2016年9月4日日曜日

中国のG20(1):中国職員とライス大統領補佐官は口論、「ここはわれわれの国だ!」 「ここはわれわれの空港だ」

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 招待しているのは中国なのだが、拒否しているのも中国のようである。
 中国は外交というものが分かっていないようである。
 世界から「田舎者の成金お大臣!」といった評価になることは避けられないようだ。
  外交的には大きな失敗ということになる。
 ほとんど何も期待できない中国のG20だが、小話には事欠かないようである。
 
 G20とは「習近平]の皇帝としてのおひろめなのか、それとも最後の宴なのか?
 どちらだかはわからない。
 何しろ分からないことだらけの国が中国だからだ。
 でも、経済が立ち行かなくと皇帝も失墜する。
 それを体外政治で補おうとすることになるが、経済か領土かというバランスが微妙だ。
 アメリカ大統領が決まるまでは、世界各国は静観の時期に入る。
 しばらくのお休みか?


AFP=時事 9月4日(日)14時43分配信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160904-00000020-jij_afp-int

中国職員「ここはわれわれの国だ」 
オバマ米大統領到着時に怒鳴る

 【AFP=時事】
 バラク・オバマ(Barack Obama)米大統領は3日、20か国・地域(G20)首脳会議に出席するため、任期中最後の中国訪問で東部・杭州(Hangzhou)に到着したが、その際、滑走路で聞かれた非外交的な怒鳴り声により儀礼的な繊細さが損なわれる一幕があった。

 中国当局はG20のために極めて厳重な警備態勢を敷いており、米大統領専用機「エアフォース・ワン(Air Force One)」が着陸した際、スーザン・ライス(Susan Rice)米大統領補佐官(国家安全保障問題担当)やホワイトハウス(White House)担当の記者団さえも例外扱いしなかった。

 オバマ大統領の外遊時、同行する記者団は通常ならばエアフォース・ワンの翼の下で、タラップを降りてくる大統領を見守るのだが、今回は中国側が設置した青いロープの後ろに追いやられた。

 だが、中国側にとってはそれでも十分とはいえなかったようで、中国側の警備員の1人がホワイトハウスの職員に向かって、米国の報道陣を退去させるよう要求した。

 これに対しホワイトハウスの女性職員が、(エアフォース・ワン)は米国の飛行機で米国の大統領が乗っている、と言うと、黒っぽいスーツを着ていた中国側の職員が英語で
 「ここはわれわれの国だ!」
 「ここはわれわれの空港だ」
と怒鳴った。

 さらに、ライス大統領補佐官とベン・ローズ(Ben Rhodes)大統領副補佐官が、オバマ大統領に近寄ろうとしてロープを持ち上げその下をくぐろうとした際には、同じ中国側の職員がライス大統領補佐官にいら立ちを示し、行く手を遮ろうとした。



 中国側の職員とライス大統領補佐官は口論になったが、
 同補佐官の護衛官が間に入り、補佐官を先導して中国側の職員をやり過ごした。



産経ニュース 2016.9.4 16:47
http://www.sankei.com/world/news/160904/wor1609040024-n1.html

中国、意図的に? 
オバマ氏のタラップ用意せず 
空港で側近・記者とも揉めて
…当局は火消し躍起


●大統領専用機「エアフォース・ワン」から機体備え付けの階段を使って降りるオバマ米大統領=3日、中国・杭州(AP)

 20カ国・地域(G20)首脳会議のため中国・杭州の空港に到着したオバマ米大統領の専用機に、中国側がタラップ(移動式の階段)を用意しなかった接遇が、外交儀礼に反しているとの見方を欧米メディアが報じている。
 両国間で南シナ海問題やサイバー攻撃などの懸案が横たわる中、
 「中国の意図的な冷遇だ」とも取り沙汰
されている。

 3日、大統領専用機「エアフォース・ワン」が着陸した際、オバマ氏は機体に備え付けの階段を使って降り立った。
 通常は受け入れ国側が、赤じゅうたんを敷いたタラップ(移動式の階段)を乗降口に寄せ、首脳を迎える。
 だが、この日はタラップがなく、オバマ氏は普段は使わない乗降口から、機体から引き出した階段をつたって降りた。

 中国はインドやロシア、韓国など、G20出席のため杭州に着いた他国の首脳らは通例のタラップを用意して出迎えた。
 そうしたことから英紙ガーディアン(電子版)は、中国駐在経験のある元外交官の声を引きながら
 「中国は外交儀礼にうるさい。
 計算ずくの冷たいあしらいだ」
と伝えた。

 また、米メディアの大統領同行記者に加え、一部の大統領側近さえも、空港到着後に中国の警備当局から移動が厳しく制限され、トラブルとなった。
 米スタッフは現場で中国側に抗議したといい、
 「これまでみたことがない」(米紙ニューヨーク・タイムズ)接遇ぶりだった
という。

 もっとも、香港紙サウスチャイナ・モーニング・ポストはこうした欧米メディアの報道後、タラップを用意しなかったのは「米国側の要請に応じたもの」とする匿名の中国外交当局者の見解を伝えており、中国側は火消しに躍起のようだ。



読売新聞 9月4日(日)18時57分配信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160904-00050059-yom-int

米大統領到着時、米中当局者どなり合い

 【杭州=大木聖馬】
 オバマ米大統領が3日に大統領専用機で杭州の空港に到着した際、米メディアの取材を規制しようとする中国政府当局者と米政府当局者との間でどなり合いが起きた。

