもならない。
この国にはポテンシャルな能力がない。
日本は北朝鮮のこの行為によって、中国の顔色を伺うことなくおおぴらに防衛力増強に邁進でき、また強硬な手段をとっても国民に納得させることのできる大義名分を得たことになる。
政府はこの状況を有効に使っていくであろう。
射程が日本を狙えるミサイルを正確にコントロールでき、それに核弾頭が積めるとなれば
「憲法9条」なんていっぺんの文言にしかすぎなくなってくる。
いかに、国を守るかに比重が傾いていき、国民もそれを受け入れざるを得なくなる。
「座して北朝鮮の核弾頭に怯えるべきだ」
とはいえなくなってしまう。
『
ロイター 2016年 09月 12日 08:37 JST
http://jp.reuters.com/article/north-korea-new-test-idJPKCN11H0RX
北朝鮮、新たな核実験の準備完了─韓国政府筋=聨合ニュース
[ソウル 12日 ロイター] -
韓国の聨合ニュースは12日、韓国政府筋の話として、9日に5回目の核実験を実施した北朝鮮が、新たな核実験の準備を完了させたと報じた。
同筋によると、北朝鮮は核実験場のこれまで使用したことのないトンネルを利用する可能性があるという。
9日の核実験は、北朝鮮がこれまでに実施した中で最大規模とされ、北朝鮮は弾道ミサイルに核弾頭の搭載する能力を得たと主張していた。
聨合ニュースによると、韓国政府筋は
「これまで使ったことのない第3のトンネルで、核実験をいつでも実施できる準備を整えた兆候がみられる」
と語った。
豊渓里(プンゲリ)の核実験場での具体的な動きには踏み込まなかった。
北朝鮮は11日、9日の核実験を受けた同国への制裁強化の動きを「ばかばかしい」と指摘し、引き続き核能力の強化を図ると表明している。
』
『
聯合ニュース 2016年 09月 12日(月) 09:08
http://japanese.yonhapnews.co.kr/northkorea/2016/09/12/0300000000AJP20160912000200882.HTML
北の豊渓里核実験場 3番坑道でも準備整う=韓国政府筋
●豊渓里の核実験場。3番坑道は最下に位置している(国防部提供)=(聯合ニュース)
豊
【ソウル聯合ニュース】
北朝鮮が北東部・豊渓里の核実験場の別の坑道でも核実験の準備を終えたもようだ。
複数の韓国政府筋は12日、
「北が豊渓里の1~3番の坑道のうち、これまで一度も核実験を行っていなかった3番坑道でも核実験をいつでも強行できる準備を終えた様子がとらえられた」
と明らかにした。
また、韓米両国の情報当局は3番坑道でも新たに核実験が実施される可能が高いと判断して注視していると伝えた。
別の消息筋は
「豊渓里の2番坑道ではいく筋かの坑道を掘り今回を含め4回の核実験を行い、1番坑道では最初の核実験が行われた」
と説明した。
1回目核実験(2006年10月9日)は1番坑道で、
2回目(09年5月25日)と3回目(13年2月12日)、4回目(06年1月6日)は2番坑道で実施された。
5回目(16年9月9日)は4回目の実験場所から400~500メートル離れている。
北朝鮮の核兵器研究所は今月9日の核実験直後に発表した声明を通じ
「国家の核武力の質量的な強化措置は続く」
と言及しており、韓米両国は年内に再度核実験を行うと予告したものと受け止めている。
韓民求(ハン・ミング)国防部長官も同日、国会国防委員会への報告で、北朝鮮の追加核実験の可能性に関連し
「もう一つの坑道でも核実験を行う準備が整ったとみている」
と述べた。
韓国政府筋は
「韓長官の発言は4回の核実験が実施された2番坑道内に掘られたいく筋かの坑道のどれかを意味することもあり得るが、一度も核実験をしていない3番坑道のほうに重きを置いた発言だ」
と説明した。
韓米両国の軍当局は米国の偵察衛星などによる北朝鮮監視態勢を強化し、豊渓里核実験場の周辺を綿密に監視しているとされる。
』
ロイター 2016年 09月 12日 11:14 JST
http://jp.reuters.com/article/nkorea-nucleartest-idJPKCN11I047
北朝鮮、新たな核実験をいつでも実施する準備整う=韓国国防省
[ソウル 12日 ロイター] -
韓国国防省は12日、北朝鮮は新たな核実験をいつでも実施する準備が整っているとの見方を示した。
記者会見でスポークスマンが「新たな実験の実施が可能な坑道がある」と指摘した。
これより先に聯合ニュースは、韓国政府筋の話として、北朝鮮が新たな核実験の準備を完了させ、これまで使用したことのない坑道を利用する可能性があると報じていた。
』
●NNNニュース
』
『
ロイター 2016年 09月 12日 11:55 JST
http://jp.reuters.com/article/abe-northkorera-nuclear-idJPKCN11I06H
安倍首相、北朝鮮の核実験「断じて容認できない」
[東京 12日 ロイター] -
安倍晋三首相は12日、防衛省幹部に訓示し、北朝鮮の核実験は「断じて容認できない」と改めて非難した。
安全保障環境が急速に変化しているとし、万全の態勢を取る必要性を強調した。
安倍首相は
「北朝鮮がわずか9カ月の間に、2度にわたって核実験を強行した。断じて容認できない」
と発言。
相次ぐ弾道ミサイルの発射にも触れ、
「先月、今月と日本のEEZ(排他的経済水域)にミサイルが撃ち込まれた。
前例のない事態だ」
と述べた。
北朝鮮は9日、今年2度目の核実験を実施。核爆弾の運搬手段となる弾道ミサイルの発射も加速させている。
安倍首相は、東シナ海における中国の動きも念頭に置きながら、
「この1年で日本を取り巻く安全保障は目まぐるしく変化した。
この現実を直視し、万全の対応を取らないといけない」
と語った。
稲田朋美防衛相も安倍首相に続いて訓示し、
「北朝鮮は日本、アジア太平洋地域、国際社会の安全に対する重大かつ差し迫った脅威になっている」
と述べた。
』
フジテレビ系(FNN) 9月12日(月)12時35分配信
http://headlines.yahoo.co.jp/videonews/fnn?a=20160912-00000972-fnn-pol
安倍首相、自衛隊幹部に訓示 北朝鮮核実験「断じて容認できず」
安倍首相は12日午前、防衛省で自衛隊の幹部に訓示し、北朝鮮による核実験について、「断じて容認できない」と強調した。
倍首相は、
「北朝鮮が、わずか9カ月の間に、2度にわたって核実験を強行しました。
断じて容認できません」
と述べた。
安倍首相は、北朝鮮による相次ぐ弾道ミサイル発射と核実験について、「前例のない事態だ」と指摘した。
また、中国などを念頭に、
「軍艦による領海侵入、相次ぐ国籍不明機による領空接近。
これが現実だ。
極めて厳しい状況に、わが国は直面している」
と、強い危機感を示した。
そのうえで、
「国民を守るにあたり、想定外は許されない」
として、あらゆる事態に備えるよう指示し、政治判断が必要な防衛力の整備などについても、
「おくせず積極的に提案するよう」
求めた。
』
『
聯合ニュース 9月12日(月)14時30分配信
http://japanese.yonhapnews.co.kr/Politics2/2016/09/12/0900000000AJP20160912002900882.HTML