 オバマ氏は、専用機が普段利用するドアにタラップが用意されなかったため、別のドアから降りた。
 米メディアが移動して撮影しようとしたところ、中国当局者に制止された。
 米国の女性当局者が「我々の大統領で、我々の飛行機だ」と訴えると、中国当局者は「ここは我々の国だ」とどなり返し、オバマ氏に近寄ろうとしたスーザン・ライス大統領補佐官も遮った。

 中国はG20開催にあたって厳戒態勢を敷いており、米メディアとの間で取材を巡るトラブルが相次いでいる。
 米中の「場外衝突」を受け、オバマ氏は4日の記者会見で「スローモーションで(じっくり)とりあげるつもりはない」と述べて沈静化を図った。
 「取材のアクセスを後押しすることについて我々は謝罪しない」
と中国側に理解も求めた。


時事通信 9月4日(日)22時44分配信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160904-00000088-jij-cn

米中当局者が怒鳴り合い
=大統領到着の取材制限で―G20

 【杭州時事】オバマ米大統領が3日に20カ国・地域(G20)首脳会議出席のため専用機で中国・杭州の空港に到着した際、中国側が取材制限したため、ホワイトハウス職員と中国当局者が怒鳴り合う一幕があった。

 中国側は、大統領に近寄ろうとするライス大統領補佐官らも排除しようとした。

 米メディアによると、
 専用機が到着しても中国側が赤じゅうたんを敷いたタラップで出迎えなかったため、
 大統領は取材位置から離れた専用機の別のドアから姿を現した。
 移動しようとする記者を制止する中国の警備当局者に米側が
 「われわれの大統領だ」
と抗議すると、
 「ここはわれわれの国だ」
と怒鳴り返してきたという。

 オバマ大統領は4日の記者会見で、
 「記者がわれわれの仕事に接するのは重要で、そうした価値は外国でも守る」
と指摘。
 その上で、こうしたことは中国以外の国でも起きるし
 「外国代表団が米国の安全手続きを問題視することもある」
と受け流した。 


レコードチャイナ 配信日時:2016年9月5日(月) 9時40分 如月 隼人
http://www.recordchina.co.jp/a149480.html

<コラム>G20出席のため訪中したオバマ大統領に杭州空港で暴言、
にじみ出てしまった「中国意識」

  AFP通信などによると、G20出席のため中国・杭州に到着したオバマ米大統領の一行に対して、中国側の空港係官が「ここはわれわれの国だ」などと、怒鳴り声をあげたとのこと。
 中国人の「大国意識」のあらわれとの見方も出たが、編者はそうでないと考える。
 そのことを説明したい。

 オバマ大統領が外遊する際、同行する記者団は大統領専用機のエアフォース・ワンの翼の下で、タラップを降りてくる大統領を見守ることが慣例になっているという。
 しかし杭州空港では、中国側が設置した青いロープの後ろに追いやられた。

 中国側はさらに、報道陣を退去させるよう要求した。
 米側職員が、エアフォース・ワンは米国機で、米国の大統領が乗っていると言うと、濃い色のスーツを着た中国側職員の1人が「ここはわれわれの国だ」、「ここはわれわれの空港だ」などと怒鳴ったという。
 同事態は、現場における中国側職員と米国のスーザン・ライス大統領補佐官の口論にまで発展した。 

 同件は日本でも報道された。茂木健一郎氏はツイッターで「こういう『大国意識』はいかがなものかと思います」と論評した。
 確かに。「なんと無礼なことか」と顔をしかめた日本人は多いだろう。

 ただ編者は、同件を理解するには、まずは
 中国人の「ルール」意識を理解する必要があるし、
 まして「大国意識のあらわれ」と解釈すべきではない
と考える。
 以下、そのことを論じる。

 まず、「中国人のルール意識」についてだが、「ルールというものは守らねばならない」との考えは、日本人に比べれば相当に希薄と言わざるをえない。
 ルールというのは、一定の立場にある者が自らの都合で定めたものだとの意識が強い。
 したがって、「ルールを守ることが善。破ることは悪」との意識は弱くなりがちだ。

 そして、その場その場で「このルールは守った方がよいかどうか」を考えることになる。
 誤解のないように付け加えるが、中国人のこのような「ルール意識」が、絶対によくないとまで主張するつもりはない。

 中国人と対照的に、ルール順守は美徳との意識が強固であるのが日本人だ。
 日本社会はそのおかげで秩序正しく運営され、日常生活も気持ちよくすごしやすいとの長所がある。
 しかしその反面、なんのために設けられたか分からないルールも多くなり、そのルールの存在自体が社会にとって本当に役に立っているかどうか疑問がある場合でも「ルールなのだから守らねばならない」との意識が先行しがちという問題も抱えることになってしまったのではないか。

 話が脱線してしまったが、中国人にとって「ルール」とは決して、絶対的な行動規範でないことをご理解願いたい。
 ところが、その中国人が「ルールの順守」を強調する場合も意外に多い。
 このようなケースは、ルール順守を「大義名分」にすればその場を上手に処理できると、当事者が判断した場合に多く見られる。

 オバマ大統領の訪中に際して、中国側が「安全確保」を最重要課題の1つにしたことは間違いない。
 そのこと自体は受入国としての責務の遂行であるから、非難する点はまったくない。
 そこで推察できることは、オバマ大統領一行の受け入れに際して、「細かいルール」が大量に定められ、現場担当者がルール順守を厳しく求められたとの状況だ。