韓国軍 F35Aの追加購入を検討
=平壌への攻撃作戦補完
【ソウル聯合ニュース】
韓国軍当局が有事の際に平壌上空から金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長ら指揮部を正確に攻撃するためF35Aステルス戦闘機を新たに20機確保する方策を検討していることが12日、政府関係者の話で分かった。
弾道ミサイルのみで北朝鮮指揮部に対する「大量反撃報復(KMPR=Korea Massive Punishment&Retaliation)」作戦を行うには限界があると判断したとみられる。
北朝鮮が核兵器を使用する兆候が捉えられた場合、平壌の一定区域を焦土化するKMPR作戦の限界をF35Aで補うべきだとする主張が一部から提起されていた。
政府関係者は同日、
「北の5回目の核実験で安保環境が急変しておりF35A、20機を購入する方向で前向きに検討しているようだ」
と伝えた。
また、軍関係者は
「韓国軍は北の核・ミサイル能力の高度化に伴い、従来の精密攻撃計画を大幅に補完している」
と説明した。
平壌一帯は四重の防空網システムが構築されており、F35Aなどのステルス戦闘機でなければこれをかいくぐって攻撃することはできないと判断されたもようだ。
軍は2013年にF35Aが60機必要だと判断したが、財源が限られるためひとまず40機の購入を決め、残り20機は安保環境の変化を考慮して確保するとしていた。
40機は18年から21年までに導入し、実戦配備される予定だ。
北朝鮮軍はこのほど、F35Aの侵入に備え、海外からレーダーシステムを導入したほか、持続的な性能改良を重ね逆探知されにくいレーダーを適用するなど最新技術を取り入れているとされる。
さらに、最大射程260~300キロの地対空ミサイル、約40基を平壌や韓国との境界近くに配備している。
これに加え、地対空ミサイルと高射砲などが平壌を何重にも囲っている。
北朝鮮は2000年から対空ミサイルの数量をそれぞれ20倍以上、増強し実戦配備したと把握されている。
』
『
JB Press 2016.9.13(火) 黒井 文太郎
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/47864
日本は「核ノドン」の脅威下に入ったと考えるべき
嘘とは言えない北朝鮮の「核ミサイル」保有宣言
北朝鮮、核弾頭の爆発実験に「成功」 ミサイル搭載可能と発表
●北朝鮮で起きた揺れの震源を指す韓国気象庁の職員(2016年9月9日撮影)。(c)AFP/YONHAP〔AFPBB News〕
9月8日、北朝鮮が5回目の核実験を行った。
筆者は先月、北朝鮮のノドン発射を受けて8月9日に当サイトに以下のような記事を寄稿した。
「北朝鮮はさらに大きな軍事行動に出てくる ~ノドンを秋田沖へ発射、次は核実験かムスダン長距離発射か」
(http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/47565)
まさにその予想通りの展開となったわけだが、その予想自体は難しいものでも何でもない。
北朝鮮の行動をみていれば十分に考えられることだ。
■北朝鮮は核弾頭を実現しているのか
北朝鮮の動向が今後の日本にどう影響するかということを検討するうえで、最も重要なのは、北朝鮮はすでに核爆弾の小型化に成功し、弾道ミサイルに核弾頭を搭載しているのかどうかということだろう。
もしもそれが実現されていれば、すでにノドンの射程内にある日本は、核ミサイルの脅威下にあるということになる。
核ミサイルができているのかいないのかは、まさに日本の安全保障を左右する重大事なのだ。
今回、北朝鮮は核実験成功を伝える声明のなかで、「核弾頭」の爆破実験に成功したと主張している。
こうした言い方は初めてであるため、
「いよいよ今回、初めて核爆弾の小型化に成功し、弾道ミサイルに核弾頭を搭載できるようになったのではないか」
との憶測が広がりつつある。
しかし、北朝鮮はすでに自分たちが起爆装置の小型化に成功し、核ミサイル戦力を保有するに至ったことを、2013年の核実験の際にすでに宣言している。
核ミサイル武装を今回初めて主張したわけではないのだ。
ただ、北朝鮮が言うことが事実かどうかは、誰にも分からない。
諸外国も、中国やロシアも含めて、北朝鮮が核ミサイル戦力を実現化したとは明言していない。
本当に分からないのだ。
■日本政府は「核ミサイル配備のリスクが増大」
日本政府はどうみているのか。
稲田防衛相は9月9日の記者会見で、
「北朝鮮が、核兵器の小型化・弾頭化の実現に至っているという可能性は否定できない」
と発言した。
ちなみに、日本政府の公式見解として『防衛白書』各年版(毎年7~8月に刊行)をみると、2012年版では
「比較的短期間のうちに、核兵器の小型化・弾頭化の実現に至る可能性も排除できず、関連動向に注目していく必要がある」
と、いまだ実現できていないとの見通しだった。
それに対し、2013年2月の3回目の核実験を経た2013年版では、
「比較的短期間のうちに、核兵器の小型化・弾頭化の実現に至っている可能性も排除できず、関連動向に注目していく必要がある」
と、すでに完成している可能性に初めて言及している。
日本政府・防衛省は、2013年の核実験を経て北朝鮮が核ミサイル武装を自称したことを受け、それを否定はしていないのだ。
さらに、2014年版では前年版と同様の記述だったが、2015年版では「実現に至っている可能性を排除できない」との前年同様の記述の後に
「時間の経過とともに、わが国が射程内に入る核弾頭搭載弾道ミサイルが配備されるリスクが増大していくものと考えられ、関連動向に注目していく必要がある」
との記述が新たに書き加えられている。
核ミサイルが完成している可能性は否定できないと言っているものの、日本を射程におさめる核ミサイルはまだ配備されていないとみているわけだ。
矛盾している記述だが、つまりは「よく分かっていない」ということだろう。
今年1月の4回目の核実験を経て今年8月2日に発表されたばかりの2016年版では、これまでの「可能性を排除できない」とのきわめて懐疑的な記述から、「核兵器の小型化・弾頭化の実現に至っている可能性も考えられる」
と一歩踏み込んだ記述になっている。
時間の経過を経て、可能性を一段階高く見積もったのだろう。
ただし、その最新版においても、
「時間の経過とともに、わが国が射程内に入る核弾頭搭載弾道ミサイルが配備されるリスクが増大していくものと考えられ、関連動向に重大な関心をもって注目していく必要がある」
と記述されており、いまだ日本を射程におさめる核ミサイルは配備されていないとの見通しとなっている。
核弾頭が実現している可能性があるのに、核ノドンがまだ配備されていないとの見通しの理由は不明だ。
核弾頭が実現している可能性があるなら、当然、核ノドンが配備されている可能性もあるはずである。
■「核ミサイルはまだ実現していない」とみる根拠はない
エビデンス(証拠)という観点でいうと、確かなことは、北朝鮮が核弾頭を実現化しているかどうかを断定できる証拠はないということである。
実現化しているかもしれないし、まだしていないかもしれないのだ。
では、それを推測するための根拠はどうだろうか?
まだ実現していないと推定する根拠としては
「証拠がない」
「小型化技術は難しい」
「米韓が核弾頭実現を断定していない」
の3点がある。
逆にいえば、それ以外の根拠がない。
他方、証拠性は決定的ではないが、
すでに実現していることを示唆する根拠は多い。
たとえば「小型化技術は難しい」に関しては、他の核保有国の過去事例をみると、米国とソ連は1950年代、英国、フランス、中国も60年代には核弾頭を実現している。
★.難しい技術ではあるが、核爆弾を作ってから何十年もかかっているわけではない。
北朝鮮が初の核実験に成功したのは2006年で、それから2009年、2013年、2016年に2回と、核実験を積み重ねてきた時間的経過を考慮すれば、すでに実現化した可能性は充分に高い。
★.また、「米韓が断定していない」に関しては、北朝鮮の核保有を容認しないという各国の政治的立場が背景にある。
公式には北朝鮮を核ミサイル保有国と認識しないことが、外交の場では北朝鮮の発言力を抑えることに繋がる。
したがって、米韓当局は仮に実際は核弾頭が実現されたものと推測していても、よほど強力なエビデンスが公開されない限り、公式にそうは発言しないだろう。
1月の実験の際、北朝鮮側は「水爆実験に成功」と自称しているが、水爆実験での爆発規模は通常ははるかに大きいので、まず水爆とは考えられず、実際には小規模な核融合技術を利用したブースト型核分裂弾の実験だった可能性がある(爆発規模が小さかったことから、ブースト段階は失敗した可能性が高い)。
小規模な核融合を使っているので、それを「水爆」と誇張しているのではないかと推測されるが、今回、前回実験からわずか8カ月で再実験したのは、前述したように開き直って遠慮なく核実験していこうということでもあるだろうが、もしかしたら前回時に失敗したブースト型の改良だけだったという可能性も考えられる。
そして、威力強化型の開発に本格的に乗り出しているなら、最も切実に要求される小型化はもう実現できているのではないか。
これはあくまで憶測にすぎないが、考えられないことではない。
★.もう1つの傍証としては、最も情報を持っているはずの米韓軍事当局が、
昨年から対北朝鮮の作戦計画をがらりと変えたということもある。
それまでの米韓軍の作戦計画は、基本的には北朝鮮軍の侵攻に応戦して、大規模な空爆・砲撃のうえで、正規軍陸上部隊の投入による制圧戦を想定していた。
だが、昨年からは、場合によっては先制攻撃で北朝鮮の核とミサイルの施設を特殊部隊で押さえることが想定されるようになった。
米韓軍がそれだけ、北朝鮮の核ミサイルを現実の脅威と考えるようになった証拠である。
結局、北朝鮮がすでに核弾頭を完成し、日本を核ノドンの脅威下においたかどうか
は不明である。
しかし、「まだ実現されていない」と断定する根拠はない。
実現されている可能性は間違いなく存在し、否定することはできないのだ。
少なくとも日本は「すでに核ノドンの脅威下に入った」ことを大前提に、防衛体制の根本的な再検討を急ぐべきだろう。
』
『
ロイター 2016年 09月 13日 17:16 JST
http://jp.reuters.com/article/column-north-korea-nuke-test-idJPKCN11J0RB?sp=true
コラム:北朝鮮、このタイミングで核実験を強行した理由
[12日 ロイター] -
北朝鮮が先週、5回目となる核実験の実施を決断した理由は何か。
報復を受けずにすむよう、再び中国が手を打ってくれると北朝鮮が考えていたことは間違いない。
北朝鮮が1月に4回目の核実験を行った後、国連安全保障理事会は同国に対し、これまでで最も厳しい制裁決議を採択した。
隣国に長年悩まされ、実質的に唯一の貿易相手国である安保理常任理事国の中国も、同決議を受け入れたように思えた。
だが、朝鮮半島に関して「不戦、不乱、無核」とする中国の基本的な立場は変わっていない。
しばしば繰り返されるこれら一連の原則は偶然に並べ立てられたものではない。
中国が回避したい状況を順番に示している。
この中で核兵器は3番目に挙げられている。
朝鮮半島が戦争や混乱に陥った場合、難民流入や深刻な経済的苦痛といった形で、中国も矢面に立たされることになるだろう。
たとえ悩ましくとも、外交によって北朝鮮の核問題に対処することができるし、またそうすべきだと、中国はずっと考えている。
2013年に北朝鮮が3回目の核実験を行って以降、中国は北朝鮮対策の一環として経済的圧力を加えることに慣れているようだが、それでも不安定化するような事態にまで追い込もうとはしない。
このように、中国は特定の措置の一部を講じている。
しかし石炭に関しては、しばしば相当な抜け道を用意しているようだ。
制裁後の4月と5月、北朝鮮産石炭の中国への輸入量は激減したが、6月には堅調に回復している。
北朝鮮の当局者らは3月以降、中国の公式声明や裏ルートを通じての中国当局者とのやりとりから得られる情報、そして中国に駐在する自国ビジネスマンから届けられる事実を注視していただろう。
新たな制裁によって自国に科される「ニューノーマル」にうまく対処できることを理解し、中国の基本的な立場は変わらず、新たに実験を行う余地があると判断した。
実際、中国は今回の核実験を受け、協議の場に戻ることを求めたが、米国と北朝鮮は互いに受け入れられるスタート地点すら見つけることができない。
米国のオバマ政権は最小限受け入れられるハードルを下げている。
ケリー国務長官は9日、ジュネーブで「金正恩氏がすべきことは『非核化について話し合う用意がある』と言うことだけだ」と端的に表現したことにそれは表れている。
近い将来、北朝鮮が何らかの非核化について協議したいと思うかどうかについては、専門家の意見もやや割れている。
いつかそう思うかもしれないが、当面は、
米国本土に対して確かな脅威を保有することは、他に代わるものがないほど有利であると考えている。
金正恩氏からしてみれば、強い立場から交渉してなぜいけないのか、といったところだろう。
北朝鮮は今回、建国記念日に核実験を実施したが、それは「なぜ今か」という疑問の真の答えにはならない。
例えば、なぜ北朝鮮は、核実験の実施を米大統領選にもっと近い日まで待てなかったのか。
多くの情報で飽和状態にある有権者は、11月の本選挙までには核実験のことをほとんど忘れているだろう。
もし10月後半に核実験を行えば、共和党大統領候補のドナルド・トランプ氏に、民主党のオバマ大統領とヒラリー・クリントン候補の外交戦略に対する新たな攻撃材料を与えることになる。