 このような場面で中国側担当者が、「定められルールを完璧に守ることができねば、あるいはすべての者に守らせねば、自分の責任になる」と考え、“職務に厳格かつ忠実に励む”ことを決意したことは、容易に想像できる。
 しかも、ルール策定に当たっては、米国側の慣例の研究が不十分であったため、「とにかく、大統領本人以外は、この線から出てはいけない」というルールが作られ、中国側担当者が妥協なく守ろうとしたという構図だ。
 中国人社会にある程度以上接した経験のある人ならば、「普段はルールに対してかなり無頓着なのに、特定の状況ではルールを頑なに墨守しようと主張する中国人の性癖」については、思い当たるところがあるはずだ。

 細かく分析したいことはまだずいぶん多いのだが、
 次に考えてみたいのは、中国側担当者が語ったとされる
 「ここはわれわれの国だ」、「ここはわれわれの空港だ」との発言だ。

 外国からの賓客、しかも自国として何が何でも成功させたいG20で重要な役割を担う米大統領一行に対する発言として、極めて不適切と言うしかない。
 このような発言が飛び出した背景には、編者が前から指摘してきた、中国人の発想にしばしば見られる「戦闘モードへのスイッチ切り替え」があると思われる。

つまり、自分のその場その場での言動の基準が、
 「何が正しく、何が正しくないか」、
 「何が理屈に合い、何が合わないか」
よりも、
 「相手に勝利する」という目的のために、突然切り替わってしまう現象だ。
 ただここでは、中国人の考え方の「モード切替」現象ではなく、「ここはわれわれの国だ」といった発言内容について考えてみたい。

 切羽詰まった状況で出た発言であるからには、
 発言者の日ごろの「内心」が反映されていたと理解してよいだろう。
 中国人にとって米国は(実は日本も近いのだが)、感情面で複雑な対象だ。
 自国については、相当に自信がついてきた。
 「われわれは、もはや弱小国ではない」との自負心がある。
 相手の言動に唯々諾々と従う必要はないと考える。
 しかしその一方で、自らの国は相手の真の実力にはとうてい及ばないということも、しっかりと自覚している。
 つまり、相手が「真の大国」と思わざるをえない場合には「われわれの立場は、そこまで強固でない」と見極める冷静さを持ち合わせている。

 「ここはわれわれの国だ」発言が飛び出た背景には、
 世界における自らの立場を考えるにつれ、しみじみ感じる「やるせなさ」があると考えてよい。

 中国人の意識には「みずからはもはや、弱小国ではない」という自負心がある。
 その反面で「わが国はまだ、世界の大国とはいいがたい」との認識もある。
 自国は「大国」でもなく「小国」でもない。そういった、自国についてのまさに“中国意識”が、「ここはわれわれの国だ」との発言に結びついたと理解できる。(9月5日寄稿)

■筆者プロフィール:如月隼人
日本では数学とその他の科学分野を勉強したが、何を考えたか北京に留学して民族音楽理論を専攻。日本に戻ってからは食べるために編集記者を稼業とするようになり、ついのめりこむ。「中国の空気」を読者の皆様に感じていただきたいとの想いで、「爆発」、「それっ」などのシリーズ記事を執筆。

 自分の言っている論理少々おかしい事は書いている本人もウスウス気がついていることだろう。
 外国にいってすべて向こうの考えにあわせなければいけないなら会談なんて何の意味もなくなる、ということになる。
 弁護しようとすると論理が飛躍してしまうことはいたしかたない。
 でも同じ土俵に乗らない限り、前進はない。
 自負心の問題ではなく、警備するものの職務としてのあり方が問われるべきところを、この論者はそこのところをすり替えている。
 愛国無罪ほどではないが、それに近い論理で話を進めている。
 そして、それに自信がないことも表現にあらわれている。
 つまらない言葉の束をくくってしまっているようである。
 そう本人も思っているようだ。


Record china配信日時:2016年9月5日(月) 12時40分
http://www.recordchina.co.jp/a149471.html

米中職員の言い争いに海外メディアへの取材妨害、
異例続きのG20サミット―米メディア

  2016年9月4日、米ラジオ局ボイス・オブ・アメリカ中国語版サイトは米中の職員が中国の空港で言い争いをしたことについて取り上げた。

 G20サミットが開催されている浙江省杭州市では思わぬ混乱が生じている。
 3日、空港での出来事。オバマ大統領を乗せたエアフォースワンが到着したが、撮影しようとした報道陣と中国の警備員の間で言い争いとなり、中国警備員が「ここはわれわれの国だ!」と叫ぶ一幕まであった。
 また、警戒線を超えて大統領の車に近づこうとしたライス大統領補佐官に対し、中国側職員が行く手をさえぎろうとして口論となった。

 海外メディアの取材も制限されている。
 BBCは杭州市内を取材、治安対策のため市民の多くが旅行にでかけゴーストタウンと化した街を撮影した。
 残っていた住民にインタビューしようとすると、あっという間に私服警官が集まり、プレスパスを出すように要求されるなど取材を妨害されたという。
 また、独ラジオ局ドイチェ・ヴェレはプレスパスが発効されず、「受け入れがたい判断」と怒りの声明を発表している。



ロイター 2016年 09月 7日 08:35 JST
http://jp.reuters.com/article/china-g-idJPKCN11C0PT?sp=true

アングル:中国が自賛するG20、水面下では難問めぐる攻防

[北京 6日 ロイター] -
 中国は、浙江省杭州市で開催した20カ国・地域(G20)首脳会合について、あからさまな対立もほとんどなく、ぜい弱な世界経済に対するさまざまな対策の必要性において各国のコンセンサスが得られ、ホスト国として成功裏に終えることができたと自画自賛する。

 温室効果ガスの2大排出国である中国と米国は、昨年12月の第21回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP21)で採択された温暖化対策「パリ協定」を批准したと共同で発表さえしている。