従来の外交的慣習を無視し、極東についての知識がないように見えることを考えると、予測不可能なトランプ氏の方を、北朝鮮は好んでいるはずだ。
あるいは、急速に悪化していた中国と韓国の関係を、なぜもう少し長引かせなかったのか。
北朝鮮が1月に4回目となる核実験を実施したのを受け、韓国は、自国に米国の最新鋭地上配備型迎撃システム「高高度防衛ミサイル(THAAD)」の配備を決めた。
同配備をめぐっては、中国が激しく反対していることを主な理由に、韓国国内で物議を醸している。
中国はTHAADを、米国が中国封じ込め戦略の一環として中国人民解放軍を標的にするとみている。
THAADをめぐって、中韓関係は数カ月で緊張状態に陥った。
韓国国民は中国による何らかの経済報復を心配している。
2国間のイベントはキャンセルされ、ビザ(査証)取得に関するうわさも流れている。
北朝鮮は、中国と韓国の間の険悪な雰囲気から、もし今5回目の核実験を実施するなら、このような隔たりは自国に対する協力を妨げることになると判断したのかもしれない。
しかしなぜもうしばらく待って、中国のTHAADに関する発言が、さらに強硬な報復措置へと向かうかどうか見極めなかったのだろうか。
そうなれば、今度は韓国で反中国の気運が高まり、両国で強力な負のサイクルが生まれかねない。
今、実験を行うことで、北朝鮮は、中国と韓国の間で深刻な不協和音となりかねない問題を沈静化させるというリスクを冒している。
とはいうものの、北朝鮮が5回目の核実験を実施した日の中国国営メディア「環球時報」の論説は、核開発とTHAADを同じレベルで扱い、双方の罪の重さを同等と見なしているようだった。
もしこれが中国政府の立場を本当に反映しているのなら、北朝鮮の判断は恐らく正しかったと言える。
実際のところ、北朝鮮の不透明さゆえに、このタイミングでなぜ5回目の核実験を行ったかを正確に知ることは難しい。
だが、金正恩氏の下で北朝鮮が考えている長期的戦略についてはもっと明らかだ。
つまりそれは、
北朝鮮が、ミサイルに搭載可能な核弾頭の小型化と、米国本土まで届くミサイルの開発に成功する(あるいはそれに近づく)ことだ。
*筆者は豪マッコーリー大学の名誉フェロー。
*本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。
』
『
現代ビジネス 2016/09/23 長谷川 幸洋ジャーナリスト
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/49783
北朝鮮核問題。
ついに日本も「攻撃能力」を考える時がきたか
対応が後手に回ってはマズイ
■脅威にどう対抗するのか
日本海に向けた北朝鮮の弾道ミサイル発射を受けて、日本の防衛体制に対する懸念が高まっている。
日本は迎撃ミサイルで撃ち落とす構えだが、それだけで本当に大丈夫か。
敵の基地をたたく「策源地攻撃能力」の整備を急ぐべきだ。
北朝鮮は9月5日、日本海に弾道ミサイル3発を発射した。
中距離弾道ミサイル「ノドン」か短距離弾道ミサイル「スカッド」とみられており、日本の排他的経済水域(EEZ)内に着弾した。
日本政府が確認しているだけで、北朝鮮は今年に入って21発のミサイルを発射している。
8月3日にもノドン2発がEEZ内に着弾し、同24日には潜水艦発射ミサイル(SLBM)も発射された。
漁船などに着弾していたら一大事だった。
北朝鮮は9月10日、5回目の核実験にも成功した。
弾道ミサイルへの搭載を想定した「核弾頭の爆発実験」とみられている。
5回の核実験に成功すれば小型・軽量化が格段に進むと言われていたが、北の核ミサイルはいよいよ現実味を帯びてきた。
こうなると、核とミサイルの脅威にどう対抗するのか、
が問題の核心になる。
日本はミサイル攻撃には二段構えの迎撃ミサイルで撃ち落とすのを防御の基本にしてきた。
第一段は敵ミサイルの発射直後に大気圏外で迎え撃つイージス艦発射ミサイルの「SM-3 Block・A」、第二段が大気圏に再突入した後、地上から迎撃する「PAC-3 MSE」である。
パトリオットの名前で知られるPAC-3は、防衛庁や島嶼地域などに配備されるたびに映像が公開されているので、見覚えがあるだろう。
ドンの速さは「マッハ7以上」とも言われている。
そんなミサイルを「ミサイルで撃ち落とせるのか」
という疑問はだれでも抱く。
迎撃の命中率は米国の実験でSM-3もPAC-3も80%以上だった。
ということは、残り20%弱は失敗という話でもある。
SM-3とPAC-3に加えて、韓国が配備を決めた高高度防衛ミサイル(THHAD)を日本も採用する案もある。
北のミサイルに脅やかされているのは、日本も韓国と同じなのだから、THHADも前向きに検討すべきだろう。
■発射基地への攻撃も考える時が来た?
ここからが本題だ。
北のミサイルを各種の迎撃ミサイルで迎え撃つのは必要としても、それで十分か。
私は十分とは思えない。
迎撃に失敗する可能性があるからだ。
それならば、ミサイル発射基地そのものに対する攻撃も選択肢に考えるべきではないか。
それは「策源地攻撃能力」と呼ばれている。
ノドンはトレーラーのような移動式発射台(TEL=Transporter Erector Launcher vehicle)から発射される。
発射直前まで地下や森の中などに隠されていて、発射後は直ちに移動するので、上空から発見しにくく、かつ攻撃しにくい。
目標が移動しない基地とは区別して策源地と呼んでいる。
もともと策源地とは前線への武器弾薬を補給する後方基地という意味だ。
敵の策源地を直接攻撃して専守防衛に反しないのか、という批判もある。
だが「専守防衛には反しない」というのが歴代の、少なくとも自民党政権の考え方だった。
たとえば、1956年3月1日の衆院内閣委員会では当時の鳩山一郎首相が
「わが国土に対し誘導爆弾等による攻撃が行われた場合『座して自滅を待つべし』が憲法の趣旨とは考えられない。
必要最小限度の措置をとる、たとえば他に手段がないと認められる限り、誘導弾の基地をたたくことは法理的に自衛の範囲に含まれ、可能と思います」(一部略)
と答弁している。
その後の自民党政権もこの考え方を維持した。
自民党だけでもない。
民主党の前原誠司衆院議員は2003年3月27日の衆院安全保障委員会で
「同盟関係を見直す中で、少なくとも自国(=日本)である程度のそういう能力(=打撃力)を持つことは今後、検討すべきじゃないかと申し上げている」(同)
と発言している。
■現政権の考え方は?
安倍晋三政権はどうかといえば当然、検討課題に掲げている。
具体的に言うと、2013年12月に策定された防衛計画の大綱(防衛大綱、http://www.mod.go.jp/j/approach/agenda/guideline/2014/pdf/20131217.pdf)には、次のように記載されている。
「北朝鮮の弾道ミサイル能力の向上を踏まえ、我が国の弾道ミサイル対処能力の総合的な向上を図る。
弾道ミサイル防衛システムについては、我が国全域を防護し得る能力を強化するため、即応態勢、同時対処能力及び継続的に対処できる能力を強化する」
「また、日米間の適切な役割分担に基づき、日米同盟全体の抑止力の強化のため、我が国自身の抑止・対処能力の強化を図るよう、弾道ミサイル発射手段等に対する対応能力の在り方についても検討の上、必要な措置を講ずる」(防衛大綱、18ページ)
また、大綱を受けて具体的な装備計画を定めた中期防衛力整備計画(中期防、http://www.mod.go.jp/j/approach/agenda/guideline/2014/pdf/chuki_seibi26-30.pdf)には、次のように記されている。
「日米間の適切な役割分担に基づき、日米同盟全体の抑止力の強化のため、我が国自身の抑止・対処能力の強化を図るよう、弾道ミサイル発射手段等に対する対応能力の在り方についても検討の上、必要な措置を講ずる」(中期防、8ページ)
一読してお分かりのとおり「日米間の適切な役割分担に基づき…」以下は、防衛大綱と中期防の書きぶりがまったく同じだ。
ここに「策源地攻撃能力」という言葉は出てこない。
攻撃能力の保持に批判的なマスコミや野党を刺激するのを避けたのかもしれない。
一方、自民党は大綱策定前に13年6月、北朝鮮の核・ミサイル開発を受けて策源地攻撃能力について検討するよう、次のように提言していた。
「同盟国による『拡大抑止』の信頼性を一層強固にする観点から、従前から法理上は可能とされてきた自衛隊による『策源地攻撃能力』の保持について、周辺国の核兵器・弾道ミサイル等の開発・配備状況も踏まえつつ、検討を開始し、速やかに結論を得る」(https://www.jimin.jp/policy/policy_topics/pdf/pdf106_2_1.pdf)
ここに示されているように、策源地攻撃能力は敵を攻撃するのが直接の目的ではない。
あくまで攻撃を思いとどまらせる抑止力を高めるためだ。
日本が盾(防御)、米国が鉾(攻撃)を担う従来の役割分担を踏まえつつ、日本も攻撃能力を備えることが抑止力強化になる、という考え方だ。
■米リポート衝撃の中身
そんな中、米国の有力シンクタンクである外交問題評議会(FCR)は9月、注目すべきリポートを発表した。
その中で、米国は北朝鮮を押さえ込むために中国との連携に期待しつつ、
中国が頼りにならないなら、米国は日本や韓国とともに
「北朝鮮の政治体制や核・ミサイル能力に対する直接攻撃を含む軍事・政治的行動をとらざるを得なくなる」可能性に言及している(http://www.cfr.org/north-korea/sharper-choice-north-korea/p38259)。
つまり、米国でも北朝鮮攻撃オプションが現実味を帯び始めているのだ。
日本はといえば、策源地攻撃能力が検討課題に上ってはいるが、実際には巡航ミサイルはもちろん、戦略爆撃機も攻撃型空母もない。
情報収集、偵察能力も不十分だ。
つまり、まだ頭の体操レベルと言っても過言ではない。
北朝鮮が着々と核・ミサイル開発を進める中、日本の対応が後手に回る恐れはないのか。
現実的な取り組みが必要だ。
』
JB Press 2016.9.13(火) 黒井 文太郎
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/47864
日本は「核ノドン」の脅威下に入ったと考えるべき
嘘とは言えない北朝鮮の「核ミサイル」保有宣言
北朝鮮、核弾頭の爆発実験に「成功」 ミサイル搭載可能と発表
●北朝鮮で起きた揺れの震源を指す韓国気象庁の職員(2016年9月9日撮影)。(c)AFP/YONHAP〔AFPBB News〕
9月8日、北朝鮮が5回目の核実験を行った。
筆者は先月、北朝鮮のノドン発射を受けて8月9日に当サイトに以下のような記事を寄稿した。
「北朝鮮はさらに大きな軍事行動に出てくる ~ノドンを秋田沖へ発射、次は核実験かムスダン長距離発射か」
(http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/47565)
まさにその予想通りの展開となったわけだが、その予想自体は難しいものでも何でもない。
北朝鮮の行動をみていれば十分に考えられることだ。
■北朝鮮は核弾頭を実現しているのか
北朝鮮の動向が今後の日本にどう影響するかということを検討するうえで、最も重要なのは、北朝鮮はすでに核爆弾の小型化に成功し、弾道ミサイルに核弾頭を搭載しているのかどうかということだろう。
もしもそれが実現されていれば、すでにノドンの射程内にある日本は、核ミサイルの脅威下にあるということになる。
核ミサイルができているのかいないのかは、まさに日本の安全保障を左右する重大事なのだ。
今回、北朝鮮は核実験成功を伝える声明のなかで、「核弾頭」の爆破実験に成功したと主張している。
こうした言い方は初めてであるため、
「いよいよ今回、初めて核爆弾の小型化に成功し、弾道ミサイルに核弾頭を搭載できるようになったのではないか」
との憶測が広がりつつある。
しかし、北朝鮮はすでに自分たちが起爆装置の小型化に成功し、核ミサイル戦力を保有するに至ったことを、2013年の核実験の際にすでに宣言している。
核ミサイル武装を今回初めて主張したわけではないのだ。
ただ、北朝鮮が言うことが事実かどうかは、誰にも分からない。
諸外国も、中国やロシアも含めて、北朝鮮が核ミサイル戦力を実現化したとは明言していない。
本当に分からないのだ。
■日本政府は「核ミサイル配備のリスクが増大」
日本政府はどうみているのか。
稲田防衛相は9月9日の記者会見で、
「北朝鮮が、核兵器の小型化・弾頭化の実現に至っているという可能性は否定できない」
と発言した。
ちなみに、日本政府の公式見解として『防衛白書』各年版(毎年7~8月に刊行)をみると、2012年版では
「比較的短期間のうちに、核兵器の小型化・弾頭化の実現に至る可能性も排除できず、関連動向に注目していく必要がある」
と、いまだ実現できていないとの見通しだった。
それに対し、2013年2月の3回目の核実験を経た2013年版では、
「比較的短期間のうちに、核兵器の小型化・弾頭化の実現に至っている可能性も排除できず、関連動向に注目していく必要がある」