  しかし、世界で最も影響力のあるリーダーたちが集結した今回のG20は、水面下でも順調に進んだわけではない。
 北朝鮮が弾道ミサイル3発を発射し、米国とロシアはシリア停戦をめぐり合意に達することはできず、保護貿易主義に対して具体策を打ち出せなかったことは外交的失敗だったと言える。

 中国の国営メディアは、南シナ海のような問題で影が薄れるようなこともなく、サミットの栄光におおむね浴することができたとする一方で、自国の経済的野望を邪魔する西側の動きに対する中国政府の不満を漏らしている。

 G20の数週間前、中国は、保護主義と被害妄想のように感じられる、自国の海外投資に対する「不当な疑惑」について、とりわけ不満を募らせていた。
 オーストラリア政府は、電力公社オースグリッドの売却入札で中国企業からの応札を拒否した。
 一方、英国も、中国が出資予定の英サマセット州ヒンクリーポイントの原発新設計画を延期している。

■<G20の舞台裏>

 西側諸国は水面下で、自国の目標を堅持していないとして中国を非難していた。
 G20開催前、欧州のG20関係筋は、中国による議題が、世界経済の持続可能な成長にとって、真の意味で新たな節目となることに懐疑的だった。
 中国は保護主義に対抗すべく、さらなる開放と措置を公然と求めてはいるが、西側の投資家にとって同国市場へのアクセスはいまだ非常に限られていると、欧州当局者は語る。

 中国の外国人投資家が抱える大きな懸念は、同国でビジネスを行うのがますます困難になっていると感じられることだ。
 その背景には、効果的に外国人を締め出そうとする新たな法律や政策がある。
 「習近平国家主席は、世界中で高まる保護主義に対抗する必要性について、はっきりと警鐘を鳴らした」
と、在中米国商工会議所のジェームズ・ジマーマン会頭は言う。
 「だが、行動は言葉よりも雄弁だ。
 必要な国内改革を実施したり、外国の製品やサービスやテクノロジーに市場をもっと開放したりするのは中国次第なのだから」

 杭州G20に詳しい複数の外交官によると、中国は当初、鉄鋼の過剰生産問題を共同声明に盛り込むことに抵抗していたが、結局、鉄鋼の供給過剰についてG20で協力することが盛り込まれた。
 中国からの安い輸入品のせいで鉄鋼業界が危機的状況にある英国のような国にとって、この問題はカギとなる。
 英首相官邸の当局者によれば、英国と米国は、G20で鉄鋼問題に協力して取り組む重要性を共同声明に盛り込むよう迫ったという。

 G20を覆ったもう1つの暗い影は、英国民投票で決まった欧州連合(EU)離脱や、米大統領選の共和党候補であるドナルド・トランプ氏に体現されるような、自由貿易とグローバル化に対する世間の反発が高まっていることだ。
 「貿易と自由市場の恩恵は、より多くの人々にもっと効果的に伝えられるべきだとするG20の分析に賛成だ」
と語るのは、国際商業会議所のジョン・ダニロビッチ事務総長だ。
 「あらゆる人にとって貿易がなぜ重要なのかを説明するのに、政財界の協力は不可欠だ」
と、同事務総長は話した。

(Ben Blanchard記者 翻訳:伊藤典子 編集:下郡美紀)


現代ビジネス 2016.09.06 近藤 大介『週刊現代』編集次長
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/49650



G20中国
まさに現代の皇帝!習近平
「俺様による、俺様のためのG20」
 
■これぞ「現代の皇帝」!

 9月4日、5日に中国浙江省の省都・杭州で行われたG20は、まさに習近平の習近平による習近平のためのビッグ・イベントだった。
 中国経済は失速中とはいえ、また南シナ海や東シナ海での海洋進出で周辺国に脅威を与えているとはいえ、世界第2の経済大国としての存在感を、存分に見せつけた大会だった。

 まず、なぜ今回のG20を杭州で開催したかと言えば、習近平主席にとって、自分が浙江省党委書記(省トップ)を務めていた2002年から2007年が、黄金時代だったからである。
 習近平主席は2012年11月に共産党総書記に就いて以降、中南海(北京の最高幹部の職住地)に多くの浙江省時代の部下たちを呼び寄せており、中南海には浙江方言が飛び交っている。

 そこで今回、自らの地盤である浙江省に世界のVIPたちを呼び寄せるとともに、今後北京で重責を担う浙江人脈の面々に経験を積ませ、かつ自らの偉大性を思い知らせようとしたのである。

 さらに言うなら、杭州は、清朝で最も偉大な皇帝と言われる乾隆帝が、北京からわざわざ7回も訪れた都市であり、「現代の皇帝」を目指す習近平主席としては、あやかりたかったのかもしれない。
 実際、3日間にわたる習近平主席の挙措は、決して急がず焦らず大人風で、「現代の皇帝」を装っていた。

■美辞麗句の連続

 そんな「習近平のG20」は、9月3日午後3時から行われたビジネスサミットで幕を開けた。
 習近平主席はビジネスサミットの開幕式で、「中国の発展の新たな起点、全世界の成長の新たな青写真」と題した30分以上に及ぶ長い講演を行った。
 その要旨は、以下の通りだ。

「明日ついに、G20首脳会議が始まる。
ここ杭州は、歴史と文化の拠点であり、商業と貿易の中心だ。
歴史的にも白居易や蘇軾らが活躍し、西湖から大運河を引いてきた。
いまや杭州は新たな創業都市であり、インターネットを使ったビジネスが花盛りで、世界に名を馳せている。

私は浙江省に5年以上勤務し、この地の発展を見てきた。
中国には杭州のような都市は数多くある。
13億以上の人口大国が現代化を実現するのは、歴史上例のないことだ。
われわれは『石橋を叩いて渡るように』(鄧小平の言葉)改革開放を不断に深化させ、中国の特色ある社会主義を開拓し発展させていったのだ。

いまや中国は世界第2の経済大国となり、最大の貨物貿易国となり、第3の対外直接投資国となり、国民一人当たりのGDPは8,000ドルに近づいている。
7億人が貧困から抜け出し、他国が数百年かかった過程を数十年で駆け抜けている。

改革開放は38年に及び、いまや中国経済と世界経済は切っても切れない関係だ。
中国が『中等国の罠』に引っ掛かるのではと、多くの人が関心を寄せているが、これには回答を用意している。
今年の年初に、第13次5ヵ年計画を立て、刷新、協調、緑色、開放、共益という発展理念を強調した。
中国は継続して中高速度の発展を続け、世界にさらに多くの発展の機会をもたらす。

中国経済の発展は、新常態に入ったのだ。
われわれはいま、壮士腕を断つ覚悟で、『供給側構造改革』に取り組んでいる。
中国経済は大きいが強くなく、大きいが優れていないことは、よく認識している。
そこで発展の方向を変えて、想像力溢れる科学技術強国を建設していく。

具体的には、今後5年で単位GDPあたりの水量とエネルギー消費量と二酸化炭素排出量を、それぞれ23%、15%、18%減らしていく。
2016年からの供給側構造改革によって、5年で粗鋼生産量を1億トンから1.5億トン減らし、3年から5年で石炭生産を約5億トン減らす。
2020年までに、5700万人以上の貧困層を一掃する。

また、秩序ある人民元の為替レート改革を進め、徐々に国内の資本市場を開放していく。
それと同時に、人民元も世界へ出て行き、中国の金融業の国際化のレベルアップを図っていく。

私が提起した『一帯一路』(シルクロード経済ベルトと21世紀海上シルクロード)は中国と各国との共同の繁栄を目指したものだ。
すでにAIIB(アジアインフラ投資銀行)も始動し、アジアのインフラに積極的な影響を及ぼし始めている。

中国経済は今年の前半、6.7%の成長率を記録し、消費がGDPに占める割合は73.4%に達し、第3次産業が占める割合は54.1%に達している。
都市部の新規就業者は、717万人も増えた。
中国発展の前景は、日増しに明るくなっているのだ。

世界経済は複雑だが、
第一に創造型の世界経済を、
第二に開放型の世界経済を、
第三に連動型の世界経済を、
第四に包容型の世界経済を建設
していこうではないか。
また、われわれの行動努力として、
第一に平和で安定した国際環境の共同維持、
第二に皆が勝者となるグローバルな提携関係の構築、
第三にグローバル経済の整備
を進めていこうではないか。

G20は今回で10回目だ。
皆で手を取り合って、世界に貢献していこう」

 だいぶ要約したつもりだが、それでも訳していったらこんなに長くなってしまった。
 実際に言っていることは、美辞麗句の連続で、要は「中国経済はまだまだ大丈夫だから心配しないでくれ」と強調したかったのだ。

■日米の外堀が埋まりつつある

 最前列でひときわ大きな拍手をしているイケメン男を、中国中央テレビがアップで写していた。
 誰かと思えば、カナダのトルドー首相だった。
 カナダは今回、習近平政権の肝煎りで今年年初に北京に設立されたAIIB(アジアインフラ投資銀行)への参加を表明し、中国を歓喜させた。
 というわけで、最前列中央の特等席を用意されたのだろう。

 中国は、幹部の誰がトルドー首相に会っても、
 「あなたの父親が首相の時代に両国は国交正常化を果たしたのであり、中国の誰もがご尊父を尊敬している」
と言ってトルドー首相に媚びを売る。
 またトルドー首相としても、ますます影響力を持ちつつある中華系移民やチャイナマネーの投資を、無視できなくなってきている。

 ともあれ、これでAIIBに参加する先進国は、ドイツ、イギリス、フランス、イタリア、カナダと5ヵ国となった。
 日本とアメリカの外堀は埋められつつある。

 私は2年前から、日本はAIIBに参加すべきだと、重ねて主張してきた。
 日本は「ガバナンスと透明性が確保されていないから入らない」と言っているが、私に言わせれば、だからこそ入るのである。
 未経験の中国に代わって、ADB(アジア開発銀行)で半世紀の経験を持つ日本が、換骨奪胎させてしまうこともできようというものだ。

 そもそも「ガバナンスと透明性が確保された日中ビジネス」など存在しない。
 それでも日本企業は、年間3,000億ドル規模の貿易を中国と行っているのだ。

■「花」を持たせて「貸し」を作る

 さて、習近平主席は続いて3日の17時半から、昨年12月12日に合意された「パリ協定」の批准文書引き渡しの儀式に臨んだ。
 日本などは、秋の臨時国会か来年の通常国会で批准すればいいと、のんきに構えていたというのに、世界最大の温室効果ガス排出国の中国と、2位のアメリカが揃って、批准書を潘基文国連事務総長に手渡してしまったのである。

 登壇したのは、習近平主席、オバマ大統領、潘基文国連事務総長の3人のリーダー。
 習主席はこの場でも、中国、アメリカ、国連の3本の旗をバックに、威風堂々と演説に臨んだ。

「気候変化は人類の福祉と未来に関係するものであり、中国はG20の場で率先して、パリ協定を批准した。
最大の発展途上国である中国と、最大の先進国であるアメリカが、ここに対話と提携により批准に至ったのだ。
中国は創造、協調、緑色、開放、共益の発展理念のもとに、全面的にエコ社会作りを推進し、生態文明の新時代に向かって邁進していく」