と、すでに完成している可能性に初めて言及している。
日本政府・防衛省は、2013年の核実験を経て北朝鮮が核ミサイル武装を自称したことを受け、それを否定はしていないのだ。
さらに、2014年版では前年版と同様の記述だったが、2015年版では「実現に至っている可能性を排除できない」との前年同様の記述の後に
「時間の経過とともに、わが国が射程内に入る核弾頭搭載弾道ミサイルが配備されるリスクが増大していくものと考えられ、関連動向に注目していく必要がある」
との記述が新たに書き加えられている。
核ミサイルが完成している可能性は否定できないと言っているものの、日本を射程におさめる核ミサイルはまだ配備されていないとみているわけだ。
矛盾している記述だが、つまりは「よく分かっていない」ということだろう。
今年1月の4回目の核実験を経て今年8月2日に発表されたばかりの2016年版では、これまでの「可能性を排除できない」とのきわめて懐疑的な記述から、「核兵器の小型化・弾頭化の実現に至っている可能性も考えられる」
と一歩踏み込んだ記述になっている。
時間の経過を経て、可能性を一段階高く見積もったのだろう。
ただし、その最新版においても、
「時間の経過とともに、わが国が射程内に入る核弾頭搭載弾道ミサイルが配備されるリスクが増大していくものと考えられ、関連動向に重大な関心をもって注目していく必要がある」
と記述されており、いまだ日本を射程におさめる核ミサイルは配備されていないとの見通しとなっている。
核弾頭が実現している可能性があるのに、核ノドンがまだ配備されていないとの見通しの理由は不明だ。
核弾頭が実現している可能性があるなら、当然、核ノドンが配備されている可能性もあるはずである。
■「核ミサイルはまだ実現していない」とみる根拠はない
エビデンス(証拠)という観点でいうと、確かなことは、北朝鮮が核弾頭を実現化しているかどうかを断定できる証拠はないということである。
実現化しているかもしれないし、まだしていないかもしれないのだ。
では、それを推測するための根拠はどうだろうか?
まだ実現していないと推定する根拠としては
「証拠がない」
「小型化技術は難しい」
「米韓が核弾頭実現を断定していない」
の3点がある。
逆にいえば、それ以外の根拠がない。
他方、証拠性は決定的ではないが、
すでに実現していることを示唆する根拠は多い。
たとえば「小型化技術は難しい」に関しては、他の核保有国の過去事例をみると、米国とソ連は1950年代、英国、フランス、中国も60年代には核弾頭を実現している。
★.難しい技術ではあるが、核爆弾を作ってから何十年もかかっているわけではない。
北朝鮮が初の核実験に成功したのは2006年で、それから2009年、2013年、2016年に2回と、核実験を積み重ねてきた時間的経過を考慮すれば、すでに実現化した可能性は充分に高い。
★.また、「米韓が断定していない」に関しては、北朝鮮の核保有を容認しないという各国の政治的立場が背景にある。
公式には北朝鮮を核ミサイル保有国と認識しないことが、外交の場では北朝鮮の発言力を抑えることに繋がる。
したがって、米韓当局は仮に実際は核弾頭が実現されたものと推測していても、よほど強力なエビデンスが公開されない限り、公式にそうは発言しないだろう。
1月の実験の際、北朝鮮側は「水爆実験に成功」と自称しているが、水爆実験での爆発規模は通常ははるかに大きいので、まず水爆とは考えられず、実際には小規模な核融合技術を利用したブースト型核分裂弾の実験だった可能性がある(爆発規模が小さかったことから、ブースト段階は失敗した可能性が高い)。
小規模な核融合を使っているので、それを「水爆」と誇張しているのではないかと推測されるが、今回、前回実験からわずか8カ月で再実験したのは、前述したように開き直って遠慮なく核実験していこうということでもあるだろうが、もしかしたら前回時に失敗したブースト型の改良だけだったという可能性も考えられる。
そして、威力強化型の開発に本格的に乗り出しているなら、最も切実に要求される小型化はもう実現できているのではないか。
これはあくまで憶測にすぎないが、考えられないことではない。
★.もう1つの傍証としては、最も情報を持っているはずの米韓軍事当局が、
昨年から対北朝鮮の作戦計画をがらりと変えたということもある。
それまでの米韓軍の作戦計画は、基本的には北朝鮮軍の侵攻に応戦して、大規模な空爆・砲撃のうえで、正規軍陸上部隊の投入による制圧戦を想定していた。
だが、昨年からは、場合によっては先制攻撃で北朝鮮の核とミサイルの施設を特殊部隊で押さえることが想定されるようになった。
米韓軍がそれだけ、北朝鮮の核ミサイルを現実の脅威と考えるようになった証拠である。
結局、北朝鮮がすでに核弾頭を完成し、日本を核ノドンの脅威下においたかどうか
は不明である。
しかし、「まだ実現されていない」と断定する根拠はない。
実現されている可能性は間違いなく存在し、否定することはできないのだ。
少なくとも日本は「すでに核ノドンの脅威下に入った」ことを大前提に、防衛体制の根本的な再検討を急ぐべきだろう。
』
『
ロイター 2016年 09月 13日 17:16 JST
http://jp.reuters.com/article/column-north-korea-nuke-test-idJPKCN11J0RB?sp=true
コラム:北朝鮮、このタイミングで核実験を強行した理由
[12日 ロイター] -
北朝鮮が先週、5回目となる核実験の実施を決断した理由は何か。
報復を受けずにすむよう、再び中国が手を打ってくれると北朝鮮が考えていたことは間違いない。
北朝鮮が1月に4回目の核実験を行った後、国連安全保障理事会は同国に対し、これまでで最も厳しい制裁決議を採択した。
隣国に長年悩まされ、実質的に唯一の貿易相手国である安保理常任理事国の中国も、同決議を受け入れたように思えた。
だが、朝鮮半島に関して「不戦、不乱、無核」とする中国の基本的な立場は変わっていない。
しばしば繰り返されるこれら一連の原則は偶然に並べ立てられたものではない。
中国が回避したい状況を順番に示している。
この中で核兵器は3番目に挙げられている。
朝鮮半島が戦争や混乱に陥った場合、難民流入や深刻な経済的苦痛といった形で、中国も矢面に立たされることになるだろう。
たとえ悩ましくとも、外交によって北朝鮮の核問題に対処することができるし、またそうすべきだと、中国はずっと考えている。
2013年に北朝鮮が3回目の核実験を行って以降、中国は北朝鮮対策の一環として経済的圧力を加えることに慣れているようだが、それでも不安定化するような事態にまで追い込もうとはしない。