 このイベントは中国側が、アメリカをけしかけて実現したものだった。
 かつて7年間も穴蔵生活を余儀なくされた習近平主席にとって、はっきり言って環境問題などどうでもよいに違いない。
 大事なのは、オバマ大統領と潘基文事務総長に「貸し」を作ることだった。

 まずオバマ大統領に対しては、あと4ヵ月で退任するので、オバマ時代の成果という「花」を持たせてやることで、南シナ海問題やサイバーテロ問題などについて、お目こぼしを得ようとしたのである。
 このことは後述する。

 また潘基文事務総長も、今年の年末で2期10年の任期を終え、退任が決まっている。
 そこでやはり、潘基文国連時代の成果という「花」を持たせたのである。
 なぜ花を持たせるかと言えば、潘基文は今年の大晦日までは国連事務総長だが、来年元旦からは、次期韓国大統領候補に様変わりするからだ。

 現在の朴槿恵政権は、今年7月8日、かねてからアメリカが強く要求してきたTHAAD(終末高高度防衛ミサイル)の来年末までの韓国配備を発表した。
 これに対して中国は、「THAADは中国を標的としたものだ」として、猛反発している。

 そこで韓国を揺すって、THAAD配備を止めさせようとしたが、頑強に拒むばかりだ。
 そのため中国がいま狙っているのは、彼らが言うところの「TPP方式」なのである。

 TPP(環太平洋パートナーシップ協定)は、中国からすれば「経済的な中国包囲網だ」として猛反発していたが、昨年10月5日に、日米など12ヵ国が妥結してしまった。
 これで中国は万事休すかと思いきや、アメリカ議会の猛反発に遭って、アメリカでの批准が大幅に遅れ、オバマ大統領の任期中に批准できないことが、ほぼ確実となった。
 後任者はクリントン候補にしてもトランプ候補にしてもTPP反対を唱えているので、これは中国の勝利だ。

 同様に、THAADに関しても、いま習近平政権は朴槿恵政権に、「配備は分かったから、朴槿恵政権の任期中には間に合わないようにしてくれ」とプレッシャーをかけている。
 中国が今回、これまでは最優先させてきた習近平・朴槿恵会談に、G20の直前までゴーサインを出さなかったのは、水面下でこの駆け引きをやっていたのではないか。

 そうなると、次の韓国大統領選の最右翼は潘基文事務総長なのだから、中国からすれば当然、取り込むべきターゲットである。
 アメリカの次期大統領のTPPではないが、潘基文新大統領が「ノー!」と言えば、THAAD配備計画もご破算になるのだ。
 だから潘基文事務総長に「花」を持たせたのだ。
 かつ、このところにわかに冷遇しだした朴槿恵大統領に見せつけてやるという意味もある。

 ともあれ、中国外交の意地を見せつけたかのようなセレモニーだった。

■オバマ政権とは敵対せず

 3日夜になって、習近平主席は20時半から、晩餐会も含めて3時間半に及ぶ米中首脳会談に臨んだ。
 場所は、風光明媚な西湖のほとりにある西湖国賓館である。

 杭州市では長く、西湖の周りの環境保全という理由で、湖に面した場所にホテルを建てることを禁じてきた。
 ただ一つの例外が、この西湖国賓館だった。
 西湖の西面に位置し、敷地面積36万㎡。
 1954年にはここで毛沢東主席が憲法を起草し、1972年にはニクソン大統領とキッシンジャー補佐官が訪れ、「上海コミュニケ」で米中が合意し、米中国交正常化の礎となった。

 新華社通信によれば、習近平主席はオバマ大統領に対して、次のように述べた。

「いまから44年前、このホテルで『上海コミュニケ』が合意に達し、両国の歴史が正常化したのだ。
2013年にアンナバーグ農園で会談して以来、中米の新型の大国関係は、多くの成果を挙げてきた。
中米の貿易額、投資額、人の往来など、記録を更新中だ。

気候変動問題は先ほどの通りだし、2国間投資協定(BIT)や両軍の信頼醸成、インターネット犯罪の防止、アフリカのエボラ出血熱対策、イランの核問題など、大きく進展を見ている。
これらの進展が世界に与える影響は大きい。
共同の利益は、互いの相違点に勝るものであり、今後の世界経済にとって、世界第一と第二の経済大国の責任は重大だ。

中国経済の長期的発展の基本路線に変化はない。
わが国は引き続き、『安定した中に進歩を求める』をマクロ経済政策を基調として、供給側構造改革に取り組んでいく。
一日も早く、BITを締結させようではないか。
また、両軍の交流も、積極的に進めようではないか。

領土問題に関しては、中国は国家主権と領土の整備を維持していく。
いかなる形であれ台湾独立の分裂行為は押さえ込むし、平和的な統一を目指す。
アメリカには『3つのコミュニケ』を遵守し、大局的に考えてほしい。
チベット独立勢力の分裂活動も許さない。

南シナ海問題は、中国自身の南シナ海における領土主権と海洋権益を、継続して維持し、保護していく。
同時に、当事者同士の直接の交渉によって、平和的に争議を解決していく。
そしてASEAN諸国とともに、南シナ海の安定を維持し、保護していく。
アメリカには、こうした南シナ海地域の平和と安定に、建設的な役割を発揮してほしい。

朝鮮半島に関しては、中国は終始、朝鮮半島の非核化、朝鮮半島の平和と安定の維持、対話と交渉を通しての問題解決を強調してきた。その意味で、韓国にTHAADを配備することに反対し、アメリカが中国の安全戦略を尊重することを要求する」