このように、中国は特定の措置の一部を講じている。
しかし石炭に関しては、しばしば相当な抜け道を用意しているようだ。
制裁後の4月と5月、北朝鮮産石炭の中国への輸入量は激減したが、6月には堅調に回復している。
北朝鮮の当局者らは3月以降、中国の公式声明や裏ルートを通じての中国当局者とのやりとりから得られる情報、そして中国に駐在する自国ビジネスマンから届けられる事実を注視していただろう。
新たな制裁によって自国に科される「ニューノーマル」にうまく対処できることを理解し、中国の基本的な立場は変わらず、新たに実験を行う余地があると判断した。
実際、中国は今回の核実験を受け、協議の場に戻ることを求めたが、米国と北朝鮮は互いに受け入れられるスタート地点すら見つけることができない。
米国のオバマ政権は最小限受け入れられるハードルを下げている。
ケリー国務長官は9日、ジュネーブで「金正恩氏がすべきことは『非核化について話し合う用意がある』と言うことだけだ」と端的に表現したことにそれは表れている。
近い将来、北朝鮮が何らかの非核化について協議したいと思うかどうかについては、専門家の意見もやや割れている。
いつかそう思うかもしれないが、当面は、
米国本土に対して確かな脅威を保有することは、他に代わるものがないほど有利であると考えている。
金正恩氏からしてみれば、強い立場から交渉してなぜいけないのか、といったところだろう。
北朝鮮は今回、建国記念日に核実験を実施したが、それは「なぜ今か」という疑問の真の答えにはならない。
例えば、なぜ北朝鮮は、核実験の実施を米大統領選にもっと近い日まで待てなかったのか。
多くの情報で飽和状態にある有権者は、11月の本選挙までには核実験のことをほとんど忘れているだろう。
もし10月後半に核実験を行えば、共和党大統領候補のドナルド・トランプ氏に、民主党のオバマ大統領とヒラリー・クリントン候補の外交戦略に対する新たな攻撃材料を与えることになる。
従来の外交的慣習を無視し、極東についての知識がないように見えることを考えると、予測不可能なトランプ氏の方を、北朝鮮は好んでいるはずだ。
あるいは、急速に悪化していた中国と韓国の関係を、なぜもう少し長引かせなかったのか。
北朝鮮が1月に4回目となる核実験を実施したのを受け、韓国は、自国に米国の最新鋭地上配備型迎撃システム「高高度防衛ミサイル(THAAD)」の配備を決めた。
同配備をめぐっては、中国が激しく反対していることを主な理由に、韓国国内で物議を醸している。
中国はTHAADを、米国が中国封じ込め戦略の一環として中国人民解放軍を標的にするとみている。
THAADをめぐって、中韓関係は数カ月で緊張状態に陥った。
韓国国民は中国による何らかの経済報復を心配している。
2国間のイベントはキャンセルされ、ビザ(査証)取得に関するうわさも流れている。
北朝鮮は、中国と韓国の間の険悪な雰囲気から、もし今5回目の核実験を実施するなら、このような隔たりは自国に対する協力を妨げることになると判断したのかもしれない。
しかしなぜもうしばらく待って、中国のTHAADに関する発言が、さらに強硬な報復措置へと向かうかどうか見極めなかったのだろうか。
そうなれば、今度は韓国で反中国の気運が高まり、両国で強力な負のサイクルが生まれかねない。
今、実験を行うことで、北朝鮮は、中国と韓国の間で深刻な不協和音となりかねない問題を沈静化させるというリスクを冒している。
とはいうものの、北朝鮮が5回目の核実験を実施した日の中国国営メディア「環球時報」の論説は、核開発とTHAADを同じレベルで扱い、双方の罪の重さを同等と見なしているようだった。
もしこれが中国政府の立場を本当に反映しているのなら、北朝鮮の判断は恐らく正しかったと言える。
実際のところ、北朝鮮の不透明さゆえに、このタイミングでなぜ5回目の核実験を行ったかを正確に知ることは難しい。
だが、金正恩氏の下で北朝鮮が考えている長期的戦略についてはもっと明らかだ。
つまりそれは、
北朝鮮が、ミサイルに搭載可能な核弾頭の小型化と、米国本土まで届くミサイルの開発に成功する(あるいはそれに近づく)ことだ。
*筆者は豪マッコーリー大学の名誉フェロー。
*本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。
』
現代ビジネス 2016/09/23 長谷川 幸洋ジャーナリスト
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/49783
北朝鮮核問題。
ついに日本も「攻撃能力」を考える時がきたか
対応が後手に回ってはマズイ
■脅威にどう対抗するのか
日本海に向けた北朝鮮の弾道ミサイル発射を受けて、日本の防衛体制に対する懸念が高まっている。
日本は迎撃ミサイルで撃ち落とす構えだが、それだけで本当に大丈夫か。
敵の基地をたたく「策源地攻撃能力」の整備を急ぐべきだ。
北朝鮮は9月5日、日本海に弾道ミサイル3発を発射した。
中距離弾道ミサイル「ノドン」か短距離弾道ミサイル「スカッド」とみられており、日本の排他的経済水域(EEZ)内に着弾した。
日本政府が確認しているだけで、北朝鮮は今年に入って21発のミサイルを発射している。
8月3日にもノドン2発がEEZ内に着弾し、同24日には潜水艦発射ミサイル(SLBM)も発射された。
漁船などに着弾していたら一大事だった。
北朝鮮は9月10日、5回目の核実験にも成功した。
弾道ミサイルへの搭載を想定した「核弾頭の爆発実験」とみられている。
5回の核実験に成功すれば小型・軽量化が格段に進むと言われていたが、北の核ミサイルはいよいよ現実味を帯びてきた。
こうなると、核とミサイルの脅威にどう対抗するのか、
が問題の核心になる。
日本はミサイル攻撃には二段構えの迎撃ミサイルで撃ち落とすのを防御の基本にしてきた。
第一段は敵ミサイルの発射直後に大気圏外で迎え撃つイージス艦発射ミサイルの「SM-3 Block・A」、第二段が大気圏に再突入した後、地上から迎撃する「PAC-3 MSE」である。
パトリオットの名前で知られるPAC-3は、防衛庁や島嶼地域などに配備されるたびに映像が公開されているので、見覚えがあるだろう。
ドンの速さは「マッハ7以上」とも言われている。
そんなミサイルを「ミサイルで撃ち落とせるのか」
という疑問はだれでも抱く。
迎撃の命中率は米国の実験でSM-3もPAC-3も80%以上だった。
ということは、残り20%弱は失敗という話でもある。
SM-3とPAC-3に加えて、韓国が配備を決めた高高度防衛ミサイル(THHAD)を日本も採用する案もある。
北のミサイルに脅やかされているのは、日本も韓国と同じなのだから、THHADも前向きに検討すべきだろう。
■発射基地への攻撃も考える時が来た?