 まさに言いたい放題だが、これに対してオバマ大統領がどう反論したかは、新華社通信は「深入って意見を交換した」としか書いていない。
 つまりオバマ大統領は、南シナ海の埋め立て問題などに関して、中国を強く非難したが、体面上省略したということだろう。

 会談冒頭の両首脳の映像を見ると、習近平主席が紅く口紅を塗っていて、まるで京劇役者のようだ。
 これは、笑顔を強調したい時に習近平主席が取る手法だ。
 ということは、オバマ政権と敵対する意思は、それほどなかったのだ。
 相手はあと4ヵ月だし、それほどケンカすることもなかろうという会談だったのだろう。

■「中身」より「形式」重視

 翌4日は、午前中にBRICS(新興5ヵ国)首脳階段に臨んだ。
 習近平主席は冒頭、上機嫌で次のように述べた。

「『人間の天堂』と呼ばれる杭州へようこそ。
テメル大統領の新加入を歓迎する。
新興国家の台頭は、最近の国際関係の最も意義深い変化の一つだ。
われわれ5ヵ国は、G20の有力なメンバーだ。
1ヵ月後にインドで再び、8回目のBRICS首脳会議を開こう」

 ここでもまた、大して意味のある発言はなかった。

 続いて、メインイベントのG20首脳会議が開かれた。
 またしても議長役の習近平主席が、基調スピーチを行った。

 「8年前、国士的な金融危機が起こり、G20は最後の救い手として発足した。
同舟相助けるの精神で、世界経済は崖っぷちから回復した。
8年経った現在、主要な経済大国は前後して老齢化社会に入り、人口は下降し、経済と社会の圧力となっている。
また、保護主義の波が起こり、グローバルな貿易体制は衝撃を受けている。

そんな中、総合的な『薬』が必要だ。
それは第一に、マクロ経済の強調を強め、金融の安定に努めること。
第二に、新たな発展の方式を創造すること。
第三に、世界経済をよりよく処理すること。
第四に、開放型の世界経済を建設すること。
第五に、2030年までの持続可能な発展の図式を考えることだ。
G20は世界各国の期待を担っているのだ!」

 本当はもっと長い演説なのだが、あまりに無味乾燥なので、端折ってしまった。

 こうして見てくると、杭州G20というイベントは、「中身」よりも、多分に「形式」を重視したものだったと言える。
 つまりは、習近平という中国の指導者を、かつての皇帝のような存在として、中国内外に広く認知させるためのイベントだったというわけだ。

■「中国第一」と「新常態」

 私は8月中旬に北京で、今回のG20にも関わった中国の関係者から話を聞いた。
 それによれば、G20でますます自信をつけていく中国は、今後、「中国第一」(チャイナ・ファースト)と「新常態」(ニュー・ノーマル)で進んでいくという。

 米大統領選でトランプ共和党候補が、「米国第一」を唱えて話題になったが、「中国第一」は、その中国版である。
 中国はこれまで、アメリカに気を遣い、周辺諸国に妥協しながら進んできた。
 だがこれからは、中国の国益最優先で進んでいくのだという。

 もう一つの「新常態」は、本来は2年前から中国政府が使い始めた経済用語だ。
 中国は1978年に改革開放政策を始めて以降、30年数年にわたって高度経済成長の道をひた走ってきた。
 だがこれからは、高度成長から中高度成長へ、量の成長から質の成長へ、第二次産業中心から第三次産業中心へ方向転換していくという意味で、「新常態」と定めたのだ。

 だが今後は、政治と外交の分野にも、「新常態」の概念を広げていくという。

 政治分野の「新常態」とは、これまでの「トップ7」(党中央政治局常務委員)による集団指導体制から、習近平主席の個人指導体制へと変えていくことだ。
 10月に共産党の重要会議「6中全会」(中国共産党第18期中央委員会第6回全体会議)を開いて、そのことを認知徹底させていく。

 また、外交分野での「新常態」とは、アジアのことは中国が決めるという状態にしていくことだという。
 南シナ海問題、東シナ海問題などアジアの問題は、アメリカでもなく日本でもなく、中国が決めていくという意思を明確にしていくのだという。

 これは日本にとっては、由々しき事態である。
 9月5日に習近平主席と会談した安倍晋三首相は、8月5日から9日まで、尖閣諸島近海に多数の中国船が「襲来」して日本を震撼させたことの再発防止、南シナ海に関する常設仲裁裁判所の判決に耳を傾けることなどを訴えたが、習近平主席は馬耳東風だった。

 まず、「尖閣襲来」の件は、中国側は日本への「攻撃」でなく「反撃」と捉えている。
 すなわち、日本が南シナ海の常設仲裁裁判所の判決に口を出し、このままでは自衛隊を南シナ海に派遣するリスクが出てきたと見て反撃した。

 そして、杭州G20を経て、「中国第一」と「新常態」に入る今後は、日本が中国に背いたと見た時点で、何度でもこのような反撃を行うだろう。
 日本としては、他国との合従(中国包囲網)か、中国との連衡か、難しい選択を迫られることになる。

 中国は、日本人が思っていた以上に巨竜と化してしまったのである。






Yachtsニュース 2016年9月4日 21時53分配信 中島恵  | ジャーナリスト

杭州開催のG20、とばっちりを受けた中国人観光客が向かう“意外なところ”

 9月4日、中国・杭州で主要20カ国・地域(G20)首脳会議が始まった。中国でG20が開催されるのは初めてとあって、杭州周辺ではおよそ1カ月前から物々しい警備が続いている。
 オバマ大統領など世界各国の首脳・要人をホスト国として迎えるからであり、大量の警官が動員されるだけでなく、町を警備するボランティアも数十メートルごとに配置されるなど厳戒態勢が敷かれている。

 そんな国際イベントの最中、大変な“とばっちり”を受けているのが200万人に及ぶ杭州市民たちだ。
 G20が開催されるしばらく前から、杭州周辺の工場は操業停止、官庁や企業、学校、飲食店の一部などは9月1~7日まで強制的に休暇させられ、銀行のATMなども一部稼働しないなど、町は「まるで死んだような状態」(杭州市民の友人)だ。

 政府は交通渋滞による排気ガスをなくし、美しい青空を実現し、各国首脳の移動を安全でスムーズにすることなどを目的に、
 一般市民に対して「期間中はできるだけ市外に出ること」を奨励しており、そのために、
 近隣の省にある有名観光地に旅行に行く杭州市民は特別に「無料にする」という出血大サービスの特典まで用意
した。

 もちろん、外部から杭州にやってくる観光客も大幅に規制。
 杭州一有名な湖、西湖は6日まで一般開放を全面的に中止し、周辺にも立ち入り禁止とした。
 杭州は風光明美な観光地として中国全土で有名だが、
 そこまで観光客や市民を犠牲にしてまでも、ホスト国としての体面を保たなければならないのが中国だ。

■半ばヤケクソの海外旅行

 そんなG20開催のあおりを食った杭州市民たちの一部は、仕方がないので国内・海外旅行に出かけている。
 家でじっと我慢している人ももちろんいるだろうが、会社が休みになったし、市内の厳しいパトロールに飽き飽きし、「どうせだから海外旅行に出てやる!」といって、半ばヤケクソになっている市民もいる。
 しかし、ビザの取得や休暇日程の都合で、どうしても近場になりやすい。
 海外に行く人の多くは日本や韓国、タイなどに出かけているそうだ。
 そのうちの一人が私の中国人の友人だ。

 友人は30代後半のプチ富裕層。
 年収は700~800万円くらいだ。
 おしゃれなカフェを経営する仲間たちと同世代の友人6人で日本を目指し、京都、大阪、東京の3カ所を1週間巡る旅に出た。
 中国のSNS、微信(WeChat)のタイムラインには、息苦しい杭州を飛び出して、ストレスを発散するような楽しい旅の記録が次々と載せられていた。

 彼らが最初に向かったのは、京都のすてきなカフェや神社仏閣。
 こだわりの珈琲豆などを取り寄せているカフェを数軒はしごしてコーヒーを楽しんだあと、三十三間堂や東寺、夕暮れの鴨川沿いなどを散策した。
 また、京都の日本海側にある緑豊かな田んぼを見たり、海辺の町にも足を伸ばし、「天の橋立」を観光した。

 これまでに何度も日本観光をしている友人で、最近はとくに関西地方に行くことが多いが、決して中国人の団体観光客が行くような「おのぼりさんコース」には足を向けない。
 ひっそりとした穴場スポットや、日本人でも感度の高い人が行くような最新のおしゃれなスポット、そして大自然のある場所を巡る。

 その情報源となっているのは日本に住む中国人の友人やSNSでの情報だ。
 東京では自由が丘にあるお気に入りのセレクトショップや、
 代官山にある蔦谷書店、
 高級メガネ店などでショッピングを楽しみ、
 夜は高級寿司店や焼き肉店でグルメを堪能した。

 旅行中の友人に問い合わせしてみると、こんな言葉をつぶやいていた。
 「今ごろ、杭州は厳しい警備とパトロールで自由に外出ができない状況でしょうね。
 それをみんな我慢しなくちゃいけない。
 旅行に行けなかった友だちはみんなブーブー言っているよ。
 国際的な行事のときに政府の規制が厳しいのは、ある程度は仕方がないこと。
 だけど、ここまで全体主義でやり通そうとするのはあまりにも前時代的。
 なんか笑っちゃうよね………」


日本テレビ系(NNN) 9月8日(木)17時35分配信
http://headlines.yahoo.co.jp/videonews/nnn?a=20160908-00000055-nnn-pol

“南シナ海”議論か東アジア首脳会議始まる


 安倍首相はASEAN(=東南アジア諸国連合)に加えアメリカや中国の首脳が参加する東アジア首脳会議(=EAS)に出席している。
 南シナ海の問題で激しい議論も予想される。
 東アジア首脳会議は、8日午後3時ごろに始まった。
 安倍首相はこの会議を南シナ海問題で直接中国と渡り合うヤマ場と位置づけている。

 会議の中で安倍首相は、南シナ海で中国の主権を否定した仲裁裁判所の判断に従うよう求めると共に、南シナ海の人工島の軍事拠点化を進めていることについて、中国を強くけん制する考え。
 一方、中国の李克強首相は会議前、日本などの姿勢を念頭に問題解決を「妨害する動き」と発言していて会議でも猛反発が予想される。
 ただ、会議の終了後にまとめる議長声明では、中国に配慮するASEANの意向を反映して仲裁裁判所への言及など厳しい表現は見送られる方向。

 この会議を最後に安倍首相は一連のアジア歴訪を終え、帰国の途につく。
 中国とは南シナ海の問題で激しい議論となった一方で、尖閣諸島を含む東シナ海をめぐっては、偶発的な軍事衝突を防ぐためのホットライン設置などの協議加速で合意するなど、緊張緩和の足がかりを得た。

 中国とは、年内に韓国を交えた首脳会談も呼びかけているが、中国の海洋進出に毅然とした対応を取りつつ対話を継続できるかが今後の課題となる。






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