ここからが本題だ。
北のミサイルを各種の迎撃ミサイルで迎え撃つのは必要としても、それで十分か。
私は十分とは思えない。
迎撃に失敗する可能性があるからだ。
それならば、ミサイル発射基地そのものに対する攻撃も選択肢に考えるべきではないか。
それは「策源地攻撃能力」と呼ばれている。
ノドンはトレーラーのような移動式発射台(TEL=Transporter Erector Launcher vehicle)から発射される。
発射直前まで地下や森の中などに隠されていて、発射後は直ちに移動するので、上空から発見しにくく、かつ攻撃しにくい。
目標が移動しない基地とは区別して策源地と呼んでいる。
もともと策源地とは前線への武器弾薬を補給する後方基地という意味だ。
敵の策源地を直接攻撃して専守防衛に反しないのか、という批判もある。
だが「専守防衛には反しない」というのが歴代の、少なくとも自民党政権の考え方だった。
たとえば、1956年3月1日の衆院内閣委員会では当時の鳩山一郎首相が
「わが国土に対し誘導爆弾等による攻撃が行われた場合『座して自滅を待つべし』が憲法の趣旨とは考えられない。
必要最小限度の措置をとる、たとえば他に手段がないと認められる限り、誘導弾の基地をたたくことは法理的に自衛の範囲に含まれ、可能と思います」(一部略)
と答弁している。
その後の自民党政権もこの考え方を維持した。
自民党だけでもない。
民主党の前原誠司衆院議員は2003年3月27日の衆院安全保障委員会で
「同盟関係を見直す中で、少なくとも自国(=日本)である程度のそういう能力(=打撃力)を持つことは今後、検討すべきじゃないかと申し上げている」(同)
と発言している。
■現政権の考え方は?
安倍晋三政権はどうかといえば当然、検討課題に掲げている。
具体的に言うと、2013年12月に策定された防衛計画の大綱(防衛大綱、http://www.mod.go.jp/j/approach/agenda/guideline/2014/pdf/20131217.pdf)には、次のように記載されている。
「北朝鮮の弾道ミサイル能力の向上を踏まえ、我が国の弾道ミサイル対処能力の総合的な向上を図る。
弾道ミサイル防衛システムについては、我が国全域を防護し得る能力を強化するため、即応態勢、同時対処能力及び継続的に対処できる能力を強化する」
「また、日米間の適切な役割分担に基づき、日米同盟全体の抑止力の強化のため、我が国自身の抑止・対処能力の強化を図るよう、弾道ミサイル発射手段等に対する対応能力の在り方についても検討の上、必要な措置を講ずる」(防衛大綱、18ページ)
また、大綱を受けて具体的な装備計画を定めた中期防衛力整備計画(中期防、http://www.mod.go.jp/j/approach/agenda/guideline/2014/pdf/chuki_seibi26-30.pdf)には、次のように記されている。
「日米間の適切な役割分担に基づき、日米同盟全体の抑止力の強化のため、我が国自身の抑止・対処能力の強化を図るよう、弾道ミサイル発射手段等に対する対応能力の在り方についても検討の上、必要な措置を講ずる」(中期防、8ページ)
一読してお分かりのとおり「日米間の適切な役割分担に基づき…」以下は、防衛大綱と中期防の書きぶりがまったく同じだ。
ここに「策源地攻撃能力」という言葉は出てこない。
攻撃能力の保持に批判的なマスコミや野党を刺激するのを避けたのかもしれない。
一方、自民党は大綱策定前に13年6月、北朝鮮の核・ミサイル開発を受けて策源地攻撃能力について検討するよう、次のように提言していた。
「同盟国による『拡大抑止』の信頼性を一層強固にする観点から、従前から法理上は可能とされてきた自衛隊による『策源地攻撃能力』の保持について、周辺国の核兵器・弾道ミサイル等の開発・配備状況も踏まえつつ、検討を開始し、速やかに結論を得る」(https://www.jimin.jp/policy/policy_topics/pdf/pdf106_2_1.pdf)
ここに示されているように、策源地攻撃能力は敵を攻撃するのが直接の目的ではない。
あくまで攻撃を思いとどまらせる抑止力を高めるためだ。
日本が盾(防御)、米国が鉾(攻撃)を担う従来の役割分担を踏まえつつ、日本も攻撃能力を備えることが抑止力強化になる、という考え方だ。
■米リポート衝撃の中身
そんな中、米国の有力シンクタンクである外交問題評議会(FCR)は9月、注目すべきリポートを発表した。
その中で、米国は北朝鮮を押さえ込むために中国との連携に期待しつつ、
中国が頼りにならないなら、米国は日本や韓国とともに
「北朝鮮の政治体制や核・ミサイル能力に対する直接攻撃を含む軍事・政治的行動をとらざるを得なくなる」可能性に言及している(http://www.cfr.org/north-korea/sharper-choice-north-korea/p38259)。
つまり、米国でも北朝鮮攻撃オプションが現実味を帯び始めているのだ。
日本はといえば、策源地攻撃能力が検討課題に上ってはいるが、実際には巡航ミサイルはもちろん、戦略爆撃機も攻撃型空母もない。
情報収集、偵察能力も不十分だ。
つまり、まだ頭の体操レベルと言っても過言ではない。
北朝鮮が着々と核・ミサイル開発を進める中、日本の対応が後手に回る恐れはないのか。
現実的な取り組みが必要だ。
』
『
読売新聞 9月12日(月)23時3分配信
内閣支持上昇62%、北制裁「強化を」81%
読売新聞社は9~11日、全国世論調査を実施した。
安倍内閣の支持率は62%で、前回調査(8月9~10日)の54%から8ポイント上昇した。
今年4月から携帯電話の利用者も調査対象に加えたため、単純比較はできないが、支持率が60%台となったのは2014年10月以来約2年ぶり。
不支持率は29%(前回30%)だった。
9日に北朝鮮が5回目の核実験を強行したことで危機意識が高まり、国際社会と連携して対応にあたる安倍内閣への支持に結びついたとみられる。
北朝鮮に対し、日本が制裁を「強めるべきだ」との回答は81%に上っている。
北方領土問題を解決するため、ロシアとの経済協力を積極的に進める安倍首相の方針は「評価する」が66%に上り、「評価しない」の27%を大きく上回った。
しかし、北方領土問題が「解決に向かう」と思う人は22%で、「そうは思わない」が71%を占め、ロシアとの領土交渉の先行きには厳しい見方が多い。
』
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